【GAME13-3】紅蓮城・バスターキャッスルの訪問者!!
――TIPS――
ゲームワールドに転送する際に使われるヘッドギアアイテム【GWギア】。
このギアを装着する時は全精神・神経がゲームワールドに転送されて心身解脱した状態になり、その間は現実世界の身体はGWギアによって発生するバリアが張られ、外部からの被害は受けなくなる。
因みにゲームワールドでの転送後は脳によって操作する仕組みになっていて、視覚・聴覚・味覚・痛覚等などの感覚は通常通り動く仕組みになっている。
――マグナム一発、一撃必殺によって速攻で敵を討ち取った立海銃司のお節介ゲーム。丁度ハンバーガーで拵えた腹をゲームで動かして上機嫌の銃司。
しかもそのやられた相手はWGCが危惧していた謎の団体『サザンクロス』のしたっぱでブラックリストにもなっていた奴であったから、厄介払いもして食後の運動も出来て一石二鳥。後はWGCに全部仕事を任せて桜と一緒に立海家の館に帰宅するのだった。
――偉大かつ強固な館の扉が開かれる……
「銃司様、時実桜、只今戻りました」
「オイ史也兄は居るか?」
桜は城主とメイドが帰宅した事の報告。銃司は帰って早々同胞を呼び出すも、左右の屈曲階段とレッドカーペット、天井にはシャンデリアを中央にした玄関には誰一人居らず、言葉を返す声も聞こえなかった。
……と思いきや、桜よりも明らかに格下の女性メイドが息を切らしながら銃司たちの前に駆け寄った。
「ハァ、ハァ、すみません銃司様。今さっきまで史也様はゲームワールドに転送なされた所で、帰宅した際にこれを渡してくれと史也様が……」
「珍しいな、史也兄が言付けなんて。そういえば奈々子も瑠璃も見当たらない」
銃司はメイドちゃんに渡された紙を開いて確認すると、
《銃司、先週パリの知人からのスカウトで選出された二人のゲーム戦士が今バスター・キャッスルに来ているとの事で我々総出で彼らを歓迎しに先に転送している。お前と桜も用が済み次第、至急向かってくれ。―史也―》
……と書かれていた。流石に遊戯貴族と言うべきか、海外にまで人脈を張り巡らせているとは上流階級の成せる事か。
「そういえば前に史也様が仰ってましたね、立海の戦力強化として新団員を招集すると」
「突然来られても迷惑だがな……チッ、昼までに『AP◯X』でもやろうか思っていたのに」
「仕方ありませんよ、私達も急いで転送致しましょう」
何気に銃司もオンラインを嗜んでる事に我々は親近感を沸いた所で、二人は玄関から真っ直ぐ向かって奥に設置されている玉座がある大広間へ。
そこにはレッドカーペットを真ん中に左右に設置された縦並びのチャーチチェア、カーペットの終点には神々しい黄金の玉座、背後にはミサとも見まごう神秘的なガラス絵だ。
「銃司様、GWギアを……」
桜が銃司にゲームワールド転送用装着具・GWギアを用意し、自身のプレイギアをこれに接続・共有させた事で改めて銃司の頭に装着された。桜も同じく。
銃司は玉座に、桜はその付近のチェアに座り転送の準備に入る……!!
