【GAME49-3】筆者を包み込むカーテン!!
――TIPS――
【ゲーム戦士・プレイヤーステータス】
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:ハル(早瀬ハル) ♀
・プレイヤーレベル:9
・ジョブ:『小説家』
・PAS:現在解析不能
[プレイヤーステータス]
・アクション:D・シューティング:E
・ロールプレイ:B・タクティクス:S
・スピード:C・ブレイン:S
・ハート:A・ミュージック:B
・ラック:C
[プレイヤースキル]
・【大容量データ】【リプレイホログラフィ】など
[エンブレム]
・なし
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――お待たせしました、ゲーム開始! 例に習って最序盤のステータスをご覧頂きましょう。
〔桐山剣 HP2000〕
〔早瀬ハル HP2000〕
なんと、両者HPが2000台のタフネス! 剣は何故ここまでHPがあるのかというと、先程のダンジョンで鍛えたプレイヤーレベルの上昇によってここまで成長した。
対する早瀬、本来『小説家』というジョブは徹夜続きで精神バランスが自然に鍛えられるからか、高タフネスな個性を持つ。だが攻撃センスはからっきしなのが玉に瑕。
おそらくこの情報からでも、長期戦は免れないでしょう。どうにか作者には長すぎない展開で執筆してほしい所だ………と、おおっ!?
◎――――――――――――――――――◎
・桐山剣のプレイヤースキル
【騎士剣 招来】発動!
デッキから《ファイティングブレード》
を呼び出し、そのまま装備します!!
◎――――――――――――――――――◎
先手必勝! 早速にしてデッキ内の《ファイティングブレード》を呼び出して、コロセウムの天井から降り注ぐ一筋の刃。それを右掌たなどころにパシッと柄を掴んで装備する。桐山剣・騎士の構え!
◎――――――――――――――――――◎
<カスタムツール・カード>
【ファイティングブレード】EG:③
AP:100 PP:15
属性:赤 装備:プレイヤー
≪必殺技≫
『ソニックブレード』EG:③ AP:150
・弧状のソニックブーム赤属性の
斬撃を撃ち飛ばす。
◎――――――――――――――――――◎
「へへっ、俺は長ったるいのは好きじゃ無いんで! 丸腰の大人を斬るのは気が退けるが、決闘なんで堪忍して下さい! ―――覚悟ッッ!!」
攻撃する前に事前に謝る剣、知らぬ間に礼儀を弁えていた切り札騎士がその身を任せて突っ込んで、早瀬目掛けて攻撃宣言したその時!!
―――――ガキンッ!
「ッッと!!?」
ファイティングブレードの切先、振りかぶった刃で身を斬ろうとした矢先に金属のような鈍い音。その反動によって剣は体制を崩しつつも、瞬時に間合いを取って立て直す。瞬発力のソーシャルディスタンスだ。
「すっげぇ硬い感覚だった……、アンタ何装備してるんすか!?」
「“装備”、ちょっと解釈違いですね。貴方には視えないんですか、私の前を降ろしている衣が」
「ベール………!?」
そう言われて、改めて早瀬の手前まで立って上を見渡せば、保護色を使っていながらも辛うじて風に靡いてヒラヒラしている透明のカーテンが早瀬の周囲を覆っていた!
「開始早々物騒な事を仕掛けますねぇ貴方。野蛮なやり方でHPを減らそうだなんて、価値観疑われますよ」
シナリオライターで例えるなら、執筆中の個室での水入りは厳禁と宣言するようなものか。ヤワな攻撃でシナリオ構成者を考えを改めさせる事は不可能、神より授けられた加護によって覆われたカーテンがある限り。
◎――――――――――――――――――◎
・早瀬ハルのプレイヤースキル
【守護霊のカーテン】発動中!
自分はAP300以上の戦闘ダメージを
一切受け付けない!!
◎――――――――――――――――――◎
「んなアホな! じゃ俺の剣の攻撃やっても無駄って事やんか!!」
せっかくプレイヤースキルを発動させてまで呼び寄せた武器も、鉄壁のカーテンでダメージ無効にさせてしまえば宝の持ち腐れも良いところ。とにかく今は騎士の成りだけでも見栄を張るしか《ファイティングブレード》の使い道はない。
「これで余裕を持ってカードを出せますね。では、私はこれを……」
カーテンがあれば悠々とカードを引き、ブレスに装填できる余裕も持てる早瀬。発動したカードはこれだ。
『ツールカード、【先入観】』
◎――――――――――――――――――◎
<ツール・カード>
【先入観】EG:①
属性:青
効果:プレイヤーを1人対象にする。
自分は対象プレイヤーのデッキのカードの
一番上から3枚を確認する。
その後自分はカードを1枚ドローする。
◎――――――――――――――――――◎
簡単に説明すれば、これは早瀬か剣のどちらかのプレイヤーを対象にして、選んだプレイヤーのデッキの一番上から3枚のカードを発動した早瀬だけが確認する事が出来るカード。しかも1枚ドローするというキャントリップ付きの意味深なカードだ。
「そうですね、対象は桐山剣さん。デッキの上から3枚のカードを私だけに見せて下さいな」
「へぇー、そんなカードもあるんか。分かりました」
剣はデッキケースから3枚、デッキトップのカードを早瀬だけに公開させた。因みに読者の皆様には何のカードがあるかはノーヒントとさせて頂きます。悪しからず。
「…………成程、序盤にして強い布陣ですね。確認は終わりましたので、剣さんはデッキのシャッフルをお願いします」
「了解です」
皆さんもカードゲームの効果の処理が終わったとき、例えばデッキからカードを手札に加えたりするときにはちゃんと“シャッフル”していますか?
