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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
4th STAGE―ゲーム戦士魂大爆発・本当の正義は何処だ……!?―
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【GAME45-5】黒影に睨まれた者!!

 ――地上の力の弱い人々が憎たらしい為、地底空間の治安を守る為、等と自分の身の可愛さ故に幾度も裏ゲームを仕掛け、鳳凰堂孔雀らWGCに威嚇をし続けていた裏プレイヤー『妬み嫉みのエンヴィー』。

 とうとう彼女にも、年貢の納め時と言える展開が来てしまった。


 アンダーグラウンドB3層の地底神殿前、PASも体力も枯渇状態のエンヴィーの前に現れたのは、不運にもゲーム戦士から“狂犬”と比喩される程に恐れられている忍者・忍野龍牙でありました!!


「オイオイ、いつの間に俺様が狂犬呼ばわりされてんのか。まぁ否定しねぇけどよ」


 取り敢えず今言えることは、龍牙にムカついてる様子も無く、上機嫌な所が救いか。やはり倭刀と戦った事が大きな変化になったんですかね?


「………私を捕まえに来たんでしょう? でなきゃこんな萎びた遺跡にまで来ないわよね」

 対してエンヴィー、最早逃げ切る気力がある筈も無く身に置かれている状態を悟った。


「察しが良くて結構だ。じゃ早速だがちょいと俺様と一緒に霊鳥殿まで来てもらおうか」


(もう、ここまでか……)


 遂に悪足掻きすらも無駄と感じ、何も成せぬままに敵の捕虜になる運命すらも受け入れたエンヴィー。既にPASから何まで抗う覇気は無い。


「もう好きにしなさい。そんでアンタは『抱かせろ』と脅迫させて、私が『鳳凰堂っていつもそうですね!』的な展開にでもすれば良いでしょ」

「しねぇよ。何変な妄想してんだアホか?」


 ……それ、ゲームウォーリアー外伝でも使ったネタじゃないですか。流行ってるんですかそれ。


「分かってるでしょうけど、これらは私が勝手にやった悪事よ。他のB2層の皆には関係の無い事だけは言っておくわ」

 釘を刺すエンヴィー。しかしそれに対して龍牙は一旦無言に間を置いてその言い分を否定した。


「それを判断するのはお前じゃねぇ。俺様はお前を連れてこいと命令された平社員なんでね」


「…………どういう意味よ」

 エンヴィーも一息置き、龍牙の答えの()()に気付いた。


「あ? 俺様が何かおかしな事でも言ったか?」

「裏ゲームどうこうの前に、私は警察で留置されてる所を逃げた脱獄犯よ。鳳凰堂の上部命令だけで従う前に警察の報告とか無いの?」


 あ、そうでした。エンヴィーはアメリカ村の裏ゲーム襲撃の容疑で逮捕され、留置所に入れられた所をサザンクロスの手によって脱走。

 地底空間にて裏ゲームに加担し、サバイバーモードにも利用されたエンヴィーは再逮捕か、鳳凰堂に粛清されるかを覚悟していたのですが……龍牙の一言で何か違和感を感じたのです。


「あーそりゃお前、言葉のあやって奴だろ。警察と鳳凰堂は連携されてるし、俺様が先に確保するってのも有り得ない話じゃ――」

「だったら証拠の一つくらいあるんじゃないの。警察からの逮捕状や、WGCの処分証明書か何かもあるでしょう。出してみなさいよ」


 一度勘繰れば納得するまで追求する、執拗な説明要求はクレーム対応にもさも似たり。エンヴィーらしいと言えばそれまでですが。それを龍牙相手に歯向かう事が彼女の胆力でしょうか。


「私には気づいてるのよ。アンタから、私が裏ゲームの担いだ事に対する()()()()が全く無い事を。―――まるで獲物をどう料理してやろうかと舌舐めずりしてる様な目付き! 鳳凰堂やサザンクロスの下衆らとそっくりなのよ!!」


 ――エンヴィーはPASの力で、嫉妬を主とする負の感情を敏感に読み取る能力を持つ。

 自分勝手な事件を引き起こした張本人に対して怒りや哀れみを持つ訳ではなく、()()()()()の為だけに出向いた龍牙に不信感を抱いていた。

 龍牙は“何の為に”、鳳凰堂孔雀に命令されて現れたのか……?


