【GAME58-12】欺き、欺かれ、牙は誰に向けるか……!?
――『ユニットウォーリアー』、『アンノウンカード』、挙句の果てには『パワードXカード』。
ゲーム開始から一分も経たないうちに、切り札級のカード達を早々に展開して、“はよあんちくしょうのタマ取ったらんかいワレェ!!”と言わんばかりにデッキをフルに展開する狂戦士三人。
そんな戦意満々の牙を先に向けたのは、立海銃司。パワードXカードによるシナジー加速でカードコンボを連発し、鳳凰堂雲雀のユニットウォーリアー《森林のデュアルファング》消滅を狙う!
「えっとね、ちょっと待ってね。かうんたーれすぽんす!」
自分のユニットウォーリアーを狙われ、慌てふためきながらも、カードスキャンブレスのレスポンスボタンをポチッと押す雲雀。ゲームの進行を一時的に止めて、EGを④支払ってカードを装填。
『アクションカード、【コマンド変換指令】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【コマンド変換指令】
・属性:青 EG:④
・効果:①相手のコントロールする
ユニットを1体選ぶ。選んだユニットは
10秒間自分がコントロールを得る。
◎――――――――――――――――――◎
なんと発動したのは、相手がコントロールするユニット1体を、一時的に雲雀のものにするという横取りカード!
これでユニットウォーリアーへの攻撃指示を受けていた銃司のユニット《地獄の底の使い魔》を奪って、攻撃を無効化にさせる事も可能なのだが……?
「でも〜、ただ取るだけじゃ面白く無いから〜……デクルックスさんの”あんのうんカード“を貰っちゃうよ!」
「!?」
「……へぇ〜」
無邪気な顔して意外にも頭の切れる雲雀。攻撃コマンド中の銃司のユニットをスルーし、身構えていたデクルックスのアンノウンカードを選び、ユニットウォーリアーの盾にしようというのだ。
これには銃司も意外性を突かれ、デクルックスは思わぬ展開に不気味にも口元が吊り上がる。
「ホントはアンタらがドンチャンやった後にお披露目しようと思ったけど。ま、良いさ。お望みならば貸してあげるよ」
表面から見れば気前の良い兄さんか。いやいやその実態は、思わぬハプニングを引き起こしたくて仕方が無い愉快犯の姿か。デクルックスのアンノウンカード1体が、鳳凰堂雲雀の下にコントロール変換だ。
「わーいわーい! じゃコマンド指示する前に、そのあんのうんの正体を見ちゃうね。えーと…………。
――――ひょえええええ〜〜〜!!?」
おっと、どうした事か? 海外アニメ顔負けのオーバーリアクション。目玉が飛び出そうにも大袈裟な反応に、銃司や他のギャラリー達は呆気と懐疑が混ざり合った表情を浮かべた。
その間もなく、雲雀が銃司ユニットの攻撃に対する防御コマンドを指示する。
「それじゃ改めて……あんのうんカードで、悪魔さんの《地獄の底の使い魔》をブロック!」
さてここで、【アンノウンカード】のカードルールをおさらいしましょう。
アンノウンカードは、召喚する際にはEGコストを支払った後、表面真っ黒な“アンノウン状態”という仮初の状態で召喚される。
この“アンノウン状態”を解除して、本来の姿を見せる為には、もう一度EGコストを支払うしかない。
(※ただしカード効果によっては他方法で解除するものもあるが、無い場合はEGコスト消費が基本。)
そして、先程コントロール権を雲雀が得たデクルックスのアンノウンカードが発動された際、召喚に使用されたEGコストは僅か①。
だが雲雀が見せた大袈裟リアクションから読んで、生半可なユニットでは無いことは確かであろう。
では改めて、答え合わせ! アンノウンカードの正体や如何に!?
「アンノウンカード、おーぷんっ!――――【機械巨神 レッド・オクトーバー】!!」
影の塊と化したアンノウン状態が解かれたその刹那、その影をもぶち破り、地底の天井にも当たりそうな程のドデカイ機械の巨人が姿を現した! その正体をカードテキストで見るならば……おぉっ?!!
