【GAME13-6】誇り高き立海の玉座を守れ!!
――TIPS――
ゲームワールドではプレイヤーの条件を満たさないと入る事が出来ないエリアが存在する。その一つが絶賛激闘中の『バスター・キャッスル』だ。
バスター・キャッスルを進城するその条件はプレイヤーレベル50以上に達する事。しかしそれを潜り抜けて侵入した『サザンクロス』なるプレイヤー集団は一体何者なのでしょうか……?
――バスター・キャッスルのSASU◯Eの如し、アスレチックエリアの2階にて迎撃するサザンクロスの下級兵を殲滅していくサーブルズ・フローレンのシェイパー兄妹。次なる舞台はその上の階、3階の立海の城主が威厳を保つ為にあるようなエリアでしょうか。
【玉座の間】即ち、立海の王の証の椅子と空間が用意された場所だ!
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3階にはサザンクロスの配下も居なければ人気もない。赤く暗がりで一直線の渡り廊下。何しろ通路には城主を玉座へと誘う為のレッドカーペット、それだけで赤いのに天井も壁も窓際も皆赤く染めての真っ赤っ赤!
プレイヤーの皆様にとっては暗い赤は眼に悪う御座いますが、シェイパー兄妹にとっては尊厳のオーラからか緊張が迸る。
「お兄様……ここまで来ると何故か急に身が引き締まるのですの……」
「当たり前だ。何百年の歴史が紡がれた遊戯貴族の立海の歴代城主の玉座が近づいているんだ。否が応でも緊張せざるを得まい」
立海に憧れ、同胞になろうという者だけが知る遊戯貴族の貫禄でしょうか。現在立海家において城主に登りつめたのは21名、つまり銃司は立海家の21代城主という立場になる訳ですが。
――前作の『極限遊戯戦記』を読んだ方はご存じでしょうか? 銃司の兄に当たる【20代目城主】の男の存在を。
「フローレン見てみろ、これが玉座の扉。それに左右の肖像画を……」
サーブルズが指差す左右の方向には天井まで突き刺す程の大きな扉と、それを挟み込むように同じ大きさの肖像画が。
――左の黒髪ロングヘアが銃司。そして右の銃司と瓜二つの白髪ロングヘアが……今は亡き先代城主・立海丈だ。
「二人の立海城主が立ち並ぶ姿、私は丈様が生きている間にお目に掛かりたかったですの……!!!」
「だからこそ、だ。今度は僕らが立海の誇りを、銃司様を仕える身として命の限り守り通さねばならないのだ!!」
妹の眼に涙が溢れ、兄の握り拳に秘める決意の炎。それぞれの魂の形が顕になる頃、二人のプレイギアに記した城のマップには、敵のマーキングがある場所一点に集中していたのに気付いた。
「私達の真正面……!? お兄様、まさか!?」
「玉座に奴らが居る!!!」
すぐ様シェイパー兄妹は玉座の扉をバァン!!と開けたが、不安的中。
兄妹に眼前に見えたのは、無数のサザンクロスのしたっぱ配下。そして正面にはガラス絵を背に、神々しく輝く玉座に我が物顔で座り込む不届き者が。
「遅かったじゃねぇか、立海の使い魔め。……ってかこの玉座座りにくいんだけどォォ!!!」
座りにくいったってアンタ、当たり前でしょ!! 重そうな青銅のデカイ盾持って、それにも入り切らない肉壁蓄えてんだからケツが玉座にハマんないんですよ! この重量感を見る限り百貫デブと例えても過言では無いでしょう!!
「テメェ失礼な奴だな!! オデはこう見えても体重は375キロだぞぉ!!!」
それを【百貫】って言うんですよ……
「何よあの『ブリオッシュ』!! 銃司様や丈様の椅子が壊れたらどーしてくれるのですの!!?」
えー因みに『Brioche 』というのは、フランスで言う所の【肉まん】って意味なのです。これなら悪口にも聞こえないしインテリらしくて良いんじゃないですかね?
「ハッ! こんなオデに似合わん椅子など壊れても知るか。このオデ様【コールサック】様の目的は我がサザンクロスの名を知らしめて、プレイヤー共を跪かせる事にあり! その手始めに強者と名高い立海遊戯戦団を叩き潰すのだ!!」
デカイケツをドスンドスンと弾ませて玉座を故意に壊そうとするコールサックと名乗るデブチン。これにはフェンサー兄妹の理性がブチ切れた。
「「いい加減その玉座から、離れろォォォォッッ!!!!!」」
立ち向かう二人のフェンサーと、それに相対するしたっぱという名の雑兵。
怒りに身を任せたレイピアは雑兵如きに恐れる事なかれ。激とした力と凛とした正確な突き、それが相まって悪の心臓目掛けて刺突すれば、たちまち敵は地獄の地へと突き落とす!!
