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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
4th STAGE―ゲーム戦士魂大爆発・本当の正義は何処だ……!?―
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【GAME50-3】地雷トラップを突破せよ!!

 ――桐山剣の突破口を塞ぐパーミッションの罠。そして早瀬ハルの繰り出していたPASの能力が、剣の手番に好機の瞬間を阻み、刃も届かぬ硬直状態に陥っていた。


 しかも早瀬のPASの正体は、桐山剣はおろか我々読者の皆様ですら未だ分からない状態!

 そんな異能力を暴く為のたった一つの鍵は、早瀬がカード発動の際に何度も魅せたカード指名による百発百中の的中率。それを導くトリックを桐山剣は暴くことが出来るかどうかが、決闘の行方を左右される事でしょう!


(……なんかもう、早瀬さんはゲームが苦手とか上手いとかの次元ちゃうな。てかもうゲーム以前に、社会で揉まれて培ったような()()さが余計に目立ってきてやがるぜ)


 簡単な話が、自分のPASを相手に悟らせまいと口八丁手八丁に論破してこの場を凌いでいる早瀬。

 その言動が剣を余計に猜疑心(さいぎしん)、疑う心を強めてはいるのですが、肝心のPASと証拠が掴めていない。非常に歯痒い気持ちにさせていく。


「さぁ剣さん、早くゲームを続けましょうか」


 顔で笑って心で泣くのが(オトコ)なら、上辺でわらって心の底ではゲス笑いを繰り返すのが女狐……いや違うな、狡い女の特権なのでしょうか?


 《CARD DRAW》


 早瀬の上辺笑みにも苦い表情を見せる剣は、再び来たりしドローカードを手にし、5枚になった手札をブレスのモニターにて確認すれば、又もや苦い顔。


(……駄目や。パーミッションでユニット同士のバトルが成り立たんから、ユニットサポートのカードが全く役立たねぇ。精々攻撃力を上げるかくらいか……でもなぁ、絶対早瀬さんが回したデッキで妨害系来そうやし。キッツイわ……!)


 桐山剣のデッキは、本来プレイヤーやユニットとの一騎打ちを特化とし、その布陣と戦力の強さで圧倒させて勝つという謂わば“ビートダウン”型のデッキ。

 しかしそれらの戦闘を全て拒絶し、自分の思うままに戦況をコントロールする早瀬のパーミッションデッキを相手とするにも“相性悪”に他ならない。


 このゲームの行方もまた、徐々に桐山剣を追い詰めていくのであった。………この状況どう思いますか、ゲームマスター兼()()蒼真(そうま)さん!


「何時から俺が解説役になったんだ」


 良いじゃないですか、一回きりなんですから少しくらいお付き合いしても! どうせこのゲーム以降は貴方そんなに出番は来ないんですし。


「サラッと現実的な事言うな! この語り部は……」


 登場人物の出番は非常にシビアなんです。改めてこの状況どう思います?


「……まぁ、本来早瀬のパーミッションデッキは、ツールカードやらをフィールドに集めつつ、後半から真価を発揮するタイプなのだが。その真価を発揮させているのは早瀬のPASがあってこそだ。この“技能”が見抜けん限り、桐山剣の敗北は必須だろう。

 ――――いや、そんな悠長な隙すらもない。突破口が見えなければ、残り30秒の命か」



 30秒!? それは丁度ドローカードの時間と同じ…………まさか!!


「社長は“理不尽極まりない世の中を制す試練”と言っていたが、その為に“理不尽”を貫き通すとは容赦が無いというか。それを()()()()()の早瀬を指名するとは皮肉も利く。鳳凰堂の人材発掘は伊達じゃないという事か」


 鳳凰堂って、あの鳳凰堂孔雀が推薦したのが早瀬ハル……!? それをOKするWGCの本宮社長も社長でしょうに!

