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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
4th STAGE―ゲーム戦士魂大爆発・本当の正義は何処だ……!?―
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【GAME50-10】柵の中に生きる者達へ……!!

 ――限界突破迷宮・最深部に接する決闘場。先程までカードと叡智の力で交錯した白熱のバトルを繰り広げていた訳ですが、ようやく終結されて沈静化したこの聖地。


 フィールドには二人のゲーム戦士。5分以上も掛けた長期戦を制したのは、我らがシャッフル・オールスターズのリーダー桐山剣。主人公を努めて今年で四年目の彼、パーミッションの戦況操作型デッキにも挫けず見事に勝利した。


「すんません早瀬さん。変な形でゲーム終わらせちゃって。立てますか?」

「えぇ、大丈夫。こちらこそ往生際が悪いプレイさせてごめんなさいね。久々に意地になっちゃいました」


 剣は対戦相手に敬意を払い、衝撃によって尾羽打ち枯らした早瀬ハルに手を差し伸べて、軽く身体を起こした。相手が超ドSであろうとも関係無し。礼儀を弁えて、最後は『グッドゲーム』で締めるのがゲーム戦士の御手本なのです。


「改めて、見事な札さばきでした桐山剣さん。GWクエストの2nd(セカンド)ゲームは貴方の勝利です。お疲れ様でした!」

「ありがとうございます!」


 早瀬からの素直な称賛と、GWクエストのクリア報告に剣の表情も綻んで感謝の一礼が飛んだ。


「しかし技量不足とはいえ、やはり負けるのは悔しいですね。……でもいい勉強になりました」

「こっちは聖剣が掛かってるからマジになってましたけど、早瀬さんはある意味ハンデ掛かってましたからね。最初から本気でやってたら俺勝てなかったかも」



 今回の決闘はかなり異質なものであった。

 早瀬のPAS『HDD』の記憶集積能力が余りにも強大なため、本宮社長から試練の際は、PASを制御しつつプレイされていた。

 だがそうであっても、桐山剣のデッキにかなり相性の悪かった『パーミッション』を操作する早瀬は、剣にとって間違いなく試練に相応しき対戦相手であった。勿論剣も多大な経験値を得たことだろう。


「うむ、第三者の俺から観ても実に良いゲームだった……が、少し時間が掛かり過ぎたな。まぁパーミッションが長期型デッキだから仕方ない」


 そりゃそうですよ蒼真さん。今回はゲームウォーリアー三周年を堺にした大々的なゲームだったのに。もう4月も終わりですよ! どんだけ長かったか……



「そんなん、作者がワクチン接種で体調不良起こして執筆順延したんが悪いやろ」


 ※ホントすみませんでした……。by慶



「……ともかく、お前の仲間も控えでずっと待たせるのも悪いだろう。早く戻ってやれ」

 試練の案内役は気遣いも上手い。蒼真は剣に控えで待機しているみのりと桜の元へ向かうよう指示した、のですが。


「あの、もう少し待ってください蒼真さん。……せっかくですから、剣さんと少々お話を」

 呼び止めたのは早瀬。何やら剣に伝えたいことがあるようです。



「……剣さん。貴方は旧友達の絶縁を乗り越え、今貴方の元に集う仲間の為に精一杯戦っていること。私はちゃんとこのPASに記憶されています。――――大事な友を護りたいという気持ちは、今も変わりませんか?」

「え……」

 意外な事を聞くなぁと思ったか、早瀬の問いにキョトンとしている剣。


「それは、どんな事があろうとも変わりません。みのりも、他の皆もゲームで繋がった大事な仲間や。絶対手放すつもりは毛頭ないです」


「では、貴方の元へ離れてオフィシャルプレイヤー試練を受けている天野槍一郎さんも、貴方は手放さない覚悟はお有りですか?」

「――――!!」


 早瀬が剣の仲間の事を公言した時点で、彼も勘づいていたのだろうか。剣と違って、孤高に一人試練に赴いている槍一郎の話題へと、剣は浮かない顔をしつつも移ったのだった。


「………槍ちゃんは、親父が偉大なゲーム戦士だったからっていう圧もあったんだろうけど、あの試練は自分から志願したんです。俺はアイツの意志に尊重して一人旅立たせました。…………手放すなんて言ったらアイツにシバかれますよ」


