【GAME46-7】何もかも不明なヤバイ奴!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔忍野龍牙 HP1000 手札2枚 EG:③〕
・ユニット:【黄泉返りの忍者】
・カスタム・ツールカード:【シノビブレード】
★〔デルタのデクルックス HP900 手札2枚 EG:④〕
・ユニット:【アンノウンカード】
・カスタム・ツールカード:【闇晦ましの静弓―セイレーン―】
――皆さんは、良くアニメやドラマを見る度に悪役のキャラに対する過去に興味を持ったりしませんか?
例えば、親の虐待や学園での虐めを気に心は荒み、悪の道に入った。なんてのはセオリーな話でしょう。
勿論このゲームウォーリアーの悪役にもそれなりの動機があってラスボスを努めてる方はいます。ブラックヘロンの幹部然り、穂香のお父さん然り。
そして今回の曲者、サザンクロスの幹部・デルタのデクルックスも、当然それなりに深い過去があってこのような残虐非道なテロを企てようとしたんでしょうが………しかし。
彼には怨念も、犯行の動機も、はたまた自分がどうして生きているのか存在意義の定義すらも、全く無かった。
それどころか、何の素性も正体も分からない“正体不明”の価値に物凄く拘っていたのだ。
先程、アンノウンカードを偽って正体を表した武器《闇晦ましの静弓―セイレーン―》の装備に警戒する龍牙。だが当のデクルックスはアンノウンカードよりも弓に恐れている龍牙を見て落胆の域に陥っているとは、これ如何に?
「何って、決まってるじゃない。正体も素性も知らないものと対峙する事ってのは、人間にとって一番の恐怖に感じるものなのに。どーもこーも直ぐにそれを知ろうとするんだから。恐れられなくてガックリしてるんだよ」
何処まで本気で、何処まで冗談か分からない今の言動も結構怖いものではありますが、そういった心の底からの恐怖を味わいたいが為に生きているとすれば、それは迷惑極まりない事。心理カウンセラーでも呼んで欲しいもの。
「悪いが、俺様はお前の過去なんか知ったこっちゃねぇんでな。ただ一つ分かる事は、俺ら人間ってのは“学習”するもんだ。知恵を駆使して、治安を脅かすものを排除するのは生きる上で当たり前の行動や。それを辞めたって事はテメーが遅れてるだけだ」
未知なるものを既知に変える事が科学の進歩と申しますように、世の中は“日進月歩”。日々人類の進歩をし続ける世であります。
デクルックスのような不明の存在を恐れ慄かれる事は、ファンタジーだけが通じる理論。現実的な近未来では滑稽なまでに時代錯誤していた。
「……じゃあ何? 僕はその時代に淘汰されない内に努力しろって事ぉ? ジョーダン、そんな面倒な事する暇無いね」
「だったら潔く地底や地上のもんに迎合出来るよう改心しとけ。少なくとも鳳凰堂は、頭でっかちのお前らにも生きる術を提供してるつもりだ」
現実で例えるならこの場合“生活保護の受給”のようなものを鳳凰堂孔雀らWGCは提供してるんだそうな。
「散々人を舐めた真似しながら、努力も嫌がって、いざ自分の立場が危うくなったら他人に託けて不平不満をほざくか? 何処ぞの無職と変わりねぇじゃんかよぉ、あぁ?」
読者の皆様は誤解してはいけませんが、これはハローワークの面接じゃありませんよ!? 生死をかけた決闘です。
しかし、こういった説教をまさか狂犬の龍牙が説くとは思ってもいなかったでしょう。
「耳が痛いなぁ〜。……でもさ、僕って本当に誕生日も、今の歳も、身内も、家族も、全く知らない状態で生きてきたんだよね。これ本当の話。
幾ら大人が“何の為に生きるのか”って導いた所で、それは結局は大人に言われたからそうしたで済まされるだろうし、それこそ僕の存在意義が余計分からなくなっちゃう。
―――だから僕が生きる為にやる選択肢ってのは、『悪足掻きをするか』『野垂れ死ぬか』のどっちかしか無いんだよ」
これで一つ、デクルックスの過去が分かった。親の身寄りも自分がどんな人間かも分からない彼が、“正体不明”である事を個性とし、不満を抱えながら悪事に徹したとなれば多少は合点も行く。だがそれを寛容するかと思えば、現実はそう甘くは無い。
「……そうかい。それは悪い事聞いてしまったなぁ。じゃその生き方の選択肢に従って、【野垂れ死んで】くれるか?」
人情かなぐり捨てて、情け容赦無い奴がここに居た!!!
