【GAME56-6】戰場に駆ける赤獅子を見た!!
――TIPS――
【VR格闘ゲーム・拳華成闘②】
ゲームモードは多数存在する。『ソロモード』『試合モード』『乱闘モード』等など。今回玲王達がプレイするのは乱闘モードである。
『乱闘モード』は3人VS無数人といった人数制限の無い格闘戦であり、両陣営のプレイヤーのどちらかが全滅するまで戦う。時間・ラウンド無制限の最もオープンなルールである。
――最先端型VR格闘ゲーム『拳華成闘』を、地底空間のグルメ街道にて展開する玲王・舞・龍青のBHFチーム。
奈落道のならず者拳士相手に、獣の魂を独自の奥義として引っ提げて、このストリートを舞台に戦おうとしております。この感覚からして、実況語りするのも楽しみな私Mr.G。そうと決まれば早速――――
『兄さん、ちょっと待ったーーーーッッ!!!』
ややッ、この語るも暑苦しいシャウトでお馴染みのあの声は? 私を兄と慕うナビゲーターは、もしやもしや!?
「格ゲーの実況語りなら何で私を呼ばないのさ! こういう時はファイヤーの“F”印の、Mr.Fが居るじゃない!」
おぉおお!! 懐かしや我が弟・Mr.Fよ!
……あれ、読者の皆様はご存知でない? あ、そうか弟が最後に出たのはサバイバーモードの一部だけでしたものね。あれから調子はどうなの。
「兄さんも知っての通りだよ! あれからずーっとカードゲームばっかで、私の出番が出せない状態が続いたでしょーに!」
そう言われてみれば。じゃ同じゲームウォーリアーシリーズの『A.I.M.S』は?
「あれは従兄弟のMr.Eに取られたの」
取られたって、成る程お前も苦労したんだな……
「私は永い冬眠期間を経て、以前よりも実況スキルに磨きを掛けました。一生の頼みではありませんが、どうかこの拳華成闘の実況を可愛い弟に譲って下さいまし……!!」
実況スキルというか演技に磨きが掛かったような。まぁでも、格闘実況は弟のが適任なのは知ってるし、ここは潔く譲ってあげましょう! 頼んだよ、弟よ!
「ははーっ、有難き幸せ!!」
「………………もう茶番終わりました?」
はい、もうおしまいにしますんで。茶番って言わないのサーブルズ君。
では語りをMr.Fに変換しまして、閑話休題!
▶▶▶ NEXT▽
――ヴァーチャルリアリティの仮想セレブリティ、無機質な地底に彩られた電球色ネオン。
いつかはチャイナドレスの可愛娘ちゃんと、手と手を組んで恋しチャイナタウン、なんて。初手から失礼しました。
今や奈落道のチンピラゴボウに脅迫されて、思うように営業出来ずの開かずのシャッター。殺風景なグルメ街道と化しましたクロスストリート。
そこに群がる善悪の拳士プレイヤー、メインディッシュの中華料理の為かプライドの保持か。拳華成闘の掛け声と共に駆け上がるは、闘獣魂のゲーム拳士だ!
「玲王達の闘う姿勢がそれぞれ違いますね」
「一番躍動感が広いのは龍青さんですの」
「そりゃせやがな、打撃型と組技型とじゃ構え方も全然違う。龍青は功夫を主とする拳法使いやから、足を大きくを広げて構えとんねん」
格闘技は拳だけでなく、五体全てを駆使して戦うスポーツ。最初はグーばかり構えていては、あっという間に足元を掬われますジャンケンポン。
龍青はサイドに身体を構えてのワイドスタンス、舞は空手・柔道のグラップを意識した高めの構え、足はベタ足。そして玲王は……
「彼の構え方は、拳では無いようだ」
「指先を突き立てて……空手の“貫手”使いですの?」
貫手とは、手の指を真っ直ぐ伸ばして指先で相手を突く技。平拳、一本拳よりも鋭利な拳として名高い空手攻撃の一つ。
しかし玲王の場合は指を繋げるのではなく、五本の指を離し、弱動物を威嚇するかの如く威を放つ。この構え即ち、獲物を狩る野獣の手である!!