 回を増せば増すほどに、様々な人物の腹黒さやら、えげつなさが滲み出る今日此頃のゲームウォーリアー。


 それはともかくとして、蒼真が語るに“あと30秒の命”と宣言された桐山剣は、何も出来ない状況下の中でただひたすら、早瀬の企みを暴こうと持てる知能の全てをフル回転する!



(どうする……? 【守護霊のカーテン】で防御されてるから未だ早瀬さんのHPも削れてへんし、かといって早瀬さんも何もしないとは思えへん。圧倒的な防御と、俺の出鼻を挫く妨害の構え、そしてヤベェ程に回るデッキの回転率が絶妙に調和されてら。


 …………いや、何かが()()()())


 パーミッションによる絶対的な制圧力に、剣も敵ながら称賛してしまうほどに良く出来た早瀬のデッキ。回し方も防御も妨害も、初心者とは思えないセンスで剣を圧倒させた事実は揺るがない…………だが、だが。


 ゲーム開始から既に5分を経過した長期戦にて、一つだけ感じ取った“違和感”、“ちぐはぐ”、スッキリしない感覚が剣の直感を擽らせ、ある賭けに出てみようと決意を固めた!



(………やってやっか。槍ちゃんの直感を信じてた俺が、テメーの直感を信じねぇなんてあるか! リスクなんて気にするな、戦えんでムカつくこの戦況をぶち破ってやる――――ッッ!!)



 久方ぶりに口にした剣の親友、天野槍一郎の名を語れば、次第に燃え上がるゲームの闘志。攻撃を阻むカーテンに、妨害カードに、不気味に回るデッキを前にして桐山剣、勝負に出る!



「―――俺はここは何も仕掛けません。それよりも早くカードを出したくてウズウズしてる早瀬さん、貴方に主導権を渡しますよ」

 何と、自らカードの発動をしないと宣言する剣!


「あら……なんて謙虚な人なんでしょう」


 等と早瀬もその意思に尊重して受け入れの姿勢に。しかし裏方では早瀬の思考回路が絶賛起動中!


(そんな手札じゃ、ユニットへの対策しか出来ないでしょうに。……この私に対するハッタリかブラフか、それともパーミッションと見せ掛けた罠を展開すると睨んだのか……?)


 時間を掛けての出方を読んでも埒開かない。ドローカードの時間が迫る前に早瀬は次の手番にカードを展開する。それも《アンセスター・メモリー》で深くデッキを掘り下げて採った決め手のカードを……!



『パーマネント・ツールカード、【サモントラップ・エクスプロード】!!』


「出やがったな、カード地雷め……!」


 ◎――――――――――――――――――◎

 〈パーマネント・ツールカード〉

【サモントラップ・エクスプロード】

 ・属性:無 EG:⑥

 ・効果:発動時、自分はプレイヤーを指名して、

 カード名を宣言する。

 指名されたプレイヤーはドローしたカードを

 公開し続け、それが宣言したカード名なら

 このカードを墓地に送って、そのプレイヤーに

 1000ダメージを与える。

 ◎――――――――――――――――――◎


 遂に降臨した2枚目、カード名を指名して的中すれば致命的ダメージのトラップ地雷! これで早瀬がカード名を指名し、残り数秒にて発動されるドロータイムのカードと名前が当たれば桐山剣に1000ダメージ、ジャストキルで敗北が決定される!!


「カウンター・レスポンスが無いのなら、発動処理は完了ですね。では、私がこのカードの起動で指名するカードは――――――」



『――――カウンター・レスポンス発動』


「……!?」


 カード指名を遮る、剣のブレス音声によるレスポンスのアナウンス! この土壇場で地雷を潜り抜ける策を展開するのでしょうか!?



「…………何をするかと思えば、そんなユニットや、ユニットの強化にしか使えない手札で何が出来るのですか」


 早瀬は以前の《記憶抹消》による剣の手札・デッキの確認作業により、予め剣の手札は把握していた。故に剣の今の手札では、地雷を抜ける策は無い……と思いきや。



「俺が対応(レスポンス)するのは手札のカードからじゃないすよ。アクションカードと同じタイミングで、カウンター・レスポンスで発動可能な俺の――――――【プレイヤースキル】です!」


「誘発起動型の、プレイヤースキル……!?」


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・桐山剣のプレイヤースキル

【緊急収集】発動!


