【GAME8-3】謎の景品・大パニック!!
――TIPS――
エリアや地域で拾うアイテムの中には、アメイジングカード等だけではなく、枝や木の実、欠片といった何らかの【素材】になるようなものまで落ちている。
風の噂によると、これらの素材は混ぜ合わしたり錬金する事によってレアなアイテムを生む技術が必要なんだとか……?
――読者のプレイヤーの皆様は、良くゲーセンのUFOキャッチャーへ寄ってみると『え、こんなの景品にして良いの!?』っていうような感覚になった事はあるでしょうか? ゲーム機だったり音楽プレイヤーだったり。
これらを景品にしたプライズゲームはアミューズメント用の景品として扱われたり、小売価格から800円以下の物を景品にしなければならないという法律があるのです。意外と知らなかったでしょう。
しかし例えそうであっても、並大抵なセンスで景品を落とさせないのがUFOキャッチャーの妙。それはプレイヤーの皆さんもご存知でしょう。
はてさて、ゲームワールドのUFOキャッチャーはどうでしょうか!?
▶▶▶ NEXT▽
――壮大な草原・インタラクティブ草原の『インカム湖』に散らばる巨大景品を片付けるGWクエストをクリアすべく、UFOキャッチャーのクレーン車を意気揚々と操縦しようとする穂香。
そんな湖の周りをごっちゃと散らばる景品達に紛れて、小さいながらも一際目立った珠のようなものに穂香は驚愕した。
「みのりちゃん、レミちゃん大変です!! この湖の中にオーブらしきものがあります!!!」
「へッ??」
「何処、どこ!?」
「おっきなピンクの熊のぬいぐるみ辺りに……」
穂香は見つけたオーブらしきものを指差してみのり達に促す。
「オーブらしき……うん、確かにオーブみたいな丸っこさね」
「いや、丸くなきゃ最初から疑わないわよ……でも確かにオーブらしきものね」
果たしてそのオーブらしきものが本物のオーブかは、実際に手に触れて確かめるしか無いだろう。つまり、
「ねぇキムさん、あの湖に浮かんでるもの退かしたら全部私達に譲ってくれますか?」
「んぁ? 別に構へんよ、うちもあんなドデカイもん貰っても邪魔なだけだしみーんなお嬢さん達にやる」
「ホントですか!? ありがとうございます!!」
キムさんの許可も降りたところで湖に浮かぶ景品は皆みのり達のもの。巨大ぬいぐるみは貰うかは置いといて、もし彼女らがオーブらしきものをGETすればそれも三人のもの。二つ目のオーブ獲得へと希望が膨らむ。
「よーしそうと決まったらやるしかないわ!! 穂香ちゃん張り切って頼むよーー!!」
「了解しました! 行きます!!」
さぁ夢も希望も全部巨大UFOアームに乗せて、いざいかん、ビッグスケール・UFOキャッチャースタート!!
ウィィィーーーーン
左のスティック型移動レバーをニュートラルからゆっくりと前へと傾けるとともに、クレーンのラダーがグングン伸びて湖の中央までUFOアームを寄せていく。
とにかくUFOアームと、それを降ろすロープの接点が不安定な為に振動と反動でアームが揺れる。出来ればそれらの揺れが収まったところで景品目掛けてアームを降ろしたいところだ。
(普段ゲームセンターでやるタイプが二箇所のアーム型、そしてこの巨大クレーンのアームは三つ鉤型。これだけでも使うべき攻略法が全く変わっていくわ……)
UFOキャッチャーのアームが違うだけでも、景品を落とすテクニックは出来るものが限られていく。
またUFOを引っ張るクレーンの支えもグラグラするため、アームが水平にならずに掴みづらいのがこのゲームの難点と言えるだろう。
しかし穂香はそんな環境下でも諸共せず、冷静に巨大ぬいぐるみをターゲットに絞った!!
「標準、ぬいぐるみの下半身部分。三つ鉤Y字の体制、角度は平行! 今です!!」
穂香は唱和しながらベストな場所をロックオンさせて、自信満々にクレーンを降ろし引き上げるための決定ボタンを押した!!
――――PUSH!!
ファン、ファン、ファン、ファン……!
今にもUFOが地上に降り立ち、獲物を狙いそうな音を醸し出しながらターゲットの大の字に仰向けになっている熊のぬいぐるみに迫る――!
ウィィィン、ガーーー
三つ鉤のクレーンアームがガバッと広げながらぬいぐるみ目掛けて掴みに入る。その狙い目はぬいぐるみの腰と股間の辺り……え??
――ガシッ!!
「ヒュン☆」
「ちょ、ちょっと穂香ちゃん!!」
「あぁ……何かその掴み方見てるこっちまで股間がムズムズする……」
男も女も、ぬいぐるみのアームが股間に鷲掴みをしている奇妙な様を見ていて思わず玉ヒュン。彼女はおっぱいがデカイだけでなくそんな事も考えていたんですか破廉恥な!
