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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME9-2】焦燥するゲーム戦士!!

――TIPS――

レースゲームエリア『サイバーターボシティ』はレースゲームだけでなくドライブを装ったゲームから、なんと公式に運転免許のライセンスを取れるシュミレーションゲームも用意されているとか!


ゲームワールドならお金もさほど掛からず万能教官もオプション付き。AT限定もマニュアルも大型二輪もドンと来い!

……ただし自己負担でお願いします。

 

 ――レースゲームの摩天楼『サイバーターボシティ』、高層ビルの群れを縫うように、天を舞う龍の如くうねりにうねったスピードウェイをプレイヤーはそのコースを『ライジングドラゴン』と呼ぶ。


 そんな龍の胴長なコースを流星の如く突っ走るフォーミュラカーが1台。まるで風圧という見えないスピードの壁すらも、どけどけと言わんばかりに突き破って限界突破、リミットブレイクお構いなしと走るだけ。


 間もなくゴール地点、その距離僅か200メートルの直線を突っ切――


『――GOAL(ゴール)!!!!』


 ……と、私が語り終える前には既に槍一郎はAIのチェッカーフラッグに煽られて、タイムアタックの時をライン一線飛び越えてその走破タイムを記録に刻む。


「『2分1秒157』か……先輩、煮詰まってる感じが否めないぜ」

 ピットインにて傍観していた倭刀、槍一郎のタイムをモニターで見るなり首を傾げ、不完全燃焼の走りを物語る。


 ▶▶▶ NEXT▽


 ――暫くしてスピードを抑えるためにゴール後も走行していたF1マシンがようやくピットに戻ってきた。


 完全に停止したマシン、それを確認して座席から降りるドライバーの槍一郎。ブルーの厚手なレーシングスーツを魅せ、風圧を抑えるフルフェイスメットを脱ぐと瑠璃色のサラサラヘアーと端正な美顔が顕わになる。


 だがしかしその槍一郎の顔からは倭刀と同じく曇った顔をしていた。アシストAIによって彼のマシンが整備室へと運ばれる様を背に受け、ヘルメットを手で掴んだままピット本部室へと向かう。


「先輩!!」


 丁度槍一郎の目先には彼の走りを見守っていた後輩分の倭刀が手を振りながら合図を送る。それに気づいた槍一郎は倭刀と再び立ち会った。


「……先輩、なんつーかその……ここんとこ調子が良くないっすよこの一年――」

「分かってる、皆まで言うな。自分の不調は僕自身が一番良く知ってる」

 倭刀のフォローをも遮り、己の不甲斐なさを己で戒める槍一郎には微かながら苛立ちの感情も抱いていた。


 そもそも彼が『ライジングドラゴン』で出そうとしている最速タイムは2()()()()。つまり先程のタイムよりも2秒弱足りないだけだがレースゲームを嗜む玄人にとってはコンマ1秒たりとも無駄には出来ない。


 更に今までのタイムランキングでも槍一郎が全て埋め尽くしたにも関わらず2分以内のタイムを走破したことはない。


 1位のタイムは【2分011】、わずか0().()0()1()1()の差が槍一郎の見えない壁となっている。それ故に超えられない自分が歯痒い。


「マシンの不調とか僕のミスも思い当たる節が無いし、言い訳にするつもりも無いけど、おそらく僕自身の何かがそれを妨げてるんだと思う。多分それが拭えない限り自己新を更新することは出来ないだろうね……」


 槍一郎は終始冷静を保っているように倭刀や我々には見えるが、彼が下へ俯き僅かに唇を噛みしめる表情を浮かべた瞬間からその悔しさを物語っていた。


 プレイヤーは目指そうとする目標から逃げない限りは決して超えられない壁は無いと聞く。しかしそれを実行出来ずにいるという事は、まだ彼の心の何処かで()()があるのかもしれない。

 そんな時、項垂れる彼を見かねた倭刀が思い切って問う。


「槍一郎先輩、まさかと思うんですが……四年前の()()()()の事、まだ引きずっているとか――?」


 ――ギロッ!!!


 その瞬間何やら倭刀の発言に核心づかれたのか、槍一郎は威嚇にも似た物凄い形相で倭刀を睨み付ける。

 倭刀も決して冗談を抜かすつもりは無い。だが槍一郎の尋常ではない心の揺らぎから出たその威嚇が肝の据わった後輩すらもたじろいだ。暫く落ち着いた所で槍一郎はようやく口を開く。


「……倭刀、いくらお前でも言って良いことと悪いことがある。僕にとってはあの事件だけは一刻も早く忘れたいんだ、これ以上ブリ返さないでくれ!!」


 いつも冷静沈着な槍一郎がここまで心を揺らがせ、焦燥する姿は今まで見たことが無い。しかしその真実を倭刀は以前から知っていたようで、続けて槍一郎に問いかけた。


「……その分じゃ剣さん達にもあの事件の事を言ってないんでしょ」

「当たり前だ。いくら親友のアイツでもあの事を知られたらチームの存亡にも関わる……お前もそれくらい分かるだろう?」



「分かりますよ! だからこそ俺は先輩自身の口から言うべきだと思うんでさぁ!! 深刻な隠し事ってのは、後になればなるほど自分の首を締めていきますから。俺のシャークトレードの時もそうだったように。

 ――俺が察するに先輩が今の2分以内の壁を超えられない一因ってのは、その()()()()()()()を付けられない事にもあるんですよ!!!」


「……………………」


 ――一体何が彼をここまで追い詰めてしまったのか、剣達と出会う四年前の事件とはどのようなものであったのだろうか?


 だがその真相は未だ闇の中に閉ざされたまま。その闇が晴れて、槍一郎自身でその真実を話す時が来るまで、我々はこれをしっかりと胸の内に留めておこうではないか。


 ……と、何事もイベントが無ければこの話はこの辺でケリが付くのだが。

 それに相まってこのエリアで共に生きる同類達が、厄介事抱えて槍一郎達の所に向かうのだから、ここらで話が終わる筈が無かった!!



「オイ、お前らッッ!!!!!」


 ピットに響き渡るエンジンの爆音にもさも似たりな怒号の声、その声の主は果たして誰か!? と言ったところで続きは一旦下がってまた次回。本日のゲーム、これまでッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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