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【GAMEWORLD ONLINE】真・極限遊戯戦記 ゲームウォーリアー ~ULTIMATE SOUL OF ACE〜  作者:
4th STAGE―ゲーム戦士魂大爆発・本当の正義は何処だ……!?―
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【GAME44-6】願いを掴み取るのは誰だ!?

※注意事項

『極限遊戯英雄譚 ゲーム・ウォーリアー』はフィクションですが、実在する名所や地域は出来る限り忠実に基づいて執筆しております。


実際のUFOキャッチャーの景品では、800円以上の価値の商品にすることは風営法違反とされております。過去に2017年に数万円の賞品で誘いつつも、絶対取れないように設定したクレーンゲーム機を使い、客から料金をだまし取っていた詐欺容疑で逮捕された事件もありました。


作者の知識不足によって読者の皆様に多大な誤解を生んでしまった事をお詫び申し上げます。ーkazuー


追記:今回チャレンジする筐体も作者のアレンジによるフィクションで実在はしません。

 

 ――香川・クレーンゲーム合戦! 神奈さんが用意していた最先端アイテム『プレイギアWATCH(ウォッチ)』を手にする為、残りの所持金を全て使う勢いの剣と翔破。言うなれば、この大物を取った時点で勝負を大きく分かつ決定打になる事間違いなし。


 狙うターゲットは山のようなピンポン玉、それを72個のたこ焼き機の穴のうち一つの当たり穴を狙うだけ! 意地でも勝利報酬のプレイギアWATCHを神奈さんから貰いたい!!


(……つまりパーセンテージは1/72。かなり確率が低いが不満は今んとこはねぇ。おそらく翔破さんも俺の一手を利用して誘い込んだんだろう)


 アームにはピンポン玉を掬って固定させる為のスコップ型のへらが付いている。欲張って取れば4、5個は取れる設定のアームに迎えるはたった一つの当たり穴。

 アームの終点には風圧の強い小型サーキュレーター。その上に落としたピンポン玉を風によって吹き飛ばし、ランダムに穴へ落としていく仕組みだ。


(ホンマに運が物言うとるな……いや、運も報酬も意地でも掴んでこその石倉翔破や! 切り札騎士相手に狼狽える場合やない!!)


 先手は話し合いの末に翔破が取った。切り札騎士こと桐山剣に対抗意識を燃やし、掴む腕のPASを胸に何としてでもプレイギアWATCHを手にしたい意気込みだ!

 さぁ最初のプレイ、翔破にワンクレジット投入。クレーン起動!


(一番こんもりした中央奥!)


 そこに狙い定めての投下、ガッチリとアームが掴んでピンポン玉を引き上げる! 個数は4個!!

 当たり穴はズバリ、上から一番目・右から六番目の中央上のピンポイント。そこにスッポリ入れば即クリア。サーキュレーターの風に吹かれてピンポン玉が舞う。入った穴は……!


「……アカン、全く関係無いとこ行ってもうた!!」


 翔破が掴んだピンポン玉は、風に諸に直撃して最果て或いはボタン側の壁にへばり付いて、近くの穴にようやくスッポリ入った所で終わった。


「強いな、あの風」

 剣も翔破のプレイを見て、一つ情報を手にしたようだ。


 サーキュレーターの風圧は所謂()。首振り式に煽る風がピンポン玉に直撃した時、当たり穴とは全く遠くの穴まで飛ばされる程に強烈な風がチャンスを不意にする。

 この風を避けて、投下付近の穴と穴の間の地にバウンドして運良く穴にキャッチする辺りが丁度良い攻めポイント。正確に入るかどうかはタイミングと運に全てを掛けるしかないのだ。


(……そう、タイミングや。クレーンの起動から投下、引き上げ、そして落とすまでのパターンに加えて、首振りサーキュレーターの風を避けるタイミングも全部計算していかな当たり穴まで辿り着けへん。

 ――運の手前の()()()、俺はそれに掛ける!!)


