【GAME51-2】爆走オリジンロード・戦い転じて逃走中!?
――時は文月、月が変わって七月に入って再始動したゲームウォーリアー。
どうでもいい話が作者の誕生月であり、そこで展開される桐山剣の聖剣獲得GWクエストの第三の試練が始まろうとしていた。
その決闘の地は、『限界突破迷宮』から更に奥へと続く道【オリジンロード】なる魔境への誘い。
「さて、場所は分かったはえぇけど、この広間からどうやってオリジンなんちゃらに行くかだよな」
辺りをキョロキョロ見渡し、魔境への入口を探す剣。正面の細道は第二の試練に使ったきりで、その先の道は閉ざされている。とにかくそれ以外の道を探さねば次のミッションへは―――
「剣さん、入り口ならもう見つかってますよ」
ネオンライトに照らされ字も大々的に記した【オリジンロードの入り口はこちら!】と書かれた看板の下には、渦を描く次元の扉が広間の東口にセットされていた。
「よし、これで字数の節約になったな」
「急いで行きましょう」
主人公に字数の心配をされる小説って、一体……
▶▶▶ NEXT▽
黒い渦を巻き、ゲームワールドの空間をワープさせる力を持つ次元の扉に乗り込んだ剣と桜。
大理石の白い広間から風景は一変、無機質な鋼の通路に電子回路を思わせるレインボーカラーのラインが脈打つように、二人を導いていた。
【オリジンロード】、それは即ちゲームワールドの大核なのか。或いは壮大なデータの根源・真相部に入っていったのでしょうか……?
「それにしても、次の試練は俺に何させようとしてんだ? みのりを攫わせて、またこんな訳わからん迷路を通って行けだなんて」
「どちらにしても、WGCが剣さんを楽させようなんて思うことはまず無いでしょう。私が付いていますが、用心は欠かさぬように」
「分かってるぜ。はぁ〜あ、また俺の苦手なローグライクかよぉ……」
第一の試練にて、剣は『限界突破迷宮』の最深部まで自力で進んだ経験もあって、二度も似たような事をさせられる事に疑問を抱くも半ば不満もあった。
剣の最大のネック、方向音痴である事を桜に晒してるようで非常にやり辛いのだ。
「それなら心配ありませんよ剣さん。貴方の方向音痴は、リロード樹海の時から存じてますから」
「だったら尚更自分が情けねぇよ!」
既に桜に弱点を晒されていたショックに凹む剣。
だがその反面安心してる分もあり、桜が時間のみならず空間までも自由に動かせる能力がある事から、プレイギアのコンパス機能無しでも安心できる程に頼り甲斐があった。
そして、気になる事がもう一つ。
「………妙やな。第一の試練の時はアチコチにカードが落ちてたが、カードのカの字も見当たらねぇ」
「本当に曲がりくねった道ばかりのようですね。階段もありませんし、とにかく前へ進むしかありません」
『限界突破迷宮』で繰り広げたカードの応戦と、野生ユニットとの決闘で白熱した第一の試練。
しかし今回の第三の試練では、カードはおろかユニット一匹すら一向に見当たらない。実に殺風景なダンジョン攻略となっていた。……いや、ちょっとお待ちを。
剣と桜の眼前、約数十メートル先の直線にて、何やら猫背の姿勢でたち塞ぐ何者かの気配を感じ取った。
「おっと、丁度退屈してた所で敵さんか?」
戦闘に乗り気な剣。アメイジングのカードスキャンを右腕に装着し、戦闘態勢に入ろうとした最中。
鋭い目線で常人離れの視力を持つ桜が、その者の正体を知った瞬間、剣に警告を促した。
「いけません剣さん! あれはみのりさんを攫った黒尽くめのアバターです!!」
「何やと!?」
みのりを攫ったアバターとなれば、剣も大きい声で反応してしまったのが不味かった。
黒尽くめのアバターによる地獄耳が、その気配を感じ取るや否や、一直線に二人目掛けて突っ走っていくではないか!
