【GAME42-6】急接近! 裏プレイヤーと挑戦者!!
――地底空間のゲーム戦士チーム、『エレメント◇トリガーズ』のメンバー土屋将司ことツッチーの手助けによって、指名手配されていた裏プレイヤーの位置を探る事が出来た倭刀らゲーム戦士達。
だが位置は分かったけども、そこまで辿り着かねば意味はない。その場所はB5層・ウエストOS-8地点。
「俺達シャッフルと立海の面々、ツッチーさんを合わせても9人。特攻しても辿り着けない人数じゃないが」
「特攻して仮に裏プレイヤーに破られたなら、その後始末は誰が付けるのだ倭刀。俺の仲間を捨て駒にしようものなら、八つ裂き程度では済まぬと思え」
「やる訳無いっしょ、んな事! ……仮にこの中から二、三人だけ行くにしても、何とかB5層まで裏プレイヤーに接触せんで接近する裏道か、何かあれば良いんやけどな……」
等と銃司の威圧に圧倒されながらも、何とか無傷で裏プレイヤーの元まで行ける方法を探る倭刀。しかし地底空間特有のワープ装置や深さまで理解していない分、手っ取り早いやり方が中々見つからない。
その時またしてもあの男が、倭刀達のヘルプに反応した。
「手詰まりやな倭刀、意地を張ってもワテには分かるで。だがしかーし! ワテはそんな一生懸命な皆を応援したるで〜! もういっちょ出てこいトリガー・ツール!!」
―――PON!!
タブレットから再び飛び出した鮮やか色のカプセル。そこからパカッと開けば出てきたのは、虹色模様のフラフープ!
「本日のトリガー・ツール、『テレポーテーションリング』!!」
――説明しよう! 【TT No.008/テレポーテーションリング】とは、リングの中に入った人を予め登録された場所へと瞬間移動出来る、どこでもゴー!なフラフープである!!
「ただし、瞬間移動出来るのはフラフープの中に入った人だけ。つまり倭刀はんが言うてた二〜三人が限界や。裏プレイヤーとやり合える奴、援護できる奴をよう考えて決めてくんなはれ」
流石にトリガー・ツールとて、大人数までテレポートとまでは行かなかったが、ともあれこれで裏プレイヤーの脅威をスルーして小原の元へ行けると確信した。
「それだけでも十分や! こんな便利な道具貸してくれるなんて、ツッチーさんって良ぇ人やな〜♪」
「豪樹あんちゃんの教え子なら容易いこっちゃな! ―――じゃ使用料は1000円な」
「金取んのかよ!!」
「冗談や、今回は無料レンタルサービスにしたるで」
その割には穏やかじゃない商人ジョークでしたね。
「まだ解決した訳ちゃうで倭刀。問題はそのB5層へ誰が行くのか、だ」
ここで豪樹が話の釘を刺す。二人程が限界のフラフープの中に誰がB5層へ向かうべきか。
今回興味本位で加勢する立海も居る中で、率先して行く事を決めた者は意外にもこの方だった。
「ツッチーさん、私に行かせてください!」
「ほ、穂香姉ちゃん!?」
立候補者は、シャッフルは大森穂香! でも何故に?
「あの小原さんって人、この前倭刀とギガント加賀さんをダシにして行った裏ゲームの共犯者です。あの時私はそれを止めるために接近しましたが、他の者に比べてPASの形が歪なものを感じました。
この状況下で彼女を止められるのは、私しかいないと思ったからです!」
流石、巨乳の如し器も大きく、勇ましやその決意! その真意には裏ゲームでの事件で剣に喝を入れられ、自らの手で倭刀を救えなかった事と、裏プレイヤーを逃した悔しさをバネにリベンジを掛けようと決めていたのだ。だがそれは彼女だけの事ではなかった。
「姉貴分が随分と勇ましい事で結構だ。だがその沽券には私も関わっている。これは独断で挑むものでは無い。私も同行しよう」
とこれまた意外にも張り切ったのが、立海は大門史也。彼も同じく裏プレイヤーを追跡し、逃げられた事で対抗意識に駆られたようだ。
さて、優先順位から見ても穂香と史也が勇んで向かおうとする以外に変わりは無し。
丁度フラフープの尺寸も丁度二人分スッポリ入って定員はこれまで。特に穂香のおっぱいがその他も入りたくても、頑なに阻むように密着していた。
「それどういう意味ですか」
……ま、まぁ何はともあれ。先発ゲーム戦士は決まった。ならば門出のハンカチ振って、彼女らの健闘を祈ろうではないか!
