【GAME54-3】反乱分子組織・サザンクロスの正体!!
※この作品はフィクションです。実在のいかなる団体・個人とも一切関係は御座いません。
――幾度も地上の人々を、『裏ゲーム』と呼ばれる無差別破壊行為を繰り返してきた反社会的組織【サザンクロス】。
此等を超次元ゲーム時代の治安を仇なす反乱分子とし、ゲーム戦士や多くのプレイヤー達の共通の敵として認識させて、総動員で確保しようとするWGC。
サザンクロスの方も、地底にのさばる裏プレイヤー達の憂さや恨みを利用して、裏ゲームに加担させてその規模を広げていく。今では全国各地で裏ゲームを引き起こしては、地上の者達に恐怖を与える存在になったこの組織。
…………しかし、本当にサザンクロスは反社会的組織なのでしょうか?
WGCに洗脳されて、絶対悪と錯覚していたのか。SNSで害悪なコメントやらに踊らされて勝手に悪人と決めつけてたのか。或いはコンプライアンスの関係……は倫理の方々に騒がせといて。
メディアやソーシャルネットワークの概念だけでは、本質を見抜くのは決して容易な事ではありません。
故に現在、指名手配中のサザンクロス幹部・ジーナとガクルックスを追い詰めているレミと史也が、ここに来てサザンクロスの本質を問おうとしている。
それは彼女自身がやっている事自体が、間違っているのではないかという疑心があったからだ。
ならば、本人の口から聞く方が早い。……だが敵認識している幹部達の言う事が、真実であるかどうかを判断するのはレミ達次第だ。
「……つまり君たちは、我々サザンクロスの存在を残虐非道のテロ集団と思うのは、違うと言っているのか?」
ガクルックスはレミの疑心に対し警戒をするどころか、彼女の考えを持つこと自体珍しい目で関心を持っていた。
「だっておかしいでしょう? そのテロの大半を引き起こしてるのがデクルックスだとして、貴方達はソイツの仲間じゃないって言ってる。意見の食い違いには組織の根本的な思想とかあるはずよ。何をして地底まで逃亡する所まで堕ちたのよ?」
今までのレミさんから見ても、ここまで話の違和感を掘り下げて主張する事はありませんでした。それだけに地底空間の事に深い因縁があるのか、はたまた彼女なりの成長故なのか。
それはともかく、重要なのは幹部からのサザンクロスという存在に対する証言だ。
「実は……我々は結構長い事B7層の鳳凰堂の者達と対立していて、彼らと衝突し倒した事も一度や二度の話では無いから潔白は主張出来ないのだが……邪悪であることは決して無い。
―――我々『サザンクロス』は、本来は豪・オーストラリアから渡来してきたゲームチームなのだ」
「お、オーストラリア!!?」
意外やまた意外! サザンクロスは海外南国から来ていた外来ゲームチームだったとは!!
物語長い割には日本に留まっているゲームウォーリアーの舞台でいきなり海外って……あ、フランスは一度出てたか。立海のシェイパー兄妹の故郷ですし。
「正確に言うなら、この幹部の長が豪出身というだけの話だ。“南十字星”の加護の元に、ゲーム戦士達の平等を願い、幸有る人生を導く思想を教示する事を目的としているのだ」
「もしかしてサザンクロスって、一種の宗教団体って事なの……?」
そもそもサザンクロス=南十字星は、大航海時代にて正確な南方向を知る上での指標とされていた。真っ暗な海の上を移動する航海士たちにとって、夜空に輝く十字架は「神のご加護」のような存在だったのです。
そういった意味も込みで、オーストラリアやニュージーランド、ブラジル等には南十字星を国旗にあしらっており、宗教もそれに大きな繋がりのあるキリスト教が中心となっているんだそうです。
「それが本当だったら尚更よ、どうしてそんな人達が地底に追われてる訳?」
レミは更に深掘りをしてくが、当然それを良しとしない者もいる。ジーナはそれに苛立ちながら話を割った。
「もう止めなよガクルックス! こいつらに話しても意味ないって、第一信じる様子も無いじゃない」
「だが真実を話さないのも不誠実だろう。聞いてどう判断するかは彼女達次第だ」
そういってガクルックスは、サザンクロスに纏わる話を続けた。
「時代は遡ること20☓☓年、ゲームワールドが誕生して、日本もゲーム文化がグローバルになってきた頃に、教示拡張も込めて沖縄に渡来したサザンクロスの創始者が渡来した。―――その人の名は、【シャーロット・ジョーンズ】」
彼女は熱心なキリスト信者であり、慈悲深い心の持ち主であった。それ故に人々から厚い人望を持たれ、理不尽に虐げられる弱き者も助ける。
混沌のゲーム時代においても、強き者と弱き者との共存を理想を掲げるべく、その文化成長が最も著しい日本にてそれを広げようと渡来していた。
「私やジーナ、そして他の二人のゲーム戦士も彼女の思想に感銘を受けて、この日本でサザンクロスの思想を広げようとした者の一人です。……まぁ一部を除いては」
だがそんなサザンクロスの思想伝来は、虚しくも当時の人々には理解されなかった。
