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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME12-4】友として、ありったけの魂を!!

 

 ――桐山剣、ライバルへの怒りをPASに込めて編み出した新技【エーススラッシュ・灼熱斬り】を会得した事によって、己の可能性をより広げることに成功した。


 しかし一つ成し遂げただけでは中途半端、満足に満たしていないと判断した穂香が次の特訓で呼び出したのはなんと……天野槍一郎であった!


「……剣、昨日は君の悩みも気にせずあんな報告したのは悪かった。でもあれから一度も僕の前に来ないなんて水臭いじゃないか! 剣の悩みは僕の悩みだ。いくら君の事だからとはいえ、それを自分だけで片付けようだなんて剣らしくないぞ!」


 今までの剣ならば頭に血が登って口喧嘩になるかと思ったが、先程のPAS発動で憂さ共々発散された事で怒る気力は沸かない。剣は落ち着いた状態で口を開いた。


「……でも、槍ちゃんは暫くしたら俺達の前から居なくなるんだろ――? オフィシャルプレイヤーにもう一度なるって、槍ちゃんが魂から誓ったもんな。そんな時に俺が悩み抱えた顔でお前に顔向け出来ないって思ってさ」


「……そうだ、幾ら剣が止めても僕はオールスターズを一旦離れて試練を受けなければいけない。けれども僕らは離れていたって縁は切れるわけじゃないんだ。――僕が()()として君にして欲しい事は試練に出発する時くらい、いつもの元気な桐山剣で送り出されたいだけだ!!」


「……!」


 それは『桐山剣にしょぼくれた面は似合わない』と暗喩的に示すような槍一郎の答えであった。


「この場は僕と剣と穂香ちゃんの三人だけだ。どうだい、いっそのこと互いの本音をゲーム(こいつ)で語り明かすか?」


 既に槍一郎の右腕にはカードスキャンブレスが装着起動、そして有無を言わさずカードを発動しカスタム・ツールカード《トライデント》、三又の槍を立て構えた。


 先程穂香の鼓舞によって龍牙への憎しみを力に変えることで吹っ切れた剣。人の抱えたものを脱ぎ去るとき程気持ちの良いものはない、PASによる疲労は蓄積していながらも()()もエールを送られた彼に臆する理由は何処にもなかった。


「久々にやるか槍ちゃん、お前の槍と俺の剣。それぞれの奥に秘めた()()ってヤツをぶつけてみっか!?」

「望むところだ! カードの小細工は抜き、戦うのは武器と自分のPAS()だけだ――!!」


 いよいよ始まるシャッフル印のエース級タイトルマッチ。時間無制限・武器使用無制限・カード発動禁止の真剣勝負!!

 謂わばこの闘いは、剣と槍でぶつかり合う本音暴露討論会だ!!!



「それでは二人とも、行きますよ!! READY(レディー)!?」


『――――START UP(スタート・アップ)!!』



「PAS発動・【ロングソード】!!」

「PAS発動・【ストームランサー】!!」


 ――開始コールが鳴り終えたその刹那、互いのPASが胸元に輝きそのオーラがそれぞれの形となりて右手に宿る。いざとなったら魂を込めろ!

 剣のファイアレッドの魂・ロングソード。槍一郎のアクアブルーの魂・ストームランサー。互いに武器の形の魂が昂ぶると同時に凄まじい威力を生み出していく!!



「先手は貰うぞ剣! 『迅雷風烈(ジンライフウレツ)!!』」


 ◎――――――――――――――――――◎

 PASスキル【迅雷風烈】発動!

 ゲイル(槍一郎)のステータス

『速度力』がMAXに上がった!!

 ◎――――――――――――――――――◎


 ウィンドウで発動を掲示したも束の間、PASの能力でオーラが濃い蒼に染まるとき、槍一郎の姿は消え……いや違う!


 ――――斬ッ!!


「ッ!?」


 PASスキルによって激しい風と雷の力を借りた槍一郎は迅速のスピードを手に入れ、凄まじい竜巻を起こす。その際にトライデントで攻撃する故に竜巻は一種のかまいたちの様にも見える!


「どうだ! 暴れる風は手加減というものを知らない!! そして突き刺す刃は雷をも凌駕する!! 迷って周りが見えなくなった君にこの筋を絶つ術は無い!!!」


 そんなランサーに翻弄される剣だが、ここでも穂香がアドバイス。


「剣さん! さっき新技を発動させた時と同じ感覚で、自分がこの時どんな感情で挑むべきか見極めて技を出してください!!」


「……おぅ、そん時の感覚はもう身体に染み込んでるぜ!! ――ロングソード・PASスキル!!!」


 連戦にて二度目のPAS発動、それ故に心身の疲労をゲームのアドレナリンで誤魔化してその闘気を剣に集中、目先の剣を掲げて韋駄天と化した槍一郎に狙いを定める。


(このスピードを攻略するにはさっきの『灼熱斬り』じゃダメだ、隙がデカ過ぎて相性が合わねぇ。ならば俺自身が心を落ち着けて、()()()()()()()のみ……!!)


 血の気が多い剣は自ら心を落ち着けて、自分のPASの力を感情と共に変化させる。気持ちを一点に集中させる事で不思議な感覚を呼び起こしていく桐山剣、五感全てを研ぎ澄ます……!


(集中、集中だぜ。俺の神経全てを……! 荒れ狂う風の音の中で、微かに乱れた音を探すんだ……!!)


 ―――今、剣の魂は波打たない湖の水面のように澄んでいる。荒れる風と一体になって、その中に隠れた槍一郎が過ぎ去る時に乱れる波を探る。そして暴風のかき乱す音の微かな乱れを、剣は捕らえた――!!


