【GAME41-11】瑞鳳旋風堂VS新たなバトライザー!!
――同時に展開された好カード、レミVS史也・倭刀VS龍牙と異例の組み合わせに度肝を抜かせながら、更にその結末にも驚愕する70名半ばが監獄された『敗者の牢屋』。
ある者は空気に浮くようなゲーム戦士の意外な活躍に称賛を送り、ある者は龍牙にやられた被害者一同が遂に敗退し仇を取ってくれたと熱狂する者もいた。
これらの決闘を見守った後で、各々が思う心の内は……?
(迂闊だったな史也兄。優遇された環境と、素人と侮った畠田レミ相手に呆気なくやられるとは。史也兄らしくもない)
(……あの龍牙が倭刀を気に入ったんか……? あんなギラギラした顔、俺ん時には全く無かったわ)
信頼していた仲間、或いは宿敵のまさかの敗退に少なからず同様を隠せない銃司と剣。
二つの戦いも無事に終え、先に敗れた立海参謀・大門史也が先に牢屋に転送された。
「……ふぅ」
「史也兄、どうしたんだ? 油断でもしたのか」
不甲斐ない結果に信頼を置いている銃司も、史也の事が気になっていた。
「いや、畠田レミは私の想定を超える知性を持っていた。それが随一の敗因に過ぎん。……やはり固定観念で縛られては成長など出来ぬな」
どうやら史也さんが言うには、レミと対峙した時から彼女からただならぬ変化を感じ取り、勝ち筋を見つけられなかったようです。
「“勉強は退屈”、か……。器量の良さにも個性がある事をあの娘に教えられたよ」
あの緻密なブレインを持つ史也がシャッポを脱いだ程の実力を魅せたレミ。その変化に開いた口が塞がらなかったのは、
(史也もレミも、知らん間に強くなってんやなぁ……!)
他ならぬ桐山剣。そして……
「龍牙が来たぞ!!!」
遂に転送、最凶の忍野龍牙。牢屋のゲーム戦士達は誰もが敗れた事によりイライラ頂点達して危険じゃないかと危惧したのだが……それは杞憂であった。
「オイ剣ぃぃいい! テメェの今のダチも面白ぇ奴いんじゃねぇか!! 精々出遅れねぇようにしとくんだな。倭刀は絶対、桐山剣を超えるんだとよぉ!!!」
「……………………」
……と、只々高笑いと捨て台詞を残して、剣たちの目に触れない場所へと去っていった龍牙。
それに何の反応を示さず、無言かつ無表情のまま流す剣の心境は謎のまま……!
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……さて、話は別方向に変えまして。
レミと倭刀の目覚ましい活躍の中ですが、忘れちゃいけないのは生き残っている他の仲間。
――幸運にも敵とも会わずに回避し続ける河合みのり。
――剣を撃退し、脅威のカスタム・アーマーカードを装備した大森穂香。
――陰ながらも奇襲してくるゲーム戦士達を剛腕唸って一網打尽に薙ぎ払うは、高橋豪樹。
それに加えてレミと倭刀、という事は。桐山剣さん以外みーんな生き残っちゃってんですよ! 何気に皆さん優秀なんですね〜!!
(じゃ先に穂香にやられた俺が惨めじゃねぇか!)
主人公の剣さんは今回は珍しく不運な方で終わってしまいましたが、同じく敗退しガックシ来てるのは立海勢。
銃司に引き続き史也も敗退。更に時実桜にフローレン・シェイパーと、強者揃いの立海遊戯戦団も、今回のような大人数のサバイバルバトルは厳しかったよう―――
「まだですのッッッ!!! まだお兄様が残っているですの!!」
あれ、そーいえばフローレンさんには優しいお兄さんが、あーそうだそうだ!!
唯一、立海のゲーム戦士の中で生き残っているのはシェイパー兄妹の兄・サーブルズ・シェイパーさんですよ!! ……いや忘れた訳じゃないです、フローレンさん睨んじゃイヤ!
「おそらく、フローレンの不覚に人一倍生き残ろうと励んでいるのだろう。妹思いな奴だ」
史也さんも関心関心と、南エリアで勇ましく進む兄の勇姿を遠目で眺める。
……って、あれ? その割にはサーブルズさん何やら重そうな装備を携えてますね。
「何でしょう、金色の装備に強固なアーマーなんて。サーブルズさんにしては荷が重過ぎますわ」
「蜂のように俊敏に突き刺す戦法が彼のアイデンティティだろう。真逆なものを装備して邪魔にならんのか」
などと桜も銃司も謎の金装備に物申す。しかし他の戦闘を観賞していた者と尻目に、只々兄の活躍を刮目して観ていた妹のフローレンさんは、その詳細を誰よりも知っていた。
「二人共何を言ってますの。あれは大森穂香と同じカスタム・アーマーカードの『バトライザー』ですの!!」
なぬ!? と言う事は彼もまた、あのギャンブル要素の『レジェンドスロット』で大当たりを出した幸運の持ち主なのでしょうか!?
