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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME12-3】燃えよ魂! PAS・灼熱パワー!!

――TIPS――

【プレイヤーの魂の能力・PAS】

ゲームに熱い情熱を掲げたプレイヤー、“ゲーム戦士”の心が実体化されてゲームで発揮される異能力の事。別名《Player Ability Soul》。


この時代の強者プレイヤーはこのPASを覚醒している者が殆どであり、その覚醒方法はゲームを愛する心意気や、振るい起こす勇気などに反応すると言われているが、早い話が『自分の心に嘘偽りのない者』に与えられる力と称されている。

 

 ――ライバルへの怒りと親友の離脱。それぞれの思いに葛藤する剣を見かねて、メンバーの大森穂香こと『新緑の魔導師』が剣に熱いエールが送られた!!

 何と涙ぐましい友情かと我々が泣いている間にも、彼女が発案した剣のPAS強化プログラムが『ビッグウェーブ』にて展開しようとしていた。



「ここ良く俺らがアメイジングでトレーニングする時に使うシュミレーションルームじゃねぇか。ここでその特訓をやるんか?」

「そうです。PASを強化させる事と、龍牙さんにリベンジするならアメイジングが最適かと思いまして」


 ゲームジム・ビッグウェーブはゲームセンター並みに広い空間で仕切られており、西がボルダリングの壁で東はジムのマシン、更に北側の奥へ進むとメタバースゲーム専用のシュミレーションルームと3段システムとなっている。


 剣も前からそのシュミレーションルームにてG-1グランプリやアメイジングの特訓をした事があるが、穂香とのマンツーマンな特訓は今回が初めて。豪樹も快く貸してくれたのは勿論剣の葛藤を知った故でもあった。


「今日はカスタム・ツールカードを装備するだけでの決闘をしながらPASの強化に専念させようと思っています。私は普段使っている《マジェスティック》で挑みますね」

 と(おもむろ)に出したカードスキャンブレスを装着し作動させた穂香は、手札を蓄えずそのままデッキから1枚取り出してスキャンさせた。


『カスタム・ツールカード、【マジェスティック】!!』


 樫の木印の杖のてっぺんに魔法玉を付けられた典型的な魔法の杖の《マジェスティック》。発動によって召喚させて穂香の手元へ。


「……さぁ剣さんも」

「お、おぅちょっと待ってな。ブレスとデッキは〜と……」


 ほらほら穂香お姉ちゃん待たせてんだから準備はテキパキやらないと! そんな剣はもたつきながらブレスを装着、こちらもカスタム・ツールカードなるものを取り出してスキャンさせる。


『カスタム・ツールカード、【ファイティングブレード】!!』


 出ました切り札騎士・剣の十八番、《ファイティングブレード》が今日も刃煌めく!


「今回の特訓は互いにカスタム・ツールカード以外のカードは使わず、手持ちの武器のみで競り合う決闘で鍛えて貰います。目的はPASの強化ですので本来のルールと逸脱して、ゲームで一度だけ使えるPASを何度も使えるように、また武器のPPも無限に使うことを設定しましたのでそのつもりで!」


「つまり騎士は騎士らしく戦えって事だな。やってやろうやんか!!」

 剣も久方の特訓で意気揚々と武器を構える。


「その前に……PAS発動・【マジックワンド】!!!」


 いざとなったら魂を込めろ! 穂香は特訓開始前に自らのPASを発動させた。

 ウィンドウは出ていないが彼女のデッカイ巨乳……じゃなかった、胸元から発芽間もないような初々しい新緑色のオーラが実体化し、そのエネルギーが穂香の掌に宿った。


 そのエネルギーは剣と同じく武器に装った魂の形へと変えていく。穂香の魂の形は【魔導杖】、即ち魔法使いの杖の形をしていた。


「……今私が出したPASの色は『新緑』。緑々しい色のPASはゲームにおいて大地の加護に等しい能力を見出せます。――剣さんのも出してみてください」


「おぅ任しとけ。――PAS発動・【ロングソード】!!」


 穂香に続いて剣も、いざとなったら魂を込めろ!でPASを発動。()()()に熱るは魂のオーラ。剣のPASの色は灼熱の赤、それが鍛冶の熱い熱で叩き打たれたかのように長身の剣に形を変えた。


「その剣さんのPAS、アメイジングではどんな効果か説明出来ますか?」


「そりゃ出きらぁな。俺のPASは主にカードゲームで言うなら引きたいカードを即座に引ける。単刀直入に言うなら()()()()()()()って能力や、俺の代名詞ってとこやな!」


