【GAME11-9】ハメられたらハメ返す、倍返しだ!!
――TIPS――
プレイヤーとユニットには、アメイジング戦闘中にカードやスキル効果によって一時的に増減するステータスが存在する。
『攻撃力』『守備力』『速度力』『回避力』『運力』の5つで、5段階で構成されている。これは1段階によって10%、30%、50%、70%、100%の確率を表すもので、例えば『攻撃力』の場合は増減によって攻撃が2倍になる【クリティカルヒット】の確率を表す。
今回のゲームでこのシステムが最重要となる!!
――サザンクロスボス・一龍、何の因果か天よりの施し、手札はに同じカード3枚のスリーカード。それを一気に消費し三重発動を仕掛けた!
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【武術・影走り】EG:①
属性:橙
効果:①自分の回避率を1段階上げる。
[武術連携](このカードの発動前に『武術』
と付いたカードを発動していた場合
①の代わりにこの効果を適応する)
:自分の回避率を2段階上げる。
◎――――――――――――――――――◎
「なっ……!? 武術カード3枚連続!?」
「それだけじゃありません。続けて武術カードを出しましたから[武術連携]も2度発動していると言う事。つまり……!」
剣も穂香もこの発動に恐れおののく。その理由は発動エフェクトによって表記されたウィンドウが全てを語る……!!
◎――――――――――――――――――◎
・イーロンの回避率が5段階上がった!
これ以上は上がらない!!
◎――――――――――――――――――◎
――連続とした武術連携によって、一気にステータスを跳ね上げた一龍。今回の前置きTIPSにも書かれていたように、これは戦闘中における一時的なパワーアップを表すステータスシステムの事であります。
そしてこのゲームで一龍がパワーアップさせたのは【回避力】。これはプレイヤーやユニットの攻撃を避ける確率を表しているが、これが5段階、即ちMAXに上げたということは……
「――そうだ。私は貴様の攻撃を100%回避出来る!! その証拠にこの動きを見て驚くがいい!!!」
と勝ち誇った一龍は俊敏な身のこなしを豪樹に見せ付ける!!
「……な、何や!? 一龍が分身した――!!?」
まさか! 先程の龍牙のように忍者の分身の術を使えるようになったのか、と思ったがちょと違う。回避力100%によって完全に豪樹の動きを見切った一龍が、持ち前の俊敏な動きによって残影を作った。
つまり速すぎて通り過ぎた影が残滓として形を残し分身したように見せかけたという訳だ!! ……分かったかな?
「ヘン! 交わせるようになったから何やと言うんや!! この一撃でケリ着けたらぁ!! ――【一気龍突】、吹く呼吸を一点に凝縮しこの突きに急所の一撃を与えん。ヅァァアアアア!!!!」
天翔道ゲーム拳・108の武術の1つ【一気龍突】。パンチやキックを繰り出す前に後方力こぶで力を溜めてクリティカルヒットを狙う武術。豪樹は一点に力を凝縮させた脚に渾身の蹴りをかまそうとするが……
――ヒュッ!
残影残滓が蹴りの圧によってモヤと化して空振った豪樹。その隙に一龍が……!
「キシャァァァアアアア!!!!」
お得意の手刀突きで豪樹に先制した一龍、これに辛うじて避けて豪樹は間合いを取ろうするが、勢いに乗った一龍その攻撃を止める気配は無し。
(おかしいな、ワイ疲れとるんか? 奴の手までも影のように揺らめいてやがる……)
これは豪樹の幻ではなく、一龍が編み出した『残影拳』の極地。自らの手を右往左往に振るわせてこちらも残影を作り相手を惑わせる戦法だ。ただでさえ黒いチャイナを着ていて手先も影のように透き通っている。これが奈落道ゲーム拳で極めた残影拳の恐ろしさ。そして……
「《武芸の手甲》必殺コマンド、『発勁』!!!」
――超強烈一撃ッッ!!!
