【GAME50-7】知性と感性が織りなすカタルシス!!
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◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔桐山剣 HP1000 手札6枚 EG:⑤〕
・ユニット:【カウンターナイト】【エアリアルナイト】【隼剣士・ファルザー】
・カスタム・ツールカード:【ファイティングブレード】【土壇場の馬鹿力】
★〔早瀬ハル HP900 手札5枚 EG:⑥〕
・ユニット:無し
・パーマネント・ツールカード:【書籍棚】【フェイクニュース】
・カスタム・ツールカード:【バインドチェーン】※《カウンターナイト》に装備
※プレイヤースキル【守護霊のカーテン】付与
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――ゲームウォーリアーシリーズ、連載からはや三年が過ぎ、今月19日にて四年目を迎えようとしているのですが、物語は何年経とうとも、あいも変わらず継続している要素は数知れず。
その題上げれば切りが無いが、一先ず確信して言えることは、主人公・桐山剣の畜生な傲慢態度!
(桐山剣め、たかが16の若僧が十年歳上の早瀬にこれでもかと挑発するとは。幾らこの超次元ゲーム時代の礎を築き、編纂の役割を果たす“早瀬家”に対しての煽りは相当の怖いもの知らずか、或いは常識を顧みない馬鹿の行為か。その傲慢から来る自信とやらを、俺は最後まで刮目してやろう)
ゲームマスター・蒼真ですら舌を巻き、当の桐山剣は悪戯心にチョロっと舌出して不敵な笑み。
中間リザルトにも書かれたように、盤上は剣の方がHPは若干リードして優勢。
だがこんな事で勝った気でいるならば、それは大きな間違い。プライドの高いゲームライター・早瀬ハルは剣の挑発によって闘志を煽られてる状態。
これは傲慢同士の心を利用した剣の揺動か、はたまた壮大な試練に対する退屈を覆す好奇心の表れか?
さぁ枕語りはこれまで、そろそろ参りましょう終盤マッチ!!
▶▶▶ NEXT▽
――先手に動いたのは早瀬ハル。
「先ずはこの乱れた戦況を整理せねばなりませんね。パーマネント・ツールカード【書籍棚】起動!」
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〈パーマネント・ツールカード〉
【書籍棚】
・属性:無 EG:②
・効果:EG:①.自分の手札から好きな
カードを選び、それを除外フィールドに置く。
自分は除外フィールドに置いたカードの
枚数分デッキから手札に加える。
その後除外フィールドに置いたカードを
好きな順番でデッキの一番上に置く。
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早瀬はEGを①消費させ、5枚の手札のうち3枚を除外フィールドに置く。そこからその枚数分カードをデッキから手札に加えて、除外フィールドに置いたカードは代わりにデッキの上に置いた。
これぞゲーム作家戦士、執筆書籍の整理整頓。机にはノートパソコンと缶コーヒーが付き物か。
「……私からは他に何もしません。思う存分掛かってきなさい、剣さん」
剣に負けじと、早瀬もサディスティックな笑みと顔に影を付けながら圧力を掛ける。先程のPASが暴かれたのと、本性を剣に晒された事よりその笑みはより不気味だ!
「ほんじゃ、俺のカードはコイツだ!」
『ユニットカード、【ユニコーンナイト】!!』
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〈ユニットカード〉
【ユニコーンナイト】EG:④
AP:200 DP:200 AS:5
属性:黄 ユニット/ナイト
・能力:このユニットが場に出たとき、
フィールド上のツールカードを1枚破壊する。
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剣の新たな騎士ユニット、白馬ではなく一角獣・ユニコーンに乗った銀騎士が二又の槍を掲げて推参す!
「召喚効果で、目立たなかったけど何気にウザかった《フェイクニュース》を破壊!」
《フェイクニュース》は自分やユニットの攻撃宣言時にEGを②払わないと攻撃できない束縛カード。肝心の攻撃にコストを払うのがストレスになったか、剣はこれを《ユニコーンナイト》の効果で破壊した。
「パーマネントを落とされましたか。やはり規制が有ると無いとでは余裕の持ち方が違いますか」
「当たり前っすよ、モラルとルールは適度なくらいが丁度えぇ。それを過度に誇示するから返って心地悪くなるんですわ」
「本当に貴方は自分に正直ですね……、けれど」
構えていた早瀬のカードが展開される!
