【GAME49-2】切り札騎士VSシナリオライター!?
――TIPS――
【ゲーム戦士・プレイヤーステータス】
☆――――――――――――――――――☆
・ネーム:SOMA(一文字蒼真) ♂
・プレイヤーレベル:68
・ジョブ:『赤魔道士』
・PAS:【???】
[プレイヤーステータス]
・アクション:SS・シューティング:A
・ロールプレイ:A・タクティクス:S
・スピード:S・ブレイン:A
・ハート:B・ミュージック:C
・ラック:C
[プレイヤースキル]
・【発火現象】【ブルーフレイムハート】など
[エンブレム]
・【0049年 G-1グランプリ優勝】など
☆――――――――――――――――――☆
――限界突破迷宮・最深部、その更に奥に隠された地下決闘場もとい古のコロセウム。
その禁断の聖地に足を踏み入れた“切り札騎士”こと桐山剣。GWクエストの案内人であるゲームマスター・一文字蒼真のスカウトの元で収集された対戦相手。
凛とした長い黒髪、そして裾の流れる和風衣装はかの偉大なる平安の文学作家の紫式部やら清少納言を思わせる雅なアバター。しかしてその実態は!
「日本最大のゲーム情報雑誌『週刊G通』のゲームコラムを担当しています、ゲームライターの早瀬ハルと申します!」
とはまた、明るい自己紹介で御登場の新ゲーム戦士だ!
「シャッフルオールスターズ所属の桐山剣です。……俺いつも『G通』読んでるけど確かに早瀬って名前どっかで見たことあるような」
「G通のコラムで『ぶっちゃけちゃいますが……』が掲載されてるでしょう。あれを書いてるのが私なんです」
……えー、本題に入る前に一旦説明を。
今回登場の早瀬ハルが申しております『ゲームライター』は、職名として【ゲームシナリオライター】の事であります。どんな仕事なのかと答えるならば、その名の通りRPGといったゲーム内の物語、即ち“シナリオ”を執筆するのが主な仕事です。
企画段階から携わる者もいれば、出来上がったキャラクターや世界観の設定を元にシナリオ制作に携わる者、プロットを元に部分的に筆を入れるシナリオライターと多種多様。シナリオライターもゲーム開発に関わる中で重要な役割を果たすんですよ。
「正確に言うと私、主にソーシャルゲームのシナリオライターをやらせて貰ってるんですけれども、副業と言ってはなんですがこの『G通』のコラム記事を執筆しながらシナリオを書いて現在があります。今流行りの『リクジョウガール』も私がシナリオに携わらせて頂きました」
「『リクジョウガール』って、さっきみのりと桜がやってたソシャゲやん! どーりで良く出来てると思った!」
丁度暇潰しに付き合ったゲームに携わった御方が間近に居ることに興味を惹かれていく剣。愛読している『G通』は最新ゲームの情報とマンガしか読まない剣もこればかりはコラムを読まなきゃという気にさせた。剣さん、高校生なんですから少しはコラムとかエッセイとか、もっと字を読まないと!
「うるへーな、プレゼント懸賞のページも毎日観てるっての」
(それも字じゃ無いだろ……)
と無言のツッコミを入れるは一文字蒼真。良いブレーキになりそうだ。
「……で、早瀬さんが俺の対戦相手で間違いないすか? ゲームは強くないって聞きましたけど」
等と若干オブラートに包みつつ剣が確認すれば。
「はい間違い御座いません。恥ずかしい話、私元々ゲームは苦手意識があったんです。でもこんな時代ですから何とか適合するように代わりに知識を埋めてきました。勝負も敬遠してたんですが、ここ最近興味を待ち始めまして」
「というと?」
「今現在全人口の7割がユーザーと化している決闘カードバトルゲーム『アメイジング』。私も参加したいと思い、このGWクエストの参加を本宮社長に無理言って立候補しました!」
「ふーん………」
持論を構えて毎週のようにコラムを執筆する早瀬の長話癖を、自分なりに掻い摘んで理解した剣。そんな彼が浮かんだ思惑は。
(どーも言ってる感じが汚れを知らない初心者って感じやな。早瀬さんには悪いけど、聖剣獲得にガチになってる俺相手じゃ心折れちまうかもしれへんが……あの本宮社長にアポ取ってOK出すくらいだから、相当権力持ってるんだろうな)
流石、歴戦のゲーム戦士は警戒を怠らない。戦いの筋として何処か不自然な事があれば油断せず、相手の思惑へブラフを立てつつ突き詰める。これも桐山剣の戦略の一つなのだ。
「……分かりました! でもやるからには全力勝負ですよ。手加減は俺の魂に反しますから!」
「もとより、私もそのつもりで挑ませて貰いますよ。私の独学で工夫を凝らした『カードデッキ』とやらで、ゲーム戦士の一線に立つ者にどれだけ通用するか。心躍りますよ!」
そう言いながら早瀬は慣れない素振りで右腕のカードスキャンブレスにカードデッキのケースを装着。ブレスが起動し、決闘モードに入る。
それに反応して剣も真っ赤なデッキケースをブレスに装填、カチャッと入れればサラウンドに鳴り響く電子音。ダートな地に張り巡らす無観客の円形ギャラリー、剣の後ろに位置する蒼真がゲームの指揮を執る。
「では、早速ゲーム開始だ。内容は『アメイジング』のノーマルルール、アンティは聖剣《GXキャリバー》の所有権のみ。剣が勝利すれば試練続行、敗北すれば即クエスト失敗とみなす」
相手が誰であれ、負ければ二度とGXキャリバーを手にすることが出来なくなる一発勝負。これには桐山剣の表情も引き締まる。
「―――では桐山剣さん。お手柔らかにお願いします」
「はい、宜しくお願いします!」
ゲーム戦士は礼儀正しく、剣と早瀬は決闘場の中央に寄って互いに握手。再び間合いを広げてブレス内で手札5枚のカードをリロード。いよいよ試練最初の決闘の火蓋が切られる! ――――それでは御二方、準備は出来たかッッ!!?
「「アメイジングバトル! READY!!」」
『――――START UP!!!!』
……しかし、この時桐山剣はまだ知らなかった。
確かにゲームの実力では素人の早瀬ハル、その代わりに培ったゲームシナリオ構成という年季が、とんでもない展開へと積み上げようとしていた事を!!
一癖も二癖もある試練バトル、どうぞ最後まで御一読の程を! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