「ほんじゃ、二人共準備はえぇな? ちょっと身体がフワッとする感覚で気持ち悪ぅなるかもしれんが、そこは我慢せぇ。あっという間にB5層へひとっ飛びや!」
穂香はそれを聞いて若干身体をギュッと強張らせる。史也は相変わらずのクールニヒル。個性が表れます。
「姉ちゃん、気を付けてな」
「穂香のフォローしっかり頼んだぞ、史也兄」
「大丈夫よ倭刀、ちゃんと帰ってくるから!」
「銃司はシェイパー兄妹の面倒をちゃんと見ておけ。ここは私に任せろ」
互いに信頼の挨拶を交わし、テレポーテーションリングは転送準備に入った。
「―――じゃ行くでぇ! グッドラック!!」
――――――シュンッッッ
姿とフラフープ消えるは疾風の如く、穂香と史也を乗せたリングごと倭刀らの前から瞬間移動された。
▶▶▶ NEXT▽
――変わって舞台はB5層。
サバイバーモードが繰り広げられたB1層と比べて、闇の色がより一層濃くなり、昼も夜も分からない常闇の空間と化していた。
そんな闇に溶け込むように黒い外壁で覆われた古びた町並みが入り込む者に恐怖を与える。
だが勇んで移動された穂香と史也には、そんな恐怖も経験則からして屈することは無い。常に警戒しつつ、闇に溶け込む裏プレイヤー・小原を探る。
「……あの、史也さん。小原恵美さんって前に会った事があるって言ってましたけど、一体何者なんですか?」
「話せば長くなるが、穂香らと合流する前に銃司とB2層の連中と喧嘩騒ぎをしてな――――」
ここからホントに長い話になるので、気になった読者の皆様は【GAME35〜36】を読んでおさらいしましょう! ……と言ってる間に話が終わったようですね。
「―――それ故に、あの裏ゲームを仕組んでもおかしくない人物と認識しても良いだろう」
「それでもどうして、あの鳳凰堂孔雀さんがそんな酷い仕打ちをしたのでしょう……?」
酷い仕打ちとは、復讐にとWGCらと鳳凰堂に喧嘩を売った小原が、逆に見せしめとして心身諸共ボコボコにしたという話です。
「信じられない気持ちも分かるが、事実は事実だ。現に鳳凰堂孔雀は一部の地底出身のゲーム戦士に相当恐れられてる曲者。場合によってはWGCの若社長以上にな」
「………たとえそうであったとしても、裏プレイヤー達の行いは度が過ぎ、過ちである事に変わりありません」
だからこそ、穂香は討伐する事を選んだ。
小原の他に『妬み嫉みのエンヴィー』も討伐対象になっているが、彼女には帰る場所があり、心配する程の相手ではないと睨んだ穂香は、先に小原を追う事に焦点を絞った。
「その判断は穂香に任せよう。今更お前のゲーム戦士としての腕を疑うつもりも無かろう。その信念、お手並み拝見といこうか」
「………ありがとうございます。参りましょう!」
――常闇の地底を二人のゲーム戦士が駆け抜ける!
時にヒラリと軽やかな足取りで黒い町並みの屋根を渡り、ある時に外路地から細い隙間を辿ってウエストサイド、隅々まで掛け進む包囲網。そしてターゲットを袋小路に追い詰めた!
「―――しつコイなァ……! お前ラ、アタシに何の因縁ガあるんダヨ!?」
「……貴方に用があるから追いかけたのです。裏プレイヤー・B2層東の鬼、暴走族“大原族”総長・小原恵美!!」
さぁ、さぁ〜遂にセカンドコンタクトだ穂香と小原! まもなく己の意地を賭けたゲームバトル、開始となるのでしょうか!? ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




