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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
2ndSTAGE―リアル&VR・2つの世界に揺らぐ魂!!―
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【GAME7−7】意地っ張り共の本音!!

 

 ――さて、二つの正反対タイプの小さな争いも収束間近。と言うのも剣の手に握る武器カード《ファイティングブレード》の必殺技煌めき、弧状のソニックブームが乱れ飛ぶ。


 〔ニノ HP150〕


 このままダメージが通れば、150ダメージが祐輔のHPにジャストに削られ剣の勝利……と行くのが未来予想図だが、そうは問屋が降ろさないのがゲーム小説の性。つまり……


「舐めるな!! 《カリキュラ・ボックス》の永続効果発動!! 『カリキュラム・ルーレット』!!!」


 浮かぶ数字・数式を跳ね除け突如現れたスロットマシーン。


 三つのリールが高速回転するなかで、祐輔は痺れる手を堪えながらもカードスキャンブレスのモニタータッチパネルでリールをストップさせる。


(さっき僕のプレイヤースキルを使ってしまったから、この発動は完全に()。これで乗り越えねば……!)


 強制的に数値をMAXまで上げるというチートは、PASスキルのルールによって一度しか使えない。即ちここからは己の集中力と運で剣の攻撃を逃れなければいけないシビアな展開。

 祐輔の単語・方程式の法則で凝り固まったインテリジェンス、それらをかなぐり捨ててゲームという戦に生き残るための運は掴めるか――!?


「……リール・ストップ!!!」


 止まったリールは……〔69〕〔✕〕〔0〕!!! よって必殺技『ソニックブレード』の攻撃力、


「【0】!!? オイマジかよ!!!」


 ゼロに100でも1000でもどんなに大きな数字を掛け算しようとも残すものは無し、よって答えは【0】。飛ぶ鳥を落とす弧状の真空波もダメージが無ければただのそよ風。インテリの底に秘めた負けられない根性が、終わる筈だったゲームの行方を左右させた!!


「しょぼくれてる所で悪いが、止めを刺されるはお前の方だ!!」

「!?」


『まさか!?』。口に出さずとも表情で聞こえてくる剣のピクッと反応するような仕草。そんな予感を的中させるカードスキャンの音が、祐輔のブレスから鳴り響く――!!


『アクションカード、【ビートショット】!!』


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクション・カード〉

【ビートショット】EG:①

 属性:赤

 ・効果:プレイヤーまたはユニット1体に

 100ダメージ。

 ◎――――――――――――――――――◎


 過剰ハートビート、発作にも似たショック一発で100ダメージ。効果ダメージカードとは改めて恐ろしいものだ。今の状況から見て剣がHP1の虫の息状態、そこに効果ダメージを100でも1でも削ろうものなら0になる。地に戻る、原初に帰るのみ……それは言い過ぎか?


「お前のチャンバラに付き合う気は無い。そのままこのカードショックでポックリやられちまえ!!!」


 冗談じゃない、切り札騎士の剣が心臓発作でゲームセットなんてとんでもない!! メインキャラに粗雑な扱いは


 ――バチィッッ!!!


 ……と私のボヤキもガン無視されつつ、《ビートショット》でショック一発、剣は100ダメージ食らってゲームセッ……



 〔エース HP1〕



 …………トされていない!!!?


 近距離で祐輔の前に立つ剣は、何故か()()()になりながら嫌味な笑みを浮かべて立ち尽くすのみ。貴方は幽霊か幻か!?


「なっ……?!」


 確かにカードは発動処理を終えて、剣にダメージを与えた筈……そう推定していた祐輔の分析回路が混乱し始めた時、遅れて発動エフェクトを知らせるウィンドウと、アナウンスが鳴り響く。


『カウンター・レスポンス発動、アクションカード【インビジブル】!!』



 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクション・カード〉

【インビジブル】EG:②

 属性:青

 ・効果:プレイヤーは10秒間

[インビジブル]状態になる。

 ◎――――――――――――――――――◎


 自身が透明化、即ち[インビジブル]状態になって、祐輔の《ビートショット》の対象を無効にし、対象不適正で自然消滅させたのだ。


「これで、()()()()()()が出せるな……!!」

「何ィ……ッ!!?」


 ピラっと魅せた僅か1枚の剣の手札、全てはこの一撃の為に、初期手札5枚をフルに使って勝利を掴むために温存したラストカード……スキャン!!


「アクションカード……【起死回生の一撃】!!」



 ◎――――――――――――――――――◎

 〈アクション・カード〉

【起死回生の一撃】EG:⑤

 属性:赤

 ・効果:プレイヤーを対象にする。

 そのプレイヤーのAPは初期HP数値よりも減少した

 数値分を加算した数値となる。

 ◎――――――――――――――――――◎


 剣の初期HP数値は1500、現在のHPは1。そこから引くと数値は【1499】!


 《ファイティングブレード》から加算されたAPの数値は、『1599』!!



「お前が《カリキュラ・ボックス》で俺を仕留められなかったのが運の尽き! 頭良いだけじゃゲームはまかり通らねぇぜインテリ野郎!!」

「ふざけるな!! 僕はまだ終わっていない!!!」


 しぶといのは剣だけではなかった。祐輔も再び《カリキュラ・ボックス》でカウンター・レスポンスを図ろうとした、その時!!


 ――ビリッ!!


「!!!?」


 先程の『麻痺』の痺れがここに来て出しゃばり始めた!! 反撃に移ろうとボタンを押しかけた祐輔の指先に電流迸り、『カウンター・レスポンス』の発動を逃した……!!


