【GAME52-1】聖剣クエスト・最後の対戦相手は誰だ!?
――さぁ、長いこと展開されました桐山剣の聖剣獲得権を掛けたGWクエスト、いよいよこれが最後のミッションに差し掛かります!
そしてこれこそが、剣にとっての最大の試練となるわけですが……果たして、彼に待ち構える対戦相手は一体誰か!?
今こそ《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》を手にするときだ!!
―――『オープン・ザ・ゲート』!!
▶▶▶ NOW LORDING...CONNECT!▽
――ここは電脳異世界、ゲーム戦士達の好奇心を駆り立てる『ゲームワールドオンライン』。
サービス開始から五十数年の月日が経った今も、未だに全ての地を踏破した者がいない程に広大なオープンワールド。その規模は、己の人生を全て捧げても足りないほどに壮大な空間である。
そしてこの異世界を踏破するという事は、同時にゲームワールドの謎を解き明かす事にもなる。
“このゲームワールド、プレイヤーやゲーム戦士達が降り立つ前の広大な大地にて、誰がゲームの文明を創り上げたのか。”
“ゲームワールドの安寧秩序を支える大いなる秘宝『G―パーツ』の存在は何か。”
“この電脳異世界に【神】は存在するのか。”
等など数えてみたら切りがない、ゲームワールドの魔訶不思議。一度そんな噂を耳にしたら、探りたくなるのもゲーム戦士達の性。
だがその謎を解き明かすのは決して容易な話ではなく、多くの者がそれに辿り着けずに挫折を繰り返した。
しかしこの電脳異世界の謎は、ゲームを繰り返すうちに思わぬ所で発見するもの。
今まさに聖剣カードを手にしようとする、桐山剣のGWクエストにリーチが掛かったラストゲームにて、我々はまた一つ、ゲームワールドの秘密に近付くことだろう。
【ゲームワールドの自由を守る為に戦い抜いた戦士、その者が使った聖剣に纏わる因果の物語】を……
▶▶▶ NEXT▽
――さて枕語りを終えて舞台はゲームワールド、場所は未特定のシークレットエリア。
桐山剣のGWクエスト、ゲームワールドに伝わる聖剣・GXキャリバーを獲得する権利を掛けた戦いも、いよいよ終盤を迎えようとしていました。
地下迷宮の『限界突破迷宮』踏破から始まり、地下20階層の空間にてゲームライター・早瀬ハルとの決闘。
そして必然的かアクシデントか、みのりが何者かに拉致されて、救出に向かうべく『オリジンロード』なる出口無き迷路を仲間の力を借りて無事に突破。
ここからが泣いても笑っても最後の試練。
そのラストを飾る剣の対戦相手は、オリジンロード出口の門の先にある、長い登り階段の先に待っているのだ……!!
「ったく……金の為とはいえ、必死こいて剣をここまで来させといて、長ぇ階段登らされるとかどんなバイトやねん!」
黙々と階段を登りながら、ブツブツと愚痴をこぼすのは『伊火様』のリーダー・服部のあんちゃん。
思えば転送場所のズレからアクシデント続きな彼、癪にもライバル認定の剣の掩護も担って、何とか九死に一生を得た彼。それに二人の子分であるA太・B太郎も疲労は隠せなかった。
「いやホンマに、あんちゃんの手助けが無かったら俺終わってたかも知れへん。マジで助かった! ギャラクシー行ったら高級菓子の差し入れ持ってくわ」
「ま、まぁ……あんま余計な気ぃ回せんでえぇねん」
剣も今回ばかりは、服部のあんちゃんに感謝の意が尽きない。やられれば剣だけでなく、全員が送還されるというプレッシャーの中で団結力が突破口を開いた。
いつも服部にちょっかいを出す剣の畏まりに、あんちゃんも調子狂いというか、遠慮というものを覚えたようだ。
「それよりも気になるのは桜さんでっせ。PASを3回も使って、俺らよりも彼女の方が疲れてんじゃないすか」
「大丈夫であるか? 何なら桐山でなく、我が貴女を背負って差し上げませうか?」
等と時実桜を気に掛けるのは、服部の子分・A太とB太郎。
オリジンロードにてPASの発動過多による疲労により、剣の背中におんぶしてどうにか突破出来た彼女。
これ以上剣に迷惑は掛けまいと、思うように動かない身体を引きずるように、剣と同行して階段を歩く。あ、こらB太郎、彼女を変な目で見ない!
