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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME9-9】疾風迅雷!スピードが神を超えた!!

 

 ――疾風の如く強く早い風を呼び、雷の如く激しい(とどろき)を呼ぶ。

 転じて、素早くも激しい様を表す四字熟語を【疾風迅雷(しっぷうじんらい)】と言います。


 さてその疾風迅雷、プレイヤーの場合ならどのように表すのか? その答えは怒りによって疾風と雷が迸る槍一郎が示すだろう!


『――お前だけは八つ裂き程度では怒りが収まらん……!!』


 ジオによる卑劣な妨害とプレイヤーとしての誇りを(けな)された怒りに、右手のトライデントの握り拳が震える。


 ここまで槍一郎を怒らせた事は今まで無かった。オフィシャルプレイヤーとしての立場も失われ、故にゲームワールドオンラインの治安も無法のものと化した現状からやるせない気持ちが爆発した。

 その怒りは、平穏を愛する者としての嘆きか、或いは己自身の存在意義を失いかけた者としての葛藤か……!?


「……ケッ、学級委員タイプが逆上してご苦労なこった。だが無駄な憤りだ、お前は俺には追い付けねぇ!!!」


 とジオは自分のマシンのコマンド打って、カードを発動させた。


『ユニットカード、【屍を食らう者】!!』


 何と発動したのは配下のユニット! しかも地獄から這い上がって飢餓の如く敗者を喰らい尽くす亡霊のようなユニットをレース内に召喚した。



 ◎――――――――――――――――――◎

 <ユニットカード>

【屍を食らう者】EG:④

 AP:300 DP:300 AS:10

 属性 黒 ユニット/ネクロマンサー


 ・アクセルバトル能力:

 このユニットが場に出たとき、自分のマシンは

 リタイアしたプレイヤーの数

 ×時速10キロ加速される。

 ◎――――――――――――――――――◎


 すると亡霊の効果によって遠方にて大破したマシンの残骸がユニットの身体に吸収され、それを纏めたエネルギーがジオのマシンに向けて放出された!


「そ〜らキタキタキタァァァァ!!!」


 まるで五体満足な身体にドーピングを施すかのように、イキリたったマシンが過剰なエンジンの爆音を立てて、槍一郎に距離を突き放す!!


『他の散った仲間のマシンのエネルギーを吸収してマシンを加速させたのか。この期に及んで他力本願とは……!!』


 一方の槍一郎はマシンの力を最大限に引き出しながら、EG(エネルギーゲージ)の温存或いはラップ数を稼いで手札補充の体制に入る。

 だがしかし、幾ら追いかけようともドーピングされたマシンの加速にはどうしても距離を縮めることが出来ない!


「無駄無駄ァ! 序でにこいつらと遊んでな!!」

『ユニットカード、【ビッグガードソルジャー】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 <ユニットカード>

【ビッグガードソルジャー】EG:④

 AP:100 DP:600 AS:20

 属性 無 ユニット/ソルジャー

 ◎――――――――――――――――――◎


 召喚したのは効果は無くてデカイシールドを引っ提げた何の変哲も無い兵士。しかしあるカードを重ね合わせて発動したらば、とんでもない事になった!


『アクションカード、【コピーサモン・ディバイダー】!!』



 ◎――――――――――――――――――◎

 <アクション・カード>

【コピーサモン・ディバイダー】EG:⑤

 属性:青


 ・効果:フィールド上のユニット1体を対象にする。

 そのユニットから10体、同じステータスと

 能力を持ったコピーを複製させる。

 ◎――――――――――――――――――◎


「《ビッグガードソルジャー》をコピー! ゲイルを阻む10体の妨害壁の出来上がりだ!!」


 レースフィールドでのユニットの召喚は空中浮遊によって宿主とツーリングを共にしたり、或いは相手の走行を妨害したりとプレイヤーの行動コマンドによって自由に動かせる。


 などと言ってる間にジオと平行走行している《屍を食らう者》に攻撃コマンドを繰り出し、敵陣へと放り込んだ!


