【GAME8-6】勝利への調合術・大逆転!!
〔レーミィ HP1000→700〕
「こんにゃろーーーーー!!!!!」
エンペラーイカ、怒りのイカスミ砲に直撃したレミはゲソ橋から叩き落されて着水。それでも屈することなくレミはインカム湖を自力でスイミング、泳いでイカの頭に乗っかった『調合の壺』を取ろうと必死だ!
『ブシャアアアアアアア!!!!』
対してエンペラーイカ。インカム湖の底で眠っていた中で空から巨大玩具が降った事から目覚め最悪、挙げ句の果てにはクレーン作業で苛立ちのボルテージを上げたが最後、怒り爆発・恐怖の化け物イカ襲来となった訳だ。
別にエンペラーイカが悪いんじゃないんです、その平穏を脅かした人間が悪いのだ!!
「あんたはどっちの味方なのよ、ットにもォォォォ!!!!」
レミまでその苛立ちが感染したか(私のせい)。更にがむしゃらになりながらイカ頭の壺目掛けてしがみつく!
イカの方もまるでひっつき虫を払いのけようと必死に身体を震わすはゲソのムチでハリ倒そうとするわで怒りで我を忘れているようだ。
「くっ……うぅ……!!!」
〔レーミィ HP700→500→300〕
しなるゲソムチに打たれて徐々にHPに減少するレミ、それに怯むことなくゲソの群れを抜けて頭部分に向かう。それを畔で見守っていたキムさんはその根性と執念を見かねてレミに大声で問いかけた。
「……お嬢さんや、どうしてそこまで必死になるんや!! 友達を助けたいからか!? そんなにあの壺が欲しいんか!? どれも命よりも大事なものなんかーーー!!?」
一方で修羅場と化しているイカVSレミの方では、辛うじて聞こえたキムさんの問いにレミは躊躇うことなく答えた。
「両方とも当たってるけど、ちょっと違うーーー!!! あたしはみのりちゃんも、穂香ちゃんも――二人纏めてむぎゅーしたいのッッ!!!!」
…………はい?? 今何と???
「あたしを差し置いて二人でイチャイチャなんて嫌!! 大好きなみのりちゃんと穂香ちゃんと一緒に仲良くしてるのが一番好きなのッ!! そんな惚れ珠に惑わされて、あたしを置いてけぼりにするんじゃなーーーーいッッ!!!!!」
端から見れば『何と欲張りな女子高生だ!!』と困惑するだろう。
しかし彼女もみのり達と会うまではいじめで孤独を味わい、仲間として迎え入れられた時に初めて彼女ら温もりを味わい、心から親友と呼べる者を二人も得ることが出来た。
真のプレイヤーは絆を尊ぶものならば、彼女もまたプレイヤーの一人。親友のみのりと穂香を独り占めしたい、一緒に笑い合いたい。
そんな思いが火事場の百合パワーとなりて、振り払うイカに負けずついに頭に刺さった『調合の壺』をこの手に掴み取った!!
「やったーーー!! って、うわぁぁああ!!!」
壺をGETし喜んでいる隙にイカはゲソでレミの身体を縛りあげ、そのまま草原の畔まで放り投げだされた。
無意識に背中から受け身を受けて壺を抱えたレミは草のクッションに助けられてダメージは皆無。
「いてて……良かった、壺は無事みたい!」
「おーい大丈夫かーー!?」
レミの事が心配になったキムは無我夢中で彼女の元に駆け寄った。
「キムさん! あたしにこの壺を使った『調合術』、教えて下さいッッ!!!」
レミはエンペラーイカの討伐と二人の治癒も兼ねて頭を目一杯下げてキムさんに懇願する。
しかし農家のキムさんに調合術を知ってるかと言われればその答えは『NO』。その事を告げようとしたその時、レミを見るなりある事にキムさんは気づいた。
「お嬢さん、もしやと思うが……お嬢さんの持つプレイヤースキルでなら上手く行くんじゃないかな!?」
「プレイヤースキル……?」
レミは再びプレイギアを開いてステータスでプレイヤースキルの欄を確認する。先程カードスキャンで習得した【逆算思考】の横にいつの間にか新しいスキルを習得していた。
「何、この……【アメイジング調合術】って!?」
これは決死の思いでGETした『調合の壺』と同時に自動的に習得されるプレイヤースキル。
【アメイジング調合術】を会得したプレイヤーのみが、調合アイテムによって素材を調合させてレアなアイテムやカードを生み出す技術を得ることが出来る。つまりレミはオールスターズの中で唯一、『調合術』を覚えられるプレイヤーとなったのだ!!
