【GAME49-5】見透かされたカードデッキ!!
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◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔桐山剣 HP2000 手札2枚 EG:④〕
・ユニット:【カウンターナイト】
・カスタム・ツールカード:【ファイティングブレード】
★〔早瀬ハル HP2000 手札2枚 EG:⑥〕
・ユニット:無し
・パーマネント・ツールカード:【書籍棚】
※プレイヤースキル【守護霊のカーテン】付与
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――武器無し、火力無し、配下のユニットもなし。ただひたすらに身を守り通して、相手の出鼻を挫かせる妨害特化の専売特許。これでは戦う相手も甲斐性なし。
早瀬ハルの【パーミッション】なるデッキタイプが桐山剣の抜けば玉散る氷の刃も、討てど攻めども刃は砕かれるばかり。
〔桐山剣 HP2000〕
〔早瀬ハル HP2000〕
ご覧ください、両者未だにノーダメージ! 戦いにおいて常に時に追われるアメイジング。そのスピーディーさにものの数秒で傷は付けられるものだが、一向に五体満足の身体に攻撃することも出来ない。
それもその筈、今や戦況を操っているのは、明らかに早瀬の手番によって流れを変えているからだ!
『カスタム・ツールカード、【バインドチェーン】!』
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〈カスタム・ツールカード〉
【バインドチェーン】
属性:黄 EG:②
・効果:フィールド上のユニットに装備させる。
装備されたユニットは攻撃もブロックも出来ない。
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「この装備カードを、剣さんの《カウンターナイト》に装備。これで攻守共に操作不能ですね」
控えめな笑みを浮かべながらえげつない束縛の鎖を解き放ち、剣の騎士ユニットをホールド。剣のフィールドにアタッカーは実質居なくなった。
「今度はロックを仕掛けてきたか……!」
剣の頼りのユニットが動けなくなってしまい、また彼に残された手段は懐の《ファイティングブレード》のみ。だが早瀬の【守護霊のカーテン】がその刃を阻む以上どうにもならない。
《CARD DRAW》
気づけばゲーム一回目のカードドロータイム。つまりはもう30秒も経過したにも関わらず、未だに形勢が動かない“硬直状態”に陥っていた。
(こんなに長く感じた30秒間も初めてや。デッキだけグルグル回してるだけなのに、いざ攻撃を仕掛けても、カーテンにダメージ無効でチャラにされちまう。非ッ常にやり辛い)
それは彼が、今まで戦ってきた対戦相手とはあまり遭遇しなかった極稀なタイプでもある為でもあった。剣のデッキの相性から見ても、決して良いとは思えない。
攻守共にバランスの取れた騎士デッキも、妨害されれば様にはならぬ。配下を全く展開しない早瀬のデッキでは、戦闘補助のカードも尽く腐ってしまうのだ。この決闘、どんな感じになるんでしょうかねぇ、蒼真さん?
「俺は桐山剣の戦術にはあまり深くは知らんが、序盤で見る限り、意外と攻めよりも守りに重きを置くタイプと見てる。だが早瀬はそれよりも遥かに硬い守備を持つ。それにどう攻めていくかが決め手となるな」
玄人視点の解説、ありがとうございます蒼真さん。……今後暫くこのポジでやりま
「断る」
……じゃ、時給2000円でどうですか?
「2000円か……」
いやいやいや冗談ですからね!? 悩むところじゃないですよそこ。
「蒼真さんもこの作品の魔物に誘われたな。ほっといて、こっちはカード出すで」
小説の茶番も魔物扱いの剣、カードスキャン!
『ユニットカード、【隼剣士・ファルザー】!!』
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<ユニットカード>
【隼剣士・ファルザー】EG:④
AP:100 DP:300 AS:10
属性:青 ユニット/ナイト
効果:このユニットは1回の攻撃宣言時
に2度攻撃できる。
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隼斬りの如く2回攻撃が出来る《隼剣士・ファルザー》。何も仕掛けてこない早瀬に警戒して、一応のユニット召喚。切り札騎士とて、戦いに臆してばかりではいられない!
(取り敢えず俺が出来ることはこれくらいや。攻撃出来んのがむず痒いが、攻撃の機会を作るまで、こっちも固めたる!)