 さぁ攻略方法を導く長い心理フェイズも終えた所で、剣のターン。……おっと、百円硬貨を入れる前から既に臨戦態勢だ剣!

 サーキュレーターの風向きを計算しているのでしょうか。先程の翔破のクレーン操作に掛かった秒数と、サーキュレーターの動きを照らし合わせている様子だ。



 たかがクレーン、されどクレーン。運と集中力が物を言う無機質なピタゴラスイッチ。その外で動かすは桐山剣! 今ボタンが押されてクレーン起動!!


 ここは一番左のサイドを確定、そして上は手前でストップ! クレーンにおける最短のルートで攻めに行った剣。掴んだ量は3個、そのままサーキュレーター付近で投下の準備だ。

 ……さぁ丁度風は北西に向いた所、クレーンには影響していないぞ、このままピンポン玉投下!!


 ―――カンッ!


 風に煽られなかったピンポン玉が軽快な音を立ててバウンド、そしてそのまま当たり穴のある付近に突っ込んでいくが……しかし入った穴は、当たり穴の()()!!


「ニアピンか……!!」

「なぁるほど、そういう戦法があったのか。コツ掴ませてもろたで!」


(やべぇ、勘付かれた!)


 ターン制のあるゲームでは、惜しい所までいった戦法を次の対戦相手に吸収されやすいリスクがある。剣が会得したタイミング取りのコツを翔破に掴まされ、剣は逆にピンチに陥った。


「おやおや、中々面白い合戦じゃないか。ねぇお二人さん」

 審判に立つ神奈さんは興味深そうに二人の攻防を見守っています。同じく見守り観戦するのは休憩スポットで無料で貰えるお茶を飲むみのりと桜。


「紙一重……といっても、運とタイミングに重きを置いたゲームですが。剣さん、どうしてあんなにプレイギアWATCHを欲しがっているのでしょう」

 不思議がる桜、対してみのりは剣の本意を既に悟っていた様子。『みのり、分かっちゃった』状態だ。


「……多分、私にそれをあげたいからだと思うの」

「前にみのりさんがWATCHを欲しいって剣さんに言ったんですか?」

「言ってないよ。でも剣くん私達に迷惑掛けちゃったから、負い目に感じちゃって意地でも報酬取ろうだなんて思っちゃったんでしょうね」

「………剣さんって、本当に仲間思いなんですね」


「それは多分、()()()()()()()()()()()()()。前に一度仲間を失った事のある剣くんは、私や他の皆を失う事が怖いのよ。……寂しがりやなんだもん、剣くんは」


 だからこそ、今持てる信頼や友情を何よりも大事にしようとする剣のコンプレックスが伺え、それをみのりが気付かない筈が無かった。そんな二人の関係を神奈さんは一言申した。


「……桐山剣もだが、あんたも大概仲間思いじゃないかい、河合みのり。相手の良い所も悪い所もしっかりと見て、他人に流されずちゃんと評価する人間は中々居ないよ。剣とあんたにはそれが出来てる」

「神奈さん……」


「まだゲームの途中だが、私には確信が一つ持てたよ。―――今日の桐山剣は()()()()ね」


 それが果たして確証のある確信なのか、はたまた気まぐれに見せた直感なのか。それは勝利の女神のみぞ知る事。そして他方にもツイてる男が一人。


「ヒャッホゥ! メダル十枚が一気に千枚も化けるたぁ、ツイてるなぁオイラ!!」


「………………何やってんだい、光照(みつてる)


 今回のキャラの中で特に口数少なく、クローズアップされてなかった神奈さんの付き添いの光照は、出番が無いことをいい事にちゃっかりメダルゲームをやってた模様。空気読みなさいよ!