「ぅぇえ!? 覚えたのは嬉しいけどどーやってちょーごーすれば良いのよ!?」
サプライズで会得した故にあたふたと慌てるレミ。調合させる素材も出来上がりも何も知らない状態で助け舟を出したのは言うまでもないキムさんだ。
「慌てんなやお嬢さん! こんな事もあろうかとインカム湖の掃除で集めていた素材がたんまりあるさかい、これで何か混ぜて作ってみんさい!!」
キムさんは何処からか取り出した唐草の風呂敷を持ってきた。その中身を開けるとなんと山のような素材の数々、これなら収集の手間も省く。
「んー……仕方が無い! 破れかぶれでどんどん作ってやるわ!!!」
レミは風呂敷の素材を荒らして良さそうなものを勘で探していく。更にレミは素材を探しながらあのエンペラーイカの討伐の事を同時に提案していった。
(……あの化け物イカ、またこっちに襲いかかる前に一撃で倒したいわね。何か弱点は無いのかしら? どう見たって属性は青、となれば2倍のダメージを与えられる黄属性のカードで討つしか無い。つまり……雷のカードを作る!!)
これぞ学者アバターレミちゃんのブラックボックス思考!! 弱点から推察して作りたいカードのカテゴリーを絞って、イメージから素材になりそうなものを消去法で決めた所、こうなった!
――『朝露の雫』×5、『電気玉』×3、『静電気ウール』×3
「みんな調合の壺にブチ込んで……」
調理で言うならばみじん切りにした肉やお野菜を鍋にそのまま豪快に放り込む仕草にさも似たり。
調合の壺の蓋を閉じて、レッツ・フォーミュレーション《調合》!!
『SHAKE、SHAKE♪』
すると壺の中から急に声が聞こえたと思いきや、ノリノリで調合術持ちのレミに何かを訴えてるようだった。
「え、シェイクって……振るの!? このデカい壺を!!?」
『YES! C'MON!!』
壺が答えちゃってるよ。あと何気にテンション高いぞ。
「ぬぅぅ……こうなりゃヤケだぁぁぁ! ぬぉぉぉおおお!!」
『OH!! FEELING……☆★』
……この壺、Mなの??
とまぁ時折聞こえる壺の溜め息(?)に惑わされながらも必死に上下激しくシェイクミックスするレミ。そして……
チーン☆
『OK!! COMPLETION!!』
電子レンジのような音でハッとシェイクを止めたレミ、そして咄嗟に壺の中身を覗けば素材の代わりに入っていたのは、1枚のカード。
「出来た――ッッ!!!」
◎――――――――――――――――――◎
・【調合大成功】!!
レーミィはアメイジングカード
《スーパーサンダーボルト》を手に入れた!!
◎――――――――――――――――――◎
初めての調合に成功したレミはそのカードを手に取り、恍惚に輝いた目でうっとり。――でも、何か忘れてない?
「ブシュォォアアアアアアア!!!!!」
大変だ、怒り狂ったエンペラーイカが空気を読んでレミの方へと突っ込んでくるぞ!!
「もうあんたなんか怖くないわ!! あたしの調合カードで止めを刺してやる!!!」
待ってましたとやんや騒ぎする暇はなし、調合カードを自信たっぷり気合たっぷりで、カードスキャン!!
『アクションカード……』
ゴロロロロロ……
スキャンの詠唱終える間もなく、突如真っ青な空がどす黒い雨雲に覆われ『青天の霹靂』とはまさにこの事。インカム湖の周囲に囲む雲こそレミが呼び起こした雷雲、調合カードで引き起こす一撃必殺の切り札なり!!
「あたしの全力調合パワー、受けてみなさい!! 《スーパーサンダーボルト》!!!」
――――ガチャッ、ピキュュュュンッッ!!!
『――【スーパーサンダーボルト】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<アクション・カード>
【スーパーサンダーボルト】EG:⑦
属性:黄
・効果:相手のユニットまたはプレイヤーの
ランダムに黄属性1000ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
カード発動の詠唱が完全に終わるかその刹那、インカム湖全体に凄まじい稲光が包まれたと同時に轟く雷鳴と直撃した時の爆音がチェックメイトの合図。
――――THUNDER SMAAAAAASHッッ!!!!!!!
『ジュジュ〜〜〜』
インカム湖に轟く雷落ちるとき、それに直撃した化け物イカからは香ばしい香り。エンペラーイカの丸焼き、上手に焼けました〜♪
〔WEAK HIT! エンペラーイカ HP900→0 KNOCKOUT!〕
撃破した事を告げるウィンドウがレミの横に流れ、これでようやくUFOキャッチャークエストは終わりを告げたのだった……!!
「……う〜ん、どうせなら丸焼きじゃなくてイカリングのが良かったなぁ、あたし」
やっぱり食う気満々なんじゃないかッッ!!!!
▶▶▶ REMI HATAKEDA GAMECLEAR!!▽