▶▶▶ NEXT▽
―――さて、ここからは一時ダイジェストでお送りします。
というのも、時間が経ても一向に剣も早瀬も決定的な打撃の傾向が見えなかったからだ。
まず早瀬は、パーマネント・ツールカードの《書籍棚》で滞った手札を交換しては回し、回しては交換と繰り返すのだが、そこから続けて発動するカードがよりゲームを長期化させていくのだった。
『パーマネント・ツールカード、【フェイクニュース】』
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〈パーマネント・ツールカード〉
【フェイクニュース】
・属性:青 EG:③
・効果:フィールド上のユニットは
攻撃コマンド時にEG②を支払わないと
攻撃に参加出来ない。
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(付加コスト付けやがった……!)
これはパーミッション特有のリスク倍加系カードによる妨害だ! ただでさえ攻撃制限されている戦場で、辛うじて強いユニットを出せても、攻撃コマンド時に余計なEGも払わねばなりません。これでは満を持してのアタックがやり辛くなる。
片や桐山剣。カードドロータイムの時間が来てはユニットを展開し、早瀬がどんなカードを繰り出しても良いように布陣を整える方向へ。これが吉と出るか、凶と出るか。
―――ここで今回のゲームの重大なポイントとなるカードはズバリ、《書籍棚》だ。
有り余った手札の枚数だけ除外して、デッキからその枚数分引いた後に、除外カードを戻す交換能力だが、これを簡単に言い換えれば、“欲しいカードをデッキの中から掘り起こす”行為である。
デッキの上のカードを掘って、手札の要らないカードをデッキの上に戻す行為は、回せてないように見えるが、それを補うのはこんなカード。
『ツールカード、【思考調整の占術】!』
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〈ツールカード〉
【思考調整の占術】
・属性:青 EG:②
・効果:デッキの上から3枚カードを確認する。
その後自分はそのカードの好きな枚数をデッキの
一番下に置き、自分はカードを1枚ドローする。
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「これは早い話が手札調整のカードです。デッキの上のカードは散々回した《書籍棚》で戻した不要なカードですから、こちらはデッキの下に置きましょう」
これなら要らないカードがデッキと手札で行ったり来たりすることも解消される。こういった調整カードによるデッキ回転を繰り返すことで、50枚のカードデッキが潤滑油を挿したかのように程よく回るのだ。
「それに大分デッキを掘り進めたと見える。となると、早瀬の方も仕掛けてくる頃合いだろう」
だそうです、ボランティア解説の蒼真曰く。
「オイ、さっきの時給2000円の話はどうなった!?」
だから冗談ですってば!!!
「………さて、そろそろですかね。参りましょうか」
蒼真さんの思惑通り、停滞した戦況を動かす早瀬のゴーサインに剣も自然と身構える。
剣のユニットも『ファルザー』『シールダーナイト』『ソニックソルジャー』と、3体もフィールドに並べて布陣は上々。手札もそれなりの対処が出来るカードが揃っていた。
――さてさて、早瀬が満を持して仕掛けるカードとは何か!? 現在彼女の蓄積EGは⑩、消費するEGは④!