◎――――――――――――――――――◎
<ユニットカード>
【機械巨神 レッド・オクトーバー】EG:①
AP:1500 DP:1500 AS:20
属性:無 ユニット/ジャイアント
効果:①[オーバーブレイク]
(※このカードがブロックユニットを
攻撃した場合、 そのDPをAPが超えた分だけ
戦闘ダメージをプレイヤーに与える)
②このカードを召喚する時、手札・
フィールドのユニットのAP合計が
1500以上になるまでリリースする。
それが出来ない場合、このユニットを
墓地に送る。
◎――――――――――――――――――◎
「攻守1500.……それに貫通能力の[オーバーブレイク]、だと……!?」
血の気の多い悪魔の顔色をも青褪める、とんでもない盾に驚嘆の色を隠せない銃司。
予定調和には狂ったが、デクルックスはこの正体不明のサプライズコンボを待ち伏せていたのだ。
「まぁ実際、【レッド・オクトーバー】は超弩級の能力を持ってる代わりに、召喚時に自分のフィールドと手札からユニットをAPの合計が1500以上になるまで墓地に送らないといけないリスクがあるけど。
それを解消させたのが、僕の【黒影の仮面】さ」
◎――――――――――――――――――◎
〈パーマネント・ツールカード〉
【黒影の仮面】
・属性:無 EG:②
・効果:EG X:自分がツールカードを発動時のみ
発動可能。自分の手札からEGがX以下の
コストのユニットカードを
《アンノウンカード》として召喚できる。
◎――――――――――――――――――◎
「コイツの効果でアンノウン状態で出させれば、召喚誘発効果も出ないから、こんなデメリットも関係なく出せるって訳」
「くっ……!」
カードのデメリットの死角を突いた有効的なカードコンボ。思わず他のカードゲームでも真似したくなるような組み合わせに、苦虫を噛み潰す銃司。
(僕の理想はユニットウォーリアーも潰して欲しかったんだけど、充分な成果だね。後は立海の戦力が枯れてるうちに【レッド・オクトーバー】で殺る……!!)
圧倒的なパワーで銃司の悪魔ユニットは粉砕されて10秒経過。【機械巨神 レッド・オクトーバー】は次の殺戮計画を立てるデクルックスの下に返され――――
CRASH!!!!!
《【機械巨神 レッド・オクトーバー】撃破》
「………………はい???」
デクルックスの眼前にて、機械巨神が粉砕。更に無情にもゲーム展開を記録するVRテキストから、撃破を知らせるログを目の当たりにし、呆気に取られるデクルックス。そんな撃破報告から1頁前に進めば……。
銃司に残されたEG①のカードが、機械の大盾を粉砕していた!!
『アクションカード、【死神の報復】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【死神の報復】
・属性:黒 EG:⑤
・効果:①[グレイブエンジン]
(※カード発動前にユニットが墓地に
送られている場合、このカードは
EG①で発動できる)
②フィールド上のユニット
1体を対象にする。
そのユニットを破壊する。
◎――――――――――――――――――◎
「馬鹿め、俺の血族は執念深いのだ。その腑抜けた面を引き裂かんと気が済まない程にな!!」
やはりカリスマ、やはり只では殺られない地獄の執念! 立海銃司の報復は、機械巨神をも屈しなかった!!
アクションカードの発動により、機械巨神が破壊されたログも確認したデクルックス。豆鉄砲を食らったような顔から一転。眉間に青筋を立てた笑みを浮かべながら、銃司目掛けて中指を天に刺す。
「やってくれるなぁ…………厨二病のクソガキがぁぁぁぁぁ〜〜ッッッッ」
この展開、普段ならば中盤の見せ所かと思わせる急展開。だが現実は序ノ序ノ口という非情。
互いのアイデンティティを見せつつ、互いに痛み分けた攻防戦。
純粋無垢にピュアスマイルを振りまく、鳳凰堂雲雀。
隠せぬ殺意に端正な美顔も、不気味な笑顔で引き攣るデクルックス。
そして悪魔的カリスマセンスで、ガソリンまみれの戦場に火花を散らさんとする危険野郎・立海銃司。
「何で俺だけ放火魔扱いされているのだ」
それだけヤバいことしてるって事よ!!
何はともあれ、退屈を嫌うバーサーカー同士の決闘演舞! 地獄の炎で殺られるか、血みどろの赤に染まるか!?
長丁場になっちゃった【GAME58】、ゲーム狂戦士三つ巴・前哨戦。――――ここで一旦、読み終わりで御座いますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
デルタのデクルックスと、南十字星の加護を持つ宗教団体『サザンクロス』との因果の過去……!!
その鍵を握るゲーム戦士とは……?
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