「「ダイブ・オン! ゲームワールド・TRANSFER!!」」
――GWギア起動、銃司と桜の全神経が一つの魂となりてハイブリッドブルーの転送回路へと誘われていく! それによって現実世界での二人の身体は力が空となった抜け殻となって各々は横たわっていた。これは転送してるって描写がなければ第三者が見ればゾッとする光景である。
……あ、そうだ! 転送されたんだから入口は私めがご案内しなければ。なんてったって案内役ですからね。玄関であるエリアへと誘うゲートの前に立ってと。ほら、デジタル粒子が実体となって銃司と桜が来たよ! コホン。
――ゲームワールドオンラインの御来場ありがとうございます、本日はどのエリアへ向かいま
「退けピエロ、さっさとバスター・キャッスルに向かわせろ」
…………ヒドいや、ヒドいや!!(大泣)
▶▶▶ NEXT▽
――傲慢貴族の暴言に乗せられて私は彼等を【バスター・キャッスル】なるエリアへと誘わせた。銃司覚えてろよ(心の声)。
前回も掲示板の回でこのエリアは登場した為に若干割愛はするが、その黒く染まる常闇の空と、血にも似た真っ赤な城の外壁がそのおどろおどろしさを物語っている。
既に辿り着いているエリアへ直接転送された二人は『トライゲート』と呼ばれる紅蓮城の門まで辿る。そこにはチャイナドレスで着飾った女性アバターの姿が。
「……あ、銃司様お待ちしておりました! 皆が玄関の前で集合しております」
「御苦労、瑠璃。早くトライゲートを開けてくれ」
……えー、ここで立海のメンバーのご紹介をゲームワールドのステータス込みでご説明致しましょう。
――まず立海銃司のハンドルネームは【バスター】、現在プレイヤーレベルは34で、ジョブは『ガンマン』。アバターは黒髪から銀色に変わってセフィ◯ス調に、血塗られた真摯の真っ赤なスーツ。
――時実桜は【クロノ・チェリー】、プレイヤーレベル28のジョブは『メイド』。アバターは特に変わってないが銀色ベースのメイド服に、長髪からみつ編みの髪に変化している。
そして先程の灰色のチャイナドレスのアバターが立壁瑠璃(25)、ハンドルネームは【レイリン】、ジョブはシャッフルの豪樹と同じく『モンク』。立海の番人にしてトライゲートを管理する守護者なのだ。
そして残りのメインメンバー2名はトライゲートを解禁し開いた先の玄関で待っていた。
「――来たか銃司。遅いから言付け残して転送したが、どうせ寄り道してたんだろう?」
「飯食ってたんだよ史也兄。んでついでにサザンクロス始末してやった」
この御方が『史也兄』と呼ばれている立海の参謀長、大門史也(22)。ネイビーブルーの軍人服のアバターのハンドルネームは【シュヴァルツ】、ジョブは機械に長けてることから『技師』である。
「私や奈々子を差し置いて食事とは余裕だな銃司、客人を待たせておいて……」
「史也様は食事に誘われなかったのが寂しくて拗ねてるんですよー」
「要らんこと言うな、奈々子」
その史也の横で彼の本音を暴露させたゴスロリの小悪魔アバターもメインメンバー、史也の秘書を務める倉内奈々子(20)。ハンドルネーム【ななちゃん】でジョブは『諜報員』、つまり立海の設けたスパイって事よ。
「心配するな、俺は誰ともえこひいきはしない。史也兄にレトロゲーム、奈々子に例のチョコプリンとか相応のもてなしはするつもりだ」
「……ならばその約束とくと楽しみにしておこう」
「わーいチョコプリンだ〜☆」
なんて各々のリアクションを楽しんだ所で本題。彼等の横にいる西洋の中世騎士のようなアバター二人並んでいるのにようやく銃司は目を移った。
「……で、コイツらがその新戦力って奴か」
その姿は軽い騎士装備にフェンシングの剣を各々装備したようなアバターであり、そのジョブは【フェンサー】と呼ばれる剣を主に戦うジョブの一種であった。
「紹介しよう。フランス・パリからのプレイヤーで兄・妹の一卵性双生児、【フローレン・シェイパー】と【サーブルズ・シェイパー】だ」
フローレンが女性、サーブルズが男性。金髪とブルーな眼に何処かしら似てる顔の二人。アバターとはいえまさしくソーセージ、じゃなくて双生児であった。
「「Enchanté de vous rencontrer! ※訳:宜しくお願いします!」」
立海の城主である銃司に、フランス語で挨拶を交わすシェイパー兄妹。それに対して銃司は手も差し伸べずに、渋い顔をしていた。
果たして銃司の心境や如何に? 新メンバー加入か、それとも……!?
気になる所ですが丁度時間となりました。本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




