【GAME43-8】向日葵畑よ、もう一度……!!
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「……結局、あの人が何故戦う事を辞めたのか。昔の出来事までは私には話してくれませんでしたが、今は現実世界で皆に慕われながら生きています。戦う気力を失ったあの人に価値が無いとは、私には思いません」
穂香が語る長ーーーーい昔話も、ここでようやくフェードアウトの終幕となりました。
弱肉強食と言っても過言ではない超次元ゲーム時代にて、戦う事が全てと錯覚していたゲーム戦士達に思い知らされた穂香の恩人・紗由理の凄さ。彼女の意志はしっかりと穂香に伝承され、苦しい事も哀しい事も乗り越えて現在に至る。
……さて、対して聞き側に立っていた裏プレイヤーの小原、2話分に渡る昔話をちゃんと聞いていたようで。彼女は真摯に受け止めつつ、同情にも似た寂しげな顔を浮かべていた。
「………話は大体ワカッタけどさ、あの立海みたいな理解出来る奴はまだしも、そこらの青二才は紗由理の事を陰で見下してるだろうよ。強さの追求に飽食した腰抜けってさ」
その青二才のように先程まで強さに飢えていた小原、紗由理の事を聞いた上で己への自虐にも似た彼女への価値観を再び問う。
「私や、剣さんみたいに紗由理さんを知っている人はちゃんと尊敬してますよ。……それに貴方も。鳳凰堂さんに力を奪われても、小原さんをよく知る方なら、今を認めて、受け入れてくれる筈です」
小原を言い咎めるのではなく、優しく包むように言い諭す穂香。それを聞かされる間に彼女に漂わせた憎悪や怨讐は少しづつ消えていく。
「……ナンだよ、最近のパニッシャープレイヤーは退治じゃなくて説教して回るのがトレンドか?」
「説教を言える程私は偉くはありません。かと言う私も、何度も道を間違えた末に現在があるんですから」
彼女も一年前のアメイジングウォーズにて、父への愛情の執着によってG-パーツの強奪や立海との共謀を企てた事もありました。
結局二人は迷い道を彷徨った者共、一つのものに執着した先に周囲が見えなくなって破滅しかけた者同士。だからこそ語り合える何かがあるのでしょう。
「……アタイはまだ間に合う、って言いたいのかよ。お前の弟分を散々酷い目に合わせた裏ゲームの片棒担いでんのニヨ」
「大丈夫ですよ。―――倭刀は不幸をご飯の上に乗せて食べても平気な子ですから!!」
…………穂香さん、それって地味に倭刀さんを貶してません? 笑顔で言う所が無茶苦茶悪意あるんですが。
(まぁ、事実だから仕方あるまい。心臓に毛の生えた胆力持ちだからな倭刀は)
史也さんも言うなら尚更酷いでしょうに!
「とにかく、私からの話は以上です。最後まで聞いてくれて有難うございます」
「……本当にアタイを捕まえないのか?」
「はい。私は小原さんが自分の意志で改心してくれる事を信じてます」
「サザンクロスと縁切っても、私一人ヤロウとすれば裏ゲームを起こせるぞ? それでも後悔しないか?」
満身創痍の小原は、いつかまた逆襲への意を燃やすだろうという疑惑を故意に持たせつつ、含み笑いで穂香を煽る。
「そうなったら、私が直々に責任持って再び制止させます」
「……甘い。甘すぎるわ小娘が…………でも、ゲーム戦士の間柄って元々そんなんだったかもな。――――何で同じ人同士で裏表付けやがったんだか。まぁ一応お前の名と忠告、覚えておくよ。アバヨ」
捨て台詞と、同じ人間同士が差別・比較する世に疑問を残しつつ小原は曇った顔でトボトボと歩き去った。
「………本当に逃して良かったのか? 穂香」
「良いんです史也さん。これで」
「魔法使いってのは、常に冷静で多彩な戦術でサポートするものだが……ファイティングスタイルはそのものでも、魂は若干違う所があるな。優しさそのものが、穂香の力になっている」
「……そうかも知れません。だって私、シャッフルオールスターズのメンバーですから!」
そんな穂香の顔はどことなく誇らしげで、優しく暖かな笑顔で包まれていた……!