 ▶▶▶ NEXT▽


 さて、間もなくこちらも正念場。筐体のたこ焼き機の穴は見渡す限りピンポン玉で溢れていた。

 まるで見えない柵にでも付けてるかのように全く当たり穴に入らず、周囲の穴だけがピンポン玉で埋め尽くされた状態。ここまで来ると奇跡に等しい。


(勝利の女神がちょいとご機嫌斜めのようや。それに俺のクレジットもあと一回……!)


 百円硬貨投下の応酬も長くは続かない。剣だけでなく翔破も残り百円硬貨一枚を残してのラストターン。それ故にポツンと窪みが空いた当たり穴が目立ち、二人のゲーム戦士をやきもきさせる。


(これが最後や、最後のPASを全てこの為に使う!!)

 翔破とここぞの場面で勝負を決めるつもりだ!


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・石倉翔破のPAS【グラップルハンド】確認。 

 ◎――――――――――――――――――◎


 またしてもPASの力がクレーンに伝わり、パワー強化を図る翔破。4、5個では済まさず一気に多くのピンポン玉を取ろうと欲張るつもりだ。

 だがしかし、アームの力が余分に加わった事で掴める筈だったピンポン玉は……


 ――ポロッ


「こ、溢れた……!!!」


 これは盲点だった。クレーンのアームの握る力が過剰に働いた事により、平衡に掴める筈だったピンポン玉の下の皿がズレて、残さず溢してしまう失態を犯した。握る力が強くてはデリケートに扱えない欠点があった。


(チャンスだッッ!!)


 剣の目が輝いた。翔破のミスで剣だけにプレイギアWATCHの獲得権が残されたこのゲーム、一世一代の好機を迎えた!!


 もう既に何巡かしていくうちに当たり穴へとタイミングを掴んだ剣。もう対戦相手からの阻みがない以上、掴みかかったチャンスを確実に取る方法は唯一つ!


「――――PAS、発動!!!」


 いざとなったら魂を込めろ! 久々に燃ゆるは真っ赤な剣の魂!!


 ◎――――――――――――――――――◎

 ・桐山剣のPAS【ロングソード】確認。

 PASスキル【魂の眼(ソウル・アイ)】発動!!

 ◎――――――――――――――――――◎


魂の眼(ソウル・アイ)】、即ちゲーム戦士の心に秘めた()()をスキルとして覚醒させた能力。肉眼では見えない波動や五感を極限まで研ぎ澄まし精神力を高める。

 しかし剣は幾度の成長を経て、魂の眼(ソウル・アイ)によって()()()も見極める事が出来るようになった!!


 ―――魂の眼が呼びかける。親友の笑顔の為に必死になれと、その先に待つ報酬を手にせよと。一瞬先の未来、成功へのビジョンを無意識にイメージする。

 さぁ土壇場の勝負で、桐山剣が、目の前の報酬を掴み取ることが出来るか!?



「………………そこだッッッ!!!!」



 一息も置かずにクレジット投下、クレーン起動! ここは故意に長めの起動時間を取る、遥か彼方の右へ、更に奥深い後へ、最大起動時間を有して掴み取った5個のピンポン玉! そのままサーキュレーター付近へ直行する!!


 さぁ風向きはどうか、投下するピンポン玉が北北西へと向かう風にやや煽られながら、当たり穴付近へと接近する!!


(ヤバイ、向きがズレた!!)


 ああっ、ここは既に穴に入ったピンポン玉の隙間に入ってそのまま挟まった!! あの残すは一個の玉が宙に舞うだけ――――おおっ!!?


 カツン…………ッ


 一個のピンポン玉が穴に入った玉にバウンド!! フォールダウンする玉が向かった先は―――――当たり穴・ど真ん中!!!


 ―――――――スポッ!


「「「「入ったッッ!!!!」」」」



 当たり穴、確定!! この感触に酔いしれる桐山剣による歓喜の雄叫びが店内に木霊した。




「頂きぃぃッッ、プレイギアWATCH!!!!!」



 ▶▶▶ TSURUGI PRIZE GET!!▽


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