未来でも現代でも宗教関連には非常にデリケート、かつ一部はタブーな意識を持つ者も少なくなく、それによってトラブルが生じて彼女らはゲームワールド・地底空間の何れかへWGCの手によって追放する事になったのです。
「まぁその中に、デクルックスが居たのは確かなんだが……アイツはシャーロット様とは面識が無いし、共存思考は皆無だ。思想に大いに反するテロを繰り返してるのも全て奴の仕業。だから我々は奴を同胞と呼ぶのは事実無根な事なのだ」
「……………それでも、何処かおかしいわ」
最後まで集中して聞いていたレミ、ここでもふと感じた違和感を主張する。
「アンタ達が地底空間に燻ってる経緯は分かったけど、大事な所が変よ。ゲーム戦士達の平等を思想に掲げてるなら、鳳凰堂の方も【裏と表の共存】って政策にも似てるじゃないの。何であの人達と敵対なんか―――」
「地底空間では一切の宗教活動を禁止されている。それこそ鳳凰堂孔雀のお触れによってよ」
ジーナが断言した決定的な敵対の理由。それなら納得せざるを得ませんが……待った、まだ何かがおかしい。
「………そうよ。確か鳳凰堂って、宮城仙台の『瑞鳳旋風堂』ってゲームチームと同盟組んでる話でしょ? あれだって神社だし、宗教法人の一環じゃない」
「全面禁止ではなく、地上の治安では一部は公認されているだけの話だ。判断基準は政府かWGCが決めているだろう」
史也さんも同調するように難しい話に付き合ってますが……今回のゲームウォーリアーは結構小難しい話が多いですからねぇ。付いていけるか心配です。
「しかしサザンクロスも不可解だが、私が特に理解に苦しむのは君の方だ、畠田レミ。宗教の話になった途端に顔を強張らせて、何がそんなに気掛かりなのだ」
史也の指摘からして彼女の様子を見るならば。いつの間にかレミの顔色は険しく、呼吸も安定していない。そして握る拳からはワナワナと、怒りを連想させるような過剰な力を込めていた。明らかに彼女の身に起きたことが関連しているようだ。
「………史也さん、宗教って私達人々を良い道へと導く為にあるものでしょう。でもその導き手が神でも何でもないばかりに、地獄へ突き落とされた人の気持は考えた事ありますか?」
「…………それは、君の身内に変な教団に入って虐待にでもされたからかね」
史也さん、そんなどストレートな事を申されても! ……いや、待て。レミの様子が余りにも真摯かつ怒りに震えているようだ。……まさか。
「――――そうですよ。あたしが地底に住むようになったのも、大山さんや小原さんと知り合ったのも、皆から虐められたのも……全部、人の汚い嘘で創られた洗脳が全てを引き起こしたんです…………!!!」
――――畠田レミに隠された真っ黒な闇。それは我々には想像しかねる程に、脆くも醜い心理から生み出されたものであった。
「それを決闘の最中で思い起こすのは効率上宜しくない事だ。その件はサザンクロスとは関わりのない連中だろう、アウトプットは終わってからにしておけ」
「………………分かってます」
それ程深刻な過去なのに、ゲームに集中しろという史也さんもこれまたお人が悪い! まぁ正論なんですけども。その話は決闘が終わってから。
「だがサザンクロスも不憫だと思うが、人間は法の下で生きる生き物だ。指名手配までは行き過ぎだと思うが、元々その法定を破る方が悪い」
「知らないわよ、そんなルールなんか! 豪にはそんな縛りは無かったし、あのWGCが勝手にルールを決めて、アタイ達の活動は違反だから出てけですって? ふざけんじゃないわよ!!」
ジーナさんが立腹するのも痛い程に分かる。文化の違いや思い込みで迫害に遭う状況は、歴史からなぞっても数多く差別や偏見が存在するものか。
これには宗教に深い因縁を持つレミとて、反論の余地は残されていなかった。
(彼女達が怒るのもっともね。政府よりも強い政権を持つWGCが縛ってる訳なら尚更……複雑すぎてこんがらがっちゃうわ!)
小説に小難しい話は豚に真珠か犬に論語か、レミも地底空間とサザンクロスの因縁を頭の中で整理しても散らかる一方。……しかし、それでも未だに引っ掛かる点が一つだけあった。
「………ねぇ、貴方達の仲間の残り二人も追放された話は聞いたけど、肝心の創始者さんは? シャーロットって人はどうしちゃったのよ」
そう言えば確かに! 創始者が戻ればサザンクロス再建だって出来るでしょうに。
「済まない、一つ誤解をさせてしまったな。我々幹部五人が追放されたのは、ここ地底空間だが……人々の治安を乱す反乱分子と見做されたシャーロットは別の場所に追放されたのだ。
場所はゲームワールドオンラインの最果ての地――――――【超次元空間】」
「……………………え?」
ガンマのガクルックスが証言した、【超次元空間】と呼ばれる未知のエリア。
そのエリアに無謀にも足を踏み入れた形跡を持つレミと史也だけが、その末路を知っていた……!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




