【GAME7-3】学園戦争!プレイヤーVSインテリ!?
――TIPS――
現実世界ではゲームワールドオンラインで頑張るプレイヤー達を応援するためのアミューズ施設も数多く設置されている。
例で上げるならば、一年前に大阪・梅田付近にオープンしたアミューズメントパーク『GALAXY』!
アメイジングカードの配布や公式イベントなど数多くの連携企画も稼働中!!
――ここは大阪・浪速区の市立『天童学苑高等学校』。
遠くもなく近いのかもしれない未来の学校生活、ましてや超次元ゲーム時代のスクールライフは我々には想像するには色んな論が飛んでくるのでしょうが……、意外と普通だったりして。
転じて舞台は高校の中、2階の2年3組に剣達はいた!!
「――なぁ剣、初日はどんなゲームしたよ?」
「せやな……まずチェッカー、コネクトフォー、あとアーケードタウンのスコアサバイバルってイベントで『ツイン◯ー』やったくらいかな」
「あ、ウチ知ってる! サプライズで勝ち残ったプレイヤーがオーブを持っているスピリットプレイヤーと『アメイジング』で勝負するって奴でしょ?」
教室に入ってからもクラスメイトは剣に質問の大嵐。こうも質問攻めだと面倒くさくなるが、好きなゲームの事なら苦にもせず剣は丁寧に返していく。
「もちろん剣も勝ち残ったんやろ?」
「え!? いや〜それがな……」
おっとと、この質問ばかりは剣さんも目を逸らして誤魔化したくもなるでしょう。何しろ……
「剣くんはね、私の為に主役を譲ってくれたの! 妨害するプレイヤーを必死で止めてくれて!!」
「みのりちゃんが!?」
「オイマジで言ってんのかこのジェントルメンが!!」
話を割って出たのは親友・みのり。カミングアウトにクラスメイトも驚く。早い話が前作では別々のクラスだった剣とみのりだが、今年で2年生になってクラス替えをしたのを機に見事同じクラスとなったのだ。
「……それで? わざわざみのりちゃんにオーブ獲得権譲っちゃって、ちゃんと成果は得られたのかよ?」
「みのりのプレイヤーステータスがその答えや! 見せてやれよ!!」
「はいはい、ちょっと待ってね……」
みのりは自分のプレイギアを取り出し、皆に現在のプレイヤーステータスを見せた。
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:フルル(河合みのり) ♀
・プレイヤーレベル:19
・ジョブ:『プリンセス』
・PAS:なし
[プレイヤーステータス]
・アクション:C・シューティング:C
・ロールプレイ:C・タクティクス:C
・スピード:C・ブレイン:B
・ハート:S・ミュージック:C
・ラック:B
※A〜Eの順で各ジャンルステータスの優劣を判断する。またAの先の“S”は多い程格上。
[プレイヤースキル]
・【お近づきの印】・【ライフ・スワップ】
・【ド根性】
[エンブレム]
・【第1回 レトロゲーム・スコアランキングサバイバル 優勝】
・【ハートフルオーブ獲得】
☆――――――――――――――――――☆
最序盤の時からかなりの急成長を見せているみのり。安定したステータスとレベルアップ等、ゲームでの条件で獲得したプレイヤースキルの下に『エンブレム』の表記があるのが見えるだろう。
『エンブレム』とは、ゲームでスコア新記録や完全制覇した時、イベントで優勝した時に貰える称号のようなもの。プレス◯でいう『トロフィー』みたいな感じでしょうか。とにかくこれを貰えることはプレイヤーとしての名誉でもあるのだ。
「スコアランキングのは、私がドン◯ーコングで1000万点以上出して、プレイヤーの中でトップになった時のエンブレム。オーブはそのまんまの通り」
更にこれでもかとステータスの下に提示される獲得したオーブの姿もしっかり皆に証明してみせた。
「俺はみのりなら絶対オーブ取ってくれるって思ったけどな! 全ては努力の勝利だ!」
「「「「すげーーーーーーッッ!!!!!!」」」」
これを見たクラスメイト一同は大興奮。しかしさっきまで剣に向けていた好奇の目はクイッと方向変換してみのりの方へ。まぁ物見高いと言うか、野次馬根性があると言いますか……
「まぁ話題の種なんてそんなもんさ。ビッグな朗報にこれでもかって喰らいつくもんな」
剣は半ば呆れながらも、クラスメイト達と和気あいあいと話すみのりを見て満更では無かった。
とはいえ、時代は進歩すれども内緒ごと程漏れやすいのが情報社会。クラスの仲とはいえ敢えて剣は皆に釘を指す。
「オイお前らオーブで盛り上がるのは良いけど、あまり広めんなよ!! 俺らにもプライバシーってもんがあるからな」
剣の注意の一声に一同ハッと我が身に返って落ち着きを取り戻す。
「……そうだった、オーブは貴重なアイテムなんや。皆に知られたらみのりちゃん達がゲームしづらくなるもんな」
「ゴメンはしゃいじゃって、これは私達の秘密にしとくから!」
これにみのりは『大丈夫、大丈夫』と優しい対応。それにしても剣達のクラスメイトも中々良い子達で関心関心。……あ、ちょっと待った。
何処のクラスにも言える話だが、全員が皆良い奴とは限らない。中には剣達の賑やかぶりを良しとしない生徒も居るようですよ?
