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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
4th STAGE―ゲーム戦士魂大爆発・本当の正義は何処だ……!?―
405/468

【GAME52-12】お前に出逢えて、良かった……!!

◎――――――――――――――――――◎

 ◐AMAZING MIDWAY RESULT◑ 


 ☆〔桐山剣 HP500 手札:6枚 EG:⑤〕

 ・ユニット:【剣に名を馳せし覇者 アース・ペンデュラム】


 ★〔ウルカーヌ HP1750 手札:0枚 EG:⑥〕

 ・ユニット:なし

 ・カスタム・ツールカード:【終焉と再生の炎剣―RVテイン―】(ウルカーヌ装備)


※ウルカーヌの怨念に満ちたPASによって、桐山剣のカードスキャンブレスが作動不能!

聖剣も破壊されて、炎剣の餌食になろうとしたその時……!

 ◎――――――――――――――――――◎

 ――切り札騎士・桐山剣、起死回生の反撃へ!!


 ウルカーヌの怨みクドクド500年分のマイナスエネルギーが、身体を乗っ取られた親友の河合みのりの精神を蝕む。


 負の感情と決闘で蓄積されたダメージに苦しみながらも、みのりは聖剣を失い、戦意をも失った剣の魂に直接呼びかけ、全身全霊の鼓舞を送った!



『剣くん……! こんな奴に諦めるなんてらしくないよ!! ブレスや武器が使えなくたって、最後までチャンスを掴むのが切り札騎士なんでしょう!? 諦めちゃダメッッ!! 立ってえええええ!!!』


 苦痛のダメージに襲われながらも、掠れる声を必死に振り絞って贈る言葉は、大親友へのエール。

 その言葉を聞いて桐山剣。我が矜持に賭けてでもこの想い、無駄にしてなるものか!


 振り下ろす炎剣《RVテイン》の刃から咄嗟に回避し、五体満足の身体を奮い立たせる。だが今尚彼のカードスキャンブレスの機能はウルカーヌのPASによって封じ込まれている。カードの発動はおろか、ユニットのコマンドやプレイヤースキルの起動も出来ない。


 このような危機的状況を打破するには、やはりPASの力を使うしかないのか。

 剣の発動した能力のうち一つ、【ロングソード】は聖剣を呼び起こす為に使ってしまった。


 あと残すは盾のPAS、【セイントシールド】の能力は未だ発動を待機している。いざとなったら魂を込めれば、この修羅も乗り越えられる筈だ。



 では改めて読者の皆様に問いましょう! 桐山剣がこの逆境を超える為に、起こしたアクションとは!?



「コイツが、その答えだッッ!!!!」


 ―――――ガスッッッ


 〔ウルカーヌ HP1750→1700〕



「す、素手で……殴ったァァァァァァ!!!??」



 これにはフィールド外、神殿の門の内側で待機し、扉の隙間から覗き見をする服部のあんちゃん達に衝撃が走った!


 カードも武器も使わず、己の拳や蹴りでダメージを与える格闘攻撃。だが素手で十分に傷付ける事は出来ず、50ダメージを残すだけ。

 しかも当てた部分はウルカーヌの鎧の貧にゅ……じゃなくて胸部辺り。硬ーい所に当たって拳の方も痛がる。


「……何をしている。そんな微小な攻撃を繰り返した所で、戦況を覆せると思っているのか。笑わせるな!!」


 これにはウルカーヌも憎しみのボルテージを上げるばかり。手札は無い為、装備している《RVテイン》を振り回しては剣を追い詰める。それに対して剣は俊敏な動きで炎剣の攻撃を回避していく。


「死に損ないがチョコマカと……! それならばッッ」


 何を考えたか、ウルカーヌの炎剣の矛先は剣から一転して剣のユニットに向ける! このままではRVテインのダメージ付与効果で火力ダメージが剣本体を襲い、ノックダウンしてしまう!


 しかしそれよりも先に回り込んだ剣が、ウルカーヌの行く手を阻み、またしても喧嘩流格闘術で攻撃を仕掛ける。先手必勝のワン・ツーブロー!


