【GAME1-3】それぞれの目標、俺達の誓い!!
――TIPS――
【ジョブシステム】
プレイヤーステータスの一環として職業の概念を用いて様々なジョブを用意している。
これらの違いとしては、レベルアップの際に上昇するステータスで特性によって伸びやすいジャンルが変化されること。また習得するプレイヤースキルやジョブに限定されたゲームやアメイジングカードの使用にも大きく関わる。その傾向は話を追いながら明らかになるであろう。
――ここは『プレイヤーバザール』の中でも有名な飲食店『アディウルの酒場』。プレイヤー達でドンチャン騒ぎと賑わう店に、7人のゲーム戦士もまたテーブルにご馳走を並べて宴を繰り広げている。
――桐山剣率いるゲームチーム『シャッフルオールスターズ』が、一年ぶりに再びゲームワールドに降り立った決起の宴。それは三国志で例えるなら桃園結義のような大事なパーティーでもあったのだ。
「剣、ギルド申請のタブレット持ってきたぞ」
「あそっか。もう一回チームの登録せなアカンかったんや」
『ギルド』って聞くとゲームをやってる読者の皆さんは、オンライン内でプレイヤーが所属するチームの名称として印象深いでしょう。
このゲームワールドにおける『ギルド』も同じ。友達や顔も知らない他人等を引き連れて自らがチームを作って、団体で活動するための謂わばコミュニケーションシステムなのです。
ギルド加入は100人まで申請可能で、強制では無いためプレイヤー一人で活動するのもOKだが、ギルドではメンバーのゲームでの成績が全体に共有され、ランキングや知名度の貢献にもなる。
更にチームで行動することはもう一つ、重大な意味を表しているのだ。
「ギルド登録する前に……、剣はこの世界で【マスターオブプレイヤー】になるための方法って知ってるかい?」
「……え? 前みたいに大会に出て優勝して、じゃなくて?」
「それが大幅にリニューアルされた」
「マジ!!?」
そうマジなんです! そこは私Mr.Gめが解説しましょう!!
「めんどくせぇから却下で」
いーから黙って聞きなさいッッ!!!!
実は一年の間に、電脳世界ゲームワールドに不思議なアイテムが眠っているとの情報が入ったのです。
それは8つの鮮やかな色をした宝珠。つまり【オーブ】がこのゲームワールドに隠されている。
そしてその8つのオーブを全て集めると、この世界の天からの次元を引き裂いて幻の闘技場が出現するという伝説が、リリース直後にプレイヤー達の情報網に蔓延ったのだ。
その幻の闘技場こそが、プレイヤー達の頂点を競う至高のコロシアム。そして優勝した暁には【マスターオブプレイヤー】の称号が与えられる……!
「……なんかポケモンみたいなシステムね」
「でもこれで目標が決まったじゃねぇか!!」
これを聞いた剣は高揚が止まらなかった。
「そういう事! 君がマスターオブプレイヤーを目指すのなら、このゲームワールドに隠されている8つのオーブを探して闘技場を制するしかない。でもそれは一人じゃ絶対に敵わないことだと僕は思う!
――だから僕ら7人で力を合わせてプレイヤーの頂点に立とう!! 君の夢は僕らの夢なんだ!!!」
これにはリーダーの剣や仲間達の感銘を強く受けることになった。シャッフルオールスターズの目標は、ゲームを挑む者の頂点・マスターオブプレイヤー!!
これを7人の心に刻み込み、剣は改めてギルドの登録タブレットのタッチペンを手に『シャッフル』とギルド名を記入する。すると剣は自分のアバター名を登録する前に……。
「……そんじゃ、今からゲームワールドで伝説になるチームとメンバーの名を刻もうや。皆の夢も語りながらな。――俺の夢がマスターオブプレイヤーなら、皆の夢は何や!?」
剣は自分のアバター名【エース】とメンバー名に記入し、そのタブレットをテーブル中央に置いた。それが次に渡ったのが……
「それじゃ私から! 私は『全てのゲームをやる』ッ!!」
と、ピュアな夢と共にみのりこと【フルル】のアバター名を刻む。
「じゃ俺は『ゲームで一攫千金稼ぐ』っと!」
なんて欲望丸出しな夢! しかし本気で思ってるんだから馬鹿にしちゃいけない。倭刀こと【クサナギ】の名を刻む。
「あたしは、『ゲームワールドの謎を解き明かす』の!!」
興味本意でこれまた大きな夢を主張したのは、レミこと【レーミィ】。
果たして未知なる知能回路・ブラックボックスはこの世界の謎解きを制するのか、楽しみだ!
「せやな……じゃワイは、『ゲームの師匠の教えを伝授する』ってどうや!」
ゲームジムを経営する豪樹こと【覇豪丸】、かつて自分を鍛えてくれた恩師に報いるために極意『心・技・体』の心得をプレイヤー達に伝授する。
「それじゃ私は……『家族の誇りと、大好きな仲間を守る為に、己の実力を磨きあげる』ですっ!」
穂香こと【リーフ】、自分を命懸けで守り抜いた剣や仲間達に報いるために、ひたすら自分のセンスを磨きあげることを決意した。なんて健気な少女じゃ(泣)
……そして最後の一人、槍一郎こと【ゲイル】。
だが肝心の夢は自身に何やら引っ掛かる感じが否めず、喉元のつっかえをようやく取ったかのように自分の本音を口にした。
「僕は…………もう一度、『オフィシャルプレイヤーに返り咲く』だ!!」
そして自らのアバター名を強く刻んだ。仲間はおろか剣にも明かせなかった自分の本音をこの場で打ち明けた。皆は最初は驚いたが、彼の内に秘めた想いは全員に伝わり、剣が代表して鼓舞した。
「……大丈夫! 槍ちゃんならまたなれるって!! 俺達が応援するぜ」
剣に肩を組まれて満更でもない様子を見せる槍一郎。どうか彼の想いは届いて欲しいものだ。
そして剣はもう一度タブレットを中央に寄せて、ギルド登録完了のボタンを7人の人差し指で一斉に押すことを決めた。
――7人のゲーム戦士の夢を乗せて、いざ誓いのギルド申請へ……!!
「それじゃ、俺達シャッフルオールスターズはゲームの情熱を胸に、それぞれの夢に向かって戦い抜く事をここに宣誓する!! 宜しくぅッッ!!!」
「「「「「「宜しくッッ!!!!」」」」」」
――――ピッ!!
一斉にタップされたパネルから『ギルド申請完了』とのメッセージ。そしてそれぞれのプレイギアからは、
◇――――――――――――――――――◇
・ギルド名『シャッフル』登録完了致しました!!
◇――――――――――――――――――◇
と、このように申請完了のメッセージを残して宣誓の後をプレイギアに残した。いよいよ剣達7人のゲーム世界の大冒険が始まろうとした、丁度同じ時――!
『フフフフフ……見つけたぞ憎きゲーム戦士どもめ、我が組織の再建の為に、復讐という名の儀式を貴様らに捧げてくれるわ!!!!』
何処に設置されているのか、謎のコントロールパネルから剣達を眺める黒い影。ゲーム・ウォーリアーの輝かしい行路を絶とうとする復讐鬼の正体は何か、酒場を標的に一年越しの逆襲が始まる――!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