『ツールカード、【記憶抹消】!!』
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〈ツールカード〉
【記憶抹消】
・属性:黒 EG:④
・効果:相手プレイヤーを対象にし、
カード名を宣言する。そのプレイヤーの
手札・デッキ・墓地からそのカード名の
書かれたカードを全て探し、除外する。
その後そのプレイヤーのデッキをシャッフルする。
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「………? ここに来てデッキ破壊か?」
これには剣も杞憂の域。デッキ破壊と言っても、ピンポイントにカード名を宣言して、そのカードを全て除外されるだけですが、玄人からしてみれば間接的に痛いカード。しかしそれが何故、早瀬にとって仕掛けの発端になるのかが分からない。
「対象プレイヤーは勿論、剣さん。カード名は、そうですね……【ヴァルキリー・フレア・ドラゴン】で!」
「おっと……!?」
早瀬が宣言したカードは《ヴァルキリー・フレア・ドラゴン》。数ある剣の切り札の中でも特にパワーに定番のある烈火の騎士龍だ! それを早瀬が知っているという事は、おそらくアメイジング・ウォーズ等の情報で知り得たのでしょう。
「……別にかまへんすけど、俺の手札にヴァルキリーは無いですよ?」
アメイジングのフィールドから、クリアーウィンドウで展開される桐山剣の手札。
勿論相手の手の内がバレる事は良くない展開ですが、これは《記憶抹消》の効果処理による相手カードの確認の為の処理故、致し方ない事なので悪しからず。
現在4枚ある手札にはアクションカード2枚、そしてカーテンによって持ち腐れになったカスタム・ツールカードが2枚入っていた。
「それは残念です。墓地は、無いとして次にカードデッキを確認させて下さい」
「………何かいけ好かないすね。俺のデッキまで公開されるなんて。まぁカード効果なんでしゃーないすけど」
渋々と再びクリアーウィンドウから展開される桐山剣のカードデッキ。カードゲームでよく見られるデッキ編成のように広げられたカードカタログの如く、40数枚のカードが早瀬の眼前に映った。
「…………ふむふむ……成程。へぇ、そんなカードまで持っていたんですか。意外とレアが揃ってますね」
「お世辞は良いですから。あんまりジロジロ見られると、何か無性に首筋が痒いんで」
ある意味嫌な神経を使わせますね。
「あぁ、すみません。私あまり実際のカードにお目に掛かれて無いもので……あ、ありましたね《ヴァルキリー・フレア・ドラゴン》。1枚だけですので、そのまま除外させますね」
早瀬はブレスから展開されたウィンドウを画面タップで操作し、騎士龍のカードを除外フィールドへ追放。公開されたデッキのクリアーウィンドウも消滅した。
「デッキを開いたんで、剣さんはちゃんとシャッフルしてくださいね」
「分かってますよ。しなかったら、シャッフルオールスターズの名が廃ります」
そして剣はカードスキャンブレスの自動麻雀卓……じゃなかった、自動シャッフル機能によってデッキケース内のカードを混ぜていく。
おそらく彼はこの時点で、“カードデッキは見透かされても混ぜれば問題は無いだろう”と安堵していたのでしょう。イカサマを悟られないシステムは、安心したゲームを望めます。…………だが、だがしかし。
――――桐山剣はこの時、最大の失態を見せたのだった。
あの《記憶抹消》で手札はおろか、デッキの全貌を早瀬に知られた事。デッキの上から順々に並ぶカードを集中して目視していた彼女を甘く見ていた。
そうとも知らずにブレスの自動シャッフルに徹する剣に対し、それを見つめていた早瀬ハルの目付きはまさに……
“拷問を最大の快楽と称する女狐”、と化していた…………!!!
「はいシャッフル終わり。オールスターズは健在」
………果たしてちゃんと健在で居られるんでしょうかねぇ……?(震)
それにまだ、早瀬の手番は終わってませんよ!
「では残りの⑥のEGを支払って、もう一つのパーマネント・ツールカードを発動します」
『パーマネント・ツールカード、【サモントラップ・エクスプロード】!!』
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〈パーマネント・ツールカード〉
【サモントラップ・エクスプロード】
・属性:無 EG:⑥
・効果:発動時、自分はプレイヤーを指名して、
カード名を宣言する。
指名されたプレイヤーはドローしたカードを
公開し続け、それが宣言したカード名なら
このカードを墓地に送って、そのプレイヤーに
1000ダメージを与える。
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これぞ、早瀬ハルのデッキの一角を表したエースカード!
簡単に説明いたしますと、このカードが発動された時に、早瀬はカード名を宣言します。更にこのカードがある限りは、剣はドローしたカードを早瀬に公開し続けねばなりません。
そしてドローカードが、早瀬の宣言したカードであった場合、《サモントラップ・エクスプロード》を墓地に送って剣に1000ダメージを与える事になります。
早い話が、“カードドローの地雷装置”だ!!