 〔ウルカーヌ HP1700→1650→1600〕


「おのれ……そこを退けぇ!!」

「退いてたまるか怨念野郎! みのりの身体使って好き放題しやがって、えぇ加減にせぇへんとその鎧粉々にしたるぞ!!」


 桐山剣は、ウルカーヌにみのりの身体を乗っ取られた時点でブチギレ状態であった。勝利の為に、一度は憤怒をセーブしていた彼の精神状態も限界域に達し、戦意喪失寸前まで陥った彼を奮い立たせたのは、他ならぬ大親友・みのりの声があってこそ。


 傍から見れば、余りにも無謀過ぎる喧嘩戦法。ウルカーヌも小童を扱うかのようにあしらうかと思えば、それに剣が必死に抗う。


 この一生懸命な剣の勇姿が、此時遠方で見守っていた者の心情を、大きく変化していく事になるのだった。


「ええぞええぞ剣ぃ! その調子やぁ!! 最後の最後まで殴って喰らいついたれぇ!!」


 ―――その者こそ、服部詫摩。つい前まで浪速区の厄介者とレッテルを貼られた不良が剣に二度も敗れ、目の敵から好敵手へと立場も変わった中で、無意識なのかいつの間にか剣への声援を送っていた。


「あ、兄貴……アンタ、何時から剣の奴の応援を……」

「良いのであるか? あの男は、兄貴を三度も倒された男ですぞ」


 服部の行動に御乱心とでも思ったか、子分のA太とB太郎に心配そうな素振りで対応する。しかし当の彼は正気そのものだった。


「……アホ。んな事引きずった所で逆恨みになるだけやろ。あの時の俺様たちは親の身分も無い、どうしようもないゴロツキやったし、いつ警察から補導されてもおかしかなかった」


「そ……そないな事、言わんといて下さい! うちも身寄りなしな俺らを纏めてくれたんは、服部の兄貴でしょうに!!」


「お前等はそうであっても、俺様は剣とやりあった時点でもう終わりやったんやろうな。もしあのまま変わろうとする気が起こらんかったら、間違いなく時代に捨てられてた。―――世間から何も認められん奴が、自由気ままにのさばる事なんざ、あり得へん話や」


 神妙な表情で、子分にも言い触らさなかった自分への心情を明かす服部。その様子を同じく見守っていた立海の桜も、彼の本音に心を動かされる。


(服部、さん……?)


「よく考えてみぃ、剣が俺様らをスカウトせぇへんかったら、ギャラクシーの松坂オーナーにボディガードで雇われる事も無かった。生活費はどうにかなったが、結局剣を追い求めるばかりで周りを見ようとはせぇへん。何も変わらへんのや、俺様みたいな阿呆は……!」


「「…………………」」


 それは決して、服部だけが抱いている事ではない。現実の柵に縛られた者は皆、思うように生きられずに抗う者ばかり。このジレンマが多くの人々の心を苦しませる一因でもあるのだ。



「――――だけどよぉ、そんな下っ端な立場ほど、見渡せばすげぇ物が見れるってもんやがな。……もう一度、剣の闘ってる姿を見てみぃ」



「オラオラ、ビビってんじゃねぇぞコラァ!!!」


 〔ウルカーヌ HP1250→1200→1150〕


 ここまで来れば、桐山剣も原点復帰とばかりにヤンキー気質で、ウルカーヌに殴る蹴るの繰り返し!

 しかし表情は冷静そのもの。来たるべきチャンスを逃さんと必死にそのタイミングを見計らい、あの活気に満ち溢れ、盤上にて大いに暴れていたあの桐山剣を思い出させるような、パワフルかつフレッシュなファイティングスタイル。


 武器もカードも無いのに、彼から溢れる希望と湧き上がる勇気! 我々はこの姿を懐かしむと同時に、明日への元気を与えてくれる事でしょう!!