「…………案外キれるねぇお前。只のヒステリー女かと思ってたが、とんだ見込み違いだったようだ」

 人並み以上に短気な龍牙だが、目的を悟られた事にキレるどころか、くつくつと不気味に笑っているではないか。


「めんどくせーから本音吐いちまうが、この時代における【裏プレイヤーによる襲撃テロに関する法律】ってのが出来てから、扱い方が結構複雑でよぉ。お前らが裏ゲームで街を襲撃した後の扱いってのは『結果論』で判断されるんだよ」


 ――法律の話を長くすると混乱するので、簡単に説明しますと。


 裏ゲームでどんなに街を破壊し尽くしても、その首謀者がゲームで敗れると、破壊された建造物や人々の負傷も修繕される仕組みになっている為、被害が無くなればそこまで重罪に問われる事は無い。でなければゲーム戦士の実力も誇示出来ないから、だとか。


「お前ら裏プレイヤーを利用して、何度もテロを起こしてるサザンクロスの部下は指名手配になってるからそれは例外としても、お前らは大体懲役2,3年位が目安だろうなぁ」


 その判決が適量かどうかは読者様に判断を委ねます。脱獄やサザンクロスの片棒を担いだエンヴィーが警察に送り返しても十分な制裁かと思いますが、何故に鳳凰堂はそれを拒んだのか。


「アンタの主人、鳳凰堂孔雀はそれだけじゃ気が済まないと。この私に制裁を加えに来たのね。B7層・霊鳥殿の主にして地底空間の支配者として」

「……別にお前には悪い様にはしねぇ。深い深い地底の霊鳥殿で一泊二日でもするだけだ」


 あの桃源郷みたいな風貌の霊鳥殿を一泊二日ご招待って、制裁というよりご褒美じゃないんですか!?


「アンタバカぁ!? 私になんの罰も下さないなんて何を…………………まさか――――?!」

 エンヴィーは気付いてしまった。制裁の追加をするのは彼女自身では無い事を。



「この制裁はWGCとは無縁だ。本来鳳凰堂の傘下であるB1層で迷惑を被った責任を取って貰う。――――但し、B()2()()B()3()()()()()()()()()()()()()()()でな……!!」



 一泊二日ご招待なんてバカな事言ってる場合じゃありませんでした。これは、交渉材料の為の人質だ!!!


「さぁて、孔雀はこの嫉妬女っつー()()()を使って、どこまでB2・B3層を牛耳ってくれるかなぁ……!?」

「ふざけないで!! 言ったでしょう、これは私が勝手にした事で他の皆には―――」



「“一人の過ちは、組織全体の過ち”だ。社会人になってそう学ばなかったか不適合者ぁ?」


 ……もしもーし、社会人の皆さん生きてます? あまり気にしちゃ駄目ですよ?


「………嫌、嫌よ、そんなの絶対に嫌!! WGCで死刑にでもされた方が遥かにマシよ!!!」


 エンヴィーが捕虜にされている間にB2・B3層に殴り込まれれば、彼女を慕う大山杏美や仲間に無事の保証はほぼ無くなる。そう危惧したエンヴィーは必死の形相で抵抗するが。



「だから言ってるだろ? それを決めるのは、霊鳥殿の主様サマなんだよぉ……!」

 痺れを切らした狂犬が、心の中でヨダレでも垂らすかの如くエンヴィーに迫ってきております……!


「く、来るなぁ!!!」


 エンヴィーは残り少ないPASの波動を呼び起こし、放った嫉妬のオーラを龍牙はまともに受けるが……


「―――――クハハハハハハハ……!!!」


 全くと言っていいほど、効いていません! それ程にエンヴィーのPASが弱まっている証拠だ。


「それともう一つあるぜ。俺様みたいに最初(ハナ)っから嫉妬を武器にやりたい放題してる悪党に、そのPASは相性が悪いって事だ」

 龍牙の心の底は嫉妬心に溢れている。それどころかエンヴィーの嫉妬PASを活力に変えて、余計にご機嫌になっているようだ!


(な、何なのよコイツ……化け物なの!?)


 これが嫉妬を超克した者の恐ろしさ。負の感情に吹っ切れた者ほど恐ろしいものはありません。“敵意なき悪意”の根源である龍牙に、湿った能力など無意味に等しいのだ!


「――――埒開かねぇとムカつくなー……じゃ、アメイジング(コイツ)でしばき倒すか?」

「く……こうなったら、破れかぶれよ!!」


 と、ここで龍牙が装着したのはカードスキャンブレス。エンヴィーもこの戦闘態勢に自然と動いていく。

 久方ぶりのカードゲーム展開に皆さん期待したい所ですけれども、ごめんなさい丁度時間となりました。――本日のゲーム、これまでッッ!!


 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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