 フィールドのユニットを1体手札に戻し、

 デッキからユニットカードを1枚選択して

 デッキの一番上に置く!

 ◎――――――――――――――――――◎


「俺はこれで、場の《ソニックソルジャー》を手札に戻して、デッキの上にユニットカードをサーチさせる!!」

「な、なんですって!?」


「俺が選ぶカードは、【ミラクルボール・プニュ】!!」


(ほう……!)


 これは早瀬ハルにとって思いもよらなかった誤算! クリアーウィンドウにてゲームのログに書かれない限りは、デッキや手札を見透かされても、唯一悟られる事の無い要素がこのプレイヤースキル。

 早瀬の【守護霊のカーテン】が、剣に初めて攻撃されるまでに気づかなかったのもその仕様故だった。


 それを利用して剣は、この修羅場を超える賭けを企てた。本来はユニットの軽いコストでリスクを軽減し、次展開させる為に使うこのプレイヤースキルを応用して、地雷対策に持ち込んだ。これにはギャラリーの蒼真さんも関心の域!


(………これは、明らかに私の失念……! デッキと手札に気を取られて、プレイヤースキルに警戒しなかった私のミスですね……!)


 この展開に、早瀬の焦燥した表情への変化。これはまさしく会心のファインプレーだ!!




 ………あ、ちょっと待った。さっき剣さんはスキル発動の処理でカードを相手に見せてましたよね? これって意味が無いんじゃ……!?


「……いや、早瀬の《サモントラップ・エクスプロード》は“誘発型能力”。つまり一発命中で地雷が発動しても、ドローしたカードはレスポンスのタイミングで即座に発動出来る。それも分かった上で桐山剣はデッキトップにあのカードを選択した。――――【その身を盾に、主の命を守り抜く奇跡の珠】をな……!」



 それが、早瀬ハルが改めて指名するカードの名。



「私が、指名するのは……【ミラクルボール・プニュ】……!」



 ――そして時は来たれり、運命のカードドロー!!



 《CARD DRAW》


 切り札騎士の手に引き渡るカードは空を斬り、ヒュッと奏でる横一文字は剣士の居合にさも似たり。そして誘発するは、狡猾にも高性能で起動されるカード地雷の罠!!



「《サモントラップ・エクスプロード》の効果! 桐山剣さんに、1000ダメージ!!」



 その爆破の刹那に、時間停止される戦場を駆けるカウンター・レスポンス!!!



「手札の【ミラクルボール・プニュ】の誘発効果! このカードを手札から墓地に捨てることで、30秒間俺に与えられるダメージを全てゼロにする!!!」



『プーーーーーーニューーーーーーーーッッッ!!!!!!!』



 ――――――ズドオオオォォォオォオオオオ!!!!!!



 響き渡る叫びと、煌めく黄金の球体の輝きが桐山剣を包み込み、カウンター・レスポンスが解かれた即座に爆破する地雷の爆風・高熱をも遮るバリアとなりて、プニュは最硬の盾となりてその使命を全うした……!!



 〔桐山剣 HP1000〕




「―――《サモントラップ・エクスプロード》、破れたりぃぃぃぃぃッッッ!!!!!!」




 さぁ〜さぁ〜面白くなって来ましたぁぁぁぁ!!! このまま突き進め切り札騎士!! ――本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽



 ◎――――――――――――――――――◎

 <ユニットカード>

【ミラクルボール・プニュ】EG:①

 AP:100 DP:300 AS:10

 属性:白 ユニット/エンジェル


 効果:このカードが手札に存在するとき、

このカードを墓地に送ることで30秒間

自分に与えられるダメージを0にする。

 ◎――――――――――――――――――◎

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