【GAME51-1】みのり失踪!? 切り札騎士のネクストミッション!!
――全国一億人のゲームファンの皆様、数カ月ぶりのご無沙汰でございます! ゲームウォーリアー再開ですよー!!
さて、今回からのストーリーは皆様気になっていた所でしょうあのシーンの続きから。
GWクエスト試練中の桐山剣と同行していたみのりちゃんが、何者かに攫われちゃったって話!
メインヒロイン無くしてゲームウォーリアーは語れません。さぁさぁ剣さん、『A.I.M.S』のキッド達に負けない活躍を期待してますよ!
それでは早速、参りましょう! ――オープン・ザ・ゲート!!
▶▶▶ NOW LORDING...CONNECT!▽
――ここはお馴染みゲームワールドオンライン、だが場所は謎多き『限界突破迷宮』の最深階・B20F。
この石灰と混じり合った大理石で出来た白結晶の広間には二人のゲーム戦士。その者は衝撃の展開に驚愕の極致、片や無念に満ちた顔で伏せたまま報告する姿が見えるではないか。
GWクエストの聖剣獲得試練・第二の試練を終えた桐山剣。
それに同行していた河合みのり、それに剣たちの好敵手・立海から侍女の時実桜な三人が居たのだが……
肝心要のメインヒロイン、河合みのりの姿が無い。
残された桜が青ざめた顔で、その真相を剣に告げた途端に彼の顔色もたちまち悪くなっていった。
「みのりが連れ去られたって……どういう事や、桜!?」
「申し訳ございません……! 私の力が及ばなかった故に、みのりさんが黒尽くめの男達に……!!」
桜には剣とみのりを脅威から防衛する使命を、城主の銃司から与えられていた。それ故に己の力でみのりを守りきれなかった事に彼女は心の底から悔やんだ。
それを聞いた剣も、親友が消えた事に対する動揺が隠せない状態だった。
だが彼は緊急事態でも一欠片の冷静さを忘れず、自分が戦ってる間に何が起きたのか、落ち着いて彼女に問う。
「そう落ち込むなよ桜。銃司の護衛であるお前が、些細な事で不覚を取るなんてまず無いと俺は思う。みのりを攫った奴らはどんな奇襲を仕掛けて来たんだ?」
「それが、何も仕掛けて来なかったのです。白昼堂々と、私達の眼前に立ち塞がるように」
「何……?」
―――これこれこーゆー訳で、と桜がみのりを攫った瞬間を話す訳ですが、ここからは私Mr.Gがご説明を。
■■■■■■
剣が第二の試練として、ゲームクリエイター・早瀬ハルとのアメイジング決闘に挑んでいた際に、みのりと桜はソーシャルゲーム『リクジョウガール』で暇を潰していました。
ただ親友が一生懸命戦っているのに、自分達だけソシャゲをやるのは彼に失礼だ。
そこで一旦ゲームを止めて、広間の奥の部屋で戦い終えた剣を壮大に出迎えてやろうと、今か今かと待ち構えていたみのりと桜。
「どんな感じでやるのですか?」
「そりゃもう、剣くんが勝っても負けても、私が愛情たっぷしにむぎゅ~〜ってやるだけよ。心配しなくても勝つでしょうけど!」
今やゲームウォーリアーでは、愛情表現で定番になりつつある誠心誠意のハグ。
みのりがやると抱かれた方は、ミディアムヘアから漂うフレグランスの甘い香りと、滑らかな肌触りに誰もが心安らぐのだという。(レミ・穂香談)
「みのりさんって、本当に剣さんの事が好きなんですね」
「うんっ! だーいすき♡」
満面の笑みで、剣への好意を肯定するみのり。
それは親友としてなのか、異性としてなのかは定かでは無い。
だが桜の眼からは銃司と繋がった『城主と従者』の関係ではなく、『親友同士』としての絆を見るようで、新鮮かつ羨望の感情が芽生えていた。
そんな中で桜は、ふとした事からみのりにある事を尋ねた。
「みのりさんは――――剣さんに、『好きだ』って言われた事ありますか?」
「…………え?」
それはみのりにとって思いがけない質問であった。
彼女自身は剣に好意を持って接してはいるが、剣の性格上素直じゃない所が多く、面と向かってみのりに好意を表にした事はゼロに等しい。
無論それは照れ隠し故の表現でもあり、みのりに対し邪険に扱った事は一度もない。彼女もそれは分かっていた。
「それは―――――」
――だけど一度でも良いから、『好きだ』と言われてみたい。そんな気持ちも彼女の魂の奥底にあった。
問いかけた桜も、一瞬ハッとなって嫉妬にも似た感情を拭いつつ、配慮の欠けた質問を投げた事を謝罪した。
「あ、ごめんなさい……私とした事が、余りにも無神経な事を……」
「ううん、気にしないで。桜ちゃんも剣くんの事が気になってたんでしょう? だったらこんな事聞くのも無理はないわ。答えは……まだ出せないけど」
「申し訳御座いません……」
みのりは悪戯っぽく笑って事は済んだが、桜は自分の羨望心を、彼女に全て見抜かれたような感覚に陥った。
彼女の純真な笑顔の裏に秘めた、強靭の精神。
そのメンタルにも必ず何処かに弱点があるもので、桜は無意識にそれを剥き出しにして、彼女を貶めようとしていたのだろう。
そんな貧弱な意思に溺れたことに、桜は自分を恥じたくなったのだった。
「うーん、剣くん遅いなぁ……そんなに長期戦になること無かったのに」
「そうですね……」
みのりの無邪気な声に、桜も気を取り直して剣の帰りを待とうとした所。
――――思いがけない展開は、ほんの些細な事から突然に起こるもの。
「みのりさん、危ない!!」
「―――――?」
みのりはまだ気づいてはいない。彼女の背後に迫った無数の影、無数の黒尽くめのアバターが彼女らに襲い掛かろうとした瞬間!
