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雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第一章・魔獣防衛都市ナーゲヤリの人々
17/110

血霧降る広場にて

今回は、1話です。


R15 血糊少なめ 閲覧注意

 シャルロットがゲオルクにうっとりしながら逃げていると、最近話題の新婚夫婦がやって来た。皆の流れを逆走している。ジルベルト隊長は、制服着用の仕事モードだ。


「おうっ、ゲオルク、巡回か」

「はい、広場が」


 中央広場を振り替えると、木の葉が渦巻いているように見えた。


(始まったか)


 ジルベルトが、魔剣を抜いて広場に急ぐ。ジンニーナの『守りの壁』が、3人を包む。



「ハイム、団長に報告してくれ」

「えっ、戻るつもりですか?」


『鉄壁の魔女』ジンニーナの守りを得たゲオルクは、当然、音波雀(オンパジャク)の討伐に参加する。


「早く行け。トラウマになるぞ」


 ゲオルクが、剣を抜く。



 シャルロットは、ゲオルクが何を言っているのか解らなかった。彼女は、情報分析担当なので、現場の惨劇を知らなかったのだ。


 守りの壁が何に使われたのかを。



「トラウマ?」


 まともに見てしまったのは、討伐隊でも、ゲオルク達銀紐隊長腹心の3人だけなのだが。銀鬼ジルベルト・タンツが山頂までの道を、血煙を上げながら駆け登った姿を見ていた討伐隊参加者は、多い。


「それより、戻ったら危険ですって」


 特に機密でもないため、報告され、噂になり、街の残留組にも伝わってはいた。しかし、見ると聞くとは大違いなのだ。


「青紐隊に引き継ぎましょうよ」

「いいから、行けっ」


 特に、壁とその効果については、3人が全く話そうとしなかったので、「罠として有用」以上の情報がない。その場でぐずぐずしていたら、精神被害を受けるとは、予想もつかないことだった。



 3人が、中央広場に着いた時には、広場の木々やベンチが、ズタズタになっていた。音波雀が出す、超音波の(さえずり)による振動で、広場中が砕かれたり亀裂(ひび)が入ったりしている。


 1羽でも、多少の被害が出る魔獣だ。それが、広場の中央に植えられた、シンボルツリーの枝に、鈴なりになっていた。


 ここの所、少しずつ増えていて、公園管理事務所への投書もあった。事務所や善意の一般人には手に終えなくなり、ジルベルト達が駆り出されたのである。



 ジンニーナは、雀のいる樹を囲む形で、守りの壁を展開した。樹の上空にも、蓋になるような壁を作る。ゲオルクは、樹の方を見ないようにする。何か鈍い音が立て続けに聞こえるが、背を向けておく。


 どうせ最終的には、ゲオルク、ヴィルヘルム、フリードリヒの銀紐3人衆が片付ける事になるのだが。見なくて済むのなら、鳥が潰れる所など、極力見たくはないのである。



 ジルベルトは既に、広場側に残った茶色い魔獣を切り裂いている。飛び回るものには、拘束鎖分銅バインドを投げる。


 ゲオルクは、ジルベルトから少し距離をとって、地面に群れた音波雀(オンパジャク)横撫(よこなで)にする。数羽が逃れて、ジルベルトの方へ飛び去って行く。



「隊長!そっち5羽行きました!」


 拘束の魔法を乗せた、ジルベルトの鎖分銅が、生き物のように空を舞う。鎖に打たれた小鳥型魔獣の血飛沫が飛び散る。


 分銅と分銅の真ん中辺りで2羽捉え、しなやかに弧を描いて、両端に1羽ずつを拘束する。最後に、その全体で5羽目がぐるりと縛られた。



 その間にも、可愛らしい小鳥の姿をした魔獣を、溶解魔剣メルトで焼き、風裂魔剣カットの餌食にする。ジルベルト・“銀鬼(シルバーデビル)”・タンツの顔は、返り血で赤く染まってゆく。



 拘束鎖分銅バインドが地に落ちる時には、鳥は5羽とも絞め殺されていた。氷尾長(こおりおなが)と違い、魔獣の雀は(もろ)かった。

次回、袋を用意すべきです


よろしくお願いします。

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