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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
4th STAGE―ゲーム戦士魂大爆発・本当の正義は何処だ……!?―
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【GAME45-3】“裏切り”は何処から生まれた……!?

 ――ここは地底空間・B3層の古びた大橋『やさぐれ橋』。

 なんの因果か、数十年来の親友である大山と小原が邂逅し、小原はWGCの殴り込みの加勢を要請しに来た。


 本来地上と地底空間との関わりは“相互不干渉”。互いにちょっかいは掛けずに、実力者と敗者の区別を付けたのは50年以上も前の話でありますが、それも政権改革によって破られる事もあり得なくは無いだろう。


 何れ放っておけば、この地底空間にも地上の人々が押し寄せて私有地と化す。となれば、裏プレイヤー達の居場所は無くなってしまう。そんなWGCの横暴な政権に怒りを覚えた小原は、あの後単独で引き起こした一年前のWGCイベント襲撃の事件は、決して考え無しに動いた訳では無かったのです。


『……何てことだい、呑気に酒呑んで飯食ってしてる間に地上でそんな事が起きてたとは。面食らっただけじゃ足りないよ』

 これには、流石の大山さんも困ってしまった。


『あたいはこれからWGCに喧嘩売りに行くけどさ、大山も加勢して欲しいんだよ』

 親友である大山さんの事だから引き受けてくれるだろうと考えた小原でしたが……簡単に受注する程人の心は甘くは無い。エンヴィーは既に小原の心内を読み取っていた。


『……私は反対よ大山さん。乗る必要なんて何処にも無い』

『誰にもお前には聞いてねぇよ嫉妬娘。お前が大山を指図出来る器か!?』

 第三者がしゃしゃり出て来て憤る小原。ましてや嫌がらせのように茶々入れるような梅雨時ジメジメなやり方が小原は一番気に食わなかった。


『私は単純に、政府管理機関に喧嘩売ることが反対だって言ってんの。仮に二人して殴り込んで、負けた後に大山さんがどうなるかも考えたの? 向こう見ずが軽く物事を見過ぎなのよ!』


 そうでなくとも、B2からB3層の区域は大山さんを頭にWGCとの契約で取り仕切っている。もし彼女がここを守らなければ既に鳳凰堂らに占領、とかも無くはない話なのです。


『私はね、この地底に大山さんが居なくなって欲しくないの! 親友の類だか知らないけど、そんな勝手で巻き込むのは止めて頂戴!!』

 エンヴィーは大山さんを失いたくはない。そんな必死の訴えに大山は何を考えたか無言の域だ。


『んだとぉ……!? 嫉妬娘が黙って聞いてりゃ漬け上がりやがって! あたいや大山が頭でっかちに負けると思ってんのか! 大体な―――』


『いや………これはエンヴィーのが賢明だよ。悪いけど私もこの話には乗れへん』

『大山……!?』

『地上の情勢までは知らんが、B7層の鳳凰堂の連中がどれだけ力を付けたかは私もよう知っとる。―――鳳凰堂孔雀は、冗談抜きでヤバい』


 地底空間は層が深ければ深い程に、我々の常識を尽く卓越し、恐れ慄かれているゲーム戦士が多数潜んでいます。その中でも最深層であるB7層に鳳凰堂孔雀とその同胞がいる。そして彼女らが地上に這い上がったという事は……そう、そういう事なのです。


