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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME13-2】紅蓮の狙撃手・立海銃司!!

――TIPS――

現実世界において『アメイジング』をプレイする際に必要なドーム状の仮想フィールドを【決闘の境界 《ボーダーデュエル》】と呼ばれている。

カードスキャンブレスや特定の施設で展開されるが、ブレスで起動して展開するフィールドの規模は半径200メートルまでとされている。

 

「――お疲れ様です、銃司様」


 WGCの総本山・ディメンションターミナルビル。そこで召集された銃司の業務終了と共に会議室の廊下にて待機していた時実桜。深く一礼して彼と合流する。


「すまないな桜。俺は大して疲れてはいないがたった三分の召集の為に下らん労力を使わせてくれた。無駄足だったよ」

「そんな事仰らずに。立海家の所有地である『バスター・キャッスル』の近況報告は義務なのですから」

「しかし俺に朝食を食わす余裕を与えんとは実に白けるがな。体制が変わって頭も固くなったか」


 などと愚痴を溢しに溢す銃司。やはり日本有数の遊戯貴族、謂わば上流階級の立場からして退屈と不満の日々は避けられないのか、我々には見えない苦労が目に見えてくる。それを見兼ねた桜は、


「きっと銃司様はお腹を空かせているからこうも苛立っているのでしょう。直ぐに館に戻って私が料理を――」

「いや……近くにハンバーガーチェーンがあっただろう。今日はあそこで腹を(こしら)えるとしよう」

「……はい?」


「桜はここ暫く働きすぎだ。少しは俺の飯に付き合え、今日の俺の気分はジャンクだ」


 ▶▶▶ NEXT▽


 ――皆さん、上流階級のプレイヤーって聞いたもんですから食事は超高級で、エッグボイラーで茹で卵を伯爵食いするイメージとか考えてたでしょう?


 ところが銃司はそんなかた苦しい食事は苦手なようで、ハンバーガーとかステーキを喰らうのが性に合うと本人は言っておりました。まるで肉食系の欧米人みたい!


 そんな彼等が向かったのは神田佐久間町にある『バーガーエンペラー』というチェーン店。いかにも銃司が好きそうな店名。

 リムジンを乗り降りて店内に入ると、一般市民は皆彼等に御注目。そりゃそうでしょうこんな平凡な店に貴族とメイドが来たんですから。


「……銃司様、ハンバーガーなら私にも作れます。このような場所では心苦しいかと……」


「別に俺が来た所で平民の飯の味が変わる事も無い。貴族のイメージアップと思って結構だよ。――『Zビーフバーガー』のセット一つ、あとコーヒーとストレートティーとアップルパイもくれ」


 貴族がカード支払いで淡々とオーダーする姿は果たしてイメージアップになるのか、カオスとなるのかはさておき銃司は我が物顔で席に座る。


「……桜。俺は貴族だからとか強者であるからの以前に、自分の欲望には素直で偽りのない俺でありたい。その答えがたまには平民の飯を喰らいたいのと、桜と久々に食事したいって訳だ」

「はぁ……」


 態度のデカイ銃司と(かしこ)まる桜、主と従者の関係を挟むテーブルにオーダーが届いた。

 3枚重ねのビーフとデカいバンズ、添え物のチーズとトマトを肉割り増しに載せた『Z』に相応しいまでのビッグサイズの『Zビーフバーガー』! ちなみにビーフはオーストラリア産無添加100%だ。


「ストレートティーとアップルパイはお前のだぞ桜」

「そんな、結構ですわ! 侍女の私が銃司様に奢られるだなんて……」

「遠慮するな。それにもう頼んだんだから今更拒むのも失礼だろう。これは俺からの()として受け取って欲しい」

「礼というのは一体……?」



「……ゲームワールドが休止した一年間、お前や同胞たちは皆俺たち『立海遊戯戦団』の誇りの為に鍛錬を欠かさず、こうして一つ目のオーブを手に入れる事が出来た。これは俺一人の力では成し遂げられなかった事だ。