「『時間・停止』!!」
―――ボォォォオオオン!!
◎――――――――――――――――――◎
・時実桜のPAS
【古時計―オールドクロック―】確認。
◎――――――――――――――――――◎
いざとなったら魂を込めろ! 桜のPASによる古時計の鐘と共に、停止される時空間。モノクロの一色に染まり、桜以外誰もがその動きを封じられ、奇襲の隙を作り逃げ道を確保――――
ドカッッ、バシュ!!
「!!!?」
アバターに反撃され、殴り蹴飛ばされた桜は逃げ道を確保出来ない!! 桜だけが動ける筈の時空間が停止した空間に、黒尽くめのアバター達も動いたのか?
詳細も分からぬまま、アバター達は硬直するみのりを身体ごと抱え込み、そのまま広間の別の抜け道へと逃走していった。
「ぅ……ま、待ちなさい……! みのりさんッッ………!!」
―――ボォォォオオオン!!
古時計の鐘が響き渡り、彩色カラーも戻って時空間の時が動き始めたときには既にみのりの姿は無し。
時実桜が、完膚なきまでに叩きのめされたのだった。
■■■■■■■
―――桜から真相を聞かされた剣。
彼女がみのりに問いかけたセンシティブな質問の事は言わなかったとして、黒尽くめのアバターがみのりを攫ったと聞いて、彼の反応や如何に。
「桜の時間停止も諸共しねぇアバターか。そいつが何だってみのりを狙ったかが気掛かりやな」
「私にもまるで見当が付きません。WGCが公式に請け負ったGWクエストで、アクシデントも起こらないとも限りませんし……」
殆どが正体不明に詳細不明。剣と桜が知恵を絞ろうとも一寸先は闇の真相に八方塞がり。
しかしふと桜が、一つの疑問点を導き出した。
「そういえば剣さん。第二の試練の時に一緒にいた仇……いえ、一文字蒼真はどうしたのですか?」
「あぁ、あの人はまたクエストの管理しなきゃいけないつって先にログアウトしてったぞ」
銃司の兄・丈の仇である一文字蒼真の動向に不可解に思ったか、桜は更に主張する。
「それはおかしくないでしょうか? こんな非常時に剣さん一人を残して、このまま次の試練まで待つのは余りにも不自然です! だとすると犯人は……」
「ちょ、待て! 幾ら何でも蒼真さんは犯人じゃ無いと思うぞ。早瀬さんの決闘に最後まで付き合ったあの人が、みのりを襲った時間とタイミングがズレてるだろうし」
「…………それは、一理ありますね」
だとしたら一体誰が……? と、二人が更に真相に近づこうとしたその時。
〜〜♪♪
突如鳴り響くは剣のプレイギア。今の状況を察するに、このタイミングでメール受信したということは……?
「……………繋がった。みのりを攫った意味が」
「本当ですか!?」
その詳細を確かめようと、桜も剣のメールを覗いて見るならば。
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【GXキャリバー解放クエスト ミッション③】
桐山剣と同行している河合みのりを拉致した。
場所は『限界突破迷宮』から続く新たな新境地【オリジンの聖地】にて身柄を確保している。
桐山剣はこれより、B20階からつづく【オリジンロード】を超えて、みのりを救出せよ。
尚このルールでは所持しているデッキの使用を認め、同行している仲間の力を借りる事も許可する。
□――――――――――――――――――□
その詳細は、聖剣獲得クエストの第三の試練。
桐山剣の心底を試すべく、みのりを攫わせてその勇気を示そうとしているのだった。
「……俺を試すのは勝手だろうけどよ、みのりまで巻き込むんじゃねぇよ…………!!!」
剣の額に浮き上がる青筋、それが彼の逆鱗に触れさせる怒りとなりて、第三の試練の挑戦とみのりの奪還にその魂を燃やすのだった。
いよいよ次回よりは、聖剣獲得クエストのクライマックスに向けて怒涛の展開、梅雨明けよりも手に汗握るバトルをお送りいたします!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




