【GAME52-13】聖剣は、切り札騎士と共にあり!!
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◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔桐山剣 HP500 手札:6枚 EG:15〕
・ユニット:【剣に名を馳せし覇者 アース・ペンデュラム】
★〔ウルカーヌ HP750 手札:0枚 EG:19〕
・ユニット:なし
・カスタム・ツールカード:【終焉と再生の炎剣―RVテイン―】(ウルカーヌ装備)
※桐山剣、カードもスキルもユニット行動も封じられながらも格闘攻撃で必死に抗う。そして漢が腹を括って告白したその時、ウルカーヌの鎧から一筋の光が……!?
さぁ聖剣試練に、決着を付ける時が来た!!!
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――切り札騎士として、ゲーム戦士として、そして何よりも“漢”として、生を受けた者として。
一度を腹を括って、己の内に秘めた想いを解き放つ時が来る。それは今だと魂が悟った時、周囲の気配も顧みず、桐山剣は腹底から叫んだ。
“俺は、河合みのりの事が大好きだ”、と――――!!
魂より愛する者への告白は、受験や就職、或いは一遍死ぬ思いをする事よりも、ありったけの勇気がいるものと誰かが語った。
己の本心を開放出来ぬ者に、真の勇気は表れない。
剣の魂の何処かで、『照れ隠ししてる場合ではない』『たとえそれが片思いでも俺自身の気持ちは伝えたい』と思った事が何度もあった。
そんな彼が、告白する覚悟を決めたのは―――試練の中で何度も鼓舞してくれた、みのりの存在があったからに他は無い……!
だが彼の行動は決して正しかったとはいえない。みのりは洗脳状態で、PASの力を持ってしてもこれが届いたという保証は何処にもない。
意識を取り戻し、面と向かう前に告白した事は剣にとって、勿体ないズルさを見せていた。最後まで素直になれず、肝っ玉の小ささに剣は若干下唇を噛み締めていた………その時だった。
―――――――カッッッ
「ぬっ?! 何だ、この光は……!?」
突如、ウルカーヌの漆黒の鎧から亀裂が迸り、身体の四方から差し込む白い光のスポット。
そして光を浴びた剣からは、何処となく優しさに溢れていく暖かなPASの波動を察知した。
「これは、ウルカーヌのねちっこいPASとは違う……まさか、みのり!?」
これは夢か幻か!? ウルカーヌに洗脳された筈のみのり自らが、PASを覚醒させたというのか!!
しかし状況が状況であって、彼女のPAS覚醒どころの話ではなかった。
というのも、彼女の心から発した光が作動不能の剣のブレスに差し浴びた時、不思議な事が起こった!
「おっ、おおおおお!? 俺のブレスが使える!!」
これも奇跡か、役行者の霊幻か!? みのりのPASの光がウルカーヌによって封印されたブレスが、再び起動を開始されてウィンドウやらカードも召喚できるようになった! 太陽光にも勝る優しき閃光に、感謝感激雨あられ!!
「なん、だと……!? この我のPASの邪気が覆されるなど……有り得ないいいいいい!!!」
土壇場から予想だにしない展開の連続に混乱、転じて怒りに乗せて逆上するウルカーヌ。ガムシャラに炎剣・RVテインを振りかざし、剣のユニットに傷を付けようとしたがその心配は無用。
「避けろ、アース・ペンデュラム!!」
ブレスが機能を取り戻した今、その号令が耳に伝わりハッとなった剣豪ユニット、逆上するウルカーヌの剣筋もヒラリと交わす。伝説のユニットがボーッとしてちゃ様になりませんね!
《2CARD DRAW》
あっとここで、PAS発動で蓄積されていたウルカーヌのドローカード。一気に溜まった2枚を引いて逆転を狙う気か。纏めてカードスキャン!
『アクションカード、【業炎の玉】、二重発動!!』
えぇ〜!? 2枚とも火力カード!!?
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〈アクションカード〉
【業炎の玉】
・属性:赤 EG:④
・効果:プレイヤーまたはユニット
1体を対象にする。それに500ダメージを与える。
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「……あれ、絶対デッキ積んでね?」
「たとえそうであろうと、無かろうと……剣さんは此れくらいの事で屈しません!」
桜さんの仰る通り。切り札に愛された騎士は、こんなちっぽけな理不尽など怖くない!
「俺にもう一つ、PASがある事を忘れたか! ――PAS発動ッ、【セイントシールド】!!」
いざとなったら魂を込めろ! 己の全てを解き放ち、切り札騎士に鉄壁の加護を与える聖なる白銀盾!!
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・桐山剣のPAS【セイントシールド】確認。
PASスキル【絶対無敵の防御】発動!!
1分間、自分と自分のユニット全ての
ダメージを0にし、戦闘・効果で破壊されない!!
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「出たァァァァァ!! もう片方のPASや!」
服部のあんちゃん達は大歓喜。危機転じて最強の盾が剣の身を包み、ウルカーヌの業炎の玉を弾き返した!