『あたいら鬼の魂を持ったゲーム戦士が、あんな貧弱のガキ一人に恐れるのか?』

『その15の小娘がとんでもない組織力があんねん。何よりもアイツは私ら強い奴に“容赦”が無いんよ』


 鳳凰堂の“容赦無し”な行動は、これまで展開されたストーリーからでも、読者の皆様には嫌というほど察する事でしょう。

 一度でも拒絶すれば二度とその価値を受け入れはしない。白黒ハッキリ付ける、または0か100かの排他的主義を頂点に置かれれば、自由もへったくれも無いでしょう。


『とにかく、私が手ぇ出せば他の地底の同胞にも迷惑を掛けるリスクがある。そんでその同胞が私の全てや。だから私は誘いに乗れないよ』

『…………身内の保身の為に屈したか。鬼が随分と束縛されたもんだ』

『まぁね。でも慣れりゃ気付くこともある。大事なものを守る為の鎖の為に頑張るって、そんな悪い事じゃないさ』


 それは束縛ではなく、“絆”という鎖なのです。そういった意味でも信頼に置かれている大山さん。その心意気に警戒で張ったエンヴィーの顔も少しだけ綻んだ。


『……………そうか、分かったよ。大山がそう言うなら加勢は諦める。自分に賛同しない奴は敵だって、そこまであたいは捻くれちゃいないよ。嫉妬娘の方も悪かったな』


『私は別に気にしてない………』

 と言いつつ、エンヴィーはスッと顔を伏せた。


『小原も無茶すんな。危なくなったら直ぐに帰ってこいよ。私は何時でも待ってるから』

『分かってるって。暴れて、全部終わって帰ってきたらまたハシゴでもしようや!』

 ………と、別れ間際に大山との呑み比べの約束を交わし、小原恵美は橋の上から去っていった。



 この後の屈辱この上ない悲劇が、小原を待ち受けている事も知らずに………



『これで良かった、のよね。大山さん』

『あぁ。勝ち目はどうあれ、アイツの事だし何とかなるだろう。……嫌われてなきゃ良いけどねぇ』



 ………本当に、あの悲劇を一年後に銃司の口から聞いた事を既に我々は知っているとなると、余計にやるせなくなりますねぇ。でもね皆さん、実はこの回想はこれだけで終わりでは御座いません。


 実はこの一件はピンからキリまで全て、()()()()()()()()()()。それはどういう訳かと申しますれば。



 ――――小原と別れて、更には大山も一人別れ行いて、やさぐれ橋にたった一人佇むエンヴィー。

 しかし我々の五感を探るならば、彼女の他にもう一人。橋の下にて隠密に気配を消していたゲーム戦士が居たのです。その者がようやく開放され、エンヴィーの目の前に現れた。



『………これで、本当に良かったの? ()()()()()


『――――はい、ご苦労様でした』


 これはッ、これは何という廻り合わせか因縁か!!? 既に大山のみならず小原も手中に収めていたのか鳳凰堂、恐ろしい子ッッ!!


『やはり私の読み通り、頼りの少ない小原さんは大山さんの下に現れた。エンヴィーさん、ご協力に感謝致します』

 孔雀が出ただけでもワチャワチャもんなのに、その御方をどうしてエンヴィーが加担したのでしょうか。


『協力と言うよりも、私は思った事を口にしただけよ。元からずっとね。アンタにとっちゃご都合展開になったでしょうけど、私に感謝される筋合いは無いわ』


『……貴方自身に自覚があるかどうかは分かりませんが、今回の一件は色んな命運を大きく左右しかねないものかと私は思い、感謝したのですよ』

 そりゃそうですよ、貴方が小原さんの頭を滅茶苦茶にした張本人なんですから……と言ってもそれはここから未来のお話。エンヴィーが知る由もありません。



 だが鳳凰堂孔雀の凄い所は、常人よりも遥か上に用意周到な所。大山が親友である小原に加勢するか否かは五分五分の可能性であった。となれば地上と地底の者との戦争は不回避、なんていうケースは十分にありました。


 そこで孔雀は賭けとして、大山の傍らに付いているエンヴィーを利用し、WGCの脅威である大山・小原の双鬼を分離させようとした訳なのです。裏方でこんな事が出来る政治家はそうはいません。


『大袈裟な話。そんな事の為にWGCの副管理者が自らの足でこんな所まで出向くなんて』

『今はあくまで私のプライバシーの時間です。お願い事の感謝にわざわざ護衛まで付ける必要も無いでしょう』


『……どっちでも良いわ。私は別に小原と違ってどうこうしようとかなんて考えないし』

『その様ですね。では口約束で恐縮ですが……』


 と言うならば孔雀はエンヴィーに近づき耳打ち。しかし近づかれた方は孔雀の異様な冷気を漂っているのか、身震いを感じていた。


『今後とも私は、貴方方B2・B3層のゲーム戦士、並びに大山杏美さんの意志を尊重するよう務めさせて頂きましょう。


 ――――我々にその刃を向けたりする事をしない限りは、御約束致します』


『…………本当でしょうね』



『えぇ勿論ですとも。それに、私は貴方の大好きな大山さんを奪い取るつもりは毛頭ありませんから!』



 ■■■■■■


 ――――果たして、最後の約束は冗談か、それとも皮肉か?


 それから一年の年月を経て、エンヴィーや小原、更にはテロ集団『サザンクロス』に唆された同胞の裏プレイヤー達の動向から見て、皆様は察しづかれたと思いますが。


 これらの因果が廻り廻って糸車、遂に野望を果たそうと研がれた刃が迫ろうとしております――――!!


 果たしてこれからどうなるのでしょうか、そして予め言っておきます。暫くはシャッフルオールスターズ・立海は出てきません!! 楽しみにしてる人はゴメンナサイ!


 回想終わって閑話休題、次回よりは現在に向けての大波乱に移りまして本日のゲーム、これまでッッ!!



 ▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽

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