【GAME11-5】PAS大激突!騎士と忍者の魂!!
――カードゲームを展開するプレイヤーならば、誰しも抱えるロマンあり。どうせ切り札と名乗るならば、格好良い英雄とかドラゴンを戦場に召喚し、形勢をガラッと変えてみたいもの!
そんな夢見るプレイヤーの皆様のリクエストにお応えして、やってきました剣の第二の切り札! 『烈火の騎士竜』ヴァルキリー・フレア・ドラゴン、主のピンチに即参上!!
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〈ユニットカード〉
【ヴァルキリー・フレア・ドラゴン】EG:⑥
AP:500 DP:500 AS:10
属性 赤 ユニット/ドラゴン
・能力:[フライヤー]
①このカードがフィールドに出たとき、
自分フィールドのユニットと
自分の武器のAPを300アップさせる。
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「……テメェ、俺様と離れた途端に大層な剣を手に入れたみたいだな……それで呼び出したのが派手な竜さんって訳かい!?」
「俺のこのPASは切り札を呼ぶ剣……だがその力は俺一人の物じゃねぇ。俺が俺であるために! ゲームを通じて強くなろうと掴んだ至高の剣よッッ!!」
迷いもなくストレートで鮮やかな剣の魂を持つ剣。PASを発動してからやけに粋になってからに心憎い決め台詞。さぁさ今度はドラゴンの能力を見せつけてやってくださいよ!!
「《ヴァルキリー・フレア・ドラゴン》の効果! 俺の装備した《ファイティングブレード》と自分のユニット、即ちドラゴンにAP300アップさせる!!」
騎士竜の身体から迸る炎は剣や同胞達を鼓舞する魂の炎。その炎を触れた瞬間、剣の全身から力が溢れるような感覚に酔いしれていく。
よって《ファイティングブレード》のAPは400、そしてドラゴン自身にも800の攻撃力を与えられた!!
「丁度お前のフィールドに守るユニットも武器もねぇ! このまま《ファイティングブレード》で斬らせて貰うぜ忍者野郎!!」
散々龍牙に言いたい放題バカにされた剣は我慢の限界、ブレードに我が身を任せ、猪突猛進に龍牙に突っ込んでいく!
「うぅっ、やべぇ…………!!! ――――――な〜〜んて言うと思ったか?」
不意に驚いたふりをする龍牙。そのコンマ1秒の間に剣のブレードが龍牙の身を斬り裂いたかと思いきや、コロンと転がったのは忍者装束を着せた藁人形だけ。
「……は???」
――ドカッ!!
「ぐぁ……ッッ!!」
〔エース HP700→500〕
藁人形で不意を突いた隙を狙い、背後から剣に渾身のドロップキックを繰り出した龍牙。対して剣はその衝撃で吹っ飛び転がりながら倒れる。
「お前がPASを持ってたことくらい知ってたつーの。俺様に押された辺りでそろそろ出してくるだろうって事も全部! だからPASを発動した間にカードを出して保険を掛けたって訳よ!」
龍牙も決して無知でプレイヤー道を渡り歩いた訳じゃない。剣のPASすらも先刻ご承知とばかりに読んでいた龍牙。さり気なく『カウンター・レスポンス』を発動し、手持ちのカードをピラっと差し出しスキャンしていたのだ!! そのカードがこれだ。
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〈アクションカード〉
【変わり身の術】EG:③
属性:青
効果:[カウンター:ダメージ計算前]
※(この効果の付いたカードは即効で発動せず、指定させたタイミングに適した時に発動される)
①相手から受けたダメージを1回のみ0にして、
相手プレイヤーに200のダメージを与える。
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事前にカードを忍ばせてタイミングを見計らって時間差で発動する[カウンター]効果。所謂トラップカードを忍術で例えるとは中々洒落てますな……あ、いやいや感心してる場合じゃない!
