【OMNIBUS 5-5】腹心に、永遠に、私達は友達!!
――さてさて、シャッフルガールズの活躍で、ハートフルジェンガ・レインボーは無事にパーフェクトを達成することが出来ました!
これで何か祝福でもするのかと三人は期待するが、特に変わった演出もなく、ただタワーが立っているだけ。どうしたんだろと気になり始めたその時。
「―――あれ、みのりお姉ちゃんだ!」
百合な聖地に何処からか男の子の声が。
百合プレイでは禁じ手と言われている男子乱入かと思いきや、そこに現れたのはなんと、唯一百合の介入を許されてると言われてるショタ……じゃないや、少年スピリットプレイヤーのジン君ではないか!
「ジンくんじゃない! 急に来ちゃってどうしたの?」
「なーんかジェンガタワーが随分長いなーと思って気になってみたら、みのりお姉ちゃん達がパーフェクト出してたんだね! 凄いなぁ〜!!」
全員で8人存在するスピリットプレイヤー。その中で【仁】の意志を表す桃色の“ハートフルオーブ”を宿す少年プレイヤーのジン君は、幼さ故にかなり自由奔放な性格。
お気楽気分でテーブルトップ・シティで遊んでいたら丁度自分のオーブを授けたみのり達と再会した訳だ。
「でもせっかくパーフェクト出したのに何も起こらないの。ジンくん何か知ってる?」
そうみのりに言われて、ジン君もどれどれと確認するならば。
「……なぁんだ、ただ最後のブロックのお題答えてないからだよ! 最後のはピンクのブロックだよね?」
「そうそう! どんなお題だったっけ」
と、ジン君も恐る恐る作業台に登ってもう一度ブロックのお題を確認しつつ、みのり達に知らせる。
「えーっとね、【ピンクブロック:貴方にとっての『友達』ってなんですか?】だって!」
「「「…………自分にとっての『友達』?」」」
「多分、みのりお姉ちゃんや他の二人が心の中で思っている友達って、どんな人を言うのかを知りたいんだよ」
単純明快、かつ今そこにいる親友同士の前では真剣に応えるべきと悟った三人組。『友達』とは何ぞやと深〜く考える。先に答えを導いたのは穂香。
「……やはり私が思う『友達』は、私の事を救ってくれた恩人ですね。私の心だけでなく、お父様も救ってくれたシャッフルオールスターズの皆には返しきれない恩があります。だから今は凄く生きていて楽しいです!」
……穂香さんも色々ありましたからねぇ……グスッ。語り手の私の目が潤んだ所で、レミも答えが出たようだ。
「あたしにとっての『友達』は、心の底から信頼できる人の事かな。剣くんとみのりちゃんに出逢って、初めて本音で打ち明けられるくらい仲良くなって! 毎日楽しい時間をありがとうって、今なら腹の底から言えるよ!」
今回の時系列から先の話になりますが、レミは地底空間出身で、訳ありで大阪の私立高校に転校した身でもあるのです。その為に心から信頼し合える友、即ち『腹心の友』をずーっと欲しかったのです。
その時に出逢ったのが剣とみのり。これらの出逢いは偶然にして必然な運命だったのかも。
「……あれ? みのりちゃんまだ考えてるの?」
「う〜〜〜〜ん………」
いつもなら悩むより行動派のみのりさんですが、友達の事について、こんなに考え込む姿は初めて見ました。
「……なんかね、どうしても答えが見つからないの。穂香ちゃんみたいに助け合えた事も嬉しいし、レミちゃんみたいに寂しさを埋めてくれた事も当たってるけど……何かが足りない。一番感謝を伝えたいことが……」
と、あと一歩で頭に出てこないみのりに、痺れを切らせたのはジン君。
「多分それは、みのりお姉ちゃんの一番好きな人のことじゃないかな」
「えっ……!?」
「あら……!」
「マジ!!?」
各々図星やら赤面やらのリアクション三昧。ジン君の鋭い勘が当たったようで、みのりの顔も忽ちと赤くなっていく。
「隠さなくていいよ。ここは心の真実を透き通すハートフルジェンガだ。それに他のお姉ちゃん達も、みのりお姉ちゃんの秘密をバラしたりしないでしょう? 思い切って言っちゃいなよ!」
その問いに穂香もレミも躊躇わず頷く。自他共に腹心を誓った友ならば、遠慮など無粋なもの。
察しの良いみのりは直ぐにそれを悟って、息を大きく吸い込んで思いの丈を放つ。
「――――私、大好きな友達は七人もいるの! レミちゃんも穂香ちゃんも、槍くんも倭刀くんも、豪樹さんも大好きだけど………!!
ホンっとに大・大・大好きなのは、剣くん!!!
私、河合みのりはッッ、剣くんを愛してるのーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」
腹の底から解き放たれた本心は、レミと穂香の心にぐぐっと響いて耳元に余韻を残す。『やっぱし』なんて声も聞こえてくるくらい分かりきった答えだが、嘘偽りない言葉に清々しさも出てくる。
その本心の声が、パーフェクト状態のジェンガタワーの方へ波紋のように広がり、うんともすんとも言わなかった無機物がその声と共鳴するかのように、不思議なことが起こった……!
