【GAME58-4】弱者葬送・奴が執行する!!
――東京・千代田区。洋の風情漂う屋敷を本拠地に、50年以上に渡って日本随一のプロゲーミングチームとして名を馳せる『立海遊戯戦団』。
このチームには別の呼び名が御座いまして。数々の宗教の伝説において、破壊の為なら神をも反旗を翻す”悪“という名の悪魔【BELIAL】が、チームの別名としてプレイヤー達の間で知られていました。
そんな破壊の悪魔・ベリアルの名に相応しきキャプテン……もとい立海家の当代城主、立海銃司。今回のメインゲームは、彼が主役となっていますが……
『――互いに認識が食い違ってるようだ。我々はサザンクロスという組織が、地上の治安を裏ゲームやテロで掻き乱す反乱分子。こっちから見れば真っ赤な悪党だから捕らえるようにWGCに指令を受けてるに過ぎん。そうだろう?』
銃司は地底空間B2層にて、大人しげにプレイギアを片耳に付けながら、会話の様子を通話で傾聴していた。
そこから聞こえる会話の内容は、【GAME53】にてB6層に出現した、サザンクロス幹部『イプシロンのジーナ』と『ガンマのガクルックス』の決闘に挑む直前の大門史也のプレイギアから流れているもの。
あのゲームでは畠田レミが覚醒して、大活躍しましたねぇ!
『『『『アメイジング・クロスデュエル! READY!!』』』』
史也とレミの説得も虚しく、ジーナとガクルックスによる裏ゲームにて、アメイジング・クロスデュエルモードが丁度開始された様子。ところが、
『ジーナ…は前に戦………がある……ど、見………じ二人……も倭……んみ…い…速……型では無…………ね』
「ぬ……? 史也兄、急に聴こえが悪くなったぞ。史也兄?」
『賢…………判断…な』
『……え? ま……始…………か……よ!?』
ゲーム開始と同時に、急激に銃司のプレイギアの着信電波が不安定になっていった。B2層からB6層までの深層でも安定していた電波が、アメイジングのVRフィールドの展開により通信不通になった様である。
「恐らくゲームの公正を期する為に、VRフィールドが他者からの通信を妨害する障壁になっているのだろう。チッ、このゲームはラジオ観戦も出来ぬのか」
等と舌打ちを交えて、史也達のゲームの様子を聴けない銃司は機嫌を損ねつつプレイギアの着信を切った。ATMの操作も、電話しながらは不正に思われますからねぇ。
「オレオレ詐欺みたいな言い方をするな馬鹿者! ……しかしこれは参った。これでは暇になるな。退屈は悪魔も忌み嫌う天敵なのだぞ」
傲慢城主も退屈は大の苦手。B6層が地底湖のエリアで、当の本人は水嫌いである事が原因で同行を拒否したばかりに、やること無しに――――
「今年は残暑がキツかっただろう? やっと涼しくなったんだ、俺が貴様を銃で風通し良くしてやろうか? 眉間から」
是非やめてください。私が千の風になっちゃう。
「仕方あるまい、不本意だが俺も探索してみるか……? だが史也兄に待つと言った手前で、背く真似は気が引ける」
勝手な行動しては城主の面子に関わる。そして兄貴分の史也さんの胃が痛くなる。そこらは理解している銃司は、どーしたものかと悩んでる中で、要らん時に限って余計な奴が来た。
「あんらぁ〜〜? 赤い背広着たお兄様が、こんなとこで何してるのかしらぁ?」
B2層の裏プレイヤーにして、ヤケに薄い衣を羽織ってそこからハミ出た巨乳がオスを釘付けにする。明らかにセンシティブ案件なのでプロフィールが出せない女が、恐れ多くも銃司にナンパとは!
「ねぇねぇ、そんなとこに突っ立って無いで彼処のホテルで休みましょうよ! 拒否するなら身包み引っ剥がしても連れてくわ――――」
――――ギュュュュンンンンッッッ
「ひぎぃぃいいいい!!?」
銃司に近づくセンシティブ女に、突如襲い来る紅蓮の波動。銃司のマグナム銃のPASの波動を浴びた女は奇声を上げて腰を抜かす。
「口説くなら他の三流男にしとけ。◯婦が」
お願いだから口はオブラートに包んで。銃司さん……
下部に何やら濡れた跡を残しながら、怯えた女は後退りで去っていった。
「こんな屑どもを潰すなど、何の趣きも湧かん。サザンクロスの連中にも関わり無ければ意味が無い」
完全に興が冷めた銃司。忽ちに苛立ちも覚える中、退屈と同時に、何者かの気配に既に感づいていた様子だった。
「…………さっきから何を観ているのだ、貴様。用があるならさっさと出て来い!」
実は数分前から、銃司を監視していた者が近くに居た。その気配に気付かぬ訳も無し、後ろから差される視線に我慢ならなくなった銃司。
彼を観ていた者は果たして誰か? その真相も、一旦後に回しておきましょう。
▶▶▶ NEXT▽
――そんな事より、同じくB2層にて。ゲーム戦士達の活躍で一時は平穏が保たれたも思われたとある地区にて、とんでもない事が起きていた!
