【GAME56-2】武闘ゲーム戦士・BHF登場!!
――地底空間、地殻変動の影響を大きく受けて荒れ果てた環境と化したB4層。
狭く足場も悪い道を、五体満足の身体を駆使して突き進む豪樹と、シェイパー兄妹の3人。一時シェイパー兄妹の妹・フローレンが、体調不良を起こす程に息も思うように吸い込めなくなった。それほど空気薄な過酷な域。
豪樹の応急処置によって、フローレンも何とか再起出来る程に回復したが、今度が兄・サーブルズが息切れ切れに体力の限界値を超えていた。
「大丈夫ですの、お兄様?」
「な、何とか……ね。しかし気持ちよりも身体が追い付いてない感じだ」
運動神経抜群な所は、銃司をも認める程のサーブルズでさえも引き起こす不調。無理もありません。
ただでさえ慣れない地底空間に滞在し、地上よりも更に深い層で行動していれば、身体に相当な負担が掛かる。シェイパー兄妹、二人揃って疲労困憊の意が隠せない。………彼を除いて。
「無理もあらへん。花の都のおフランスと地底じゃ雲梯の差、身体が適応しきれてへん証拠や。おそらく立海んとこの鍛錬以上のキツさやろな」
等と語る豪樹さんは五体ピンピン! 疲労を見せないどころか、身体を動かし足りないのか鐘乳洞の柱を掴んで懸垂までしちゃってる!
「何という……」
「ずっと気になってましたけど、貴方一体何者なんですの!? どうして貴方みたいな人が桐山剣らと一緒にチーム組んでるんですの!?」
「何者もあらへんよ。ワイは大阪のしがないゲームジムトレーナーや。剣とは、以前ワイのジムを経営を助けてくれた御礼でシャッフルに入っとんねん」
皆さんは覚えてますか? 前作・極限遊戯戦記で、剣とみのりが初めて豪樹さんと会った時は、あのアミューズメントパーク・ギャラクシーではなく、自営業でジムを経営していたんです。
ただ当時は経営難で、借金が募って借金取りのヤーさんが出て来るほどの窮地を立たされた所を、剣のアイデアで、ギャラクシーにて格闘ゲームのエキシビションマッチを行った。
これが大反響を呼び、豪樹さんはゲームジムをギャラクシーの店内へと移転。かくて今日より有名高きゲームジムトレーナーになったのです。言うなれば、剣は豪樹さんにとっては恩人でもあるのです。※『極限遊戯戦記』第8話参照。
「ワイはシャッフルに入って、剣たちを最強のゲーム戦士に仕上げる事も、脅威から守る事も、みんな自分の意志で決めてここまで来とんねん。それが可愛い教え子を護るワイら大人の責任やからな。二人にも面倒見てくれる保護者が立海に居るやろ?」
「あっ、はい。勿論」
「史也さんや、紅蓮城の門番の瑠璃さんに……皆フローレンや御兄様に優しいですの」
「せやろ? 大事な同胞には心身強くなって貰いたい思うて、皆厳しくも優しくもなるもんや。ワイも剣たちの強い姿見るのが楽しみでしゃーないんよ!」
等と言いながらカンラカンラと高笑いの豪樹。彼の言う事に嘘偽りが無いのは、性格からして分かってはいるのだが……何かを隠してる。シェイパー兄妹二人はまだ、彼の素性の一部でしか知らないのだった。
「……おっと、二人共ツイてるで! あっちに食事処があるやな、ここらで休憩しようか!」
鐘乳洞やら洞道を抜ければ、そこには電球色の明かりやら電飾やらで彩られた、大きな鳥居が入り口印のグルメ街道・食事処……って食事処!!?
ちょっと待ってくださいよ、そりゃ世界観の筋が違うでしょう! 前述した通りにそもそもB4層とは地殻変動の影響が特に―――
「ここらはその地殻変動で流れ出た溶岩とか、地底熱を利用した飯が有名でな。これを商売にしたいっつー料理人の為に、鳳凰堂孔雀さんがわざわざこの為に土地舗装した。と言えば納得いくやろ?」
あら〜それ言われちゃったら納得せざるを得ませんね。よく考えれば、こんな地底に何十年も人が住むくらい文明の力が進んでる時代ならば、あり得なくも無いですよね。そーゆー事にしましょ!
「やれやれ、物語を仕切る役が設定に納得しちゃ世話せぇへんな!」
なぬ?