「それだけ剣さんは、仲間を信頼しているのですね。かという私は、槍一郎さんのように家系という(しがらみ)に囚われていた立場ですから、気持ちは多少なりと理解できます」

「ん、早瀬さんの家系って、超次元ゲーム時代の歴史を記録する仕事をしてるんでしょ? ヤバいもん書いてるわけじゃなし、そこまでは……」


 などと剣は多少浅はかな事を言いかけたが、早瀬が言う所によれば、編纂(へんさん)も相当な負担が掛かる職業なのだ。というのも、



「この時代に起きた出来事を書き残す事は、時に多くの人々の心に悪い影響を与えかねない。それ故に何らかの意志が介入して、()()()()()()する事など日常茶飯事なのです」


 早い話が、【ありのまま起こった出来事を、全て真実に基づいて記録することが出来ない】のである。

 何故ってそれを記録することによって、その事件や出来事に関わった団体や人物が、それを記録する事で不利益やら不名誉に思うことだってありますからね。


「あ………、ひょっとして政治とかが絡んで、それで思うように書けないって事か……?」

 そういう事も決して有り得なくないんですよ、剣さん。



「この超次元ゲーム時代は、WGCを発足する前の世界政府が創り出したもの。しかし五十数年の年月が過ぎ、歴史の中にも【ゲームワールドの大凍結】のように忌まわしき事件が起きても、それを記録しようにも権力によって幾度も検閲(けんえつ)を受けました。


 ――――要は我々の知りたい事実の殆どが、権力者にとって都合の悪いものとして、隠蔽されているのです」



 現代のネットニュースでも時折フェイクや虚構の入り混じった情報に困惑する世の中。剣もそれを見極める能力は身についてはいるが、それと同時にある疑惑が浮かんだ。



(え……待てよ、ってことは……、WGCのお偉いさんの中に、それらの事件やゲームワールドに隠された秘密を知りつつも、それを暴露されないように隠してる奴が居るって事なのか―――!?)


 剣は思わぬ情報を知ったために一瞬考え込んだが、いきなりの事だった為に答えは見つからなかった。まぁ確かに怪しい人は結構いますが、探るのはまだ先のお話です。


「たとえそれを私が知って書き記したとしても、それを私自身が全て責任を負う義務もあります。結局“表現の自由”といっても、それを成り立つ為のルールは絶対に守らなくては。ルールを遵守するこの時代であれば尚更」


 早瀬は、家系の役割から歴史の編纂に努めていた身として、不条理な世の中に対するやるせない気持ちを、心の奥底で抑えつつ耐えていた。だがそれでも彼女にとっては耐えうるものであり、その使命から逸脱して、ゲームシナリオや週刊雑誌のコラムの執筆に勤しむようになったのだろう。

 そう考えると彼女もまた、ゲーム時代の絶対的なルールの犠牲者なのでしょうし、


「その絶対的なルールの根幹になってるのが、槍ちゃんがなろうとしてるオフィシャルプレイヤー、ってか?」


「そういう事です。今のWGCも社長や重臣達が大きく変わって、特に槍一郎さんはそれでも適応する為に試練に挑んでいる事でしょうが………、



 ―――また、剣さんや仲間の元に帰れると良いですね」



「………………………………そうすね」



 ―――桐山剣は、険しい顔で静かに答えた。



 “アイツがどんな気持ちで自分を押し殺して、俺達の元を離れて試練に赴いたと思ってやがる。”

