【GAME42-5】地底空間の救世主・エレメント◇トリガーズ!!
―TIPS―
【トリガー・ツールシステム】
地底空間のゲーム戦士・土屋将司の技術によって編み出された最先端ツール。
現実世界のみならず、ゲームワールドオンラインといった仮想空間にも転送して使う事の出来るゲーム特化した便利アイテム。
その数は100……いや、それ以上種類があるのかもしれない!?
――土屋将司こと『ツッチー』が、倭刀らゲーム戦士にカミングアウトしたその正体。
地底空間・アンダーグラウンドは裏プレイヤーの巣窟という地上の人々の屈曲したイメージを払拭すべく、ツッチーとその他三人のゲーム戦士は己の自由を守る為に一つのチームを結成していた。
それが地底空間のゲームウォーリアー、【エレメント◇トリガーズ】と名乗るゲーム実況型チームであった!
「トリガーズって……こりゃ凄いチーム名っすね」
「私達と何か異なる仕事でもしてるんですか?」
等と倭刀は関心しつつ、穂香はそのチームの本質をツッチーに訪ねた。
「ワテらの目的は、ゲームワールド内のFPSで【A.I.M.S】っていうゲームに参加して、その報酬である“太陽”のデータを回収するのが目的なんや」
「太陽? 地底で照明感覚に太陽付けるんすか」
そんな事したらここの住民、紫外線対策に苦しむ事になるんですが。
「正直、ワテも陽の光が恋しゅうてな……んな事ちゃう! ゲームワールド内に隠された【シャインピース】っちゅーデータプログラムの一つで、その欠片を108つ集めるとどんな願いでも叶う事が出来るヤツやねん」
「ドラゴン的なアレですかね」
ボールかクエストかは、言わずもがな。
「……でもツッチーさんの話を聞くに、チームの目的はそいつの宝探しだけや無いでしょ?」
倭刀は更に質問で返した途端、ツッチーの顔色は急にシリアスになる。それと同時に、エレメントトリガーズのもう一つの本質が明らかになった。
「……豪樹あんちゃんの職場と一緒の水谷はんが言うてたやろ? マスコミが地底空間が危険な区域だとか、過剰に報道するお陰で、ここ出身の人が地上に出稼ぎ行って、素性を知った途端に地上のモンが寄って集って差別対象にされとる話。
ワテやキッドはんらも、そうやってやられた友人をぎょーさん見てきた」
「「――――!」」
「この地底空間で一緒に育った人々は、ワテらにとっては皆家族みたいなもんや。それを悪意に満ちた行いを起こして泣かす地上の奴らを叩き潰す為に、ワテら『エレメントトリガーズ』が出来たんや」
「…………」
これには倭刀も穂香も、そして同じく地底出身のレミも。にわかに漂わす陰湿で嫌悪なものを過剰に感じ取った。
元々地底空間はゲームによって敗れ、地位も所得も名誉も失った者が、この世に立つ資格なしと見限られて、お天道様も拝めない地底に追いやられたのが事の始まり。
それが後に追いやられた者がどんどんと増え始め、このままでは行けないと生き抜く知恵を振り絞り、自分達の理想の空間創りと、自分達を追いやった地上の者への復讐も込めて建設されたのが、この地底空間・アンダーグラウンド。
ところが、地上の者には狡猾な事を考える者が居たようで。地上に負けじと文明の力を働かせて建設したアンダーグラウンドの様子を知った地上の人は、このままでは我々への報復に乗り出し、形勢は逆転されかねないと考えた。
皮肉にもそれが地底空間に興味を持った一人のマスコミからが発端であった。
更に悪い事が重なるようで、長きに渡る束縛された地底の暮らしに嫌気を指した地底出身の裏プレイヤーによる暴動が重なった事により、
【アンダーグラウンドは危険な区域】【裏プレイヤーによるテロ行為続発】と、連続して過剰演出した報道が続くうちに地上の無垢な人々は洗脳され、善悪関係無しに地底の人を蔑み、敵意を持つ結果となった。
住む環境は違えど、人の立場の上と下に人を作ることは絶対に赦してはならない。