「えぇい何度でも言いなさい!! 大きい景品を掴むには3つの鉤の部分を身体で支えて持ち上げるしかないの! ぬいぐるみなら腰・下半身攻めです、別に変な意味はありませんッッ!!!」
……穂香姉ちゃん。恥も捨ててゲームに真剣になるのは結構ですが、無理はいけませんよ。やけくそ気味で顔どころか緑の衣装まで赤裸々じゃないですか。
「……グスン」
だが穂香の攻略法は的を得ていた。ぬいぐるみの下半身を鷲掴みしたアームは安定した体制で運び込まれ、穂香はクレーンから見て東の湖に設置されている次元の穴『ワープホール』へとぬいぐるみを運び込む。
そのままストンと落としていくと、そのぬいぐるみはみのり達の頭上へとワープして落ちていった。
――ドーン!!!
「「きゃあ!!」」
GETしたぬいぐるみは間近で見るととてつもなくデカかった。
このデカさは女の子の胸元はおろか部屋だけでは足りない、学校の体育館でやっとの大きさであろう。だが一生分モフモフしてられる程の安らぎは得られるのかもしれない。
「こんなおっきなぬいぐるみ、一体誰が捨ててったのかしら?」
キムさんの証言によれば数日前に、空から急に『ワープホール』が現れたかと思えば滝のように巨大玩具が降ってきたんだとか。
どっかの巨人がゴミ箱感覚で捨てたのだろうか、想像し始めたら切りがなくなる。
すると操縦していた筈の穂香が一旦クレーンから降りて、ぬいぐるみの周りをゴソゴソと何かを探し始めた。
「……やっぱりあった! 『オーブらしきもの』です!!」
「おぉ!!?」
何とぬいぐるみをGETしたかと思ったら、穂香の右手にはあの透明な珠。ちゃっかり『オーブらしきもの』も纏めて取っていたのだ!
「UFOアームの間にぬいぐるみの手を巻き込みながらオーブらしきものも一緒に掴んていたみたいで、思い通りのプレイが出来ました!!」
「「穂香ちゃん、すごーーーい!!!」」
みのりもレミも穂香のファインプレーに拍手喝采。
「じゃ早速本物のオーブか確かめてみましょ!」
みのりと穂香はすっかりはしゃいでGWクエストそっちのけでオーブかどうかを確認する。
――すると、そのオーブらしきものを眺めていたキムさんが何かに気づき警告をし始めた。
「……いかん! お嬢さん達、それはオーブなんかじゃない!! 直ぐに手放すんだ!!!」
「「え――――?」」
プシューーーーーー!!
何といきなりの驚天動地、オーブらしきものからマゼンタのヤバそうな色の煙が吹き出し、みのりと穂香はそれに巻き込まれてしまった!!
「穂香ちゃん! みのりちゃん!!」
幸いにもその煙から離れていたレミは近づけんとキムさんの制止を受けながら二人を呼び掛ける。
そして……数秒経って怪しい煙は晴れた。
二人は無事だろうか……と心配していたらば。みのりと穂香は何も変わったところはないが、ただ一途に互いに見つめ合っているではないか。
(……あれ? みのりちゃんって、こんなに可愛かったでしたっけ――? 私の妹……いやそれ以上に、娘みたいで可愛い……!)
(ん……何だろうこの感じ……穂香ちゃんのおっぱいが、柔らかそうで、良い香りしそうで……無性にも吸い込まれていきそう――!!)
……何だ何だこの感覚は?? 二人の間に広がる風景に百合の花が咲いたというか、二人とも目の色がハートマークまっしぐらだぞ!!?
「みのりちゃん大好きぃぃぃぃぃ!!!!」
「穂香ママン♡♡」
何だァァァァァ!!!? ゲーム・ウォーリアーが急に百合小説と化したぞォォォォ!!!! ……てか前作も似たような事あったような。
「………………(レミちゃん・白目)」
穂香は聖母の如くみのりを暖かな包容に包み、みのりは穂香の巨乳にスリスリ気持ち良さそうに惚気けている。そしてみのりと場所変われと思った男性読者の皆さんは正直に挙手しなさい、怒らないから。
「キムさん! これは一体どういう事ですか!?」
「あれはオーブに似せてお嬢さんらプレイヤー達を騙すために作られた『トラップアイテム』の一つや。透明なオーブを持ったプレイヤーを媚薬にも似た惚れ効果のある煙を出して混乱させる『ホレチャッタン珠』だ」
「なんて事……」
プレイヤー達を欺くトラップアイテムは、小説の傾向すらも混乱させてしまうのか。恐ろしいアイテムが存在したものだ。次回から百合版ゲーム・ウォーリアー、始まっちゃうのか!!?
「ああああああ好きぃぃぃぃぃ!!!!」
「ママーーーーー!!!!」
うるさいッッ!! ――本日のゲーム、これまでッッ!!!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