 ……ヒュンッ



「今ッ!!! ――『エーススラッシュ・虚空斬り』!!!!」


 ◎――――――――――――――――――◎

 エース(桐山剣)のPASスキル

【エーススラッシュ・虚空斬り】発動!


 一撃必中・クリティカルアタック!!

 ◎――――――――――――――――――◎


 左脚を踏み込み、勢い付けて切り裂く横一文字! その衝撃は弧状の見えない衝撃波・ソニックブームとなって槍一郎の引き起こす竜巻をかき消す。そして風の晴れた先に槍一郎を捕らえた!!



 ――SLAAAAASH(ズバァァァァ)ッッ!!!!



「かっ、ァァァァアアアアアア……!!」



 〔ゲイル(槍一郎) CRITICAL HIT!!〕


 PASの力で引き起こしたソニックブームは、《ファイティングブレード》の必殺技とは桁外れの衝撃を生み、槍一郎をもんどり打たせてクリティカルヒットを食らわせた。


 剣の新たな技の一つ、『鋭敏』な感情を出した【エーススラッシュ・虚空斬り】! その攻撃は必中かつ急所の一撃・クリティカルヒットさせる恐るべき技なのだ!!



「こ、これも剣の新しい技……凄い! 土壇場で君は二つも新技を会得したんだ!! やはり切り札騎士は只者じゃないよ!!!」


 一本取られた槍一郎であったが、親友の新技習得に悔しさ余って嬉しさが十二分にも溢れた歓喜の表情を見せた。そんな彼をみて剣はある事に勘付き、PASの勢いを一旦自分の内に引っ込めて話し掛けた。


「……なぁ槍ちゃん、もしかして俺を勇気づける為に穂香と組んで特訓させたかったのか――? 龍牙に負けないように」


「龍牙……そうか、君の悩みの種を撒いたのは龍牙ってプレイヤーか。でもね、僕にとっては彼の事で悩むのは小さい事だと思ったんだよ」

「そりゃどーゆーこったよ?」


「君には『マスター・オブ・プレイヤー』になる為に超えなきゃいけない壁は沢山あるんだよ。難関ゲームにスピリットプレイヤー、それと宿命の好敵手(ライバル)の銃司の事も」

「……!」


「龍牙って奴が過去に何をしたかは僕らはまだ知らないけれど、僕から見れば小さな壁だ。プレイヤーの魂はどんな壁でも超える自信のある者にだけ()()の兆しを表すものだ。だったら剣は過去じゃなくて、未来を見つめて突き進めば良い!

 ――そして僕も……自分の過去を超える為に変わらなくちゃいけないんだ!!」


「槍ちゃん……!!」


 この時剣は先程まで思い悩んだ事の過小さに後悔したと同時に、この上ない()()を感じていた。自分の事を本気で心配し、鼓舞し、成長した姿を共に喜び合える仲間が6人も居た事を改めて再確認させられたのだ。


 二年前までの友達との日々を過ごし、裏切られた記憶は簡単に拭えないものかも知れない。だがその悔しさがバネとなって今まで以上のかけがえの無い日々を作り出している事も確か。

 その【絆】に報いる為に、大事なものを失わせない為に、剣は己の魂を正しい道で鍛え抜く決意をここに深く固めるのだった……!!



「槍ちゃん、俺は眼ぇ醒めたぜ。俺は俺自身の偽りない『剣』を今後も磨くつもりだ。槍ちゃんも俺と同じく変わるつもりなら、恩返しじゃないけども大事なもん教えたる!」

「大事なもん……何だいそれは?」


「俺の直感なんだけどさ、プレイヤーってのは打算や力量の差でゲームはしないと思うんよ。自分の力を信じて、悔いの無い全力の闘いってのを俺や銃司の奴らも皆もやりたくてゲームに挑んでるんだと思う。


 ―――つまり、もっとゲームを楽しんでみろよ槍ちゃん! そうすりゃ自分の足りないもんも見つけられるかもな!!」


「…………案外その直感、当たってるかもね!」


 剣に教えるつもりが逆に教えられた槍一郎。結局二人とも未熟なゲーム戦士。しかしそれを補いつつお互いに高め合う“切磋琢磨”の言葉の如く、強くなっていくことも一つの()なのかも知れませんね。


「一緒に強くなろうぜ、皆で! ゲーム戦士で一番強いんは俺達だってアイツらに言ってやろうじゃんか!!」

「そうだね、その時には僕も一緒に叫んで上げるさ! 約束するよ、僕は絶対にオフィシャルプレイヤーになって生まれ変わる!!」


 剣と槍、戦場の中心に硬い握手が交わされた――!!

 そんな二つの熱い友情に、傍観する穂香お姉ちゃんも嬉し涙……!


(剣さん、槍一郎さん、私達メンバー全員はずっと二人の味方ですから。……負けないでくださいね、これからも――!!)


 迷いの先に互いの未来を紡ぐ成長あり。明けない夜は無い、自分の信ずる道を目指して燃えよプレイヤーの熱い魂!

 本日は【GAME12/桐山剣・新技会得】にて、読み終わりで御座いますッッ!!



 ▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽

▶▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽


さて次回、主役を桐山剣達の永遠のライバルチーム『立海遊戯戦団』を軸に致しまして、立海銃司の勇姿を見ようではないか!!


熱血で情に熱い剣に対し、銃司はニヒルで冷徹な遊戯貴族、しかしその裏には熱いハートが隠れていた……!!



この世界観に『気に入った!』『このゲームを小説でも魅せて!!』『もっとゲームしてるとこ見たいんだよォォォ!!!』と魂が揺れ動いたらば、

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