 ――桜や皆には返しきれない程の恩がある。まだなけなしの量に過ぎんが、せめて城主の俺からの差し入れとして受け止めて構わん」



 おお、何と素晴らしい労いのお言葉! 魂より忠誠を誓う城主からの感謝に、自然と桜の眼が潤んでその感謝をしかと受け止めた。


「…………銃司様の温情、心より感謝致します。今後の精進を約束した上で改めて頂きますわ――!」

「いいからさっさと食え、アップルパイ冷めるぞ」

「はい……!!」


 傲慢でプライドの高い城主の裏に、優しい素顔が垣間見えた。

 桜は城主からの奉仕に、事前に持ってきていたナイフとフォークでアップルパイを嬉しそうに頬張る。対して銃司も好物のハンバーガーを端正な顔から野獣のデカイ口を開けて喰らいついた。ワイルドだぜ。


 ――――貴族とメイドの安らぎの一時を憩う。



 ……ところが、銃司がバーガー片手に窓の風景を眺めていたが、急に顔が豹変し顔にシワを寄せた渋く険しいものへと変わっていった。


「……銃司様、どうかなされましたか?」

 桜もその様子に気付き、銃司に一声かける。


「……俺から見て窓の奥、遠目の交差点にいる全身黒の服を着た男が見えるか?」

「……はい。サングラスも掛けた黒ずくめの男、確かに確認しました」


「カードスキャンブレスは装着されていたか?」

「はい、右手に灰色のカードスキャンブレス」


 銃司が名指した窓の奥の十字交差点、店を視点にその距離は70メートル程。その距離を桜は特徴も正確に捉えて報告した。銃司と彼女は視力が良いんですね。

 しかしこの現実世界の道端で何故アメイジングのカードスキャンブレスが……?


「何やらデッキ編成をしてる様ですね。彼が何か気掛かりでも?」

「……まぁな」


 すると今度は銃司が事前に持ち合わせたカードスキャンブレスを装着して、桜に頼み事を持ち込んだ。


「桜、直ぐにコールナンバー『777』に電話掛けて言付けを頼む」

「……WGCですか?」


「そうだ。立海銃司からの伝言で、『神田佐久間町1丁目付近にてブラックプレイヤーリスト606を追尾中です』ってな」

「606、ですね。畏まりました。大至急……」

()()()って入れるのも忘れないでくれ」


 桜は銃司の命令に従い軽く頭を下げ、一旦席を離れて店の化粧室にてプレイギアを持ち込んでWGCに連絡を急いだ。こんな優秀なメイドちゃん私も欲しいなぁ〜!!



「……さてと、俺が早いか、WGCの犬が早いか――?」

 なんて銃司は呑気にハンバーガーを豪快に喰らいついている間にも……


 ――ドカァァァアアアン!!!


 静かな街並に突如鳴り響いた轟音、その場所は70メートル先の十字交差点であった。


「……また俺の勝ちか」


 丁度頬張って口の中に残ったハンバーガーを食ってる最中で、口籠った口調で銃司は動いた――!


 ▶▶▶ NEXT▽


 ――さて所変わって、と言っても70メートル離れただけの神田佐久間町の十字交差点。突然の爆破音にて住民たちは恐れ逃げ出し、野次馬達は何事かと駆け寄る。

 そして銃司も交差点まで近づき、先程の黒ずくめの男をサーチするために急接近する。


「『決闘ボーダー境界デュエル展開アンフォールド


 富裕層のストリートラインに無機質で無限のエネルギー満ちるVRフィールド。半径200メートルに及ぶ決闘の境界を展開した銃司は続いて5枚の手札を加えて確認する。


「……今日の手札は俺と気が合うらしい――!」


 ニヒルに捨て台詞を吐き、手応えを感じた銃司はそのまま1枚のカードをスキャン!!


