【GAME11-6】龍牙・その闇の中の真実!!
――いや〜、一時はどうなるかと思いましたが! 負け確定イベントに万事休すと思われた桐山剣の前に現れたのは、人気好調赤丸急上昇のシャッフルガールズ三人衆!!
ところで、何で彼女らが『ギャラクシー』に来てたのか不思議に思う方も居るでしょう? だって三人ともゲームワールドでUFOキャッチャー騒動にあったばかりでしたし、レミはあれで『アメイジング調合術』を覚えたんですから。
理屈は簡単なこと、三人はギャラクシー1階に設置されたレンタルのGWギアを装着してゲームワールドに転送していた。つまりは最初からギャラクシーに居たって話!
そこで『サザンクロス』なる不審プレイヤー達の騒ぎに一旦ログアウトした彼女らはアメイジングを展開しながら事の経緯を把握し、3階の剣達の元へと辿り着いた。そして丁度オーバーキルでマジで剣に殺気を込めて、止めを刺そうとした龍牙を止めねば本当に危なかった状況だったと。
廻る因果が糸車のように回って、剣は九死に一生を得て命拾いしたという事なのでした!
……と報告した所で、閑話休題!!
▶▶▶ NEXT▽
龍牙の忍者戦法に完膚なきまでに叩きのめされた剣。本気で殺られる事も覚悟したが、穂香の放ったPASの光によって止めは免れた。
「そうか、お前らが剣が作ったゲームチーム『シャッフルオールスターズ』のメンバーか。それに俺の戦いを止めたおっぱいのデケェ金髪姉ちゃんが大森穂香。うちの元親友が御世話になったよーで……」
まーた男子プレイヤーが穂香のおっぱいに眼が行っちゃって……ま、それはともかくとして、龍牙が穂香の事を知っていたのは私も意外でした。
「貴方も私の事をご存知なようで光栄です。――しかしアメイジングの神聖な決闘での止めの刺し方には目に余るものがあります。それに対する妨害は差し控えないと判断しましたが……お気に触りましたか?」
たとえ龍牙のような手段を選ばぬ相手でも、プレイヤーとしての誇りを忘れず敬意を持って相手するのが寛大なる穂香の長所である。
しかしだからといって優しいではまかり通らず、彼女のエメラルドの眼からほ凄まじい覇気が漂っていた。それには龍牙も潔く殺意を抑えた。
「…………フン、まぁえぇわ。どのみちこの勝負は俺様の勝ちだしな」
そう言うと龍牙は戦闘コマンドを剣のサラでなく、自分の《黄泉返りの忍者》に差し替えて指令を下し、改めて詰み状態の剣のHPを0にさせた。
〔エース HP100→0 KNOCKOUT!〕
結局は負けは逃れられなかったが、精神ダメージは回避したのでこれはこれで良かったのだろう。剣の影を縛った龍牙のPASも決着によって開放され、ドラゴンは消滅し剣はその反動からバタンと倒れ込んだ。
「構いません。その代わり今度は私が剣さんへの報復に決闘を申し込みます」
「あたしだって! 剣くんをこんなにさせて黙って見過ごせないわ!!」
「私も……!!」
これぞ切り札騎士・剣の弔い合戦か? いや、弔いつったって死んだ訳じゃ無いけれども。シャッフルガールズ三人が束になって破れた剣の仇を討とうと臆せず戦う勇ましきヒロイン。実にご立派です!
「ほぉ〜う、女子高生三人にこんなん言わせるたぁ相当モテてんじゃねぇか? 剣ぃ」
「……悪ぃな、俺の今の親友はお前と違って根がしっかりしててね。一人たりともやらねぇよボケェ」
剣は負けじと憎み口挟んで舌を出す。
「そうかい―――」
ブーーッ、ブーーーッ
再び龍牙は黒頭巾の下の鋭い目を穂香達に向け、戦闘態勢に入ろうとしたその時。彼の胸元から聞こえるプレイギアのバイブレーションのような振動音に反応するや否や、小さく舌打ちしながらその構えを自ら解いた。
「――――辞めだ。悪いがこれ以上ゲームを続ける訳にはいかなくなった。それとお前ら姉ちゃんと殺り合うのは正直好みじゃないしな。ここは手打ちにしようや」
「……何ですって?」
『手打ち』つったってそばでは御座んせんよ。明らかに先程のバイブレーションでどうしても戦闘を続行出来なくなったような素振りであった。しかし命令でない限り女子を痛めつける事が本意でない限りは龍牙も意外と弁えているようだ。意外ですね。
(殺意ビンビンの龍牙があっさり引いただぁ……!? 一度苛立ったら傷付けないと収まらねぇ歩く傷害案件のアイツが……)
さり気なく酷いあだ名を付けられたもんだ龍牙さんも。
「はっはーん、さてはあたし達の強さに怖気づいたのね! ちょっとは見る目があるじゃな〜い?」
「はぁ? 誰が普通のテメーに怖じ気づくか貧乳」
「な、貧乳とは何よーーーー!!!!」
「レミちゃん落ち着いて……」
貧乳と言われ逆上するレミをなだめるみのり。何しろシャッフルガールズは穂香が上、レミが下と見立てて大中小のおっぱいを併せ持つ……ってんな事はどうでも良いんです!!