 流石切り札騎士と名乗ることあって、カードゲーマーにとっては喉から手が出る程のチート能力。だが見慣れた穂香にとってはそんな事では驚かない。


「実に素晴らしい能力です。しかしPASというのはプレイヤースキルと違って最高の切り札、至高の能力として一目置かれたシステム。()()()()()()()()()()で満足しては更なる強さへは望めませんよ、剣さん!」


 “たったそれだけ”、その言葉にその耳を疑った剣。相手も相手で自分の力を侮辱したと憤怒する事は無かったが、己の知識の浅さ故に驚くしか出来なかった。


「……どういう事や穂香? じゃPASの力はまだ極限に達してないってのか――!?」


 すると穂香はその問いに応えず、ただ右腕に秘めた新緑のPASのオーラを前に掲げて、ギラッとした目付きで剣に見せつけた。


「……剣さん、このような事出来ますか?」


 ――――ゴォォォオオオオオオオッッッ


「おおぉぉおお!!?」


 穂香が繰り出したPASの力に剣も我々も驚いた。

 無機質な個室から突如、辺り一面を焼土と化してしまう程の炎の海に包まれ、そして消滅していった。

 しかしシュミレーションルームにはメタバース特有のVR空間によって創られているので実際の炎では無いが、それでも本物の炎とみまごう熱気に剣を翻弄させた。



「それは……、穂香しか出来ない事なんちゃうか?」


「いいえ、剣さんも慣れれば成せる事です。PASというのは人の心を映す鏡のようなもの。人の感情に【喜・怒・哀・楽】があるように、それがPASとして反映されて先程の炎を呼び起こしました。

 私が剣さんに魅せたのは【怒り】の能力、つまり今の剣さんに『しっかりしいや!!』って表したものなのです」

「――!」


 キャラ故に大阪出身ながら関西弁を好まない穂香が本音をPASで表したようです。これには剣もシャンとした様です。


「ゲームにおける様々な状況でPASを操り、それに応じた能力を得ますが、それは自分の理性が戦いの中で制御出来ていればの話。素人がやればPAS暴走にも繋がります。――しかし剣さんは経験を積んで心身成長したからこそ、私はこれを貴方に伝授させに来たのです!」


「……じゃそれをマスターすればもっと強くなれるってのか!?」

「勿論です! 恐らくこれが出来て初めて龍牙さんに太刀打ち出来ると私は思いました」


 感情のコントロールによってPASは様々な色を照らして新たな技を生み出す。これを身につけようと提案したのが穂香プログラムなのだ。


「そいつはありがてぇぜ!! で、最初は何すんねんな?」

 と剣は催促するも、穂香の眼は本気そのものであった。


「……剣さん、ここから特訓になったら躊躇ってはいけません。私を剣さんが憎む龍牙さんと思って、全力でPASをぶつけてください!!」

「は??」


「私は今から《マジェスティック》の必殺技を剣さんに放ちます。貴方はそれを《ファイティングブレード》の切っ先に『怒り』のPASを込めて相殺させるのです。私の放つ必殺技のAPは……1000です!!」


 穂香は設定で自分の武器の必殺技の威力を設定させて、起死回生で『怒り』のPASを出させようという考えだ。しかしAP1000はドデカ級だ!


「じょ、冗談言うなや!! 幾らなんでもそんな威力を同じパワーで相殺しようなんて――――――ッ!!?」


 そんな躊躇する剣の目先に、真剣な眼差しに加えて緑の眼が潤んでいた穂香を見た彼の考えが一転して変わった。


(……そうや、穂香は俺を勇気づける為に自らこんな特訓を考えてくれたんや。今の俺にそれを拒否する資格は無ぇ。これに躊躇ったら二度と……シャッフルオールスターズのリーダーを名乗る資格も無くなる―――!!)


 仲間の熱意を無駄にはしない。そんな剣の騎士魂が発火したかのように、キリッと目つきを変えてそれを穂香にぶつける。



「遠慮は要らねぇぜ穂香、思う存分ぶつかってきやがれッッ!!!」

「ありがとうございます……! 行きますよッッ!!」



『――――START UP(スタート・アップ)!!!!!』


 アメイジングスタートのアナウンスコールが鳴り響く、そのエコーが鳴り止まぬ間にも穂香は全身全霊の必殺技を放つ!!



「マジェスティック必殺技・『エレメントマジック』!!!!」


 極限まで膨大させた魔力弾、室内を埋め尽くさんばかりのデカさで剣に迫る。AP1000は伊達じゃない!!