「……なぁ子分ども、お前らは剣を見て何を感じた? すげぇと思ったか? ヤバいと思ったか? ―――俺様達も諦めなければ出来ないことは無いって、勇気を与えられた感じせぇへんか!?」


「「…………………ッッ」」


「もう俺様はハッキリ言っておくわ。もう剣の事は憎たらしいとか思ってへん。寧ろ俺様はなぁ、こんなクズの輩と馴れ馴れしくつるんで来るアイツが気に入ったんだよぉ!! ムカつく程自信に満ちてて、腹立つほど陽気な野郎だが…………



 ―――――俺様はアイツと出逢えて、マジで良かったッッッ!!!!!」



 ライバルから口にした、桐山剣への感謝。次第に服部のあんちゃんの眼から流れる滝の漢の雫。その思いは遠きに有りても剣の元へは届くか分からない。


 ならば無謀でも構わないと、服部はマイナスエネルギー溢れるフィールドに果敢に近づき、渾身のエールを送った!


「オラァァァッッ、存分にいてまえや剣ィィィィィィッッ!!! みのりの嬢ちゃん救ったれーーーー!!!!」


 この腹底から飛び出した怒号の声援、否が応でも剣の耳に入るが、彼からは全然喧しくは聞こえず、魂にも響き渡る応援となった。

 その勇ましや服部の行動に心を打たれた桜と、服部の子分二人も、同じくフィールドに再び近づいて声援を送る。


「剣さーん! 諦めないでーーー!!」

「剣の兄貴ぃ! 俺達に無限の可能性を魅せたってーーーー!!」

「勝利は我らにありぃぃぃぃぃ!!!」


 マイナスエネルギーによる負担は、魂の熱気に失せて飛んでいったか。ギャラリー達の応援が、間違いなく剣の猛攻を後押しし、ウルカーヌに炎剣を使わせる間もなくその力を圧倒する!!


 〔ウルカーヌ HP800〕


「くっ……非力なお前の何処に、そんな力が……! 立って叫ぶ事しか出来ない凡人を揃えた所で、この我の何処に勝機が―――――」


 ガツンッッッ!!!


 〔ウルカーヌ HP750〕


 ごちゃごちゃ御託を並べ、己の強さを正当化しようと喋るウルカーヌに『じゃかぁしい!!』と言わんばかりの猛烈な頭突き一発。硬い鎧にぶつけて悶え、痛さのあまりに剣は潤んだ眼で叫ぶ。



「――――独りで強がって、勝手に強くなったと思ってんじゃねーぞ、コノヤロォォォォォォ!!!!!!」



 そしてまた一度、ふらつきながらも仁王立ちになってウルカーヌの前に立ち塞ぐ、切り札騎士・全身全霊守護の構え!!


「俺も服部のあんちゃんと一緒や。一度はダチに裏切られて、やさぐれた俺をもう一度ゲームに情熱を持たせたんは、みのりと出逢えたから! アイツとの出逢いが、俺をここまで強くさせてくれた!!」


 みのりだけではない。卓越したバトルセンスは槍一郎から、闘いへの執念は倭刀から、咄嗟のヒラメキはレミから、闘いにおけるタクティクスは穂香から、心と身体を磨き上げたのは豪樹から。


 シャッフルオールスターズの面々が、剣に多大な影響を与え、今こうして聖剣獲得へあと一歩と近付いていく。決して不可能な事では無い、仲間と共に歩んだ軌跡が、確かに桐山剣を強くしてくれたのだ。



「強いゲーム戦士にゃ、堅い絆で繋がりあって、そこから物凄い嵐を呼び起こすぜ。俺は一人ひとりの想いを受け取って、更に強くなってやる!

 その前に俺は………今から俺がみのりにずーーーっと伝えたかった事を、ここに宣言したらぁ!!」


 何を思ったか、桐山剣勢いに身を任せて親友に重大宣言! ………あれ、これってまさか…………!!?




「俺が心の底から“大好き”だって想うは唯一人!!


 ―――――河合みのりッッ、………俺も、お前の事が、大好きだあああああああああああああ!!!!!!!!」




 ――――――――カッッッ



 桐山剣、会心の一撃!!! みのりへの想いを全てぶつけたその時、ウルカーヌの漆黒の鎧から一筋の白い光。



 ―――本当の奇跡は、ここからだ。本日のゲーム、これまでッッ!!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽


小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!


更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!


次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!

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