表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雑用騎士ジルと魔法のお使い  作者: 黒森 冬炎
第一章・魔獣防衛都市ナーゲヤリの人々
15/110

雀のお宿へお使いに

今回は2話

R2/9/8 11:00,12:00

 鋼棘鼠(コウシソ)の掃討作戦で、ジルベルトとジンニーナは、一躍時の人となった。真っ昼間の街中での出来事だったからである。


 気を良くしたジンニーナは、自宅に『ジル&ジン 魔獣討伐本舗』という看板を掲げた。銀色の金属で作られた透かし彫りの中に、綺麗な緑の文字が踊る。


「あたしたちの子供みたいでしょ」


 照れながら言うジンニーナ。ジルベルトは、感激して抱きしめる。ついでにあちこちチュッとする。


「ごめんね。魔力が高すぎて、子供は無理かも知れないからさ」


 父母どちらか()しくは両方の魔力が高すぎると、なかなか子供は出来無いのだ。もし出来ても、赤ん坊は、引き継がれた膨大な魔力に小さな体が耐えられず、産まれる事すら出来ない場合が多い。


「可能性はあるだろ。諦めんな」

「ジル……」



 騎士団は、別に副業を禁止していない。本業に支障がなければ、制限はされないのだ。だから、2人で話し合って開業したこの店は、団長にも報告済みだ。


「団長、これはどういう事でしょうか」


 ジルベルトは、1枚の要請書を手に、ハインツ団長の元を訪れていた。


「どうもこうも、正式な銀紐隊長への指名討伐要請だ」

「『ナーゲヤリ中央広場・樹木定期検査』とありますが」


 樹木の定期検査は、騎士団の仕事ではない。ナーゲヤリ環境局の担当だ。とうとう、外部組織の雑用まで回されて来たのか。しかも、隊長への指名要請とは。


音波雀(オンパジャク)だよ」


 団長は、落ち着いて返答した。



 音波雀(オンパジャク)は、丸い小さな茶色い鳥だ。薄茶の斑入りの可愛らしい体で、嘴が銀色だ。愛らしいこの小鳥は、一度(ひとたび)嘴を開くと、超音波の(さえずり)を放つ。


 厄介なことに、音波雀は群れる。群れてお喋りを始める。大災害である。


「今度は空ですか」

「今度は空だな」


 ハインリッヒ・ハインツ団長は、取りつく島もない。


「仕事始めたんだろ。何でも屋。よろしく頼むぜ」

「何でも屋じゃありませんよ。外注扱いですね」

「バカか。給料以外は出さん」


 ジルベルトは、言葉を失う。



「お前も、魔剣遣いだしな。魔法が必要な案件は得意だろ」


 世界最高峰と目される『魔力感知能力』を持つ、ジルベルト・タンツ。その真骨頂は、魔獣の単身殲滅を完遂する事にある。

 魔力感知で、隠れた魔獣の群れや巣を炙り出す。しかる後に、魔剣と鎖分銅を駆使して、巣ごと根絶やしにするのである。


 因みに、後片付けは、1人では時間がかかりすぎる。その為、何時も腹心3人組が手伝わされる羽目になる。彼等の惨劇耐性は、一朝一夕で獲得されたものではない。



「今後、こういった『魔法のお使い』は、タンツに頼む」

「お使い……」


 拒否権は、無いようである。

次回、中央広場で逢い引きを


よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
〈i500805|29410〉 script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