【GAME42-2】ゲーム戦士よ何処へ征く……!?
――さて、地底の奥深くにて鳳凰堂孔雀らが何やら不穏な動きを見せようとしていた同じ頃。
地底空間・アンダーグラウンドはB1層、先程まで白熱のサバイバーモードのフィールドとして繰り広げていた発展途上の都市は、ようやく一般人の立ち入りが解除され落ち着きを取り戻した頃。
更に同じように戦いを繰り広げたゲーム戦士達も、全身全霊で戦い抜いたのと、地底での暮らしがまだ慣れずに身体が草臥れていた。
となれば向かうのは勿論宿屋にホテル。今日はゲーム大成功と満員御礼の意味を込めて鳳凰堂孔雀からのもてなし、参加者の宿舎無料サービスでご案内だ!
……しかし、ゲーム戦士達にはまだやるべき事が残っていた。
アンダーグラウンドの更に深い層にて、のさばる指名手配級の極悪裏プレイヤーの討伐を孔雀さんから頼まれたから休む暇なし。勿論これは命に関わる事故にこの任務は強制では無いが、行くか行かざるかそこが迷いどころ。
そこで今回は孔雀さんの計らいでB1層の三ツ星ホテル『TUBE』に宿泊しているシャッフルオールスターズと立海遊戯戦団の様子を見てみよう。
▶▶▶ NEXT▽
「……で? 何でまたお前と一緒にパーキングしてる事になってんねん、銃司さんよ」
「別に悪い話でも無いだろう剣。今はゲームも休戦、貴様ら好敵手との盃も一年前のアメイジングウォーズ以来だ。啀合いする必要は何処にもない」
「まぁ別にえぇけど……」
ゲームという神聖な決闘では本気で戦う剣と銃司のゲームチーム一同も、戦い終われば良き戦友。
ここまで来るとライバル云々の絆と言うよりは、腐れ縁みたいな関係が出来ている。モチのロン剣・銃司に限った話ではありませんが。
「……じゃ、腐れ縁ついでに確認しとくか。――お前らこれからどうする? 裏プレイヤー討伐に専念するか、別の事をやるか」
剣は仲間・好敵手らの仕切りも無くこの際ハッキリさせたかった。鳳凰堂孔雀の討伐ミッションに参加するのか、はたまた強さか何かを求めて別のものに挑むのか。言うなればチームの行く道がまた複雑に分かれるのかを確かめたかった。
「俺は特に何をすべきか等決めるつもりは無い。ただ俺に立ちはだかる者あれば捻じ伏せるのみ。せっかくこの地底空間まで来たんだ、飽きるまで裏プレイヤーと遊んでやる」
(全くこの気まぐれ城主が……)
銃司は風の向くまま気の向くまま、風来坊感覚で裏プレイヤー討伐に付き合うつもりだ。マカロニウエスタンの用心棒並に自由な男に参謀の史也も呆れ返る。
「ならば私も参ります。銃司様の行く所にシェイパー兄妹あり!」
「地獄の果てまでもお供しますですのーー!!」
「私も及ばずながら、銃司様に付いて参りますわ」
やはり銃司の動向に率先してお供するはシェイパー兄妹と時実桜。城主を守るメイドさんと護衛戦士の二人も迷いなし。
「……ならば私も参加するしか無さそうだな。銃司を静止出来るのは桜と私しか居らんのだ。それに……」
「…………?」
ふと史也はサバイバーモードで打ち破られたシャッフルの畠田レミの方に顔を向ける。その真意を知ってや知らずや首を傾げるレミちゃん。
(小娘なんぞに遅れを取っては立海のブレインの名が廃るからな……)
意外と負けず嫌いな史也様なのでした。
――立海は一通りこんな感じ。ではシャッフルはどうでしょうか?
「俺は、裏プレイヤー討伐に専念しますわ剣さん。二度三度も裏ゲームの殺生なもん見せられちゃ黙って見過ごせへん!」
「勿論私も行きます! これ以上地上の人を傷付けられるのは見ていられません!」
「ほんならこの豪樹様も行かんとな! もうやられてばっかじゃ沽券に関わるこっちゃ、今度こそ皆を守ったる!」
と、今までと引き続き裏プレイヤー退治に向かうは倭刀・穂香・豪樹の三人! 特に倭刀はPASの覚醒も相まってより頼もしくなっているから安心だ。
そして、レミとみのりは……?