 “他人の事情も知ったような素振りで、然りげ無くいい加減な事を言ってくれやがって。”


 剣に様々な感情が湧き上がり、それが煙のように燻ぶられて不完全燃焼していく。

 そういう意味も込めて今回のゲーム、非常にスッキリしなかった。と桐山剣は後に語るのだった。



 ▶▶▶ NEXT▽


 ―――なにはともあれ、早瀬とのゲームに勝利した剣。ようやく話も終わり、彼女との別れの握手も交わした所で剣は控えで待つみのりと桜の元へ。蒼真は次なる試練の準備で一足先にログアウトしたようだ。


「みのりと桜のヤツ、結構長いゲームやったから待ちくたびれてるやろな。『リクジョウガール』もそろそろ飽き時やて」


 あ、そういえば剣さんは『リクジョウガール』の評価についてどう思いますか?



「あ? まぁ育成ゲームのシステムもえぇし、やっぱ陸上競技でキャラと競うから、やり甲斐ありそうやし結構興味あるぜ。………まぁシナリオだけは酷やな。きっと不幸を蜜にして舐めてる悪趣味な人だと思うぜ、そのゲームのシナリオライターは」




『――――――はぁ゛!!!??』


「………………………」



 …………剣さん、早瀬さんに聞こえてたらしいですよ。決闘場から数百メートル離れてるのに。


「え、まさか。『リクジョウガール』のシナリオライターって…………」


 はい、そのまさか。数刻前に貴方と戦った御方!



「…………みのりにはこの事教えんとこ」

 “知らぬが仏”とは、まさにこの事ですな。


 さて茶番も終えたとこで閑話休題。決闘場と控室に繋ぐ長い細道も終点を経て、重い扉をこじ開けた剣。

 おそらくみのりの方から、ダイブで胸元へ抱き合って出迎えてくれるだろうと期待した剣だったが……?



「剣さん!!!」


 剣の元へガバッと駆け寄ったのは、意外にもみのりでは無かった。


「あれ、桜? 珍しいな、お前から来るなんて。ソシャゲ飽きちまったか…………」


 剣は駆け寄った桜の様子がおかしい事に気づいた。

 アバターの水色メイド衣装よりも顔が青ざめており、明らかに冷静さを欠いている様子だった事。そしてもう一つ気になる事が。



「………あれ桜、みのりは??」


 剣は控え広場の空間を幾ら見回しても、みのりの姿も気配も見当たらなかった。

 その時、黙り込んでいた桜の口が開き始めたと同時に、剣にとって予想だにしなかった展開が待っていた。それは……!




「みのりさんが……! みのりさんが何者かによって、連れ去られてしまったんです!!」


「――――――――――ッッ!!!!」



 一体、彼女の身に何が起こったと言うのでしょうか!?

 まだまだ先の見えない聖剣獲得GWクエスト、思わぬ展開に切り札騎士・桐山剣はどう立ち向かうのか、彼の前に立ちはだかる運命は如何なるものになるか!?



 次回はゲームウォーリアー三周年を記念した特別編を挟んで、次なる展開では再び地底空間へと移す事に致します。桐山剣の活躍は暫くはお休み、また次の出番まで覚えて頂戴、ブックマークはそのまま!


 四年目も突っ走る意気を込めまして【GAME50】、本日の所は、読み終わりで御座いますッッ!!




 ▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽

▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽


次回は本編を挟んで、ゲームウォーリアー連載開始三周年を記念しての特別エピソードをお送りします!

ゲームウォーリアー史上最も湧き上がらせた、伝説の【百合】が復活!!?



小説を読んで『面白かったぁ!』と思った皆様、是非とも下の「ブックマーク追加」や感想・レビュー等を何卒お願い致します!


更には後書きと広告より下の評価ボタンでちょちょいと『★★★★★』の5つ星を付けて、作者やこの物語を盛り上げて下さいませ!


次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!

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