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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
4th STAGE―ゲーム戦士魂大爆発・本当の正義は何処だ……!?―
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【GAME57-4】狙われた電撃爆酒・ゲーム拳士と飯の宿命!!

 ――リスタート・イン・マッチ! 相手を惑わす千鳥足、その隙に狙うは憎いあんちくしょうの喉。


月牙叉手(げつがさいしゅ)】と呼ぶ荒業で、喉輪引っ掛けて破壊する。これによって呼吸が行き届かなくなった拳士は、忽ちのうちにノックアウト。敵の頭上に表記されたHPゲージも一気にゼロにさせて、奈落道の拳士共は皆戦闘不能にさせていった。


 これによって雑兵は一掃。向かう所敵なしの高橋豪樹のアイアンフィスト拳。だが勝ち誇るにはまだまだ尚早過ぎるようだ。


「……ありゃ、ケーラスが居らへんな?」


 数十名の奈落道拳士相手にしていた故か、豪樹は肝心要の親玉・オケラ拳のケーラスを探すがVRフィールド内の姿は無い。それもギャラリーであるシェイパー兄妹・大山・小原の眼を欺いてのエスケープだ。


「あっ、豪樹さん! 心做しか地面が盛り上がってませんか?」

 サーブルズが、先程拳士と激戦を繰り広げた屋敷前の地面が妙にこんもりしているのを発見した。


「逃げたんですの?」とフローレンも疑うが、

「アホな、逃げたら逃げたでVRフィールドに離脱報告が出るで。おそらくは何処かに隠れてやがるのか……」

 豪樹が警戒しつつ、戦線離脱を否定する。


 ケーラスはオケラの能力を持つ奈落道の拳士。その習性に従うならば、オケラは地面を掘り進むのが上手い事が一般的常識。だが何故彼は地面に潜ったか? 豪樹を欺く為の隠密行動か、それとも別の目的か。


 すると何かに引っかかったのか、ギャラリーの大山が豪樹に尋ねる。


「……なぁ豪樹、あんさんさっき【電撃爆酒(デンゲキバクシュー)】がどーたら言うてたな。そいつを狙ってるってどない話や?」

「奴はデクルックスの命令で、裏プレイヤーを引き戻すのが目的じゃないのか?」


 大山と小原の疑問が確かならば、オケラ拳使いのケーラスの本来の目的は、デルタのデクルックスの裏ゲームに加担した裏プレイヤーの保釈を大山から許可させる事。だがケーラスが拳華成闘を半ば戦線離脱した状態でもしも、豪樹の言う通りに【電撃爆酒】なるものを貯蔵庫から狙ってるとしたら合点がいく。


 己の力を振り絞り、戦い抜くゲーム拳士は美酒に拘るものなのか。―――否、それは全てのゲーム拳士が闘う中で結ばれた()()()()()に関わる事であるのだ。


「……大山は覚えてっか? ワイや玲王達のような格闘ゲームに命を賭けるゲーム拳士ってのは、心技体の鍛錬を積むだけやなく、それに耐えうる肉体を創り出す事に重きを置いてる。闘う上で、生きていく上で最も重要なこと。即ち――――」



「―――――()()()()()()が目的なんか??」


 正確に言うならば、【闘うための飯】を重きに向く。これが超次元ゲーム時代における格ゲーで強くなるための糧となっている。


 近未来の格闘ゲームでは、特定のキャラクターを選ぶタイプよりも、プレイヤー自らを強化・クリエイトデザインしつつ、己の手足で動いて闘うリアルファイトタイプのゲームが大半を占めていました。

 そんな中で【拳華成闘】は、格闘技とそれにより変化する肉体美のリアルを追求する為に、画期的なシステムを導入したのです。


 それが【食と体の生命強化システム】という、我々の本来の生きる目的であり、業でもある食事をゲームに取り入れたプレイヤー育成システムの導入である。


 欲する食料は現実のみならず、ゲームワールドにて四散している食材や料理を食しても適応される。人間に必要な栄養源が、格闘における要素を十二分に強化し、その一方で格闘ゲームをほっぽらかしてグルメ思考に陥るゲーム拳士もしばしば。

