【GAME53-8】ヘヴィメタルが交わるとき!!
――湖上決闘・対サザンクロス幹部戦、開始から30秒も満たない序盤にて繰り広げる初手カードの攻防戦!
立海遊戯戦団・史也の久方ぶりの実戦投入は、2年以上前のブランクを感じない。それどころか今までの決闘が温かったのかと思わせるような、初手から本気のデッキコントロールが展開された!
現在、史也の手札は3枚。デッキ操作・EG加速・手札破壊と3つの展開を繰り出したにも関わらず、アドバンテージも損した様子は無い。これぞ立海遊戯戦団・参謀長の成し得る戦術か?
(悔しいけど、史也さんの展開力からしてスタートダッシュが完璧過ぎるのがあたしにも分かる。このチーム戦で足を引っ張らない為にも、なんとかフォローに追いつかないと……!)
ここで見えないプレッシャーに圧しているのは、シャッフルオールスターズ・畠田レミ。参謀長の智謀戦術に遅れを取るまいと必死にブラックボックスな頭脳を回転させ、史也と相並ぶ戦いを魅せたい所だが……?
「今度はあたしよ! ツールカード戦術を受けてみなさーい!!」
『カスタム・ツールカード、【先読みの松明】!』
◎――――――――――――――――――◎
<カスタム・ツールカード>
【先読みの松明】EG:②
AP:100 PP:10
属性:無 装備:プレイヤー
効果:このカードを装備し攻撃する度、
攻撃されるプレイヤーは自分のデッキの
一番上のカードを公開しなければならない。
◎――――――――――――――――――◎
「……プッ、何かと思えば松明ぅ? 舐めないでよ、アタイらはスライムとかゴブリンじゃないのよ!」
何か強い武器でも出すんじゃないかと構えていたジーナ。それが松明と分かった途端に吹き出し、煽りに煽る。
「うるさいうるさーい! 松明でもダンジョンやオープンワールドには役立つのよ、これでもくらえーー!!」
煽られてムキになるレミ、直ぐ様装備した松明をジーナに向けて攻撃した瞬間。例の起動型効果が発動した。
「《先読みの松明》の攻撃時、貴方はデッキの一番上のカードをあたし達に公開する義務があるわ! さぁジーナ、さっさと見せなさいよ!」
クロスデュエルモードでは、相手の対象を選ぶカードの効果には二人のうち誰かを選ばなくてはならない。そこでレミは煽られた仕返しにとジーナを、効果の対象に選んだ。
「いいわ、そんなに見たかったら見せてあげるわスケベちゃん!」
〔サザンクロス幹部チーム HP4200→4100〕
ジーナがデッキの一番上から公開されたカードは、【Mプロテクター・α】。防具装備のカスタム・ツールカードだ。
変な言いがかりを付けられたのは癪だが、これでファーストダメージを与えられ、ジーナのデッキトップのカードが明らかにされた。
(カスタム・ツールカード……やっぱり前回と同じように、ツールカード主流で戦うのかしら。だったらユニットも居なさそうだし、スピードには気にする必要は無いわね)
等と公開されたカードを手掛かりに、ジーナや未だ戦略の術も知らないガクルックスの出処を探るレミ。しかしここでしゃしゃり出るのは同胞の史也。
「『道具だけのデッキは展開は速くない』と考えるのは早計が過ぎると思うぞ、畠田レミ」
「ど、どーゆー事よ?」
更にそこから話を割るのは得意気なジーナ。
「あーら、そこの軍人兄さんの方が頭が冴えてるじゃないの。小娘の方が判断には劣るんじゃなくて?」
「ジーナ、ドロータイムも来てないのに決めつけは早すぎる。調子付くと痛い目に遭うぞ」
好戦的かつ調子に乗りやすいギャルっ子のジーナに対し、冷静沈着に彼女を嗜めるガクルックス。この場は彼の方が大人視線だ。
「分かってる分かってる! 丁度ドロータイムの時間よ、一気にぶちのめしてやるわ!」
本当に分かっているのでしょうか……? 余計な心配も促しつつ30秒経過、最初のドローカード!