龍牙は既にアメイジングの戦闘状態から解脱し、そそくさと退場する準備に掛かっていた。
「ちょっとした邪魔も入ったが、お前と一戦交えただけでも良しとすらぁ。じゃーな剣ぃ!」
「……待てや龍牙」
「――――あ?」
「いずれリベンジはさせて貰うが、最後に一つだけ聞かせろ。――お前何処のチームに所属してんだよ?」
若干疲弊している剣は辛うじて勝ち誇る龍牙に質問を仕掛けた。対して龍牙は一旦間を置いた後に口を開いた。
「…………俺様の本拠地は京都、そして所属先は……WGCとだけ言っておくぜ」
「何――――!!??」
この衝撃発言には剣や仲間達をはじめ、この語り手の私でさえも驚きましたよ!!
こんな汚い忍者が皮肉にも、ゲームワールドを管理する組織『WGC 《ワールド・ゲーム・コーポレーション》』に雇われたんだから世の中ちょっぴり狂ってる! だがその経緯を知るには時期尚早、まだ先の事であります……
「それといずれはハッキリ決着を付ける。お前との縁をゲームで完全に断ち切って、俺様が頂点に立つんだからな……!」
「……言ってろ。お前が縁切ろうが俺はとっくに切り刻んだ覚悟だ。――――このままで済むと思うなよ腐れ外道……!!!」
「そうかい、だが吠えるのは今のうちだぜ? 手遅れかも知れねぇが今後のフェイクゲームに巻き込まれねぇよう気をつけるんだな……!!」
「……何が言いたい?」
「嫌でもその意味が分かるぜ……あばよォォォォ!!!!」
そして音もなしに影の如く、この場を去る龍牙であった。
この時を堺に、また一人剣の栄光を阻むライバルプレイヤーが確立したのだった。彼らを超えぬ限り剣の目標である『マスター・オブ・プレイヤー』の道はなし。今はその悔しさを心の奥底まで噛み締めて、リベンジにその闘志を燃やす剣であった。
「何だったのでしょうか、あの御方は……」
「知らない! あんなデリカシーの無い忍者初めてだわ!!」
「――ねぇ剣くん、大丈夫……?」
「………………」
完全に龍牙の掌で踊らされていた事への屈辱と、所属先を知った事によるダブルショックで言葉すらも失った剣。みのりにフォローされてようやくその口を開いた。
「……アイツは、ガキの頃から一緒だった俺の元親友だ。訳あって二年以上合わんかったが、前以上に良心もかなぐり捨てた外道に成り下がりやがった……あのクズ野郎ッッ!!!!」
「剣くん…………」
全身を震わせ、唇を食いちぎらんばかりに悔しさを噛みしめる剣。かつてみのりも好敵手・銃司に叩きのめされたのを目の当たりにした事もあったが、今の剣に沸き起こる怒りは屈辱よりも後悔の意がこもっていた事をみのりは気付いていた。
「ねぇ剣くん。あの龍牙くんって人、『殺したい』とか『叩きのめしたい』って強い念は確かにあったけど……
――――私には何故かあの人に【もうどうにでもなれ】って寂しそうな気持ちが伝わってたよ……?」
「みのり…………?」
凄まじい殺意の中に秘めた孤独の念を感じ取っていたみのり。その真意は定かなのか、それとも……?
「…………なぁところでさ、何でお前らがここに居るの知った訳?」
……え?? あ、そーいえば確かに。出なきゃガールズ三人総出で来るのは引っかかる。それよりも龍牙が来る前に何かゲームを控えていたような……あッ!!
「そうだ忘れてたわ剣くん!!! 大変なの、下で豪樹さんが『サザンクロス』を相手に苦戦してるの!!」
「何だと!?」
いやーすっかり忘れるところでした!!! まだゲーム拳を掲げて結党している豪樹さんのゲームが決着付いていませんでした!!
急いで加勢に向かうオールスターズ四人の前に、どんな闘いが待ち受けていたのでしょうか!?
――残念丁度お時間になってしまいました……。次回は豪樹VSサザンクロスの格闘勝負って事で本日のゲーム、ここまでッッ!!
「テメェ〜俺様ら伊火様の事忘れとらんかぁ〜〜?」
あ、服部のあんちゃんの事もすっかり忘れてた…………
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