『アクションカード、【退去処分】!』
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〈アクションカード〉
【退去処分】
・属性:青 EG:③
・効果:フィールド上のユニットを1体選択し、
それを持ち主のデッキの上に戻す。
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「私の仕事場で騎士達と戯れるのは迷惑です。クソガキはボール禁止の団地公園でも遊んでなさい!」
早瀬さん、ちょっと汚い口が漏れてますよ。《退去処分》によって選ばれた剣のユニットの《隼剣士・ファルザー》が剣のデッキトップに戻されたが、更に早瀬の展開は続く。
『アクションカード、【今日のカード予報】!』
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〈アクションカード〉
【今日のカード予報】
・属性:青 EG:②
・効果:自分はカード名と、対象プレイヤーを
指定する。そのプレイヤーのデッキの一番上の
カードを墓地に送る。そのカードが指定した
カードであれば自分はカードを2枚ドローする。
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「先程と同じく、私は貴方のデッキの一番上のカードを予想し、的中すればカードを2枚引けます」
「………予想って、さっきの《退去処分》でもう分かってまっしゃろ?」
「その通り。《隼剣士・ファルザー》を指名し、その一番上のカードを墓地に送ってください」
一番上のデッキから引かれたカードは当然、《退去処分》にてデッキの一番上に戻された《隼剣士・ファルザー》。これはPASを使わなくとも真似できる典型的な戦法故、剣も分かっていたので懐疑的な意はない。早瀬はこれで2枚カードをドローだ。
(成程、本来そーゆーやり方で回すのが“パーミッション”ってヤツなんやな。改めて勉強になるぜ)
等と感心してる剣さんですが、カードの展開によってもう一つメリットが。蒼真さん、出番増加の為に解説を。
(俺はそこまで出番に貪欲でない! ……まぁPASの発動で混同はしているが、何だかんだ言って前の《記憶抹消》で桐山剣のデッキの全てを把握されたのが、情報アドバンテージ的には非常にリードされている。つまり早瀬は、桐山のデッキの本質を殆ど記憶されている事になる)
となれば早瀬は剣がどんな先方で向かってくるのか、把握した状態で戦っている。カード1枚の奇襲では最早彼女には通用しない。そういう意味では、早瀬にもまだ勝ちの可能性は十分にある!
「でも俺は感謝してんですよ早瀬さん! こんな知性を張り巡らせたデッキの戦いはやった事が無いけど、これで勝てばまた俺は強くなれる! そんな気がして堪んねぇっすよ!!」
未知なる戦術を秘めた早瀬に、剣の好奇なる魂は益々燃え上がる! 対して早瀬の高貴なる魂も、どうやってあの小童の減らず口を黙らしてやろうかと、口には出さないが含み笑いを化粧の代わりに、悪巧みの作業中だ!!
(桐山剣、大阪浪速区のゲームチームのリーダーと名乗るだけあって豪胆、かつ非常に頭の切れる高校生ですね。興味は尽きませんが……好感を抱くつもりは無い。報酬もどうでも良い。ただひたすらに私は、退屈を埋めるために培った“知識”をゲームでの恍惚に変えて満たすため……! 教養無き傲慢が如何に愚かな態度か、思い知らせてやりましょう―――!!)
来る逆襲への兆し! ゲーム時代という奇妙な巡り合わせから培ってきた集積記憶の回路がフルに稼働し、早瀬ハルに第二の戦術始動指令が下った!!
「―――桐山剣、筆で時代を抗う知的労働者の苦しみを味わいなさい!!!」
『パーマネント・ツールカード、【缶詰生活の苦しみ】!!』
それはまさに、作家或いは勉強漬けの学生さんが観たらキュッと胸を締め付けられそうなカード名だ……!
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〈パーマネント・ツールカード〉
【缶詰生活の苦しみ】
・属性:無 EG:⑤
・効果:自分は対戦相手を一人選択する。
選択された相手は攻撃・ブロック出来ず、
プレイヤースキルを発動出来ない。
このカードが存在する限り、選択された相手は
30秒毎に100ダメージを与える。
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「対象は勿論、桐山剣さん!」
このカードが発動されたその刹那、剣の元に飛び交う謎の物体が彼の元にぶつかってきた!
「うわぁぁあ!! 何や!!?」
それにぶつかった剣は強制的に椅子に座らされ、座った先には座高より若干高めの勉強机と教材の棚が彼の眼前にホールドされていた!
「何だよこれっ……! 椅子から立てねぇし、机の棚なんか漫画全然ねぇじゃんかよ!!」
そりゃそうですよ、これは勉強するための机ですよ。漫画なんて皆無!
「こう察するに、貴方は相当勉強嫌いと見えますねぇ。その机と硬い椅子から逃れられませんし、そこから来る精神的苦痛で貴方は100ダメージを30秒毎に与えられます」
これはアウトドアタイプの剣にとっては、確かに苦痛のカード。そこへこれでもかと追い討ちを掛けるように早瀬はある効果を発動させた。
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・早瀬ハルのプレイヤースキル
【タイム・イズ・ペイン】発動!
30秒毎に対戦相手の手札×100ダメージを
相手に与える!!
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「プレイヤースキル……!!」
勉強机に硬直状態の剣の背後に出現した、鋭利な棘と歯車で工作された巨大拷問車輪! これぞ早瀬の真骨頂・ツールカードとプレイヤースキルの二重苦拷問!!
ツールカードが精神の苦痛なら、プレイヤースキルは肉体の苦痛。相手の持つ五体全てを痛め付けないと彼女のストレスは発散しないのかと、考えただけで恐ろしくなるバーンコンボ。
これには好奇に震えていた剣も若干青ざめる程に、早瀬の見開いた眼から恐ろしい何かが取り憑かれていた!
(自由の効かぬ状態で何もできず、後ろから迫る車輪の金属音に怯えながら、命を乞いつつ苦痛の叫びを私に聞かせなさい! フッ、フフフフフフフフフフフフフフフフフフ…………!!)
桐山剣、超ドS作家による公開処刑にされるのか!? 間もなく決着の時近し! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽
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次回もゲームウォーリアーをお楽しみに!!