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大森穂香が装備していた銀色の《シルバーウィング・バトライザー》が、飛行能力と斬撃の刃を併せ持った可動型のアーマーカードならば、サーブルズが装備している金色のアーマーカードは【攻守の鎧】。
2大ステータスを特化させた金色の重装備、特に胸部や足部に頑丈なゴールドメタルプロテクターを装着。
更に特徴的なのは大きな肩パット、それぞれ半球のポールの形をしたシールドの役割を果たしている。
名付けて、【ゴールドタンク・バトライザー】だ!!
◎――――――――――――――――――◎
〈カスタム・アーマーカード〉
【ゴールドタンク・バトライザー】
属性:無 装備:プレイヤー
・効果:《アーマーチェンジ》
・タンクフォーム/キャノンボールフォーム
◎――――――――――――――――――◎
こちらもシルバーウィング同様、《アーマーチェンジ》によって性能の変化も可能である。
「……フゥ、流石バトライザーとやらの新カードは伊達な重さでは無いな。しかしこんなもの、立海の使命とフローレンの事を思えば……!」
やはり重装備はサーブルズには骨が折れるのか、ただひたすらにゴールドタンクを装着して、のっしのっしと前進あるのみ。
と、サーブルズの前方から何やら気配を感じて脚を止める。
「……二人、手を組んでいたのですか。それでなくても両者ただならぬ覇気を感じます」
その先に待っていたのは、何と仙台は瑞鳳の独眼竜政宗を加護に持つゲームチームの戦士。『瑞鳳旋風堂』の代表、伊達神奈と松代光照だ。
「へぇ、戦わずとも私のPASの覇気を察せるとは。アンタも相当な腕と見たね」
「よく見りゃおフランスな青年じゃん! 気になって仕方ねぇから一先ず名を名乗って貰おうかい」
と光照の拍車がけに否応なくサーブルズは自己紹介。
「私は、東京は立海家のフェンサー。護衛戦士として、21代立海遊戯戦団城主である立海銃司に忠誠を誓いしゲーム戦士。シェイパー・サーブルズ。どうぞお見知りおきを」
清く正しく美しく、立海の名を忠誠に礼を交わすサーブルズ。実にお見事。
「由緒正しき遊戯貴族の立海家の戦士か。身の上を弁えて結構な事だが、ここは無法の戦場であることは知っているね?
2対1でフェアじゃない展開だがそれでも私達は勝ち残る為にお前と戦う。挑戦、受けてみるかい……?」
姉御肌の主将、伊達神奈の直接な決闘申込みにサーブルズは……。
「……良いでしょう。敵に背を見せては立海の名が廃るだけ。全力でお相手します!!」
サーブルズも戦う覚悟を決めた! 未だに未知の戦闘力を持つ瑞鳳旋風堂のゲーム戦士の実力は如何―――――
と、思いきや!!?
ビーーーーッ!! ビーーーーッッ!!!
「……?」
「な、何や!?」
「なんの音!?」
突然、フィールド内に鳴り響く緊急警報のサイレン。ファイアウォールの縮小警報にしては、更にハイトーンの高い警報音に不安になる者もいる。そして変化は、突然現れた!!
……シュン――!
「……な?!! 《ゴールドタンク・バトライザー》が消えた!?」
「私の武器も!?」
「オイラの装備もねぇぞ!!」
神奈も光照も装備は消え、更にはカードそのものが発動されない状態。そして他方でも……
「え!? ジョロキアが消えた!!」
「私のバトライザーが消えた……!」
レミの契約したユニット・ウォーリアー、穂香のカスタム・アーマーカードも消滅。フィールド全域にただならぬ混乱の中で、その原因となる報告アナウンスが流れた。
『―――サバイバーモード近況報告。全てのカードの機能が停止されました』
「「「「何ィィィィィィ!!!!!???」」」」
▶▶▶ NEXT▽
終盤に来てまさかの故障か!?と多々から文句が来ない前に、私がポータルタワーの指令室に殴り込むと。
「鳳凰堂はん!? 何をしてはるん!!?」
スピリットプレイヤー・レイも驚く鳳凰堂孔雀によるゲーム大変動。それが全てのカードの機能を完全停止させる事。しかし何故このような事を……?
「間もなくサバイバーモードもクライマックスです。故に私は、今あるゲームバランスを崩壊させます!!
――――そしてこのゲームに隠れている【シークレットミッション】を制した者が、完全制覇に最も近づくゲーム戦士です!!!」
果たして、鳳凰堂孔雀が言う【シークレットミッション】とは!? 次回のお楽しみに、しおりはそのまま!
――本日のゲーム、これまでッッ!!
▶▶▶ TO BE CONTINUED...▽




