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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME12-2】迷える切り札騎士を救え!!

 

 ――日が沈んで漆黒の闇夜に包まれた関西は大阪。とある一人のゲーム戦士が葛藤した事など誰も知らず、明日の希望に向かってまた日は昇る。

 お天道様が登れば浪速の下町はまたしても喧しく賑わう関西風情、朝日は商人のエネルギー、とかとか。


 さて、昨日の夜にシャッフルオールスターズメンバーの槍一郎が、来年に控えたオフィシャルプレイヤーの試練を受けるべく、一時離脱を表記した事に同胞一同激震を走らせた。その影響は登校の会話から既に話題をかっさらった。


「みのりちゃんおーはよ! ねぇ昨日の槍ちゃんの話聞い……」

『しーっ! 今はその話はダメ! 剣くん隣にいるんだから!!』

「あっ……」


 みのりとレミの早朝ガールズトークかと思いきや、いつも共に登校している剣の存在に気付かず、つい口を滑らせたレミ。


「……あぁ、えぇよレミ。槍ちゃんの話は整理付いたから……」


 昨日のWパンチが効いたのか、いつもの情熱溢れる元気も無く萎れている剣。早朝であることも相まって腑抜け状態が更に酷い感じである。


「もしかして……あ、うぅん何でもない」


 レミは二度の轍は踏まないと自ら話を遮った。あの龍牙の件が後引いている事を理解したみのりとレミは、互いに耳打ちをしあった。


『レミちゃん、槍くんの事は良いにしても今はあの龍牙くんに関するワードは控えたほうが良いわ。()()とか……』

『そうね、見たところ剣くんかなり怒りを抑えている感じだし』

 等とガールズ二人で確認しあうが、その健闘も虚しく空気を読まない輩が追い打ちをかけた。


「剣さん、おはよざいやーす♪」


 その輩は同じメンバーの倭刀(やまと)。この中で唯一龍牙の存在を知らない彼が乱入した事にマズイと思ったガールズ二人だったが、そんな事も知らず堂々と剣に話し掛けた。


「剣さん昨日結局ゲームワールドに来なかったすけど、何かあったんすか?」

「……別に? ちょいと学校でトラブルあったから行く機会失っただけ。倭刀はどうだったんよ、何か進展あったか?」


 龍牙の事はスルーしながら苛ついた素振りを見せることなく平然と倭刀に話を返す剣。倭刀は槍一郎の事は知っているためあえて話題出さなかったが、ここで調子づかせたのがいけなかった。


「ヘヘン、聞いてくださいよ! 俺一人で【アーケード・タウン】に行きましてね。そこのアーケードの『()()龍◯伝』とか『()()◯く』やってたらアメイジングカードがどっさ」


 ――SLAP(バシッ)!! BLAP(パーン)!!!


「「空気読めないにも程があるでしょーが!!!!」」


「な、何があっ、たん……??? ガクッ」


 朝からとんだやぶ蛇、無知とは罪なものなり。みのり&レミのW平手打ちを喰らわれた倭刀は道中ぽっくり天昇中。


(朝っぱらから何しとんねんお前ら……)

 気にせんとって下さい剣さん。


 ▶▶▶ NEXT▽


 ――それから剣が通う天堂学苑高校に着いてもテンションは変わらず、クラスメイトの話を振られても空返事。ゲームの話に乗り気にはなれず、勉強に対しても先生の話を東に流して上の空。……いや勉強はいつも上の空だけども。


 ゲームへの情熱が売りの剣は、完全にその魅力を完全に失いかけていた。


「……あんな剣くん見たくないよ! ねぇ槍くん何とかしてあげて!」

 と槍一郎に懇願するみのり。しかし一日中剣と距離を取っていた槍一郎は既に策があった。


「今行っても彼を混乱させるだけだよみのりちゃん。これは彼と僕に纏わる問題でもあるんだ。大丈夫、もうやる事は決まってるから」

「でも……」


 前回も示唆していた槍一郎の考え。その策が発動されたのは学業終わりの放課後、剣のプレイギアの着信から始まった。


 〜〜♪


 何かメール着信の割には宿屋で休んで随分のんびりしるBGMですねぇ。それはともかく剣はプレイギアを開きLINE型の受信メールを開いて確認する。その内容は、



 《剣さん、今日は放課後空いてますか?

 空いていたら私とギャラクシーに来てください。剣さんにとって大事なお話があるのです。返答お待ちしています。》


 その着信元は穂香のものであった。


(穂香……?)


 普段自分から滅多に誘わない穂香からの勧誘メールに困惑する剣。かと言って特に大事な用がある訳じゃなし、とにかく行くことにした剣は既読ついでに返信を返す。


 《分かった。直ぐ行く。》



 ▶▶▶ NEXT▽


 ――所変わって連続登場、アミューズメントパーク・ギャラクシー。既にその入り口では穂香が剣を今か今かと待ち構えていた。


「……あ、剣さん!」


 半ば駆け足で向かう剣を見つけ、手を上げて合図する穂香。早速有無を言う前に店の中に入り、豪樹のいる『ビッグウェーブ』まで向かうこととなった。


「……どないしたん穂香。お前から誘うなんてどーゆー風の吹き回しや?」

 と、いつの間にかビッグウェーブの入り口まで付き進んだ穂香は急に振り返って口を開いた。


「……剣さん。槍一郎さんの事もあって混乱してるのは分かりますけど、あの龍牙さんと再び対峙した時に剣さんは何を求めますか?」


 誘われたときからまさかと思った剣の予感は的中した。仲間内でこの話になるだろうと構えてみたものの、中々言ってこない為に痺れを切らした剣はそれを存分に吐き出した。


「そりゃお前……全力で叩き潰すまでや。アイツは俺のダチだった奴に酷いことさせたから、泣いて許しを乞うまで殴るのを止めんつもり……」

「本当にそれで良いんですか? あの人の事を()()()()()()事は考えないんですか!?」


「許す!? 冗談じゃねえよ!! 銃司はまだしもダチを見捨てたあのクズを許す事なんか出来るか!!!」



「そんなの、剣さんらしく無いじゃないですかッッ!!!!」


 久しく見せなかった穂香の叱咤に血の登った頭が急に冷めた剣。穏やかな穂香に喝を入れられたことでそのギャップ故に一気に黙らせた。


「憎しみを憎しみで返した所で何も変わりません! 敵だった銃司さんや、私を魅了させたのは相手の罪と強さを認める受容があってこそ何ですよ!? 貴方のPAS()は憎しみに汚されるような()ではない筈です!!」


「PAS……!」



「もう一度戦いましょう!! でも今度は龍牙さんではなく、()()()()に打ち勝つ為に――!!!」



 ――今から遡ること一年前、かつて自らが着せた罪に縛られた糸を斬り最後まで受け止めてくれた親友・桐山剣の為に、今度は穂香がその恩を返すときが来たのだ!!


 迷いの元はプレイヤーの心・魂が奇跡の力を呼ぶ『PAS(パス)』にあると睨んだ穂香は、それを強化すべく新たな技を会得しようと新たなるプログラムを独自で組んだのである。


 そのプログラムの詳細は……あぁっと、いい所で時間となった為次回に持ち越しの白熱トレーニングを約束した所で本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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