【GAME48-8】“奇跡”を魅せてくれ!!
―――限界突破迷宮・B13階、一方通行の一本道にて只今修羅場の番場展開中!!
「オラオラオラ斬り刻まれたい奴は一列並べーー!! 俺が全員叩き斬ったらぁ!!!」
『プニューーーー!!!』
一本道にて剣と反対側に立ちはだかるは桐山剣の相方のマスコット・プニュ。《ファイティングブレード》携えて一匹ずつ魔物を斬っては倒し、斬っては倒しの繰り返し。これぞ奥の細道ならぬ“百人斬りの細道”か。……あんまり上手くないですが。
一方通行であるが故に、魔物は複数で奇襲を掛けることが出来ずに長蛇の列が出来、魔物内では整理券まで配られ……てはいませんけども。剣にとっては魔物とガチンコ勝負・一対一の勝負が出来るため丁度良い。あれよあれよと言う間に列も解消されて、孤軍奮闘の中で剣は数十匹の魔物をソード一筋に打倒した!
◎――――――――――――――――――◎
・PP0の為、《ファイティングブレード》消滅!
◎――――――――――――――――――◎
「危ねぇ、丁度役目を果たしたみたいだ。プニュが貰ったソードが此処まで役に立ったぜ」
『プニュプニュ!』
スペシャルコマンド、《奇跡の贈り物》によって手に入れたソードが役に立てたと知って、プニュは照れるやら剣に寄り添ってほっぺすりすりするやら嬉しそうだ。だが現在丸腰の剣とて和む暇はない。
「モンスターハウスの空間にカード滅茶苦茶あったよな。……ここ離れたかねぇな、まだ敵さん群れてるしよ」
大量の魔物が住む空間・モンスターハウスには同時に無数のカードが落ちていた。剣はそのカードを回収したかったが、この一方通行の道から外れれば何処から魔物が襲ってくるか分からない。ここを離れずにカードを手に入れればどれだけ便利か。……と、思った矢先。
『プニュニュ!』
◎――――――――――――――――――◎
《ミラクルボール・プニュ》
スペシャルコマンド【奇跡の贈り物】発動!
契約者の必要なカードを1枚加える!
◎――――――――――――――――――◎
「ん、またカード持ってきたのか!」
可愛がってくれる剣の為に再びプニュが取り出した1枚のカード。それを確認するや否や直様ブレスへとスキャンした。
『アクションカード、【アイテム・アトラクト】!』
◎――――――――――――――――――◎
<アクションカード>
【アイテム・アトラクト】
属性:無
・効果:フィールド上の全てのアイテムを
自分の周囲に引き寄せる。
◎――――――――――――――――――◎
アトラクト、即ち引き寄せ。吸引力の劣らない唯一つの集結術によって、モンスターハウス内のカードも含めた数十枚のカードが剣たちの元に集まった!
「フゥゥゥ! 確かに俺の求めていたカードだ、良くやったぞプニュ〜!」
『プニュニュ〜☆』
プニュによる奇跡の宝札が剣を有頂天にさせた。すぐに散らばったカードを回収。最早長居は不要とみた剣は一方通行の細道から抜けて、またもやプレイギアWATCHのコンパスナビの導きオプションでB13階の脱出を図る。
『まもなく左方向……だからひだ、左つってるのに右行ってんじゃねーよバカ』
剣さん!? 方向音痴過ぎてコンパスナビに暴言吐かれてますよ!!?
(AIちゃうかったら、ドロップキック食らわしたる所や)
何はともあれ、本性を表したコンパスにも耐えながら辿り着いた出口の階段。プニュも『やれやれ』とリアクションする始末だが、当の剣はある不安を抱いていた。
(……おかしい。さっき俺が倒した魔物達もモンスターハウス全体の2/3くらいの数だった。なのに一本道で倒してからそれらしき奴らを一匹も見かけていない。逃げた? いや若しくは……)
ただならぬフラグがたち籠もる無人の空間、一寸先にはEXIT。何を思うか切り札騎士。
出口の階段に足を踏み入れる直前、剣はプニュを抱き抱えてギンとした眼で覚悟を決めていた。
「――――プニュ。もう一度俺に、【奇跡】を魅せてくれや!」
『プニュ―――――?』
◎――――――――――――――――――◎
限界突破迷宮・B14階
◎――――――――――――――――――◎
次の階へ踏み入れた瞬間、B13階に屯していた魔物が消えた謎が一瞬にして明らかになった。
一人一マスのドットから例えれば縦横共に20マスほど、階段を降りた先の剣達に待ち受けたのは………
――――数百匹の魔物…………!!!!
「B13階の腰抜け連中が、B14階の同胞と結託して待ち伏せていたって事かチクショウめ!!」
ギャースカと吠えたり嘶いたり無言で殺気を魅せる魔物が剣達に一斉砲火のごとく襲いかかろうとしていた! しかも階段を降りたマスには、待ってたぜと言わんばかりに仕掛けた罠が。
◎――――――――――――――――――◎
・トラップ【呪縛の電磁波】に掛かった!
一分間カード発動・移動不可能!!
◎――――――――――――――――――◎
逃げることもカードを使うことも出来ない八百長展開にギャラリーから飲み物やトマトが投げられるんじゃないかと思われる状況。―――最早、万事休すか!?
『プーーーーーーニューーーーーーーーッッッ!!!!!!!』
▶▶▶ NEXT▽
一方、現実世界にて剣達の修羅場を冷徹に見守っていた管理室の本宮若社長とゲームマスター・一文字蒼真。
社長は一旦席を外し、給湯室にてお気に入りのコーヒーブレンダーにてエスプレッソを淹れて一服しながら剣の健闘を見守る程に寛いでいた。
「さて、桐山剣の今の状況はどうなってるかな。B13階のモンスターハウスで苦戦しているようじゃ、攻略は難しいと見るがね」
それはどういう意味ですか、本宮社長?
「あの魔物達は連携意識を持って動いている。モンスターハウスで討伐しようものなら、魔物達は危険予知を感じて次の階に逃げ込んで、狡猾な罠を仕掛けてならず者を徹底的に始末するだろう」
成程、それで魔物達が先回りして剣さんに罠を仕掛けて袋叩きという展開が!
「勿論これだけでは終わらないぞ。階が進めば進むほど進撃の様子が深部に伝わり、最後のB19階では魔物達を手中に収める大ボスが―――――」
「あ、あの……本宮社長」
「何だね、せっかく読者の皆様方に説明してる所を水差して」
流石、全てのゲームを総括する代表取締役社長は読者様へのサービスを欠かさない御方。だが一方のゲームマスター・一文字は、驚愕の極地に達し愕然とした顔でモニターを指指した。
「桐山剣が、もう既にB20階の最深部に到達しています―――――!!!」
「……………………………何だと?」
――――この衝撃の報告に本宮社長はその耳を疑った。いやいや私だって疑いますよ、そんな事言われちゃったら!!
その真相は夢か誠か、真実は次回にて明らかになります! 本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