地底で育ち、生活を共にした人々の絆がツッチーや仲間たちの心を動かし、地底空間の人々の自由を守るゲームチーム【エレメント◇トリガーズ】が結成されたのです。
「―――つまり、ワテらのお仕事は“お宝探し”と“人助け”! 二足のワラジを履いとるが、それでも結構楽しいもんやで」
ツッチーさんはそれでもお気楽に説明していたが、その重い裏を知った倭刀達は呆然とため息を付くばかり。
「………ホンマ、正義って何やろな」
「お宝探ししながら人助けって、私達以上に凄い事してるんですね……」
だがツッチーの話を聞いていたのはシャッフル面々だけではない。遊戯貴族である立海銃司率いる遊戯戦団はどう思ったのか。
「貴様の本質はよく分かった商人。だがシャッフルのみならず、我々にも協力する貴様の意図が今一つ分からん。――地底空間の義賊にでもなるつもりか?」
そんな高圧的な銃司の問いにも、ツッチーは臆すどころか笑いながら答えた。
「何言うてまんがな! 欲に関しちゃアンタらと似たようなもんやで立海のあんちゃん! ゲーム戦士の頂点をひたすらに目指すように、ワテらも宝目指した先に何があんのか見てみたい。そんだけの話!
―――自由ってのは、それらを目指せる者の権限の元にあるもんちゃうか?」
それを聞いた銃司、人の大きな夢を貶す程器も狭くなければ、それを応援する訳もない。ただただ顔を俯き嘲笑うのみ。
「……フッ、地上も地底も仮想空間も、どんな宝が眠るか俺には知ったこっちゃない。だがその夢は最後まで貫き通す事だ。夢を途中で追い辞める者に栄光など与えられん」
「おおきに。無論最後まで通したるで」
……とまぁ、長々と話は続きましたがようやく本題。
ツッチーは取り入れ出したる【トリガー・ツールシステム】なる便利道具の一つ、『ハイパーサーチドローン』を小型コントローラーによって起動させた。
サーーーーーーーーッ
「……ありゃ、浮上させても全然喧しかないな!」
「まるで雨音がシトシトと流れるよう、不快になるどころかドローンである事すら分かりません!」
豪樹もサーブルズも絶賛するトリガー・ツールのドローン。
プロペラの音によって雑音が気になる特徴のドローンですが、このトリガー型は防音機能のみならず、相手にも赤外線等にも気付かれないステルス機能付き。
更に操作するコントローラーから映写するビジョンが、ドローンの小型カメラから映る映像と位置情報を知らせてくれる。偵察のスペシャルツールだ!
「どーよ! ワテが汗と涙で作ったトリガー・ツールシステムの実力を! これでB2層以降の道でも無駄なく裏プレイヤーの位置を把握出来る!」
ドローンはツッチーの操作によってグングンと先へ進む。操作するコントローラーからはホログラムビジョンによって、ドローンが遊泳する周囲の様子が4K画質で明らかに。監視カメラ界をも超越した映像技術!
B2からB3、B4へ進むほど裏プレイヤーの殺気とそれによって翻弄されるゲーム戦士の修羅場がカメラに映る。そしてB5層へ突入した所、いよいよ本命の裏プレイヤーの存在がドローン経由で明らかになり、その位置と諸々の情報が通達された!
〚・裏プレイヤー確認:小原恵美(満身創痍)
・位置情報:B5層 ウエストOS-8地区〛
「見つけた!」
「小原……一年前に鳳凰堂にボコボコにされた奴か」
「そしてアンダーグラウンドで裏ゲームを起こした一人……!」
ついに発見した裏プレイヤー、未だ誰も発見していない状況に一番乗り。そしてそれが小原と知り反応するは銃司と穂香。
「でもどうやって突破するん、B1からB5までの修羅の地底道をよ……!?」
決闘は必須、命は保証不可。そんなアンダーグラウンドの道をどうやって突き進むかゲーム戦士?
全ては見えぬ攻略の糸口を探すばかり。――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