「う、そだろ……?」
「全く、歯が立たな……い!!」
「「おおぉぉ……!」」
圧倒的な実力差に敗れ、絶望する地上のゲーム戦士達。もう片やその活躍に歓喜する地底の裏プレイヤー達。その背景には、最も生かしてはいけないイカれた奴が居た!!
「なーんだ。地上のゲーム戦士も力付けてんのかと思ったら、束になっても雑魚は雑魚だったね」
デルタのデクルックス、地上のゲーム戦士を徹底的に潰しに舞い戻られた!!!
まさに地獄からの執行者と化した黒タキシード男。黒の装束に反して、手先にはアメイジングで撃破した後とは思えぬ程に、血塗られた赤で染まっていた!
「き、さま……! やはり脱獄してきたのは本当だったのか!」
「だが可怪しいぞ。忍野龍牙から聞いた情報とデッキが全然違うではないか!?」
此方はゲーム戦士と同じくして、デクルックスに撃破されたWGCの警備員。【GAME46〜47】にてデクルックスを確保した鳳凰堂の忍野龍牙の収集情報によって、メタ対策したデッキで彼に立ち向かったのだが……前回戦ったデッキとは別物のデッキで返り討ちされたらしい。
これには後続のゲーム戦士達も、立ち向かおうにも怖気付いて足元が思う様に動かない。同じくして、この場を立ち合っていた綾小路優も……
「ぁ、うぅ……」
前回の大口は何処へ行ったのやら。恐怖のあまり、蒸着タイム0.05秒並みに瞬時でヘタレと化してしまった。
「ザマァ見ろ、地上の奴らめ! 負け犬みたいにビビってやがるぜ」
「お前中々やるじゃねーか! その調子でドォンドォン殺っちまえよぉ!」
等と調子良さげに、デクルックスを応援する裏プレイヤー達。この発言がかなり不味かった。
「えー、もっと殺ってもいいのー?」
――――ゴキッッッッ
同胞と言うべき地底空間の裏プレイヤーの首根っこを、あらぬ方向へと圧し折ったデクルックス。
潰れた蚊の如く断末魔も上げられず、首を折られた裏プレイヤーの息の根は、一瞬で絶えた。
「な?!! アイツ仲間を……!?」
「アメイジングも起動してない……! マジで殺してやがる!!」
傍観するゲーム戦士に、襲い掛かる戦慄の時!
「別にお前等の為にやってんじゃないしー。喧しいから死んでろよ」
更にデクルックス、片手を裏プレイヤーの屍に掲げた瞬間。手から放出された黒いPASの波動が遺体ごと呑み込み、そのままデクルックスの体内へと吸収されていった。
「んー、珍味だねぇ☆」
これはゲームの範疇から、完全に逸脱された殺人行為。それをデスゲームと評し、平然と人命を喰らう男。化け物以外の何者でもない!!
「あー、そうそう。お前等のアンティもちゃんと払って貰わないと! カードデッキ、全部召し上がってやるよ!!」
デクルックスのPASの脅威は止まらず! 撃破されたゲーム戦士とWGCの警備員達のカードデッキを、ブラックホールの如く根こそぎ吸い取っていった。更に驚く事なかれ!
「しばらくお待ち下さい♪」
デクルックスは体内の色を変えつつ、吸収したカードデッキ達をシェイクしているような音を立てる。そして……
「上手に出来ました〜☆」
レンジでチン☆感覚か。畠田レミのアメイジング調合術のような生成術を使って、吸収したカードから新たなデッキを口から出したデクルックス。最早化け物通り越して、変異種と化したか(引き気味)。
「カ、カードも人も喰らい尽くすのか、コイツは……!!!」
裏プレイヤー・ゲーム戦士、両者に絶望の淵へと叩きつけるデクルックスの弱者葬送曲! 一体誰がこの暴虐を止めることが出来るのか!?
ゲームウォーリアーにグロは求めてません!!!
ガチなヘルプ求めたいけど、一旦の幕引き。――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




