【GAME43-2】大地の力に祈りを込めて……!!
◐AMAZING MIDWAY RESULT◑
☆〔穂香 HP800 手札3枚 EG:⑨〕
・ユニット《精力の花びら》
《オーク・インカネーション》
《虹色の魔導戦士―マジェスティアス―》
★〔小原 HP1600 手札5枚 EG:0〕
・ユニット《ゴブリントークン》
※小原の《リライブ&リベンジ》W発動により墓地から
《飽くなき執念・ゴッドリベンジャー》2枚サーチ。
そして1000ダメージが穂香を襲う!!
――さてリザルトも申しますように、小原の追撃二連ツールカードによって穂香がノックアウトの危機に晒されております!
……だがしかし、長年この物語を読んで頂いてる読者の皆様方ならもう感づいていることでしょう。
大森穂香は、その程度でやられるゲーム戦士では無いことに!
それを証拠に穂香の顔に焦る表情を見せないどころか、冷淡にも小原に一言言い放った。
「――――それを、油断と言うのですよ。小原さん!」
「何、だと……?!」
まだこの時点で二回連続の《リライブ&リベンジ》の効果は処理されていない。穂香は例の如く『カウンター・レスポンス』を起動させ、刻の止まった決闘にて物申した。
「貴方はまだそのデッキには不慣れのようですね。何故なら、私にはまだ3枚の手札とEGが残っています。
コピーカードを使う前に、私が何かをカウンターで返して、札とEGを減らしてから使ったほうが確実だった筈ですから!」
「………!?」
この決断は、恐らく玄人なカードゲーム戦士の皆様ならご理解頂けるでしょうが、一応解説を。
このカードバトル『アメイジング』は、1枚のカード処理に待ったを掛ける機能として、後出しジャンケンの要領を使った『カウンター・レスポンス』。簡単に言うならば遊戯王のチェーンや、MTGのスタックにも似たルールなのですが……、
今の状況では小原が《リライブ&リベンジ》を出して効果処理する前にも、または《ハートレスヴォルケーノ》によるコピーを出す時にも割り込んで穂香はカードを使って妨害する事が出来ます。
ただこの場合は小原の方が焦り過ぎていた。
1枚目の《リライブ&リベンジ》に対して、仮に穂香が打ち消し・防御のカードで割り込んだとしても、《ハートレスヴォルケーノ》でコピーした《リライブ&リベンジ》によって500ダメージは確実。墓地のユニットも戻る計算になっていた。
ではここで小原が、一気に2枚連続で攻撃を仕掛けたとしたらば……。穂香はそれら全てに応対して防御の体制を取る。2枚のカードを耐える前提でアクションを起こす事になる。
紙一重のタイミングと、『突然』と『推定』での対応でも大きく戦況が変わってしまう。アメイジングは非常にシビアなゲームなのです。
(B2層で銃司が大山杏美と戦った時も、このカウンター・レスポンスのタイミングで大山が勝った。仮に小原が、彼女の決闘を気にして全て見届けていたのなら……惜しいどころか報われん話だ)
無言に史也は過去の決闘を振り返りながら、殊更小原の事を哀れむ始末。そして穂香も、
「貴方が火力で私を撃ってくる事も、その冷静さを欠くような仕留め方も私には読んでいました!
私はその2枚の《リライブ&リベンジ》に対してカウンター・レスポンス、EGを④使ってカード発動!!」
『アクションカード、【閃く第六感】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【閃く第六感】EG:④
属性:青
・効果:自分のデッキの上からカードを
5枚公開する。その中からアクションカード
があれば、この場で発動する事が出来る。
その後残ったカードは全て墓地に置く。
◎――――――――――――――――――◎
「私のデッキの上からカードを5枚公開し、アクションカードがあればその場で発動、私はこれに賭けます!」
これも即ち『突然』のタイミングを利用し翻弄させるカード、しかし予定調和でテクニックを撃つ穂香がギャンブルとは珍しいですねぇ。
「ナンダ、魔術師が神頼みってかぁ?! チャンチャラおかしいわ、んな事でアタイの復讐を防げると思ってんのか!?」
ブレスに装填されたカードデッキ、その上を指でつまんで今にもカードを引こうとする中で穂香は何を思ったか念を込める。
彼女の思念の中には、10年前に紗由理と行った『オールグリーンガーデン』に咲く満面の向日葵畑が浮かんでいた……!!