 だがこのゲームシステムは、何時しか格ゲー界では常識的になっていったのだ。


 余談ではあるが、フルコンタクト空手のゲーム拳士が拳華成闘の試合前に、栓を開けて炭酸を抜いたコーラを一本飲んだのみで、見事にプロ級拳士100人抜きを達成した実績も記録されている。

 コーラの糖分エネルギーが、ゲーム拳士のスタミナ供給の役割を十分に果たした結果がこれである。


「……本当かなぁ」

「そんな食育小説にしちゃって、話ブレませんの?」


 シェイパー兄妹が疑問に思うのも無理はありません。何しろそれを証明する為のシーンが全然無いんですから!


「んにゃ、ヒントはあるで。さっき玲王達が地底肉まん食うてた時に気付けんかったか? 三人のPASの波動が、飯食って強うなってたんを」

 B4層の繁華街にて肉まんを食べていた時、玲王達BHFのPASが増幅していたのだという。


「そう言われると、確かに……」

「でも戦ってないから分からないですの!」



「それだったら、話先に進めれば分かる話でしょー?」


「……何してんですか、Mr.Gさん」


 地底肉まんと同じく名物である『地底たこ焼き』を頬張りながら、大山さん達らギャラリーと同じくゲームを観戦するMr.G兄さん。……アンタ仕事無いからって寛ぎすぎ。


「まぁまぁ、長いこと語りしてるんだから休みくらい頂戴な弟よ。……それよりも大山さん、電撃爆酒を保管してる貯蔵庫は何処にあるんですかね?」

「んぁ? あぁ、丁度私の真下さ。B4層の地層を掘って長年酒を保管できるように出来てる」


 拳華成闘のVRフィールドは、ドームの形をしているが上下の層にも適応する“柱”にもなっている。なのでオケラの特定を持つケーラスは、地底に潜って戦うことも可能。

 さっき大山さんが言っていたB4層の貯蔵庫も、VRフィールドの近くにあるから…………って、まさか。


「…………繋がった。ケーラスの野郎、その酒を狙う気や!!」

 豪樹の強面に焦燥の汗が滴り落ちた。


「でもどうやって地下に行くんですか!?」


 地底空間の層の間の地面は硬い。ケーラスのような力が無くてはどうにも掘り進むのは不可能。流石の豪樹でもモグラのような真似は―――――



剛嗚呼亜亜亜亜亜(ゴアアアアアアア)ッッッ!!!!!」


 地底の地面に剛腕一突! 直下する拳のスピードが地層の硬さに勝り、豪樹の身体にも入るほどの巨大な穴を造り、B4層へ貫通した!!


「―――――ほな、行ってくるわ☆」


 格闘王という名の鉄球玉、貫通穴へとホールインワン。1番ウッドもアイアンも無し、アイアンフィストのみで地下コースへ。



「…………何であんなんが、大阪のゲーミングチームに入ってんやろ」

「大山組入りゃ最強の用心棒になれるのに。勿体な」


 彼がシャッフルオールスターズに入ったのも、彼なりの信念をもってこそ。なのです。


 ▶▶▶ NEXT▽


 舞台変わってB4層、大山杏美専用の酒貯蔵室。

 当然格闘ゲームに特化したフィールドでは無いため、足場も悪く狭い空間。


 豪樹が直球で開けた穴と、ケーラスのクネクネと掘り進んで開けた穴。これが天井の木漏れ光、スポットライトの役割を果たす中、再び対峙する二人のゲーム拳士。


 そしてケーラスの手元には、電撃爆酒の一升瓶……!


「飲むのは試合の後でえぇんちゃうか?」

「馬鹿な。こんな美酒、呑まずにはいられねぇだろ!!」


 遂に開けられた秘密の美酒・電撃爆酒。ケーラスの口元にドクドクと注がれた時、ゲーム拳士と食が織りなす武力を発揮します!


 ――本日の試合はこれまで! マッチブレイクッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽


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