【GAME6-8】みのりよ、熱くゲーム愛を語れ!!
――スピリットプレイヤー・ジン、純粋な心に秘めたマゼンダの濃い色の覇気・PASが放たれた!!
そのPASの正体は武器や動物といった形あるものの投影でなく正真正銘の魂の表れ。プレイヤーのみならず人類皆が善の魂を持って生きていく上で必要な8つの徳。
つまり正義や敬意、信頼など人の心に欠かせない道徳性の精神を育てるための要素を【徳】と呼ぶ。
ジンくんのPASこそその一つ。名に相応しき八徳の一つ【仁】は愛を意味する最高の徳と言われているのだ。
「我は純粋なる心に秘めし【仁】の魂を司りし者、スピリットプレイヤー・ジン! いざ尋常に、全身全霊の仁の魂を受けてみるがいい!!」
ちょっと!? PASを解放した途端に人が変わっちゃったよ!!? ピュアなジンくん何処ぉー!? カムバーーック!!!
「あれがジンくんのPAS……!!」
「慈しみに満ちてるというか、気持ちが真っすぐで澄んだ目をしているねジンくん。そして物凄い覇気も感じるよ……」
「確かにジンくんも凄いけど……何なのよあのデッカイユニットは!?」
槍一郎と穂香がジンくんに見惚れているなかでみのりが指差すはPASのスキルで招来された切り札。
その正体は黄色い球体……なんだありゃ??
「――あ、そっち背中だよ。御挨拶代わりに前向かせなくちゃ」
背中!? ――あといつものピュアジンくんに戻ったぞ、良かった。それではその黄色ボールに振り向いてみましょうか。
――――クルッ、カパッ☆
「「「!!!!?」」」
巨大ユニットが横顔(?)を向けると球体がパックりと大口を開けてる姿がプレイヤー達に衝撃を与えた。
「僕の大好きなアーケードのキャラが切り札だよ! かっこいいでしょー♪」
かっこいい……??? いやプレイヤーの好きずきだから良しとしよう。
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【アーケードキング・ドットイーター】EG:⑩
AP:700 DP:700 AS:20
属性 黄 ユニット/ミュータント
・能力:[ジャイアント]
※この能力は[フライヤー]を持つ敵にも攻撃
・ブロックができる。
①このカードは戦闘による反撃ダメージを受けない。
②このカードが攻撃する時、相手の全ユニットの
ステータスはAP/DP共に半分に半減する。
◎――――――――――――――――――◎
フィールドのドットをパクパク食べ尽くし、邪魔するモンスター相手にパワークッキーで強化してモンスターをも食べちゃう雑食……失礼、食いしん坊なフェイマストゲームキャラ。名前を出さずとも何者かはゲーム好きの皆様には理解出来るでしょう。
バルーンファイ◯のステージにドデカユニット、なかなかにカオスな展開だが……
「構うことはない! ガン無視でそのままあいつに突っ込んで終わらせてやらぁ!!」
と血気盛んのモブプレイヤー、3,4体ものユニットを揃えてジンくんにダイレクトアタック。しかし切り札を出されたらそううまくいかないのが展開の常。
「そうはいかないよ! 《アーケードキング・ドットイーター》で攻撃!!」
巨大ユニットが攻撃した途端、フィールドに立つユニットの群れに変化が起こった!
「え……?! 俺のユニットが!!?」
『俺の』だけではない、槍一郎のもみのりのも全員のコントロールするユニットが青ざめて縮小している! まるでパワーアップを見た途端弱腰になるモンスターのようだ!!
青ざめてステータスが半分に下がったユニット達はジンくんに攻撃しようにも、100や50のダメージ。ダメですこんな攻撃ではしょっぱい。そんな不意をつかれたモブプレイヤーに悲劇が。
「そのまま相手も食べちゃえ!! 『パワー・イーティング』!!!」
大きな口を開けてプレイヤー目掛けて実食!!
「…………柚子胡椒かけた方がよかった?」
――――パクッ!!
〔HP500→0 KNOCK OUT!〕
ご安心ください。喰われても辿る先はリタイアと一緒でフィールドの外部に転送されるだけ。というよりも湖の人喰い魚に食いしん坊ユニットに、プレイヤー喰わせるってえげつないぞ!?
「細かいことはいーの! 勝てば何でも通るんだから!!」
なんか腑に落ちないなぁ……
(マズイぞ……僕の《ライトクリスタル・ドラゴン》が……)
(《オーク・インカネーション》のステータスが半分に……)
パックマンによるステータス半減によって強靭な盾となる槍一郎のドラゴン、パワーブレイカーの穂香のオークが弱体化、これにより何時パックマンの攻撃でアウトになるか分からなくなった万年王手状態だ!
…………ただし、彼女を除いては。
『ユニットカード、【救済ナース・ちゆちゃん】!!』
『ユニットカード、【キャニオン・ガーディアン】!!』
ステータスを半減されてもユニットが破壊されなければよし、そんな意を込めて窮地の中でもひたすらユニットを並べるみのり。これでもう20体目だぞ!!?
『アメイジングバトル・一時停止』
この光景を黙ってみていたジンくんもとうとう我慢の限界。佳境を迎えるアメイジングの刻を再び止めてみのりに文句を言った。
「……ちょっといい加減にしてよプリンセスのお姉さん!! さっきからずーっとユニットばっか出して、全然攻撃してこないじゃん!!!」
しかしそんなジンくんの憤りにも優しく対応しながらみのりは応えた。
「そんなことないわ。やり方はどうであれ私には私の攻略の仕方があるの。大きいユニットで攻撃するだけが戦略じゃないって、ジンくんが一番分かってるでしょ?」
「うっ……」
これにはジンくんも反論は出来なかった。アメイジングは自由奔放なカードゲーム故戦略云々に強制する権限は誰も持っていないのだから。
「……いや、まだ言うことがあるぞ! ホントは終わった後にでもと思ったけど今言わせてもらう!! ――お姉さんはどうして、ゲームに挑んでるの!?」
みのりはこの問いに若干ながら一驚した。
彼女は軽く首をかしげながらも自分に秘めた想いの丈を打ち明けた。
「それはね……、私もこの世界にまた来る一年前からずっと考えてたの。実力不足な自分を色んなゲームの知識で補ってまで何でゲームを追い求めるかって。……それで辿り着いたのはごく単純な答えなんだけど、――【楽しみたいから】!! その答えに尽きちゃうのよ」
「…………」
「とにかく私はゲームを勝ち負け抜きにしてでも楽しみたいし、知らないゲームに触れる喜びや出来ないかったことをやり遂げる達成感って、ゲームにはたくさん溢れてると私は思うの! だってそうでしょ?
――大好きなゲームを『楽しい』って思えることも、ゲーム愛って言うんじゃないかな?」
これは、みのり一人だけが導き出した答えではない。
彼女もまた剣と同じくして心を開ける親友と共にゲームに挑み、平凡ながらも目標を成し遂げようとする魂が非凡な答えを導き出した。【絆】が己の魂の道標なり。
「じゃそのゲーム愛、早く僕に見せてよ!!」
子供らしく楽しみを急かすジンくんにみのりは。
「慌てないで! ジンくんに見せるならとびっきりのを出さないと!! ユニットも努力も積みに積み重ねた、私だけのタクティクスを!!!!」
みのりの手札に宿る2枚の切り札、純愛プリンセスが放つビッグバンへカウントダウンが始まる――!!!
まもなく決着、どーなるビッグゲーム! 本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