「うぬぬぅ……!!」
これぞ絶対なる盾! 桐山剣の双魂PASの防御側、満を持して発動。ウルカーヌの怒り狂った業炎の玉など、ニ発撃とうが一切効かない痒くもない!
「……アンタが、500年前にマンドラに破れた理由。俺何となく分かった気がするぜ」
「何ぃ!?」
「敗北も知らねぇで、テメーの力と相手の力と比べて自分のが強いと優越感に浸る。そんなもん勘違いの自惚れでしかないし、それで八つ当たりされちゃこっちが迷惑やがな。みのりの身体をパクるとかも持っての他!」
「うぐっ……!」
歯に衣着せぬストレートな評価が、ウルカーヌの心の髄まで突き刺さる様子が伺える。
しかしこのような相手でも、剣にとっては“反面教師”のような立場。というのも、
「でもな、俺も下手すりゃ同じ穴のムジナになってたかも。聖剣の偉大な力に過信してたら、アンタみたいに三下に終わってただろうな。PASでブレス封じこまれて、初めてそれが実感したぜ。
――――強さを魅せるより、謙虚さを魅せるのが一番だってな!!」
“能ある鷹は爪を隠す”。力が正義と謳う者には一遍負けを知って、大人しくしてる方が利口か。
試練のゲームを通じて、隅々まで心身を鍛え上げられた桐山剣。彼ならば、あの聖剣を授けても何ら疑問は抱かない事だろう!
PASも二度使った、決め手のエースユニットも召喚した。だがこの過酷な試練、最後に締めるには何かが足りない。
「やっぱり、最後はコイツが無いと締まらねぇよな! ―――戻ってこいよ、GXキャリバー!!」
と言って剣、6枚の手札から1枚をブレスにスキャン!
『ツールカード、【蘇りの武器生成術】!!』
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〈ツールカード〉
【蘇りの武器生成術】
・属性:無 EG:③
・効果:自分の墓地に置かれたカスタム・
ツールカードを1枚、手札に戻す。
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『カスタム・ツールカード、【大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―】!!』
対象カードは勿論、《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》。再び剣の懐に聖剣が戻ってきた!
「……え、何? ペンデュラムも聖剣持ちたい? よっしゃ任しとけ。二人でフィニッシュ決めたろ!」
何を勝手に自分のユニットに話し掛けてるのかはさておき、繰り出す二枚目のカードスキャン。
『アクションカード、【コピー・アームズ】!!』
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〈アクションカード〉
【コピー・アームズ】
・属性:無 EG:④
・効果:自分はカスタム・ツールカード
を指名する。
自分の手札、またはフィールドに
そのアクションカードがあれば、
このカードに効果をコピーさせ、
発動することが出来る。
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「俺はコイツで、GXキャリバーをコピーさせる!!」
これはビックリ、蘇った聖剣をコピーカードで複製。そして[カスタムクロス]の装備コストを二回支払って、剣とアース・ペンデュラム両方に装備させた! これでも十分にウルカーヌのHPをゼロに出来る数値まで来た。
――――さぁ、さぁこれで討伐の準備は整った。時間と空間を超えて、霊に彷徨う騎士の怨念を断ち斬るのだ!!
「行くぞウルカーヌッッ、異界の地でゆっくり成仏してきな!!」
「…………い、嫌だ……!! 嫌だ、我はまだ死にたくは無いいい!!! もう一度マンドラと、マンドラと戦わせてくれ!! 我を負け犬のまま終わらせないでくれえええええええええ!!!!」
飛び掛かる剣と剣豪ユニット、この猛威にはウルカーヌも最早冷静に対処出来ず、腰を抜かして情けなく生き長らえた意味に悔やみの遺言を残すのみ。
力に自惚れし亡霊騎士の哀れなり末路、二つの双剣刃がその未練を斬る――――!!!
「切札騎士剣武術・二騎の陣!! ――――『双聖剣騎士・二段返し』ッッッ!!!」
SLAAAAAAAASH―――――――!!!!
ゲーム戦士とユニット、二人が左右相並んで中央のウルカーヌ目掛けてX字で一刀両断。
息をも殺した乾きの断末魔が途絶えたとき、みのりの身体を覆っていた漆黒の鎧は砕け散った。
〔ウルカーヌ HP0 KNOCKOUT!〕
『――――良クヤッタ。我ガ刃ヲ欲セシ切リ札騎士ヨ。今ココニ、オ前ハ我ノ真ノ持チ主トナッタ!
我、ココニ誓ウ。我ノ生命尽キルマデ、切リ札騎士ト共ニ有ラン事ヲ!!』
これは、GXキャリバーの魂の声。刃が持ち主を選び、それに相応しき者にのみテレパシーでその意思が伝わるという。
桐山剣は間違いなくGXキャリバーの持ち主として、聖剣自らに認められたのだ!
「………アリガトよ。これで俺も、聖剣に似合う切り札騎士になれたぜ………!!」
――――天に掲げし光の刃、GXキャリバーは切り札騎士と共にあり!!
▶▶▶ TSURUGI QUEST ALLCLEAR!!▽
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