「づあああああああああああああああーーーーーッッ!!!!!」


 剣のPASをも共鳴させる鬼神の如し叫び、それが怒りのパワーとなりて巨大魔力弾を《ファイティングブレード》の剣先で押し止める。これをパワーを持ってして相殺出来るか、それは剣の魂に掛かっている。


「良いですよ! そのまま剣さんの思うままに心をぶつけてください!!」


 決闘から一転して本音の発散所になってしまうのか、一瞬不安にはなったものの激熱な競り合いは五分五分まで来ていた。


(……ふざけんなよ龍牙の野郎――! お前がニ年間で何を変えたのか知らねぇが、俺のダチをコケにした事を反省してねぇ奴が、よくもまぁ戦闘狂になり墜ちたもんだ!! 人の気なんか知らなんで……!!!)


 剣の龍牙に対する怒りのボルテージが上がり、勢いが剣側に優勢になった。ところが、


 ビリビリビリッ………!

(いけない! 彼への怒りが強すぎてPASが暴走へと進んでいる!)


 怒りの感情が電圧になって過剰に上がっていくことで、剣の腕から禍々しい電流が迸るのを穂香は感づいた。



「剣さん、怒りに心を飲み込まれてはダメ!! 自分を見失ってはいけませんッ!!!」


(…………穂香!!)

 その迫真の穂香の叫びが暴走寸前の剣に届いた――!


「――――なぁ龍牙。お前の周りにこの怒りを止めて、声を掛けてくれる仲間が居るか? 一人でも支えてくれるだけで人ってのは変えられるもんや!

 そいつらの好意を踏みにじったお前のことを、心の底から“情けねぇ”って俺はそう思うぜ……!! こなくそォォォォオオオオオオオッッッ!!!!!!」


 剣の我に目覚めた咆哮が奇跡を起こす。剣の《ファイティングブレード》がこの叫びに反応し、刃が真っ赤な炎に包まれた!!!



 ◎――――――――――――――――――◎

 ・PAS【ロングソード】確認。

 PASスキル

【エーススラッシュ・灼熱斬り】発動!!


 プレイヤーの攻撃力を1000アップ!!

 ◎――――――――――――――――――◎


 〔《ファイティングブレード》AP100→1100〕


 緑の魔力弾と灼熱の刃、それが灼熱の赤に全体を染めたかと思いきや一転、ホワイトホール・白い空間包まれて、シュミレーションホール内にて爆散した――!!



 ――AP1000級のドデカ相殺は、成功したのだ!!!



「…………ァ、ハァ、ッァ……俺、相殺したんか――? あのドデカ弾を、俺の剣で……!?」


「そうですよ。剣さんは自分の力で【怒り】を制御したんです。それの証拠に、貴方のブレードは()()()()()を生み出したんですもの!」


 穂香は剣の《ファイティングブレード》の刃が燃え上がる炎を発したのを見て満足そうに笑みを浮かべ、それにつられて剣も武器を見れば、同じく驚愕の表情。



(スゲェ……俺のPASが怒りに反応すると、剣も炎のように熱くなる。こいつはまさしく()()()()()。そうか、怒りをコントロールするだけでもこれだけの力が生まれるんやな……!)


 土壇場で編み出した桐山剣のPASによる新技、【エーススラッシュ・灼熱斬り】。

 これまで切り札を呼び起こす力だけ発揮していたPASが、感情の制御からの開放によって凄まじいパワーを生み出したのだ。これぞゲームに生きる人類の神秘、ゲーム戦士の心が発揮するPASの真髄!


「じゃ、これで龍牙も……」

「まだですよ剣さん! まだ戦いに必要な感情の技を出さねばいけないんですから!! ここからは私ではなく別の人に代理を任せます」


「別の人って誰なん?」

 その御方はガチャンとシュミレーションルームの扉を開いて入ってきた。




「ここからは僕が相手をするよ、剣!」


「槍ちゃん………!?」



 剣にとって想定外のサプライズゲストは悩みの種の一つ、天野槍一郎であった! 離脱を表明したあとの初の決闘にて、彼が剣に何を語りぶつけていくのでしょうか……!?


 ……ホントは3話で終わらせるつもりでしたが、ごめんなさい。あと1話だけこの話を続かせてもらいます。精進しなさいよ慶さん!!

 てな訳でまた次回のお楽しみに。本日のゲーム、これまでッッ!!


 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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