〔覇豪丸 HP650→350〕
「ぐあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ…………!!!!」
フィールドに木霊する悲痛の断末魔、豪樹に強烈な発勁を繰り出した一龍の必殺コマンドが決まり、豪樹は尾羽打ち枯らすように転がり倒れた。
「「「豪樹さん!!!」」」
断末魔の後にシャッフルガールズの悲鳴も面重なる。そんな中で冷静に戦況を分析する者一人、桐山剣がポロッと口を溢した。
「……確かに回避率100%は伊達じゃねぇや。けどだからと言って無敵だと勘違いしちゃ困るぜ大将さんよ……」
その捨て台詞を耳に拾った一龍は、
「何をほざいている若僧……誰にやられたかは知らんが、敗れた者の遠吠えなど私には響かん! 私の残影拳は無敵なのだ!!」
「さぁ、どうだろうなぁ?」
と剣と一龍が憎み口叩きあっている中でようやく豪樹が立ち上がった。そこで剣はそんな豪樹に言い放つ。
「豪樹さん!!!」
「……な、何や?」
「あの残影拳っての、回避率100%と言うけどそいつは【プレイヤーとユニットの攻撃だけ】適応されるものに過ぎませんぜ!!」
(……プレイヤーとユニットの攻撃だけ……?)
剣の助言の真の意味にまだ気付いていない豪樹、ふと時間経過によってカードをドロー出来る事を知った彼はブレスで溜まったドローで3枚デッキからカードを引きながら考察する。
するとそのカードの中には、3枚目の《武術・正拳突き》が……
(…………まてよ!? 剣が言いたかったのは――!!)
しかしもう豪樹に考察する余地は無い。一龍が追撃に突っ込んてくる!
「若僧にレクチャーされていながら、隙アリィィィイイイ!!!!」
だがその突撃を、豪樹は既に見切っていた!!!
『アクションカード・【武術・正拳突き】!!』
「!!!?」
一龍も瞬発力で回避の体制に入ろうとしたが、遅かった!!
――BLAP!! SMAAAASH!!!
〔イーロン HP300→200〕
起死回生渾身のカウンタークロス!! その勢いに吹っ飛ばされた一龍、回避率100%の罠を潜り抜け、これで互いにHPはほぼイーブンと化した。
「豪樹さんの攻撃が通った!! でも回避率100%なのに、何で通ったのかしら剣くん?」
ステータスの数値は絶対なのに攻撃が通じた事に疑問を感じるみのり。ここで親友・剣のTIPSだ。
「回避率100%なのは『プレイヤーとユニットの攻撃』だけ。つまり【カードの効果ダメージや誘発効果によるダメージ】は普通に通る! こんな単純な話で敵さんも無敵とか言っちゃって、片腹痛いわ!!」
全く、自分の考えた策略にハマった途端に良い気になるんだから剣さんは。しかしこれで豪樹の勝利に光明が見えてきた。残りHPも残り僅かの中で彼には最後までベストを尽くして貰いたい。
「……フン、だが今の発動で《武術・正拳突き》はもう使えまい……デッキ内で同じカードを入れられるのは3枚までだからな。これで効果ダメージを打てる武術カードはもうあるまい!!」
「…………」
『確かに……』と無言で一龍の理論を肯定する豪樹。だが彼の眼から諦めの意は全く感じられない。
理由は簡単、同じ仲間のシャッフルオールスターズで、剣やみのり達のように土壇場で数多くの【切り札】を出し、ゲームの勝利へと導いた。
言わずもがな豪樹も然り、彼のデッキの中にもたった1枚の【切り札】が。
「……ある! お前に勝てるもう1つのゲーム拳が!!」
「何――!?」
「だがワイの手札にはまだ来ていない。この土壇場で万が一そのカードが引けなかったらお前の勝ち……だが引けたら――――ワイの勝ちやッッッ!!!!」
――さぁ、いよいよ正念場。豪樹のデッキの中に眠る切り札は果たして現れるのか!? それとも奈落道にゲーム拳の頂点を明け渡してしまうのか!?
丁度、時間となってしまいました……が、次回はいよいよ決闘決着、見逃し厳禁指切りげんまん!! 本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