「コールサック! 貴様のような立海の誇りを汚す輩には僕らは容赦はしないぞ!!」
「その豚バラロース突刺して、バーベキューを嗜んで差し上げますの!!」
悪玉のバーベキューは、腹壊しそうなので遠慮しときましょう。しかし串刺し細切れにしたくても一筋縄では行かなさそうだ。何しろ彼らの腹元並びに身体中からは銅鐸のような青銅の鎧、並びに巨大な盾がシェイパー兄妹の剣を阻むであろう!
「そんな鉄なんか、私の鋭利な一突きで風穴を開けてやりますの!」
先に動いたのは気の強い妹のフローレン。溜めたEGを消費してカードスキャン!!
『アクションカード、【スパイラル・スティング】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【スパイラル・スティング】EG:④
属性:青
①次の自分の攻撃はAP300アップ、
[貫通効果]を得る。
◎――――――――――――――――――◎
[貫通効果]とはどんなに敵がガードしようともダメージは低減せずに背後の敵をもダメージを与える効果の事。それを証拠にフローレンのレイピアが高速ドリルのように切っ先が回転する!
「受けてみなさい! 『スパイラル・スティング』!!」
――ギュィィィィイイイイ!!!
フェンサーを阻むものは一直線に突き刺すのみ! フローレンの必殺ドリルでコールサックの腹をえぐらせ…………られない!!?
フローレンのレイピアの針が青銅の鎧に負けて使い物にならなくなってしまった!!
「なんだァ? そんな針なんか痛くも痒くも無いぞ、じゃじゃ馬め!!」
――ガシッ!!
「あっ!!?」
敵への攻撃が効かず、不意を突かれたフローレンの首根っこを掴み上げてデカイ手腕で握り締めようとするコールサック、彼女の身体をもホールドするその巨大な手は人間万力なのか!?
「馬鹿めが!! オデ様の身体はAP500以下の攻撃を無効にする【メタルボディ】を持っている。オデに歯向かう女はこうしてくれる!!!」
「あ゛ぁッッ……くぁぁぁ――!!!」
力一杯握りしめられた巨大手腕に悶絶するフローレン、それに兄のサーブルズは激昂する!
「フローレンを離せーーーーッッ!!!!」
突いてダメなら斬ってみよ、フェンシングの心得として唯一斬り技も得点となるサーブル戦法で敵に傷を付けようと試みるが、やはり鋼鉄の【メタルボディ】では成す術がない。
「鬱陶しい奴だな二人揃って……邪魔すんな!!!!」
ドカッ!!
「ぐぁッ……!!」
コールサックは手持ちの逆三角形の巨大盾でサーブルズを薙ぎ払い、扉付近の壁に叩きつけた。
「フフフ……立海もたかが知れてんなぁ、玉座はおろか大事な妹まで守れんとは片腹痛いわ!!」
コールサックはフローレンを握りしめる右手を一旦開放させ、彼女を地面に落とすかと思いきや、手持ちの盾の下腹部、槍のような鋭利な部分で突刺そうと企んだ!
「お前はオデの盾で可愛い妹が突き刺される様を見届けるがいいわ!!!」
「ハッ!? 止めろォォォ!! フローレェェェェン!!!!」
呼べど叫べど兄の声は昏睡したフローレンの耳には届かない。万事休すか……!?
「死ねぇぇぇえええええ!!!!」
上段に構えて盾を振り落とそうとした、その時――!!!
――――BUMP!!!!!
「どぉぉおおおお!!!!?」
刹那に木霊した轟音、そして何かの衝撃に煽られズドンと尻もちを付いたコールサック。
この時閉められた筈の玉座の間の大きな扉がいつの間にか開かれていた。
「その辺にしておけ家畜豚。高飛車女とはいえ、彼女は我ら立海に忠誠を誓おうとする者だ。
俺のフェンサーを、同胞を傷つける者は……この立海家21代城主・立海銃司が許さん――――!!!!」
憎き相手に向けられるは紅蓮色のマグナムリボルバー、やってきたぞ立海銃司! ついに立海遊戯戦団の本家本元が動き出した!!
次回は我々をどんな展開でざまぁみろ!と言わせてくれるか、愉快痛快大逆転劇!! 本日のゲーム、これまでッッ!!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