「野郎ッ……汚ぇぞ!!」
「汚くて大いに結構!! 忍者にとっちゃ汚いもクソも褒め言葉よ、それに結果から言えば自分の技に見惚れて俺様の罠に気付かなかったお前が馬鹿だったって返してやるよ!!!」
「ッッ……!!!」
憎たらしい相手にこう言われては剣とて言い返す術が無い。ただ己のミスと自惚れに悔やむだけ。更に不吉な予感は続けて剣を襲うことになろうとは……!
「……なぁ剣ぃ、もう一片言ってやんよ。俺様が一番楽に強くなるためなら仲間とか友達とか全部利用してやる。この地域で最強のチームに下って、金も苦労も無しに強力なレアカードも頂戴出来て良い事尽くしの効率的な強さも手に入れた!! お前のPASすらもチンケに見えるくらいのPASを見せてやんよ!!!」
すると龍牙、ギュッと拳に力を込めて心臓部に黒く禍々しい光が蓄積されていく。剣のPASが『赤』の魂ならば、龍牙のPASは『黒』。いざとなったら魂を込めろ! 冷徹非道な闇を表す魂の能力が今明かされる……!!
「忍の心得を携えし十字の刃よ。今こそ我に使命を徹するべく、冷徹なる裁きを与えん!! ――PAS発動!! 【手裏剣】!!!」
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・PAS【手裏剣】確認。
PASスキル【忍法・影地獄】発動!
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PASの発動により龍牙の両手に生み出した漆黒の鋭利な手裏剣を携え、標的を剣達に構える。
「死にたくなるような地獄を味わいなぁ……【忍法・影地獄】!!!」
――ヒュッ、ドスッッ!!
「ッ…………?」
龍牙の放った手裏剣は確かに剣目掛けて打たれた筈。しかし剣本人やヴァルキリー・フレア・ドラゴンにもダメージを受けた衝撃は感じられない。
せっかくのPASを外したか?と一時は安堵した剣が反撃に行動を促そうとした時、本当の意味で地獄を思い知る事になる。
「……!? あれ、ん……身体がッ、全然ッッ……動かねぇ――!!??」
何をしようにも手足の感覚が無く、金縛り状態に陥った剣。カード発動もユニットのコマンドも自らを動かす事も出来なくなってしまった!!
それもその筈、龍牙の漆黒手裏剣が突き刺さったのは剣の影!!!
あの手裏剣で影を突き刺された者はその手裏剣を抜かない限りは何もすることが出来ないのだ!!
「俺様の手裏剣で作り出したPASスキル【忍法・影地獄】。これに打たれたプレイヤーはカード発動、カウンター・レスポンス、回避、防御、攻撃、ユニットのコマンドもみーんな出来なくなる!! それとこの効果は、ゲームが終わるまで永久に続くぜぇ!!!」
「何……!!??」
小柄な手裏剣で陥れた永続的効果の罠、そしてそれにそぐわない強烈な効果で剣の精神に絶望感が重くのしかかった。
「さぁ〜てと、どうやってお前を殺してやろうかな〜〜? ……そうだ、何ならお前に滅茶苦茶ショックを与えるようなやり方で殺ってやろうか☆」
無邪気な笑み、それをひっくり返して見せたるは死神の嘲笑い。龍牙は勝ちを見越した慢心な態度でカードをスキャン。
「ユニットカード、【黄泉返りの忍者】!!」
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<ユニットカード>
【黄泉返りの忍者】EG:⑥
AP:400 DP:200 AS:10
属性 黒 ユニット/シノビ/ヒューマン
効果:[シノビ変化]EG:④
①このユニットが攻撃で相手プレイヤー
・ユニットにダメージを与えたとき、
相手プレイヤーの墓地からユニットを
1体自分のコントロールの下でフィールドに出す。
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「やっちまいなぁ《黄泉返りの忍者》。でもまだ殺すなよー、メインディッシュは最後に取っとけ」
このゲームで出した三人目の忍者は黒装束を覆った龍牙と瓜二つのエースユニット。忍者と言うよりはエジプトの王家の墓を荒らす墓荒らしにも似た大柄の忍者がダガーナイフ片手に剣の腹部を突き刺した。
「グフゥォ……!!」
〔エース HP500→100〕
命からがらなけなしのHPを残して生き延びた剣、しかし地獄はまだまだ終わらない。
「こっからがメインディッシュだ。他の忍者同様、コイツも攻撃でダメージを通した事で能力を発動させる。
――――その相手の墓地からユニットを1体、俺の場に復活させる!!!!」
「は…………ハァァァァァ!!!???」
剣がかつてない驚愕に陥ったのには理由は一つ。その墓地の中には、デッキで削ぎ落とされた《サラ・チャンドレイユ》が……!!