「いえ……、私は先程よりも身体は落ち着きましたわ。貴方達の御厚意には心より感謝致しますわ」
「ホンマでっか! はぁ〜良かった!」
「なら心配は無用であるな。(はわわわ……あの桜様が笑ってくれた! まさか我に気があるのでは!?)」
やれやれ、美人のメイドさんにはとことん弱い子分さんだこと! あとB太郎、少しは下心隠しなさい。
さて残すは桐山剣。己の知恵と勇気、そして持ち前の豪運によって二つのPASを発動させず、最後の試練まで乗り越える事が出来た。
彼の周囲に廻った因果、カードデッキによって導かれた切り札。これこそが剣を聖剣の眼前まで近づかせた要素であり、彼自身の実力なのだ。
この類まれなる実力を無駄にしてはならない。
桐山剣よ、己の実力を全力で尽くし、必ずや聖剣をこの手に掴み取れ……!!
「しっかし何処まで続くんや、この階段は……」
思えば階段を登り続けてから数十分。始発地点が深い闇へと吸い込むように、先の見えない階段をひたすら登り続ける剣たち。
階段の両端には長いロウソクの炎と、剣を掲げた騎士の石像が交互に待ち構える真摯なる空間。
そこに人の気配は何もない、無機質な地を五人は突き進む。
「……! 皆様、あそこ……!!」
桜の指差す先に光あり。長い階段の終焉と、そこに待ち構える人の気配が……!
「あー、やっと来てくれた! 遅いよー、こっちは急いで転送してきたのに」
ゲームウォーリアーも長いこと連載してると懐かしいキャラが続々出るようで。
剣たちを待ち構えていたのは、銀の背広スーツを羽織った長身かつスレンダーなショートボブスタイルの女性。
「桐山剣くんは始めまして、だよね。私は凪原茜。WGCの治安防衛管理長っていうお巡りさんみたいな肩書を持ってるゲーム戦士だよ」
これまた懐かしいですね〜、確か【GAME30】でムーンリバー三兄妹の決闘の管理に携わってた人ですよね。声からしてオープンな性格が伺えます。
「治安防衛管理長って雰囲気はしねぇな。見た目は俺と同年代って感じだ」
「そうだよ、私は剣くんと同じ17歳で、実力でこの職に付いたの。余り広めないように言われてるけど」
「そりゃスゲェや。下手すりゃ将来、槍ちゃんと肩並べられそうやな」
等と感心する剣を他所に、茜は一瞬だけ曇った顔をしていたが、彼は見逃していた。
「あのーうちらのギャラは……」
「転送失敗の件はアクシデントとして若社長も認めてくれたから、通常通り報酬は与えるよ。……でも私が急遽来ることになったからね〜、少しは労ってくれれば」
「「「どうか御身体を御自愛下さいませお嬢様ァァ!! 肩揉みましょか!?」」」
「サラリーマンって大変やね」
剣さんもあと二、三年すれば分かりますよ。
さて、茜がここで転送された目的はゲームマスターの蒼真同様、剣のクエスト案内兼立ち会いに抜擢された為。勿論決闘の相手は彼女ではない。
「これで剣くんのクエストも最後だからね。若社長と孔雀さんがとびっきりの対戦相手を用意したよ! さぁ、果たして勝つ事が出来るかな〜?」
最終試練だというのに、何というバラエティな掛け合いなんでしょう。
しかし本宮社長と、あの鳳凰堂孔雀が選んだという対戦相手は果たして誰なのでしょうか?
「さぁ、ゲートを開いて! 対戦相手のご登場です! どーぞー!!」
『オープン・ザ・ゲート!!』の掛け声と共に、解き放たれた巨大門。
そこには殺伐とした漆黒の空間、その遠方にて待ち構える一人のゲーム戦士が結晶の玉座に座っていた。
一体何者なのか。剣が持ち前の鷹の眼で覗いた途端。
「…………ッッ!!!??」
その好奇心に満ちた瞳が、一変して驚愕の眼差しへと変わった桐山剣。その理由は唯一つ。
「――――――――みのり…………?」
桐山剣・GWクエスト最後の対戦相手は、黒い騎士装束を身に纏った河合みのりであった……!!!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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