ピカ―――――――――――ッッ!!
ジェンガタワーは虹色の光に眩く輝き、そこからレーザーのように三色の光線が三人組の胸元へ当たる。
みのりとレミが一年前に手に入れたハートフルペンダントが、光を当てた事により黄金色に輝き、ハートのクリスタルもみのりのはピュアピンク、レミはレモンイエローな色へと変化した!
そして、穂香も晴れて同じペンダントが首元に装飾されていく。二人と同じコーディングだがハート部分はエメラルドグリーン。
桃・黄色・緑の三つのハートが、シャッフルガールズの胸に刻まれたのだ!!
◇――――――――――――――――――◇
【ハートフルジェンガ・レインボー】完全制覇!
・報酬 『ハートフルペンダント・ピュア』獲得!!
◇――――――――――――――――――◇
「これは真のハートフルペンダントの姿だよ。本心を親友同士で打ち明けた者が手にすることが出来る信頼の御守り! きっと三人ならずーっと仲良く居られる。僕とそのペンダントが保証するよ!」
三人は近づき、ペンダントに三色のハートが重なり合う。胸にかざしたハートの色が魂の色。それと同時に互いに眼と眼が合って、互いに満面の笑顔が溢れる。
「うふふっ! 三人共お揃いッ!」
「みのりちゃんの秘密は、あたし達の秘密だからね!」
「勿論ですよ! 私、益々みのりちゃんやレミさんの事が好きになれそうです!」
――――“太陽と月のあらん限り、我ら腹心の友、河合みのり・畠田レミ・大森穂香。共に忠実なることを、我ら、厳かに宣誓す。”……なんてポエムチックな宣誓は必要無し!
三人纏めてむぎゅ~っと抱擁の独り占め。さすれば笑顔が溢れて来るくる、心もくるくる!
「私達はずーっと友達。嬉しいことも悲しいことも、抱いて分かち合える友でいよう。――――永遠に!!」
「「…………うん!」」
そうみのりが呟くと、三人の抱き締める力はより強くなっていった。抱擁で繋がる腕と腕は、絆の鎖を表すのか。堅い意志と共にそれを誓い合うのだった。
「よーーし! 感動シーンも終わったとこだし、このジェンガタワー崩しちゃおうよ!!」
「………え?」
「あ、あの……!」
「待って、まだ写メ撮ってな……」
抱擁の余韻を楽しむ余裕なく、いきなりジン君に宣言されたタワー崩し指令にストップを掛ける三人。だが、時既に遅し!!
「…………あれ、マズかった?」
――――――ドンガラガッシャーン、からのガラガラガラガラーーーッッッ!!!
パーフェクトしたジェンガタワーも夢の跡先。
しかもシャッフルガールズ方面にブロックは崩れ、瓦礫と化したカラフルなブロックの残骸が、呆然とする彼女達の心情を物語る。
「「「何してくれてんのよーーーーッッッ!!!!!!!」」」
「ひゃああああごめんなさーーーい!!」
慎重転じて大乱闘、崩れ落ちたブロックを拾い上げては、ジン君にぶつけて憂さ晴らしのブロック投げ合戦勃発。軽い材質で出来てる為怪我は心配無いが、何よりも女性陣のキャーキャー騒ぎは誰にも止められなかった。
▶▶▶ NEXT▽
――現実世界、アミューズメントパーク・ギャラクシー。
VRスポットでログアウトした三人は、丁度『切札騎士剣武術』を訓練中の剣と槍一郎に鉢合わせた。
「おっ! みのり達帰っ……………何があったん?」
「随分ボロボロじゃないか、高難度のクエストでも行ったのかい?」
剣と槍一郎はみのり達の荒れ果てた格好を前にされて、喧嘩でもしたのか、或いはクエストに苦戦したか選択肢を作ったが、正解はどっちも外れ。みのり達もそれに対抗するように……
「「「べーつにぃ?」」」
この下り、前作でもあったような。
「そんな事より私、お腹空いちゃった! 一緒にゲーミングサンデー食べようよ剣くん!」
「ふぁ?! まだ俺特訓の途中やし……」
「良いから良いから!」
強引に剣の手を引っ張ってデート気分のみのり。掴んだ手と手は然りげ無く、指と指とが交互に重なって恋人繋ぎ。その心境は、三人の身につけた『ハートフルペンダント・ピュア』だけが知っていた。
―――ゲームを通じて出逢えた素敵な友達は、何年経っても最高の宝物! その輝きを永遠のものに。かけがえのないものでいられますように……!!
本日を持ちまして、【ゲームウォーリアー特別編・真ハートフルジェンガ ストーリー】、これにて大団円で御座いますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
次回からは本編再開! 桐山剣の聖剣獲得GWクエストも後半戦へ……と思いきや、愛しのヒロイン・みのりちゃんが拐われた!!? これはアクシデントか、それとも新たな試練か!?
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