『カスタム・ツールカード、【ゼータマグナム】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 <カスタムツール・カード>

【ゼータマグナム】EG:④

 AP:300 PP:6

 属性:赤 装備:プレイヤー

 効果:[バスター]このカードによる攻撃は

 50%の確率でクリティカルヒットが出やすい。

 ≪必殺技≫

『チャージバレット』EG:③ AP:500

 ブロック・ダメージ低減不可の渾身の狙撃技!

 ◎――――――――――――――――――◎


 銀色ボディに輝く銃口、あの44マグナムに匹敵するほどの巨大ハンドガンが銃司の手に宿された!


「動くな!!」


 まだハンバーガーによる籠もった声で銃司はマグナムを構えて黒ずくめの男に警告する。それに感付いた敵は手持ちのショットガンを銃司目掛けてぶっ放す!!


 ――BANG(バンッ)!!、CRACK(ピシッ)


 〔バスター(銃司) HP1500→1400〕


 敵の散弾による広範囲攻撃により銃司はかすり傷を頬に受けた。


「下手糞ォ……!!」


 銃司はそんな敵にも臆することを知らない、そして彼は腰を大きく下げて、万全の構えで敵に両手で銃を向ける。すると銃口からエネルギーが蓄積しているのが確認された。そうこのコマンドは必殺技『チャージバレット』だ!!



 ――――BUMP(ドンッッ)!!!!!


「ぐふぉ……あ――!!」


 〔CRITICAL HIT!! サザンクロスしたっぱ HP700→0 KNOCKOUT!〕


 やはり銃司、流石銃司! 世界最強クラスの銃は伊達では無い。30メートルの遠距離かつ反動の大きいマグナム銃一発でヘッドショット。敵の頭に命中し身体ごと吹っ飛ばして仕留めた!! 野次馬も周囲の住民もこの結末には呆気に取られて皆呆然。



 そして銃司は黙々と一人で倒れたサザンクロスのしたっぱの元に歩み寄る。いつの間にか銃司の右の頬には先程弾丸でかすった傷がゲーム演出のエフェクトで出血していた。そんな傲慢貴族に傷をつけた敵の眉間に銃を突き付けた……!


「……まさかこんな街並に『紅蓮の狙撃手』が居るとは思わなかったか? だが運が悪いというよりも器量が悪すぎる。ここらは我が立海の庭でもあり、貴様はその街を汚そうとした。ならば俺のマグナムで地獄に特急で送っても良いんだが、生憎雑魚に興味は無い。

 ――無様に生き延びるか、楽にあの世に落っこちてみるか。賭けてみなよ……!!」


「………………」


 高揚する眼差しで銃を向ける銃司にしたっぱは行動も話すことも出来なかった。それに興醒めしたのか銃司も無抵抗の彼からカードスキャンブレスを没収し、彼の武器共々消滅した。

 このまましたっぱの前から立ち去ろうとした銃司にようやく奴は口を開く。


「どうせ……撃つつもりなんか無かった癖に……」


 それを聴いた地獄耳の銃司、殺気立てた目付きで睨みつけたかと思いきや、



 ――――――――BBBBBUMP(ズドドドドン)ッッッ!!!!!!


 天を見上げて空中に残り5発の弾を一気に連射させた銃司、周囲の住民も車もこの銃声に黙り込り、その後銃司はニヒルで憎たらしい笑顔で彼に呟いた。



「歯向かわないだけ、貴様は十分利口だな。馬鹿め!!」



 そして再び銃司はこの場を何食わぬ顔で立ち去る頃にはやっとWGCの警備員が駆けつけ、サザンクロスのしたっぱを捕獲。


 幾らルールを築く機関であっても結局は行動した者が恍惚を味わう。()()()()()()()()()()と証明させたような、『紅蓮の狙撃手』立海銃司のお節介ゲームでありました……!!



 次回もまだまだ彼の魅力に追求しますと言った所で、本日のゲームここまでッッ!!


 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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