「いやいや、こっちの話や」
さいですか。じゃ改めまして、B4層の隠れ家レストランよろしく、屋台や食事処を寄せ集めたグルメ街道に踏み入れた豪樹ら3人。
天井に付くほどの高くそびえ立つ赤い鳥居をくぐれば、各々のお店から立ち込める蒸気から、料理の食欲を唆る香しき匂い。この香りの殆どが、中華料理に使われる香辛料のようだ。
「ここは火山に近い位置に建ててあるから、その溶岩から出る地底熱を使っての料理が多いねん」
「この蒸気から察するに……蒸し焼き料理とか?」
「おっ、流石おフランスは料理に長けとんな。ズバリここは、地底印の中華街店って所や」
という事はここは、地底空間版の横浜中華街って所でしょうか。
「ここの肉まんが結構美味いんやで〜、半分に割ったら一気に肉汁ジュワ〜やし、皮まで甘い絶品やがな!」
「ニクマンって、蒸し焼きにしたブリオッシュの事ですの?」
「ほら、銃司様も食べていただろう。桜様が蒸し焼き器で調理していたあれだ」
シェイパー兄妹はフランス出身の為、中華料理の事は疎い様子。豪樹の話やら噂も聞けば、唾も飲み込む程に興味が湧いてくる。
「ここはワイが奢ったるから、腹一杯食おうや!」
「そんな! フローレンを助けただけでなく、ご馳走にまでさせるなんて」
「そうですの! 至れり尽くせりでは立海の面子が……」
―――きゅるるるるぅぅぅ〜〜
「「あっ………」」
遠慮するシェイパー兄妹から、鳴り渡る腹の虫の二重奏。食欲はプライドよりも正直だ。
「ワハハハ! 意地張っても腹は素直でえぇこった! 借りに思うんなら、ゲームで返せばえぇねん」
「「は、はい……」」
プライド高き立海のシェイパー兄妹も、流石にこれには頭が上がらなかった。
早速に豪樹は社会人の生命線であるガマ口から、お札を取り出して肉まん専門の屋台でご注文。
「おばちゃーん、地底名物・マグマ肉まん3個に……」
「ちょっと待ったああああああああああ!!!!」
突如、地底の静寂を突き破る叫び声にビクッと反応するシェイパー兄妹。その背後から迫る3つの人影が、こちらに迫ってくる!
「その肉まん、オイラが楽しみにしてたんだぞ! 独り占めすんな〜〜!!」
「独り占めしてないでしょ、ちゃんと注文してるじゃないの! てか待ちなさーい!!」
「全くこの食いしん坊が……」
その正体は赤・青・黄のスポーツインナーを着た二十歳くらいの男女3人。特に中央の赤インナーにたてがみヘアーの青年は必死の形相、全力疾走で豪樹に飛びかかった。
「うわぁ!? 何やねんな!」
「オイラにも一個残せ〜! 腹減ってんだーー!!」
この青年、見た目は成熟しているが内面はまるで子供のよう。しかし身体付きは筋骨隆々な辺りが興味に唆られるが……傍から見れば迷惑極まりない。貴方達一体誰なんですか?
「もういい加減にしなさい!! おじさんビックリしてるでしょう!?」
「空腹だからってさもしい真似するな、わたしのイメージが崩れる」
「だって〜〜!」
面倒見の良さそうな黄色インナーにおだんごヘアの女子、そして青インナーで長髪端正なナルシスト気質ありの男子が、赤インナーの青年を制止した所で、豪樹は彼らの姿を見て驚いた!
「ファッ!!? お、お前、もしかして……玲王か!?」
「ふぇ……?――――あ゛ーーーーーッッ!!!」
面識ありの豪樹の顔にきょとんとする“玲王”という名の青年。後に彼も、その仲間二人もびっくり!
「豪樹コーチじゃないですか!」
「2年間ぶりのご無沙汰しております!」
「おじちゃんどうしてたんだよ〜寂しかったんだぞー!!」
揉め合い転じて和気藹々、どうみてもシャッフルの知り合いではない3人に対し、豪樹は嬉しそうだ。
「中々連絡取れんで悪かった! 玲王、舞、龍青、ホンマ大きゅうなったなぁ〜〜!!」
感動の再会、とは聞こえが非常によろしい。しかし何のことやらさっぱりのポカーンなシェイパー兄妹は、ようやくその質問に繰り出した。
「あの……この三人は一体何者なのですか?」
「読者全員が知りたがってる事ですの」
そして私、Mr.Gもですの。
「この子らはな、ワイがシャッフルに入る前から最初の教え子達なんや。
―――格闘ゲーム専門のゲーム戦士チーム【ビーストハーツファイターズ】、通称『BHF』や!!」
遂に出現した新ゲーム戦士は格ゲー専門! その格闘士と、豪樹さんの関係やらその他諸々聞きたいことがありますが、全ては次回のお楽しみに。――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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