「《黄泉返りの忍者》誘発型効果、《サラ・チャンドレイユ》を黄泉の元から呼び寄せよ!!」
何という酷な展開か、復活した剣のエースユニットが事もあろうに敵の元で蘇るとは……! あらら見てくださいよ赤髪の戦姫・サラちゃんの目、瞳孔も黒く染まって尽く洗脳。これが『闇落ち』って奴ですか?
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<ユニットカード>
【サラ・チャンドレイユ】EG:⑥
AP:500 DP:400 AS:15
属性 赤 ユニット/ヒューマン/ヒーロー
・能力:このユニットが場に出たとき
相手のユニット全てに300ダメージを与える。
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特殊な召喚により能力は発動されないが、強力なユニットであることには変わりなし。剣はただ絶望と屈辱の交じった血走った目で龍牙を無言で睨み尽くす。
「……おーおーこえー顔! だがそれが良いんだよ、本気で悔しがるプレイヤーをへし折って得る勝利も乙なもんだ。戦い方次第で色んな殺し方を模索出来る……これだからゲームって楽しいよなぁ!!! ヒャハハハハハハハハハハ!!!!!」
殺意の極地に達し、その反動で狂気に震え上がる龍牙。対して剣はその姿に怒りも含め、哀れや同情の意味を込めて、満身創痍に動かせない体で舌を出しながら捨て台詞を吐き出す。
「お前……最低この上無しやな、ゴキブリ忍者ッッ!!」
これにカチンと来たのが、龍牙。
「……ゴキブリかー。ちったぁ腕上げたかと思ったら今も昔も大した実力見せねぇで大口叩いて……ムカついてきた。いっそマジで死んでみるか?」
非情にも洗脳したサラに攻撃コマンドの指令が下った。標的は主の桐山剣。
「ゲームの衝撃通り越して、脳みそぶっ壊してやる……死ねぇ剣ィィイイイ!!!!!」
(…………済まねぇ、皆――!!)
剣、万事休す……!! 私も含め、誰もが龍牙の殺意に駆られ剣の敗北を喫すると思った――――その時!!!
――――カッ……!!!
「うぁ、眩しッッ!!!」
突如サラの攻撃を遮った眩い光によってダメージが無効になった剣。まさかこの展開は、もしかして……!!?
「大丈夫ですか、剣さん!?」
二人との闘いに突如乱入してきたのは、純情可憐な大人しめな女性の声。しかし光が晴れて見渡せば……その数は三名!
「…………何だぁ、このハーレム状態は?」
龍牙は妨害されたにも関わらず何故か嫌らしそうな目でニヤける。そして剣は絶望から一転、希望へとターンアップしホッと一息。
「………やれやれ。女子に助けられるたぁ、切り札騎士も衰えたか? でもさんきゅーな!!」
「「「どういたしまして!!!」」」
ピンチはチャンス! やってきたぞ三人衆、みのり・レミ・穂香のシャッフルガールズ!!
地獄に咲く華は、何を意味するのかは次回も読んで確かめようと言った所で本日のゲーム、ここまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




