【GAME9-5】レーサーはスピードで正義を語る!!
――TIPS――
……あ、そうそう忘れるところでした!
実はこの『アメイジング・アクセルバトルモード』の勝利条件はマシンのHPを0にするだけでは無いのだ!!
このルールがレースカードバトルならば、【倒すことだけがゴールじゃない】!!
その詳細は本編でご確認を!
――暴走族『NARASI』の阿漕な妨害、スモークボムなる黒い玉を放出され、槍一郎の視界が真っ暗一寸先は闇。煙幕で惑わしてその隙に抜け駆けしようとする暴走族。
だがその姑息な手段を槍一郎は許す筈は無かった!!
『――アクションカード、【スターダストウェーブ】!!』
――カッ!!!
「「うぁ!?」」
槍一郎のカード発動のエフェクトボイスが入ったかと思えば、黒い幕に包まれた槍一郎のマシンが蒼の光を輝かせ闇を引き裂く。
その直後、先頭の槍一郎のマシンから後に続くマシン目掛けて、何やらキラキラとした屑が大量にばら撒かれるではないか。これぞまさしく星屑!!
◎――――――――――――――――――◎
<アクション・カード>
【スターダストウェーブ】EG:④
属性:青
・アクセルバトル効果:マシン後方に
星屑の放射線を出す。
受けたマシンは30秒間スピードが低速する。
◎――――――――――――――――――◎
このようにアクセルバトルモードに登録したカードは、自動的にそのルールに合わせた効果へと変化をさせる。今回は初お披露目のカードだったけども、以後の展開でどんな効果になるか是非とも御覧じて頂きたい。
さて肝心の星屑の波は、運悪くも先程煙幕で妨害した下っ端マシン2台にまんまと浴びせられた!
「あぁ……俺のマシンのスピードが……」
「カッチョ悪い! これじゃ原付バイクのがマシだぜ」
さっきまでパラリラパラリラしてた暴走族のナナハンが、一気に時速30キロ制限スピードダウン。これなら騒音も無いし快適安全運転丁度良し! 暫くそこでツーリングでもしてなさ〜い!!
「「そりゃ無いよ〜〜!!」」
しかし仕留めたのは下っ端2台のみ。他のボスを含めた9台のマシンがしつこく槍一郎を追いかける。
「バカタレ、先頭のアイツを追ってトップを奪うのがレースの暗黙ルールだろうが。しつこくて結構! テメェら続けーーー!!!」
暴走族ボスのジオの高らかな号砲が、後に続く下っ端同胞に鼓舞されて共にマシンのスピードも上がっていく。狙うは槍一郎のサファイア流星マシン、ただ1台のみ……!
▶▶▶ NEXT▽
――一方、暴走族の群れより約80メートルの差でトップを走る槍一郎。スモークボムの黒幕も晴れてようやくいつもの調子、エンジン好調で独走状態。
若干の余裕が持てた槍一郎はフルボディヘルメットの無線機能で、ピットにいる倭刀と連絡を取り合う。
『倭刀、お待ちどう! 迂闊だったよ、開始早々僕とした事があんな姑息な手にハマるなんて。でももう大丈夫だ』
槍一郎のいつものクールな口調から、ファーストトラップを心配していた倭刀は安堵しながらも信頼を寄せて応答する。
「先輩ならそんなトラップくらいチョロいでしょう? 俺は心配してませんよ。……ただ後続のアイツらがまた変な悪巧みしてるようですぜ」
倭刀はピット内のコースを映し出すテレビモニターを確認するや、ジオを先頭に固まっているマシンの群れを見ながら警戒を促す。
そして槍一郎もバイクのサイドミラーで微かに見える暴走族を見て確かめる。
『うーん、あの様子はまた僕を妨害させてトップに立とうとしてるつもりだろうな。――ま、好きにさせとけば!』
おや、槍一郎ったらいつになくドライな対応ですね。
「そうだぜ、いくらなんでも相手をナメ過ぎじゃ無いすか?」
『アイツらみたいな好戦的なプレイヤーの大半は、自分を阻む相手を見ると蹴落としてでも勝ちたがる性格が多いからね。スピードよりも妨害重視で攻める気だろうが、僕はそれを振り切って勝利する!!』
「振り切るって……バトルでマシン大破、からの勝利はしないんすか!?」
『そうだ、アクセルバトルモードはHPを0にするだけが勝利条件じゃない。【コースを50周走破しゴールした時点で勝利】ってのもこのルールにはあるんだ!!』
そうなんです! 実はルール説明では言い切れなかった勝利条件は二つ用意されているのです!!
それが『マシンのHPを0にする』と『コース50周走破でゴール』。
レースバトルだからもしやとか、やはりと思った読者の皆様も居たでしょう。ところが後者の件に関しては若干のリスクが伴うのです。
『コース50周で勝利するには、30分以内でゴールしなければならない条件がある』
「30分……それって厳しい方なんすか?」
『かなり厳しい。このライジングドラゴンのコースで僕が3周2分で走破したとして、それを50周走るとしたらどれくらい掛かると思う?』
「ちょっ、この場で計算をやれってんすか!!?」
この小説の場で数学をやる事になるとは思っても見なかっただろう。倭刀は無い知恵絞って筆算で計算しているが、読者の皆様には簡単に説明しましょう!
「じゃ俺にも教えろよ!!」
倭刀は自分でやりなさい、バリバリの学生でしょうが。
――槍一郎が走破したライジングドラゴンのコースが、3周2分走破という事は『120秒』でゴールしたとする。
これを120秒÷3周として、1周のラップタイムを計算すると答えは【40秒】。
更にその40秒×50周で計算したら、槍一郎の50周分の平均タイムは【2000秒】。それを分で表す為に2000秒÷60秒で計算すると……
「およそ【33.3分】(割り切れないけど)……」
『そう、あと制限時間内の完走にはあと3分弱足りないって事――!!』
辛うじて自力で計算した倭刀は計算を解いたと同時に、槍一郎が何故アクセルバトルモードに挑もうとしたのか、一つの線が繋がった――!
「……先輩、まさか自分のタイム更新の為に――!?」
『そうでもしなきゃ自分の魂が昂ぶらないと思ってね……丁度マシンの魂も温まってきた所だ!!!!』
――ガォォオオオオオ!!!!
サファイアストリームのエンジンが獅子の咆哮の如く吠え立てるかのように、槍一郎によるアクセル・フルスロットルとシンクロして疾風の速度で駆け抜ける!!
今回の槍一郎は本気と書いて『マジ』!!
ライジングドラゴン50周走破・30分以内ゴールを目指して、サファイア流星ドラゴンロードを駆け巡る!!!
……だがそれを阻もうとするエネミープレイヤー達の反撃も、忘れることなかれ――!!
『――こちらジン、ライジングドラゴン管理局の同胞に告ぐ。打倒スピード王・ゲイルの使命にかけて、フィールド内による『作戦コードFX6』に着手しろ!!』
「了解!!」
これは、まさか……!? 槍一郎を阻む敵は暴走族だけでは無いと言うのか!!?
既にライジングドラゴン内では全方位に槍一郎のスピードを殺す敵の手中に降りていたのか!?
その真相は次回までのお楽しみに。本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