「きっつ…………!! もし当たったら、HPが半分削がれるやんか。ヤベェのが来ちまったなぁ」
「では《サモントラップ》のカードを宣言しますよ。カード名は――――【ビハインド・ムーブ】で!」
「……また妙にマイナーなの出してきたな。一応入ってるけどさ」
《ビハインド・ムーブ》とは、例に例えると【GAME10】で服部のあんちゃんの手下を助けるために使った、自分を背後にワープさせる不意打ちカードですよ。
「まぁ勘でしょうか。1枚だけ入ってたのを見てましたから、それで当ててみようかと」
カードデッキの中に最大3枚まで同名カードを入れられるものがあるのに、敢えて確率の低い1枚のカードを選んだ早瀬。これはどんな勝算があっての選択か。
丁度時は30秒経過、通算5度目のカードドロータイム。剣に再び頼みの宝札が舞い降りる時だ。
「もうこうなったらダレてる場合ちゃうな。早い所決め手のカードを出して、決着を付けさせて貰いますよ!」
《CARD DRAW》
「行くぜッ、ドローーーーッッッ!!!!」
さて、桐山剣が引いたカードは!?
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<アクション・カード>
【ビハインド・ムーヴ】EG:②
属性:青
・効果:相手フィールドのユニット
またはプレイヤーの背後を瞬間する。
◎――――――――――――――――――◎
「………………………………嘘ん」
「あらあら、流石“切り札騎士”さん。―――――運 が 良 い で す ね ぇ☆」
早瀬ハルの純粋無垢な笑みの裏に、ドス黒いサディスティック思考。《サモントラップ・エクスプロード》起動!!
「桐山剣本体に1000ダメージ」
――――――ズドオオオォォォオォオオオオ!!!!!!
「がああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!!!」
〔桐山剣 HP2000→1000〕
地雷装置大爆破、ふっ飛ばされた桐山剣の悶絶の咆哮!!
「気持ちいいですねぇ! 自分の考え抜いたカードの束で、こんなに大ダメージを与えられるなんて。カードゲームは聞くよりも、やる方が快楽を感じられますよ!」
想像してみてください、ドSが人をいたぶって、全身ワナワナっと身震いしつつ身も心も開放させたような、早瀬の満面の笑みを!! 真のドSは、他人の痛みをも快楽に変える!!!
……といった所で蒼真さん。改めてお聞きしますけど、一体早瀬さんって何者なんですか?
「早瀬ハルは、本人が自負したように有名なゲームシナリオライターだが、それだけで生活出来るほど金を稼げないから『G通』のコラム担当として、副業でフリーライターを営んでいる若手ライターだ。
……だがそんな彼女が何故、WGCに一目置かれた人物に成り上がったか。コラムを読めば分かる」
そう言われて蒼真から、G通のコラム『ぶっちゃけちゃいますが……』を読んでみた、私Mr.G。なになにどれどれ………………えっと。
ぶっちゃけ過ぎてません? ブラックすぎて内容的にも……
「そう、あまりにも腹黒くてオブラートも包まず、粉薬を鼻から飲ませるようなドS人間が彼女の本性だ。そのコラムが発端で、数多くの不祥事を起こした事業をドン底まで叩き落としたり、それによる炎上も彼女の多彩なコネが、一瞬で消化させる程の人脈も得た。それが何を意味するか、分かるか?」
……ヤバいですね、剣さん。
(まぁ精々気を付けることだな、桐山剣。今後の展開も、言動も。ゲームには疎いが知識が図書館以上の彼女を敵にした者は―――――生き地獄が待っているぞ……!)
早瀬ハル、上辺では上品に笑みを浮かべるも心では下衆い高笑いが聞こえてくるようだ……!!
凡人の中でも軍を抜く曲者を相手に、桐山剣はこのゲームを制することが出来るか!?
次回はこのゲームの後半戦、そしていよいよ節は【GAME50】へと突入。更に更にゲームウォーリアーシリーズも、もう間もなく3周年へ突入に向けて、着々とそれに相応しい催しを、皆様にお届け致します!!
本日は【GAME49/切り札騎士VSゲームライター】を持ちまして読み終わり、また次回ッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
桐山剣VS早瀬ハル・後半戦! 早瀬によって赤裸々に明らかにされる桐山剣の過去、そしてゲームウォーリアーの迷シーン!?
間もなくゲームウォーリアーシリーズ3周年! 本編で一体何が起きる!!?
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