(山吹色の向日葵を、遥かなる自然を育てし大地の力よ。どうか小原さんだけでなく、剣さん、槍一郎さん、倭刀、そしてシャッフルの皆を守る為の強さを私に授け給え……!!)
「ドウシタ早く公開しろ!! 無駄な祈りに浸ってる場合じゃねぇぞ!!」
「………いいえ、祈りは無駄ではありません! 勝利への可能性を広げる未来です!! 行きます!!!」
颯爽と穂香はデッキのカードを5枚、フィールドに広げて小原に公開する。
1枚目、ユニットカード。2枚目、ツールカード。3枚目、カスタム・ツールカード、4枚目、マテリアル・ツールカード。
こうも水と油のように混ざり合わないカードタイプはロイヤルストレートフラッシュの前触れか。ならば魅せてしんぜよう、大本命の5枚目!!
「ラストカードは―――――アクションカード!!!」
そして即座にカードスキャン!!
『アクションカード、【サンフラワーヒーリング】!!』
◎――――――――――――――――――◎
〈アクションカード〉
【サンフラワーヒーリング】EG:④
属性:緑
・効果:自分が相手に受けるダメージを
無効にし、その数値分自分はHPを回復する。
◎――――――――――――――――――◎
「ダメージ吸収・回復カードダトォ………!!??」
常に太陽の元に向いて燦々と花開く向日葵の光合成宜しく、《リライブ&リベンジ》による怨讐の炎をも向日葵によって吸収され、恨みが癒やしの力となりて穂香の体力に降り注いだ!
〔大森穂香 HP800→1800〕
そして《閃く第六感》の効果は終わり、残りの4枚のカードは墓地に送られた。やたらにデカいEGコストを持った赤属性のユニットカード諸共。
(ん、あのカード何処かで……?)
などと史也も記憶を辿ろうとするが、話の筋は別に行った為その話はお預け。
「バ……かナ……!? 向日葵如きにHPが逆転されるなど……!!」
「向日葵は空に仰ぎし“太陽”の象徴! 私の心に憧れを灯す誇り高き花です!!」
そして穂香は、サバイバーモードでも兆しがあったように、地底空間で放浪する裏プレイヤー達から仲間を守る為に強固なる決意を秘めていた!
「私も幾度も、自分の心の弱さで大事な人を苦しめていった……。もうこれ以上そんな思いをさせたくない! だからこそ貴方が道を踏み外す前に、私自身がそれを止める意義があるのです!!」
「うるせぇえ!! 踏めば折れるような弱い花に拘る奴に言われタカねェエエエ!!!」
「貴方こそ何を頑なに拘っているのですか。復讐心と力に執着しても、見える物が見えなくなるだけです」
不良らしく強がり弱さを意地でも見せない小原に、穂香は淡々とその弱さを指摘していく。クールと暴走では魂の懐にも雲梯の差が出来る。
「……何だよ、皮肉ッテんのかテメェ……! 力もなさ気な鳳凰堂のクソガキみたいに知能で潰そうって落胆かよ、アァ!? 上等だよ傲慢が二度とその口叩けねぇヨウニしてヤル!!!」
………ごめんなさい、傲慢なのは貴方の方ですよ小原さん。
「何を言っても聞かないのは承知の事です。ですが私はこのゲームで証明してみせます。
――――自分にある弱さを知る事で、這い上がる強さが有ることを!!!」
心の弱さは決して人そのものの弱さではない。それをゲームで示すべく穂香は立ち上がる!! ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