「どう見繕ってもお前のした事は100%クロだ。お前をしばき倒して、WGCのアシストが出来れば俺様はそれで良い」
しかし乱暴この上なくても鳳凰堂孔雀の元で仕えている事に変わりない龍牙。これに対して同じメンバーの瑞希はどう思うか。
(アシストって、それでも自分に功績にはならないのによく意気揚々と戦えるものね。本当、コイツの考えてる事が良く分からないよ……)
龍牙の本心も“正体不明”である事は、彼女にとっては恐怖というよりも疑問が浮かび上がっていた。そして当の龍牙も、デクルックスの本心に疑惑の意が上がっていた。
(面白半分で人をおちょくるように怖がらせてるコイツが、こんな健気な信念を持ってるとは思えねぇ。本当の悪ってのは俺様以上に何を企むか理解に苦しむ奴らばかりや。……そいつがその一人だ)
だがそれでも、臆せず立ち向かうのはただ一つの“勝利”の為。ヤバい奴を超えた先に待つ恍惚の為に龍牙は刃を握る。
――――だがそれは、デクルックスにも言えることだった。
「…………アンタのPASの波動に“猜疑”の念を感じるね。アンタが僕の事をどういう風に考えてるか、大体分かる。正体分からない奴は大抵そんな眼で見るさ」
お互いPASを覚醒した者同士、特にデクルックスは人の念を読み取る事に長けていた事から、龍牙の思惑を察知した。
「でもまだまだ甘いよ。僕の本音をカミングアウトする前に、一ッッ番大事な事を疑うのを忘れてる。―――――アンタさ、本当の悪にマジで勝てるとか思ってんのか??」
「何……!?」
「僕の静弓を警戒する前に、アンノウンカードを舐めてる時点でアウトだよ。今すぐそれを訂正しなよ、さもないと……!!」
―――その時、色も形も全く不明なデクルックスのPASの波動が勢いを増した! これは即ち、PASの能力発現。いざとなったら魂を込めろ!
「僕が直々に、アンタを喰らい尽くす!! ――PAS発動【アンノウン・ドラゴン】!!!!!」
◎――――――――――――――――――◎
・デクルックスのPAS【アンノウン】確認。
PASスキル【アンノウン・ドラゴン】発動!!
◎――――――――――――――――――◎
「………消えた!?」
PAS発動と共に、地底の暗がりに同化してデクルックスの姿は薄れゆき、揺蕩う先に現れた怪しの姿は黒い鱗で纏った影の太龍!!
「正体が分からなければ恐れる想像が膨張していって、こんな龍にも能力を実現出来るのさ!!」
ドラゴ◯ムか竜人の変化か、黒いスーツに華奢な身体をしたデクルックスが一転、筋骨隆々の龍のボディを携えて、動かざること山の如しに龍牙の前に立ちふさがった!
「オイオイ、コイツは……ヤバいなぁ―――!」
「こんなもんでビビってんじゃねぇよ忍者。“正体不明”を生き甲斐とするデルタのデクルックスの死亡遊戯、特と本質を味わって貰うぞ――――!!!」
本質すらもグレーで実態は太龍、デクルックスのアンノウンなるPASは未知の領域。ここから先に待つ恐怖に恐れ慄くのか、或いは悪知恵働かして制圧なるのか!? この続きはまた後半戦、一旦下がってお魅せしましょう!
―――本日は【GAME46/デクルックス死亡遊戯・前編】を持ちまして、読み終わりで御座いますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
自分の存在意義すら知らずに生きてきたデルタのデクルックス。そんな彼に龍牙は何を思うのか。
鳳凰超勇士・井鷺瑞希を救えるか、忍野龍牙!!
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