(こ、こんな所でェェェェェ……!!!!!)


 電流と怒りで浮き出る青筋が、祐輔の致命的な不意へのこの上ない悔しさを物語る――!



「ウォォオオルラァァァァアアアアッッ!!!!!!」



 ――――HYPERSLASH(ジャキィィィィン)ッッ!!!!


 凄まじい斬撃に伴って思わず過剰演出する程のイングリッシュエフェクト、これぞ切り札騎士の真骨頂、剣の斬撃魅了し魅せられ勝負あり!!


 〔OVERKILL! ニノ HP150→0 KNOCKOUT!〕

 〔WINNER エース!!〕


 電子音奏でるファンファーレ、初期手札5枚のみで祐輔を撃破し辛勝した剣。HP1の首革一つ、繋げて戦に勝鬨(かちどき)を上げる。


「――――ぃよしッッ!!!!」


 天に掲げた右腕の拳、ゲームの勝利の胸の内にしまい込んで、送るは報酬・経験値。


 ◇――――――――――――――――――◇

 ・決闘勝利により 経験値1080 獲得!


 ・報酬カード

 スーパーレア《沈黙の孤高剣士》 獲得!


 エースは LEVEL21 にレベルアップしました!!

 ◇――――――――――――――――――◇



「――ち……くしょう……! ちくしょう!! ちくしょうッッ!!!」


 剣がレベルアップとレアカード獲得への高揚に浸るとき、丁度敗北した祐輔が意識を取り戻し、尋常じゃないほどに無念がる。そこへ真摯な顔で剣が祐輔に詰め寄った。


「……お前さ、一年前まであんなに優等生ぶって利口そうな感じしてたやんか。大人しくて喧嘩なんか縁の無さ気な奴で。それが俺がゲームでクラスの人気がそっち向いた途端に人が変わったみたいに俺に執着してやがる。

 ……今どんな気持ちや? ()()に駆られて返り討ちにされた気分は」


「…………」


 既に剣は祐輔の心の内を読めていたようだった。当の本人は暫く閉口していたが、多数のオーディエンスが見守る中沈黙を通すのが耐えられなくなった祐輔はとうとうカミングアウトした。


「……以前まで一匹狼で、ヤンキーで、クラスのはみ出し者だったお前が羨ましかっただけ――!!

 僕が学校で優秀な成績を出して皆や先生に認められるように……お前もゲームで理不尽を打ち砕いて、憧れを抱いたクラスの皆と仲良うなるのを見てるのが物凄く羨ましかった、悔しかった、そして虚しかった……!!!」


 思い詰めれば思い詰めるほどにギリギリと唇を噛みしめる祐輔。ゲーム時代によってゲームが大衆に認められる一方で、勉強や学問でのキャリアが通用しなくなるこの時代。学生にとってもゲームのセンスが乏しく、勉強のみが頼りのインテリ勢は重大なコンプレックスを抱きやすい。彼もその一人なのだ。


「……お前がさっき使ったデッキ見せろ」

「――?」


 剣は何も追及せず、アメイジングデッキを祐輔から渡し黙々とその中身に目を通した。


「……やっぱり。ユニットカードが少なすぎるな。ツールとアクションだけで構成するのも悪くねぇけどこれじゃ丸腰も同然だ。数字で攻めるデッキならまず自分の身を守る配下も入れればもっと強くなるぜ!」

「な、何がしたいんだよお前!?」


 突然の剣によるアメイジングレクチャーに戸惑う祐輔。すると今度は剣が1枚のユニットカードを取り出して祐輔に渡した。そのカードは先程勝利して獲得した《沈黙の孤高剣士》であった。



「そのカードはお前にやる。……お前は俺にHPギリギリまで追い詰めた凄いプレイヤーなんだ。俺はお前を勉強だけが取り柄のままで終わらせたくないし、何よりもう一度戦いたい! ――ちったぁ勉強の息抜きで俺と遊ぼうや、インテリ野郎!!」


 剣の渡したカードに無粋な意味は無い。ただ純粋に、祐輔と仲良くなりたいという意味を込めた純粋な好意の証……なのかもしれない。



「……お前、この前の英語のテスト40点だったらしいじゃないか」

「ブッッ!!? 何や藪から棒に……」


「今度僕がテストの出る大穴教えたるから。勉強もしとけば……何かゲームにも役立つだろ? 少しは先生の授業くらい真面目に聞けよプレイヤー野郎!!」


「……素直じゃねぇな」

「お互い様」


 ――その時、プレイヤー族とインテリ族の代表同士の腕に固い握手が交わされた。

 ゲームを通じて知性と感情、水と油の相対性の境界線を超えた決定的な瞬間を我々は目に焼き付けた。

 結果、超次元ゲーム時代になろうともお互いを知れば皆兄弟。遊戯で繋がる絆は何よりも尊く、輝かしいものである事には変わりないのでありました――!!


 本日は【GAME7・プレイヤーVSインテリ戦争】を持ちまして、読み終わりで御座いますッッ!!



▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽

 

▶▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽


次回のゲーム・ウォーリアーは剣と祐輔が意地っ張り決闘している間に、みのり・レミ・穂香のトリプルガールズがゲームワールドオンラインでハプニング!?


挑むゲームは次回までのお楽しみ、是非とも予測等々で楽しみにしてみてくださいまし!!



 それではまたお会いしましょう良い子の皆さん!

いざいかん、ゲームに本気で挑む読者の貴方に、幸あれッッ!!

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