「……あの、あたしも穂香ちゃんと一緒に行ってもいい?」
意外にもレミも同行を決意。それには流石の穂香達も若干不安に駆られた。
「レミちゃん、手助けしてくれるのは嬉しいんだけど……」
「途轍もなく危険なミッションやで、悪いがワイは賛同でけへん」
「おそらく俺や穂香姉ちゃんが経験した裏プレイヤーよりも遥かに強いでっせ。レミさんが行ったら――」
「あたし今まで言ってなかったんだけど、ずっと昔にアンダーグラウンドに住んでて、ちょっと訳アリでB9層まで行った事があるの。だから案内なら助けられると思って……」
「……レミさん、アンダーグラウンド出身だったんすか!?」
「私初めて知りました……」
これには倭刀も穂香も驚いた。他のメンバーは知ってるような示唆はあったようですが。
レミは剣やみのりが出会う前は、父親がアンダーグラウンド育ちであり地上へ行ける権限があった為に、山梨のとある田舎で育ち学校も地上で活動していた。
彼女が中学を卒業した頃、とある事情で転校することになり、今の大阪は浪速区の天堂学苑高校にてシャッフルの仲間と交流する事になったのです。
……それまで経由には何やら複雑なものが絡んでいるようですが、それはまた別の機会にて。
「せやな……まぁ、レミちゃんがそこまで言うなら様子見て考えとくわ。大事な教え子に危険な目には合わせたく無いからな」
「う、うん……」
大人の豪樹さんによって一旦はレミの同行は保留となった。
一方のみのりもこれからどうするべきか全く考えていないようで、うーんと頭を傾げてばかり。シャッフルはこんな感じで―――
「待て。肝心の言い出しっぺが何も言わんのは筋が違うだろう」
「剣、貴様は何も決めてはいないのか……?」
と立海側が剣に意見を求めたがってるが、本人は既に覚悟を決めていた。
「――――俺は、裏プレイヤー討伐は行かねぇ。やる事が出来た!」
これにはシャッフルのメンバーもビックリ、立海側は興味津々に続きを聞きたがっていた。
「な、何でまた!? 剣さんから別行動取るなんて!」
「何か気になった事でもあったんですか……?」
と倭刀と穂香が問いに対して剣は答えた。
「俺、サバイバーモードと瑞鳳の綾乃と一緒に戦って感じたんよ。幾ら俺が豪運やら切り札を呼び寄せるPASを持ってても、そこで満足してたらいつかは銃司や龍牙にも追い越されて、挙げ句には穂香にも倭刀にも先を越されかねへん。そんなん切り札騎士とは言えへんやろ?」
そんな剣の考えに対して、銃司は冷徹にも好敵手への評価を下す。
「……貴様が今の実力に満足して強くなる事を止めた所で、俺は待つ程優しくは無い。それにサバイバーモードで穂香や倭刀にも遅れを取るようでは、何れはシャッフルを引っ張る権限も失われるだろう。
精々己の力量の限界を超えられずに悔やみ嘆くが良いわ……!」
「銃司くん!」
「銃司さん!!」
剣への罵詈雑言を放つ銃司にみのりと穂香が言い咎める。しかしそれを認めていたのは剣本人であった。
「……俺はそんな卑下じゃ物足りねぇくらいや銃司。このままじゃ俺はしがない浪速の下級国民に逆戻りって訳よ。――だが、俺は言われっ放しで終わる程堕ちちゃいねぇぜ!」
剣を取り巻くヒロイン達もきょとんとしながら動向を見守る中、剣は威勢よく皆にプレイギアより通知されたミッションのメールを見せた。
◇――――――――――――――――――◇
【WGC代表取締役社長 本宮マサトからの報告】
・本宮社長の意向により、
桐山剣(アバター名:エース)に
特例として特別GWクエスト
《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》の
開放クエストの受注を許可する事に決定しました。
クエスト参加の準備が出来次第、
《プレイヤーバザール》のインフォメーション
にて受注申請をお願いします。
◇――――――――――――――――――◇
「《大いなる伝説の聖剣―GXキャリバー―》……ってオイ、コレ!?」
「一年前のアメイジングウォーズで使っていた【Gパーツ】のカードじゃないですか!!?」
再び倭刀と穂香はびっくらこいた! そりゃもう二人が全てを掛けて守り通したGパーツですもの、忘れる訳がありません。
「せや、今はゲームワールドを動かす力も消えて、WGCの権限によって使用が制限されて保管されてるGパーツのカード! それを若社長が獲得ミッションとして、ゲットするチャンスを俺に与えてくれたんや!」
「やっぱり! 剣くん挑戦するのね!!」
「おうよ! 俺はGパーツの聖剣を手に入れて、ゲーム戦士の頂点に立ってやらァ!!!!」
――切り札騎士・桐山剣、遂に一大決心!!
Gパーツ獲得へのミッションに挑戦する彼の心意気に、他の仲間達はどのように影響されるのでしょうか?
枝のように別れゆくゲーム戦士達のストーリー、最初に動き出すのは果たして何か!? ――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