「あの鈍亀を痛ぶってやれ!!」


 槍一郎のマシンに『鈍亀』呼ばわりとは何と失言この上なし! しかし傲慢にも亡霊ユニットを解き放ち、槍一郎のマシンにダメージを与える。


『ッ…………』


 〔ゲイル HP1300→1000〕


「言っとくがお前はもう王手掛かってんだよなぁ。あと数秒後にはAP100の《ビッグガードソルジャー》10体の総攻撃で、お前はジャストキルでマシンは大破される!! 所詮はお粗末な結末でゲームは終わる、大層な口先だけじゃ、ゲームは勝てねぇんだよ!! ヒャハハハハハハ!!!!」


 狂気に震えるジオの耳障りすらも甚だしい高笑い。もう既に勝ちを確信した者が味わう優越故の行動か。――だがしかし、だ〜〜がしかしッッ!!


 その行動から既に()()()()()が立っていることを知っての狼藉か、ジオよ!!?


『――その通りだ。やることなす事全部が低俗すぎるぞお前』

「あ……?」


 ドスの掛かった低い声で、呆れも通り越した槍一郎の心の奥底には既に次の行動を固めていた。

 故にそれは、どうやって憎い畜生を成敗すべきか、止めの瞬間までも既に決めていたようだ――!



『お前は自分の力を全く使わずにコースや同胞や、ギャラリーを使って自分の手を汚さず恥を突き通した。

 ――汚いやり方を押し通してでも勝つってのはどんな気持ちだ? 強くなった気分になるのか!? (テメー)を誇れる魂に育ったつもりにでもなったかあぁッ!!?』


 槍一郎の魂の奥底に、台風にも似た高圧な嵐と雷が交互に合わさったような天地をひっくり返すような感情が押し寄せていく……!!



『……だったら勝ってみろよ。――この俺に勝ってみろよォォォオオオオッッ!!!!!!!』



 ――その時、槍一郎の胸に蒼炎の熱いハートが燃える! いざとなったら魂を込めろ! 槍の形に彩られた魂の能力『PAS』が、彼に物凄いパワーを与えた!!



『ランサー流遊奥義発動!! 【疾風迅雷】ッッ!!!!!』



 ◎――――――――――――――――――◎

 ・PAS【ストームランサー】確認。

 PASスキル【疾風迅雷】発動!


 時速300キロ超え・マシンスピードMAX!!

 ◎――――――――――――――――――◎



 ――ギュュュアアアアアアアア!!!!



 サファイアストリームのスピードメーターもMAXに振り切る程に甲高く叫ぶエンジン音!

 これぞ俗に言う【超音速】の域に到達したか……いや、それ以上にあの加速の神『韋駄天(いだてん)』か、ギリシャ神話の『ヘルメス』以上か!?

 槍一郎の魂が輝くとき、そのスピードはまさに神をも超えた!!!


 ――壁ユニットの人海戦術を超え、障害物も超え、瞬時に辿り着いた憎きジオの懐に有無を言わさずトライデントで引き裂く!!


「何――!? グォッ!!?」


 〔ジオ HP1500→1400〕


 斬りつけたダメージのウィンドウが空中に浮かび、ジオが仰け反っている間には既に槍一郎の姿は見えない。


「あの野郎何処行きやがっ――」


『遅い』


 ――SLASH(ザンッ)!!


「グッッ!!?」


 〔ゲイル HP1400→1300〕


(え……!?? 野郎いつの間に背後へ……!?)


 この時槍一郎は斬りつけたあとジオの背後に回って再び攻撃したのかと動揺したが……倭刀、答えを言ってあげなさい。



「……背後に回ったんとちゃう。先輩は既に1()()()()()()()追撃したんや」


 ジオが40周走破に対し、槍一郎はそれを上回る41周走破。つまりジオは槍一郎に対して周回遅れが生じていた! それは神の枠を超えた【疾風迅雷】の能力が可能にした()()()()なのだ!!