《CARD DRAW》
先程のレミの《先程の松明》の効果で、ジーナのドローカードは既に先刻承知。
対してガクルックスは、手札破壊されそうな所を打ち消し無効にした以外に全くデッキの本質は分かっておりません。
果たして次に出すカードは何か。またしても先に展開してきたのはジーナ!
「アタイのかわいいユニット、しょーかん!!」
『ユニットカード、【キャノンロイド・V】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【キャノンロイド・V】EG:④
AP:400 DP:100 AS:10
属性:黄 ユニット/フォートレス
・能力:[コンバイン]
◎――――――――――――――――――◎
ガタイの大きい身体に肩には大型大砲2丁、ガンキャ◯ンと見まごう程の機械ロボユニット《キャノンロイド・V》。
前回の戦いには一切出なかったジーナのユニットカードを前に、レミの計算は相違なものとなった。
「嘘でしょ!? アイツがユニットカード持ってたなんて!」
「100%純正のツールカードだけでデッキを組む方が珍しい方だ。君も少しはユニットカードは持ってるんだろう?」
「え、えぇ……数える程しかないけど」
幾ら風変わりなデッキを持つプレイヤーは数多く居れども、多少なりとも配下を入れて戦力は蓄えたいもの。今までユニットカードを入れてなかったゲーム戦士は……剣さんと戦った早瀬ハルさんくらいですかね。
(EGが微妙に高く、防御力は望み薄なユニットだが厄介な攻撃力には変わりない。それに意味深に付けられた特殊能力も……)
《キャノンロイド・V》のカードテキストに書かれた[コンバイン]と書かれた能力。あれ、このワードは何処かで……?
「次は私の番、私も同じくユニットカードを召喚します」
ガンマのガクルックス、ジーナと共に最初のユニットカードをスキャンさせる。
『ユニットカード、【ガードナーロイド・S】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【ガードナーロイド・S】EG:④
AP:100 DP:400 AS:10
属性:黄 ユニット/フォートレス
・能力:[フライヤー][コンバイン]
◎――――――――――――――――――◎
ガクルックスのユニットは、超金属の翼を用いたステルス形戦闘機の形をした機竜ユニット。地底湖の天井の低い戦地で低空飛行する《ガードナーロイド・S》。
「彼女のが攻撃型なら、彼のは鉄壁の防御型と言ったところか。だがこれらが揃った所で厄介な事になる」
「また[コンバイン]……確かテトリス砲の武器カードもそんなのがあったような……まさか!」
レミの経験則から、脳裏に過るパズルファクトリーで展開されたジーナ戦でのフラッシュバック。まさか、ツールカードのみならず、ユニットも……!?
「ふふふふ……察しがいいのね小娘。そうよ、合体できるのはツールカードだけじゃない。ユニット同士も合体出来るものが存在する!!」
そして彼女が詠唱する、ヘヴィメタルユニット二体のフォーメーション指令!
「《キャノンロイド・V》、《ガードナーロイド・S》、【コンバイン】!!!」
合体フォーメーションの指令が下された時、二体のヘヴィメタルユニットは強力な電磁石の力によって分離、転じて合体体制に入る。
《キャノンロイド・V》の背中には《ガードナーロイド・S》のステルス両翼が装着、残りの竜の頭部やら胴体はキャノンロイドの胴体を覆うアーマーの代わりとなって、更に強固な戦闘ロボットに姿を変えた!
「コンバイン完了! 【ガトリングロイド・VS】!!」
二体のヘヴィメタルユニットが合体した事により、カードの内容も融合・改変されて、新しいカードがフィールド上に表記された。
合体ユニット、又の名を【コンバイン・ユニットカード】と呼ぶ……!!
「………これって作者の趣味?」
「彼は根っからのロボ玩具マニアとか自称してた」
レミと史也によって、不意に作者の趣向をバラされた事はさておき、未知なるカードジャンル【コンバイン・ユニットカード】を前に、どう立ちはだかるかゲーム戦士チーム!
湖上に散らすか戦火の華! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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