「やる気か!? 上等や、後悔させる程叩き斬ってやんよ!!」
『カスタム・ツールカード、【ボルテック・セイバー】!!』
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【ボルテック・セイバー】EG:⑤
AP(攻撃力):300 PP(使用回数):10
属性:黄 装備:プレイヤー
≪必殺技≫
『稲妻閃光斬』EG:④ AP:400
・切っ先に雷の電流を蓄積させて
周囲円月に敵を切り裂く。
◎――――――――――――――――――◎
閃く稲妻迸る湾曲の刃、久々に登場は《ボルテック・セイバー》!
急接近する黒尽くめアバターのタイミングを見計らい、下段構えで払い斬る戦法に出る剣。必殺コマンドで稲妻剣が唸る!!
「『稲妻閃光斬』ッッ!!!」
薙ぎ払う一閃は雷鳴の如し。電撃の刃が黒尽くめアバターの身体を刺激し、一撃必殺で仕留め………
シュアアアアアアアッッ
「どおおおおお!!?」
《ボルテック・セイバー》の大ダメージが一切通用していないのか!?
振り払った隙を突いて、アバターは手先の鋭い爪で返り討ちにしようとする。だが剣の身軽な回避にその危機は杞憂に終わる。
「剣さん、深追いは駄目です! その者は私の時間停止をも全く通用しません!」
「じゃどうすりゃ良いんだよ!?」
攻撃も防御もままならなければ、取るべき方法はただ一つ。
「逃げましょーーーーー!!!」
「嘘やろーーーーーー!!!」
逃げるが勝ち、三十六計逃げるに如かず。兵法に習って桜はアバターから逃げる事を優先し、剣も不本意ながらもその案に則って逃亡を図る。
しかしこのアバター、華奢な身体からして異常なまでに韋駄天だった!!
「これ何処のラン・フォア・マネーだ!?」
「今度は戦うのではなく、不条理な脅威から逃れることへの試練かも知れません! それならば……」
桜は先陣を切り、アバターの脅威を払うべくPASの力を使ってスキルを解き放つ!
「空間を捻じ曲げよ、【トリック・ディメンジョン】!!」
◎――――――――――――――――――◎
・時実桜のPASスキル
【トリック・ディメンジョン】発動。
◎――――――――――――――――――◎
グニャァァァァァ〜〜〜
あら摩訶不思議やら! 桜の前方にて今にも抹殺しようとする黒尽くめアバターを巻き込んで、空間を捻じ曲げて感覚も距離も不安定な状態で、アバターの動きを封じ込めている!
「剣さん、今のうちに!」
「おぅ助かったぜ!」
二人は迷路の曲がり角を3回以上屈折するように曲がる事により、完全にアバターの視界から消えることに成功した。
「ひぇえ、ヤバかったなぁ! よくPASで切り抜けたもんだ!」
「先程のPASはアバターには直接対象にはせず、空間を操作した為に影響が出たのでしょう。それであっても恐ろしい相手です」
取り敢えず、一時は危機が去った所で一安心の二人。
すると無我夢中で気付かなかったのか、剣のプレイギアから追記のミッションメールが届いていた。
「…………あのさぁ……」
「何でこんな時に……」
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【GXキャリバー解放クエスト ミッション③】
★追記
参加中のミッションでは、ダンジョン内にカードやユニットは登場しないが、代わりに黒尽くめのアバター姿をしたプレイヤー討伐アンドロイド【シャドー・D】を投入させた。
その機械は、プレイヤーのPASやアメイジングカードの効果を一切干渉されない。
またダメージは一撃必殺に設定されている為、接触した時点でノックアウトになる。気を付けたまえ。
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「それを初めっから出しとけや!!!!」
危険はいつも紙一重の瞬間に置かれるものか。
一筋縄ではいかない聖剣獲得クエスト・第三の試練! この先に待つものは果たして何か? ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