デッキ内のカードの順番は自分も相手も悟らす訳にはいきませんからね。ちゃんと程よくカードを混ぜる事がフェアなプレイに繋がります。
アメイジングの場合は、カードシャッフルはカードスキャンブレスの機能に搭載されていて、ボタンを押すだけで装填されたデッキケース内のカードはブレスの内部にてランダムに混ぜて自動的に束に重ねる機能が付いています。早い話がイカサマを無効にさせる自動麻雀卓のような機能です。
「混ぜ終えましたね。では最後に《先入観》の効果で私はカードを1枚ドローします」
最後のキャントリップ効果も処理完了した所で、ゲームは次なる展開へ。
(まいったなぁ、あの【守護霊のカーテン】があるから俺の剣もユニットの攻撃も通らへんしな……、せめて場の布陣だけでも固めな)
攻撃の殆どが通らない剣は自分の身に警戒する。その危険予知に従ってカードをスキャン。
『ユニットカード、【カウンターナイト】!』
◎――――――――――――――――――◎
〈ユニットカード〉
【カウンターナイト】EG:②
AP:100 DP:100 AS:3
属性:赤/黄 ユニット/ナイト
・能力:[カウンター 50%]
50%の確率でこのユニットの受けるダメージを
無効にし、相手に200ダメージを与える。
◎――――――――――――――――――◎
これはかつて【GAME28】のムーンリバー三兄妹の時に登場した、反撃の[カウンター]能力を持つ騎士ユニット。相手の攻撃やユニットに対応するための迎撃保険か。
(成程、“切り札騎士”のアイデンティティに従っての騎士ユニット。小柄ながらも利便性に長けた軽型ユニット種族。しかし……)
等と想像力に長けたライターの脳内に展開する早瀬の勝利へのシナリオ構成。それに対応しての2枚目のカードをスキャン。
『パーマネント・ツールカード、【書籍棚】!』
召喚により出現したのは何と、シナリオライター或いは小説家には必須の本を収納する書籍の棚! まさか早瀬さん、こんな所まで来て執筆を?
「まさか。幾らプライバシーを保護するカーテンがあるるからってここで執筆しませんよ」
守護霊はプライバシー保護の為にカーテン下ろした訳じゃないんですが。
◎――――――――――――――――――◎
〈パーマネント・ツールカード〉
【書籍棚】
・属性:無 EG:②
・効果:EG:①.自分の手札から好きな
カードを選び、それを除外フィールドに置く。
自分は除外フィールドに置いたカードの
枚数分デッキから手札に加える。
その後除外フィールドに置いたカードを
好きな順番でデッキの一番上に置く。
◎――――――――――――――――――◎
「そのカードの能力って何なんすか?」
「早い話が“手札交換”ですよ。数ある手札交換カードの中でも、このカードを特に効率良くデッキを回せますから」
カードゲームの中でも、手札の中身が良くない時に発動するリロード的なカードが多数ありますが、《書籍棚》のように一旦要らないカードを置いといて先にカードをドローしてから、除外したカードをデッキ上に戻すという効果は、手間は掛かれど色んな面から有効活用出来るのです。これはカードゲーマーならではの玄人な戦法。
それを素人と称する早瀬が使うというこの矛盾。しかもここまでユニットはおろか、アクションカード等の応戦に構える様子は皆無。序盤という事もあるからでしょうが、デッキ内の操作だけでは流石の剣も対応に困ってしまう。
(全然相手デッキの個性が分からねぇ。ユニットも出さへんで、桜みたいにアクションカードを構えてる感じも見えない。……ただ、一つだけ解かっていることは。
――――早瀬さんも、俺と同じくPASの覚醒者である事だけだ!!)
これは一体どういう訳なのか!? ゲームの恍惚や闘志に反応して覚醒するゲーム戦士の魂の能力・PASを、実戦経験の無い早瀬が覚醒していた事が剣によって判明させられた!!
だがそのPASの形、個性を表す色はPASスキルを発動させるまで分からない。透明の守護ベールとデッキを回転させる書籍の棚だけが展開する早瀬の執筆、もとい決闘スペース! これより展開されるアメイジングの時間が刻まれると同時に、その本性が顕になる事でしょう!!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