「………お前、桐山剣に惚れたか?」
「みゃッ?!! え、あ、いや、そんな訳無いじゃないですか! ほら良く言うでしょう『友達以上恋人未満』ってあれですよ、ねぇ!?」
そんな穂香はテンパリ上戸に赤面状態。……まさかこれ、脈アリってヤツなんですかねぇ?
「まぁどっちでも構わんがな。とにかく事は終わったんだ、またフラフープで倭刀の所へ戻ろう」
「そうですね」
戦い終わればB5層に長居する暇はなし。再び穂香と史也はツッチー支給の『テレポーテーションリング』なるフラフープの中に入り、リレミト宜しく帰還の路へと転送される。
昔話に花が咲き、再び穂香の感慨に深く残るはあの向日葵畑の『オールグリーンガーデン』。
(紗由理さん……私はこれからも、色んな人を守り抜く為に力いっぱい戦います。
また夏になったら、今度は剣さんと倭刀、みのりちゃんにレミちゃんに………シャッフルの皆と一緒に。
―――あの向日葵畑に連れて行ってください……!)
またいつか、この時代の平穏が取り戻される日まで。向日葵は来たるべき夏に備えて、仮想空間の大地にてスクスクと育つことだろう……!!
▶▶▶ NEXT▽
―――はい、今回のゲームはこれまで! なのですが。
ちょっと尺が余っちゃったのでここで次回のゲームウォーリアーの話の触りだけ、特別にお見せしましょう。早い話が『クリフハンガー作劇手法』ってヤツです。クリフハンガーつったってSAS◯KEじゃありませんが。
要は次回の新展開を見せつつ、皆様にはワクワクさせようという焦れさせ作戦なのです。アメリカのドラマでシーズン終わりに良くやる手法だそうで。
それで、次回に登場するゲーム戦士はこちら!
「………ねぇ剣くん。私達アンダーグラウンドから地上に帰ったら、一旦大阪に帰るって話だったよね?」
「……あぁ。俺の自宅に保管されてる《GXキャリバー》のカード持ってこんと、GWクエスト受注出来ん話でさ」
「私も道案内にPASを使おうとしましたが、剣さんはそれを拒んで自力で出ようとしましたよね?」
「……あぁ。また変な奴に出くわしたら大変や思ってさ」
「で、剣くんが先頭に立って進んだら相当迷ったよね??」
「…………あぁ」
「しかも剣さん、方向音痴だって自覚もしてませんでしたよね??」
「…………あぁ」
「「じゃあ何で大阪じゃなくて、【香川】に来てるんですかぁ???(威圧)」」
「……………俺が聞きたいくらいです(大泣)」
次の主役は、剣・みのり・桜の三人衆!!
GWクエスト受注の為に勇んで出かけた彼等、大阪に帰還する筈が何でか四国の海を超えて香川県に迷い込んでしまった! てかなんでそうなった!?
一つ曲がり角一つ間違えて、迷い道クネクネ。そんな剣達の寄り道道中に、意外なゲームが待ち構えていたのでした! この続きは次回のお楽しみに、またお会いしましょうネクストゲーム!
本日は【GAME43 穂香・向日葵の想い出】を持ちまして、失礼を致しますッッ!!
▶▶▶ SEE YOU NEXT GAME...!!▽
▶▶▶▶ NEXT GAME WARRIORS ▽
GWクエスト受注前の寄り道ゲーム、桐山剣御一行・香川の旅!!
そこで出逢った意外な人物達、そして予想外なゲーム展開に剣のウォーミングアップなるか!? 飯テロもあるよ。
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