「なん、イテッ、だと、アタッ! こんな、痛……んアリかァァァァァァ!!!! ……痛つ」


 〔ジオ HP1300→1200→1100→1000→900〕


 最早ジオの驚愕の余地さえも許さない程に、どんどんと周回遅れを広げて確実に距離を進める槍一郎。

 いよいよ夢の50走破までファイナルラップ、50周目を迎えた槍一郎。ゴールは目と鼻の先、ラインとチェッカーフラッグが勝者を今か今かと待ち構える。


 〔ジオ HP500〕


「くぉぉぉのれェェェェ!!!! 《ビッグガードソルジャー》10体纏めてアイツを潰せーーーーー!!!!!」


 槍一郎の周りを待ち伏せる《ビッグガードソルジャー》が、巨大盾を掲げて突っ込もうとする!

 だがそれをも許さぬ情け無用のランサー、フィニッシュカードをスキャン!!



『ユニットカード、【シルヴィ・テンペスター】!!』


 ここで初めて現れた槍一郎のユニットにして切り札。

 それは和やかな風に揺られた緑の長い髪の美少女の姿をした風の精霊、剣の切りサラ・チャンドレイユと並ぶ四大精霊ユニットなのだ!!



 ◎――――――――――――――――――◎

 〈ユニットカード〉

【シルヴィ・テンペスター】EG:⑦

 AP:400 DP:500 AS:10

 属性 青 ユニット/ヒューマン/ヒーロー

 ・アクセルバトル能力:

 このユニットが場に出たとき10秒間

 全ての相手プレイヤーとユニットは

 効果発動と行動が出来ない。

 ◎――――――――――――――――――◎


『そこをどけぇぇぇぇ!! シルヴィの能力【風神大旋風(シルフ・ハリケーン)】!!!』


 ――ビュオオオオオオオ!!!!


 春なら春一番、冬なら木枯らし。ジオや他のユニット目掛けて猛烈な突風を吹き荒れさせる《シルヴィ・テンペスター》! 穏やかな顔してやる事が滅茶苦茶だ!!


「しまった、攻撃コマンドが打てない……!!」


 この風がユニット達の攻撃意欲を失わせたのか、風に煽られ行動が出来ない。その隙に……



『――――GOAL(ゴール)!! ゲイル・WIN!!』


 遂に槍一郎が10周分の大差を開いて50周目のゴールインを果たした!!


 ――――ギュィィイイイイ……


 ……おや? 槍一郎がゴール直後にスキーのボーゲンのように側面で急なターンブレーキを掛けてゴールライン手前で止まったぞ?


「え……先輩、何する気や!?」


 何と、ゲームは終わったのに残った手札を作動して発動しているぞ!? 何を出す気だ!?


『アクションカード、【グランドクロス】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクション・カード〉

【グランドクロス】EG:⑦

 属性:黄


 ・効果:前方十字型にガード・回避・

 カウンターレスポンス不可の

 700ダメージを与える。

 ◎――――――――――――――――――◎


 カードの発動と共に槍一郎の武器『トライデント』の切っ先から光が溢れる特大エネルギーが蓄積され、その矛先をまだ走行中のジオにターゲットを絞った…………って、えッッ!!!?


「は――――!?!?」

『後はお前を、粉々にするだけだ――――!!!』

「オイ嘘だろ!? バカ、止めろ止めろ止めろッッッ!!!!」


『もう、遅いッッッッ!!!!!』



 ――――槍一郎とジオの距離、既に(ゼロ)。突き刺されたトライデントの矛先に、とてつもない光が解き放たれた。




 ――――SMAAAAAAAAAASHッッッッ!!!!!!!




 〔OVERKILL! ジオ HP0 KNOCKOUT!!〕



『……言っただろ。50周走破・暴走族全滅で、片付けてやるって――!!』




 ▶▶▶ SOICHIRO PUNISH(成敗) COMPLETE(完了)...!!▽


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