ストリートファイトにおける勝利のバミューダトライアングル、BHFはこれを実践を持ってして実現させられるか!?
――――拳華成闘・乱闘モード、これより開始ませいッッッ!!!!
『READY.....FIGHT!!』
「雄雄々ォォォォォォォオオオオッッッ」
――――ドズッッッッッッ
「「!?!?」」
地底の冷気をもつんざく迅速の電光石火、先に敵陣に乗り込んで拳を向けるのは玲王!!
敵の拳が振りかぶる事をも赦さぬ、挨拶代わりで拒否不可の中段突きだァ!!!
「速ぁぁぁぁ…………!??」
打たれた奈落道拳士は、驚く間もなく改心の一撃によってノックアウト。VRで頭上に表記されるHPゲージが一気に底を付く一撃必殺。それに恐れ慄く隣の雑兵さん。近付いてきた玲王に反応し、無意識に拳を構えるも……
―――SCCCCCRATCH!!
〘5HIT CONBO!!〙
顔面に容赦なく振りかぶる五連ジャブ。僅か0,4秒の間に連鎖したコンボ攻撃に、敵は攻撃する間も叶わず地に顔を付けられる始末。
「野郎ッ!!」
流石に2度も同胞を尽く潰され怒り狂う奈落道。群れてでも叩き潰そうとするゴロツキ根性ひん曲がった連中。
囲んで鉄パイプ持って、死ぬまでリンチにしようとする魂胆か。だがそれも分かって玲王も、危険な敵陣地に自ら飛び込んだのだろう。
「甘い甘いっ! ッッしょと!!」
今度は玲王、長い脚を活かして円を描いて囲む奈落道拳士の足を一挙に払う! すっ転んだ敵に今度は玲王が馬乗りになって、剥き出し振りかぶるは野獣の爪!!
「うにゃにゃにゃ〜〜ッッ!!」
「ああああああああああッッッ!!!!」
拳士の胸元、服をも切り裂く三つ鉤爪の痕!!
完全に拳術の概念から離脱した、或いは本能を呼び覚まされるような、ワイルドな戦いを初手から魅せてくれるとは! 我々を文面からも感動されると同時に、何処かしら懐かしい感じが呼び戻されます!!
「どーだ! ジャガーのような瞬発力と、カンガルーパンチ。それにライオンの爪! みーんなオイラの育った島で身につけたんだぞ〜!!」
野生の血を滾り呼び覚ますパワー炸裂の玲王! 先手必勝で技も決まって有頂天、福井にある神社は弁財天白龍王大権現!! 実況ボケにしちゃ長すぎだ!!
「銃司様以上にシッチャカメッチャカですの……」
「大丈夫なんですか!? 武流とか文句言われません!?」
シェイパー兄妹も初手から、城主並の破天荒を見せられて早速の困惑状態だ。
「勿論普通の試合なら、反則で槍玉に上げられる戦い方や。だが拳華成闘は、全ての戦いを受け容れる。玲王の戦い方は、生きとし生ける動物の本能を戦いの中に組み込んだ大地の恩恵とも言えるオンリーワンな格闘術。
――――名付けて【天翔道赤獅子流奥義・百獣拳格闘術】!!!」
そして赤城玲王の魂、ゲーム戦士の異能力PASには【赤い獅子】の魂の形。これが拳華成闘の戦いの中で色濃く表れていた。
人の心に眠る闘志に、獣を司るゲーム戦士・ビーストハーツファイターズ。
玲王のみならず、舞と龍青も同様に凡人をも驚愕させる能力を持っていますが……それはまた次回へ持ち越し。
―――本日の試合、次ラウンドまでブレイク!!
弟よ、実況語りに結構良い味出てきたんじゃない!? by Mr.G
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