「いい加減にしろよお前ら!!!!」
突然の怒号に明るいムードが一気に遮断される始末、その発信源は2年3組の中でも優秀な学業成績を持っているガリ勉野郎。いや、インテリジェンスと言った方が適性してるか。
その名は人呼んで刈田 祐輔。知性は柔けど理論は硬物の丸眼鏡。
「さっきから聞いてればゲームが上手けりゃキャーキャーと叫んでチヤホヤされて……それが何か勉強とかテストの役に立つねんな、えぇ!?」
これはこれは……どの時代にも『勉強とゲーム』、水と油の相対性にもさも似たりな論争は尽きないものなのですなぁ……
超次元ゲーム時代になっても、義務として習うべきものは読者の皆様と変わる訳ではないが、ゲームといったメディアミックス、IT関係にまつわる仕事が極端に発達しているのがこの時代。故にプロゲーマーも正当な職業もして成立している。
とはいえ、有名大学の進学や高収入の就職の為に自分の学力を試したい者も相変わらず減らない一方で。
剣達の世代ではゲームの実力を争う『プレイヤー族』と、学力を競う『インテリ族』の二つのタイプに分かれているのだ。
「――そんなの俺らの勝手だろ? インテリ族は黙ってノートに英単語メモって覚えてれば良いんだよ」
プレイヤー族代表剣の煽りにそうだそうだと同胞が拍車をかける。
性格は明るくなっても、大好きなゲームの事で茶々を入れることは無性に腹立つタチの剣。
「君はいつもそうやな!! 僕らの主張を直ぐにシャットアウトして二言目には『出てけ』で片付ける!! これだから学力の足りない単細胞どもは……」
――カチン……!
あ、ヤバい。今ので剣の理性がキレたぞ……!!
「おいゴルァ!!! 誰が単細胞だどの口がほざきやがったんですかぁインテリが、あ゛ぁ!!!?」
「僕はホントの事言っただけやでぇ、そうやって喧嘩の火種巻けば怒りが収まると思ってるんか単細胞!!!」
剣と祐輔。水と油。マーチン族にコーイ族。
一触即発で喧嘩勃発したかと思えば、ゼロ距離でキスするんじゃないかってくらい顔と顔とで近づけて、メンチを切り合うこの始末。
……と思いきや、メンチ切り合いながら意外にも祐輔から提案を持ち掛けた。
「……僕は思うたけどな、毎度毎度こーして張り合っていては埒が明かない。君もプレイヤーとして強さに調子に自惚れてる暇があるなら、この際ゲームでケリ着けましょか?」
「……ゲーム嫌いのテメェがどーゆー風の吹き回しや? 気持ち悪い。何か企んでんとちゃうか?」
「別に何も? 単に君の実力を垣間見たいだけ。それともプレイヤーを救った騎士が学門はからっきしで怖じ気付いたとか?」
「ッ……」
大好きなゲームの事になると用心深くなると同時に、己のプライドが強くなるのが剣の特徴にして弱点かもしれない。何を企ててるかは知らないが、それに臆する剣ではなかった。
「……良いぜ。だったらその勝負はお前に任せる。放課後にでもそのケリ付けたろうや」
「上出来。その約束くれぐれも忘れぬように……」
「当たり前じゃボケ」
――キーン、コーン、カーン、コーン
始業のチャイムと共に取っ組み合いも自動的に終わり、学業終わりの決闘を待つばかり。
かくして、プレイヤー族とインテリ族の争いが幕を上がろうとしていた!!
みのりさんはこの戦いどう見届けるんでしょうか……?
「私は剣くんの喧嘩に干渉はしないことにしてるの。触らぬ喧嘩に祟り無し!」
……今のところ、みのりが一番大人なのでした。
本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




